東方大魔王伝 -夢現幻想-   作:黒太陽

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第二十三話 誓いのコンツェルト

博麗神社

 

「……」

 

墓の前に誰かが居た

 

「……」

 

霊夢の墓を入念に調べている

 

「……」

 

靈夢ではない

 

「……!」

 

何かを見つける

 

(やはり霊夢の墓はかなり昔に暴かれている……痕跡からして死後それなりに時間が経ってから……防腐の術の跡があるから墓参りが落ち着いてから回収したのね)

 

墓を直すと立ち上がる

 

(……防腐の術を使うのはあの邪仙くらい、でもあの邪仙がそんな事をするとは思えないしあの性格で隠し通せるとも思えない)

 

墓を見ながら思案に耽る

 

(ならやはり読み通り死者を扱う死神の仕業でしょうね……行ってみましょうか、あまり時間も残されてない……)

 

彼女は向かう先を決める

 

「……!!」

 

近付いてくる気配を感じすぐに物陰に隠れる

 

(……靈夢)

 

墓に来たのは靈夢、とても苦しそうな顔をしている

 

「師匠……霊夢様……」

 

靈夢は墓の前で崩れた

 

「私……どうすれば良いんですか……」

 

苦しみを吐き出す、だが墓は何も応えない

 

「……」

 

彼女はそれ以上は見ずに静かに空へ上がっていく

 

(苦しいのはわかる……でもね、答えは自ら出すしかないのよ靈夢)

 

空から靈夢を一瞥だけすると

 

(貴方に足りない……いえ、無くしてしまったものが見つかった時……その時貴方はまた博麗の巫女になれるのよ……取り戻しなさい)

 

地獄へ向かっていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスタークパレス

 

「フフ……」

 

ワインを飲みながらエスタークは幻想郷を眺める

 

(明日……幻想郷は消える、その時こそ初めて私の本懐を遂げにいく事が出来る)

 

幻想郷の滅ぶ様を想像しながら先を考えていた

 

エスタークにとって幻想郷は越えるべき障害

 

辛酸の報復か妹紅への恨みか……

 

滅ぼさねば気が済まなかった

 

(以前使わなかった戦力もある、中々良い感じになるでしょう)

 

明日の戦いを予想し悦に浸る

 

 

「……エスターク様」

 

そこへウォルターが願い出た

 

「封印を解いてもらってもよろしいでしょうか?」

 

その願いに少々間を置いてエスタークは返した

 

「封印を解けば貴方の体は死へ向かいます、それは承知の上でしょうが……貴方に死なれるのは困ります」

 

「……申し訳ありませんエスターク様」

 

それでもウォルターは折れない

 

「……」

 

ウォルターを見ながらエスタークは考える、どうするかを

 

バルバトスの様に記憶を弄ればウォルターが死に向かう事は無くせる

 

しかしウォルターの意思がそれを思い止まらせる

 

「私はどうしても吸血鬼を殺したいのです……」

 

揺らぐことの無い殺意を受けて……

 

 

「……わかりましたウォルター」

 

了承したエスタークは魔力を送りウォルターの封印を解除する

 

「ありがとうございます……必ずあの吸血鬼……フランドール・スカーレットを殺してご覧にいれます」

 

礼を言ったウォルターは出ていった

 

「……」

 

ウォルターを見送ったエスタークはまた幻想郷を眺める

 

(その身に宿す禁忌の力を使いますか……吸血鬼を倒すために……吸血鬼の力を使って……)

 

ワインを飲み干すと複雑な表情で頬杖をついた

 

(死を賭して……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社

 

「ここに居たのか靈夢」

 

神社へ来た妹紅達は見つけた

 

「藤原さん……」

 

墓の前で崩れる靈夢を

 

「……今皆で明日の事話してる、行こう」

 

紅魔館へ行こうと言われた靈夢は首を振る

 

「私に構わないでください!」

 

叫びが妹紅達を打つ

 

「私なんかが行っても意味無いでしょう!なんで呼びに来るんですか!」

 

「……お前がこの博麗神社の巫女だからだよ」

 

「そんなの知りませんよ!皆が神社を守りたいなら勝手にしてくださいよ!」

 

「……そういう訳にいくかよ」

 

「放っといてくださいよ!こんな弱い私なんて!……見てくださいよ!」

 

靈夢は手を見せた

 

「震えてるんですよ!怖くて!」

 

キュっと手を胸で握り絞め靈夢は言った

 

「だから……放っといてください……」

 

涙を流しながら……

 

「藤原さんみたいに強くない私が居るだけで皆には迷惑です……私は明日、邪魔にならない所で隠れています、なので気にしないでください……」

 

明日、自分は参加しないと告げた

 

「……ふぅ……」

 

それを告げられた妹紅は悲しくもあり困る表情で溜め息を吐いた

 

(参ったな……人は命の危機に本性が出るらしいけど靈夢がこんなに臆病だったなんてな……)

 

掛ける言葉が見当たらない

 

(そうなった原因は私達にもあるか……)

 

自分達の強さが靈夢の心を折り、そして自信の持てない臆病な性格を形成させた

 

だがそれに関しては妹紅達は悪くは無い、強く生きる約束の結果が今なのだから

 

妹紅が責任を感じる必要は無い

 

(それにしたって放っとく訳にもいかないしな……)

 

だが生来の優しさが見捨てる事を選ばさなかった

 

(でもなんて言うべきか……私が何言っても嫌味だろうし……)

 

しかし気の利いた言葉が思い浮かばない

 

 

「靈夢……カッコワルイよ」

 

思案しているとフランが言った

 

「放っといてください!」

 

もう話したくないんだと言う様に靈夢は叫ぶ

 

「しっかりしなよ靈夢!あの時ルーミアを庇った靈夢はどこ行ったの!」

 

「フランドールさん……」

 

ミストにより気絶させられていた靈夢を介抱したのはフランだった、その時に目覚めた靈夢から何があったかを聞いていたからフランはルーミアを庇いミストに立ち向かったのを知っている

 

それを知ったからかフランは妹紅と共に来たのだ

 

「そんな事言われても無理です!」

 

だが靈夢は変わらない

 

「前の時も結局私は何も出来なかった……強くないから……博麗の巫女なのに強くない私は要らないんです……」

 

 

「私が強かったら……私が師匠や霊夢様みたいに強かったら……」

 

 

そんなもしもが口に出る

 

力への渇望が、努力していない故の空想が……

 

「……ねぇ靈夢?」

 

そこへずっと黙って聞いていたレティが聞いた

 

「なんで強くなろうとしないの?」

 

妹紅やフランでは言いづらい事を

 

「それは……」

 

靈夢もそれは答えづらい、自分の心の弱さを認める事だから

 

「先生達が遠過ぎるから?」

 

近付きながら問う

 

「だから心が折れちゃったの?」

 

靈夢がそれをしないのが不思議だから

 

「何もしないで力を得るなんてエスタークと同じなんだけど?」

 

「ッ!?」

 

顔が歪んだ

 

靈夢はエスタークがバーンの魔力を得たのを知らなかったがそれでもあの明日まさに幻想郷を滅ぼそうとするエスタークと同じだと言われたのは堪えた

 

「……わかってる、違うって」

 

レティは靈夢へ微笑んだ

 

「私もね、靈夢と同じなのよ」

 

自身の想いを語り始める

 

「私も先生やチルノの遠さに諦めかけた事なんて何回あったか……」

 

苦笑すると靈夢に額を合わせた

 

「気持ちはわかる……でもね、諦めちゃダメなの……」

 

それは優しさか母性か、慈しむ心が靈夢へ与えられる

 

「ううん……諦めたって良い、でもそれで腐るのは違うと思うの」

 

レティは墓を指差す

 

「それは貴方の師匠も望まないと思う」

 

 

「!!」

 

その優しさと指摘を受けて靈夢は顔を伏せる

 

 

「昔……バーンって奴が居た!」

 

 

突然妹紅が声を上げた

 

「凄く強かった!私なんか目じゃないくらいにだ!」

 

そして靈夢を見る

 

「お前と同じだよ靈夢!」

 

「私は……私達はそのバーンを越えたいからいつも頑張ってる!」

 

「遠いよ……気が遠くなるくらい遠い……でもやるんだ!」

 

強い意思が籠る

 

「約束だから!!」

 

そう言うと靈夢の肩に手を置く

 

「お前にだってあるだろ?交わした約束が……」

 

「!!」

 

また靈夢を震わせる

 

(師匠……)

 

思い出した

 

まだ幼い頃、博麗の巫女になると決めて修行を始めた日の事を

 

(あの時……私言った、師匠を越えて、霊夢様も越えて最強の巫女になるって……)

 

「……」

 

震えは止まっていた

 

「そのバーンだって最初から強かった訳じゃない、数千年なんて途方の無い時間を掛けて強くなったんだ」

 

話し終わる妹紅は靈夢の様子を見る

 

「……」

 

俯いたまま動かない

 

(……ダメか、しょうがない……か……) 

 

気持ちを変えられなかったのだと悟り立ち上がろうとする妹紅に

 

「……一緒に行きます」

 

靈夢から呟かれた

 

「行けば良いんですよね?」

 

妹紅が顔を向けると涙消えない靈夢が見ていた

 

「……ああ!」

 

笑顔で返すと皆は紅魔館へ向かっていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうレティ、助かったよ」

 

紅魔館へ戻る途中、妹紅が礼を言った

 

「それはいいですけど……まだ靈夢の件は終わってませんよ?」

 

「……なんで?」

 

すっかり気を取り戻したと思っていた妹紅にはレティの言葉の意味がわからなかった

 

「靈夢のアレは一時的なものですよ、治ってなんてないです」

 

「……そうなのか?」

 

「強い妹紅さんにはわからないでしょうけどね、私にはわかります、あれは無理矢理気持ちを奮い立たせてるだけって」

 

「じゃあ……どうすれば靈夢は……」

 

「それは靈夢次第ですよ、無くしてしまった靈夢がそれを取り戻すには私達では多分無理です」

 

「……」

 

「そんな難しい顔しないでください、一先ずは靈夢と協力出来る事を喜びましょう」

 

「……そうだな」

 

靈夢への不安を感じつつも紅魔館へ戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠亭

 

「えーと……後12時間熟成させてから乾燥させるのね」

 

鈴仙はメモを見ながら呟く

 

「今が16時だから……間に合わなくない?」

 

メモを再度見るが時間指定は確かに12時間

 

「……敵が攻めてくる最中完成って事か」

 

メモをプラプラしながら熟成中の薬を眺める

 

「……大丈夫!」

 

気を入れた鈴仙は立ち上がり構えを取る

 

「姫様は私が守ります!セイッ!」

 

拳を突き出し

 

「師匠から受け継いだこの拳で!」

 

気合いを入れ永琳からの頼み事をこなすと決めた

 

 

……カタン

 

 

「あ、手紙だ」

 

入口からの物音に気付き取りに向かう

 

「差出人は不明……師匠宛……」

 

手紙を確認する鈴仙

 

「……」

 

怪しいから一瞬開けようかと考えたが

 

(師匠に怒られそうだしやめとこ)

 

やめて玄関から良く見える場所へ置いた

 

(あのでっかい聖輦船みたいなのの対策にてゐ達は行ったから良いとして……)

 

垂れたウサ耳を指で弾きながら部屋へ戻る

 

(こんな時に師匠はどこ行ったんですかねぇ……)

 

永琳が大事な事をしているとは露程も知らない鈴仙はあまり気にせず部屋へ戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館

 

「ただいま」

 

「お帰りなさい、連れて来れたのね」

 

戻ってきた妹紅達にパチュリーが若干疲れを見せながら返した

 

「まぁね……疲れてるなパチュリー」

 

「……こんなに集まったら収拾つけるのに苦労するに決まってるじゃない……」

 

ふぅっと溜め息を吐いて靈夢を見る

 

「靈夢……博麗神社を守ってくれる面子よ」

 

指を固まった一団に向ける

 

「こんなに……」

 

面子を見て靈夢は感嘆の声を漏らした

 

「博麗神社の守護に当たるのは咲夜と白蓮を筆頭に勇儀、アリス、霖之助、てゐになったわ、更に白蓮の命蓮寺のメンバーを加え……」

 

合図を出すと靈夢の前に妖夢が出てくる

 

「最高戦力として妖夢を入れておくわ、妖夢が博麗神社の守りの要よ」

 

「よろしくお願いします」

 

パチュリーの紹介に合わせ頭を下げる妖夢

 

「こ、こちらこそよろしくお願いします」

 

靈夢も慌てて返す

 

「それで人間の里だけど……」

 

妹紅へ顔を戻し続ける

 

「里は回りが平地なのもあって敵の数も多いと予想される、かなりの乱戦になると思うからここには戦力を多く入れたわ」

 

新たに控える一団へ指を向ける

 

「まず結界を張るさとりを筆頭に正邪、文、芳香よ、それに加えてさとりが旧都の妖怪の7割を里に、残り3割を博麗神社に回してくれる、文も天魔に掛け合って6・4で妖怪の山の戦力を出してくれるわ、更に永遠亭の永琳と鈴仙が参戦出来次第来る様にてゐが伝えてくれる手筈になってる、防壁に穴を空けた後は青娥も加わるわ」

 

「そして……」

 

パチュリーが言いかけると一団から一人出てきた

 

「私だよ」

 

萃香が妹紅へウインクする

 

「最高戦力として要は萃香に頼んだわ、萃香ならまず間違い無いでしょう」

 

「里は任せときな!」

 

軽く妹紅の胸を拳で突き、笑う

 

「任せた……萃香!」

 

妹紅も突き返すと萃香はニヤリと笑う

 

「おうさ!霧の名に恥じない戦働きしてやるよ!」

 

気を良くして酒を飲みながら戻っていった

 

「それと幽々子には妖怪ハンターや戦いに参加する妖怪達を指揮してもらうつもりよ、戦況に応じてどちらにも加勢出来る様にね」

 

 

 

 

「次にエスターク神殿への救出組は……」

 

一組を指差す

 

「チルノ、大妖精、美鈴と……本人の強い希望でにとりが行くわ」

 

「4人か……少数精鋭か?」

 

「そうよ、パレスに戦力が集められてるなら神殿は手薄の筈、少なくても大丈夫よ」

 

「もしエスタークが気付いたら?」

 

「その為にチルノと大妖精を入れているのよ、大きな妨害でも突破出来る二人をね、チルノと大妖精……特にチルノの力は惜しいけどエスタークからスキマと人質を奪う為にはここは確実にしておきたいの」

 

「なるほどね、美鈴とにとりも居れば心配無いか……わかった!」

 

妹紅は納得するとにとりに向く

 

「強い希望って?」

 

「私は神奈子に用があるんだよ、急ぎのね」

 

「用?何の?」

 

「あー……上手く言えないからやめとく、けど大事な事なんだ、幻想郷を救う為にね」

 

「そうか……わかった」

 

とりあえずは納得した妹紅はパチュリーを見る

 

「それじゃ残るパレスへは……」

 

「そうよ、残る私とフランと妹紅……貴方よ」

 

パチュリーは妹紅へ指差し微笑む

 

やってやりましょう……と

 

「よし!」

 

妹紅は意気を高めて自分を鼓舞する

 

ようやくあのエスタークを退治出来る、遺産を取り返せると 

 

「気を抜かないでね妹紅、戦力が幻想郷に向かうとは言え敵の本拠地、当然相当な数は居るでしょうし罠だってあるでしょうから」

 

「わかってる!」

 

それは承知の上だと返した

 

パチュリーの言う通り敵は居るだろうし罠だってあるだろう、戦力が幻想郷に集中するからこの人数でしか行けないのもわかる

 

そんな大事に自分を選んでくれたのは信頼してくれてるのだと感じたから意気を高める

 

力以上に妹紅なら安心出来ると言う信頼がパチュリーから感じれたから嬉しいのだ

 

「後、問題……と言うか妹紅次第な事が起きたわ」

 

「私次第?何が起きたんだ?」

 

「……本人から聞いて」

 

チョイチョイと手招きすると慧音が現れた

 

「妹紅!私も行かせてくれ!」

 

妹紅の前に立つや願う

 

「行かせてって……パレスにか!?」

 

「そうだ!」

 

一緒にパレスに行きたいと言う願いに妹紅は困る

 

「何言ってんだ慧音……危ないから皆と居ろって……」

 

何が起こるかわからない危険な場所へ着いてくると言うのが困る

 

「私もエスタークには手酷くやられたんだ!借りを返さずにいられるか!」

 

「気持ちはわかるけどさ……」

 

頬を掻きながら妹紅は返すがかなり困っていた

 

ただでさえ危ない場所に行くと言うのにバーンの力を得る前のエスタークにさえ勝てない慧音が行くと聞かないのが悩みの種

 

誰が見ても無謀な事をしようとしている慧音に困った

 

「……なら!」

 

慧音もそれがわからない訳ではない、だがどうしても一緒に行きたい

 

「ダイは私が守るから!頼む!」

 

だから条件を出した、一緒に行くであろうダイを守るから行かせてくれと

 

「……あれ?」

 

条件にダイを探すも見当たらない

 

(誰かの服の中に居るな……あいつ服の中に入るの好きだからな……)

 

ダイを探すのを諦めた妹紅は慧音を見つめる

 

「わかった……慧音にはダイを見ててもらう、ただし!絶対私の傍から離れるなよ!」

 

「……!!わかった!ありがとう妹紅!」

 

承諾に笑顔で抱きつく慧音

 

「……!!」

 

妹紅は気付いた、なんとなくだが気付いた

 

(そっか……慧音はエスタークなんてどうでもいい……私が心配だから慧音は……)

 

自分を友として心配だったから慧音は着いていくと言い張ったのだと感じ

 

(私が守るよ……慧音)

 

友を守ると誓う

 

 

「先生!私も行きます!」

 

「……好きになさい」

 

レティの頼みは承諾された

 

「おいおい……良いのかよ」

 

やったー!と喜ぶレティを他所に詰め寄る妹紅

 

「レティ1人くらいなら私が守れるわ、状況的に危険だったら戻らせるしね」

 

「……むきゅむきゅ総司令官殿がそう言うなら異論は無いけどさ」

 

「誰がむきゅむきゅよ」

 

これで全ての割り振りは済んだ

 

 

決まった後に夕食が出され皆は食事を行っていた

 

 

「ルーミアちゃんは来てないね」

 

「そうね、でも危ないからルーミアは来ない方が良いわ!」

 

「そうだねー、確かにルーミアじゃハッキリ言って明日の戦いに着いてこれそうもないもんね、だからこれで良いんだよ!」

 

大妖精とチルノとフランの談笑

 

「咲夜と美鈴は反対しなかったのか?あの二人レミリアを助けたいって言ってただろ?」

 

食べながら妹紅はパチュリーへ聞いた

 

「そこまで盲目では無いわあの二人はね、ちゃんと理解してるのよ、今は自分の我を通す時ではなく、協力する事がレミィを助ける事に繋がるってね」

 

「……誰かに聞かせてやりたいな」

 

「全くよ」

 

二人で苦笑いしながら慧音とレティを見た

 

「それにしても……少し不安ね」

 

「何が不安なんだ?」

 

「人間の里の戦力がね……おそらくあそこが地形やエスタークの憎悪的に考えて一番の激戦区になるでしょうから不安なのよ」

 

「……萃香じゃキツイのか?」

 

「萃香を抑えられる敵が二人以上来た時が怖いの、萃香が倒されるか抑えてる間にさとりがやられるのが怖い」

 

「……何か手は?」

 

「今は無い……せめて後1人萃香クラスの戦力が居れば……」

 

パチュリーの言葉に妹紅が返そうとした時だった

 

 

「居るわよここに……鬼以上の者がね」

 

 

部屋に声が響き皆は顔を向けた

 

「私が里の守りに行ってやると言ってるの」

 

雄々しく立つ者に

 

「幽香!!」

 

現れた幽香に喜びの声が上がる

 

「……それとも、私と萃香のコンビでは実力的に不服かしら?」

 

不敵に笑って見せる幽香

 

(バカ言っちゃって……幻想郷……最凶タッグよ……!!)

 

思わぬ加勢に微笑みながらパチュリーは目を閉じた

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「……」

 

少し離れた場所で萃香と幽香は酒を飲み交わしていた

 

「……」

 

「……」

 

何も言わず無言で二人は飲み交わす

 

言葉が無いのは互いに言う事が無いのか言わずともわかるのか

 

二人の空間だけなんとも言い難い雰囲気を作り出す

 

穏やかにも、不可侵な様にも感じれる独特な雰囲気を

 

「私もご一緒させて貰っても良いですか?」

 

そこにお茶を持った妖夢が入った

 

「……酒の味もわからんお子ちゃまはお呼びじゃないよ?」

 

「そうね……あっちでジュースでも飲んでなさい」

 

「もぅ!子ども扱いしないでください……」

 

二人の辛口にむくれる妖夢

 

だが妖夢が入った事により無骨だった空間が和らいだ

 

「まさかあんたが里を守るたぁねぇ……真っ先に殴り込む奴だろうに……歳を取ると奉仕の心に目覚めるのかい?」

 

「その台詞そっくり返すわ腐れ酒乱……貴方こそあんな楽しそうな獲物を前に引き下がるなんてらしくない……歳を取ったら節々が痛くて動けないのかしら?」

 

「やめてください二人共!」

 

貶し合う萃香と幽香、それを抑える妖夢

 

一見雰囲気は悪そうだがそうではない、3人共明日来る危機に想いは1つ

 

「……あんたがエスタークを譲る理由はあいつらだろ?」

 

「……まぁね、あれだけ怒りを向けている獲物を取るなんていくら私が殺したいからってそんな不粋な真似はしないわ」

 

「萃香さんも同じですよね?」

 

「……そうさ、これは私が出る問題じゃあないからね、あいつらの問題、勿体ないけどここはあいつらに華を持たせてやるさ」

 

「では明日の私達は露払いになりますね」

 

「そうなるわね、私達を前座に使うんだから負けるのは許さない」

 

「その時は私達が尻拭いさね」

 

3人は微笑みながら飲む

 

幻想郷を任された間柄か3人は言葉に出さずとも誓う

 

守ると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、食事を終えた後、明日の作戦が決まった面々は一旦帰った

 

明日の明朝前にまた集まると決めて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館・バルコニー

 

「……チッ」

 

小さく舌打ちしながら妹紅は幻想郷の空を佇むエスタークパレスを睨む

 

「妹紅……」

 

そこへ背後からパチュリーが並んだ

 

「やはりあのパレスが嫌?」

 

「……そうだよ、何故か……上手く言えないけど腹が立つ、バーンが汚された気がして……」

 

「わかるわ妹紅……」

 

パチュリーもエスタークパレスを睨む

 

「……貴方に謝らないといけない事があるの」

 

突然パチュリーが言った

 

「……何で?」

 

考えるも思い浮かばない妹紅が答えを問う

 

「私は貴方に酷い事を言ってしまった、貴方の気持ちも知らないでね……」

 

「……何の事だ?」

 

「貴方は不老不死に悩んでた……でしょ?」

 

「……」

 

妹紅はパチュリーの言いたい事がわかった

 

夢の事件の日にパチュリーとレミリアが言った事なのだと

 

「永遠を生きる貴方に私のあれは軽薄過ぎたわ……ごめんなさい」

 

妹紅を見て頭を下げる

 

パチュリーは気付いたのだ、己の心無い言葉が妹紅を酷く傷付けていたのだと

 

だから謝りに来た、今言っておかないともう言えない気がして

 

「いいさ……私が死なない化物なのは事実だしさ」

 

そう言うと顔を上げる様に促す

 

「私は……それでいい、人間でいられなくなった私は化物でいい……」

 

「化物だなんて言わないで……貴方は化物じゃない……」

 

「……化物さ、妖怪ですらいられない正真正銘の化物さ」

 

「違う!!」  

 

パチュリーが声を荒げて否定する

 

「貴方は……化物じゃない……」

 

うっすらと涙を浮かべて言った

 

 

「妹紅よ……私達の大事な友人の……」

 

 

決して化物じゃないと、目の前に居るのは妹紅なのだと、大事な友人の藤原妹紅なんだと言った

 

「……」

 

想いの籠る言葉を受けて妹紅は暫し沈黙し

 

「ありがとう……パチュリー」

 

笑った

 

「そう言ってくれるだけで救われるよ、それにさ」

 

夜空を見上げて妹紅は言う

 

「この先皆が居なくなっても私は大丈夫!バーンが一緒に居てくれる!」

 

今は見えないが太陽と共にバーンが居る

 

「だから……大丈夫だ!」

 

また元気に笑って見せる妹紅

 

「そう……よかった」

 

パチュリーも安心し笑う

 

 

「ところでさ、ダイ見なかったか?」

 

「……ダイを?」

 

不意に聞かれたパチュリーは一瞬訳がわからず止まる

 

「本気で言ってるの?グラマーな妹紅さん?」

 

試されているのかと思ったが本気だと思ったパチュリーが妹紅の胸を指差す

 

「グラマー?私がぁ?何言って……」

 

意味わからず指差された自分の胸を見る

 

「なんじゃこりゃあ!?」

 

慌てふためいた、何故か自分の胸が大きくなっていたから

 

「出てきなさい……ダイ」

 

パチュリーが告げると妹紅の服がひとりでに動き出す

 

「お!?おおっ!?」

 

驚いて動く服を見つめる妹紅

 

「ピィィィィィィ!!」

 

服から飛び出したダイが大きく鳴いた

 

「ずっと妹紅の服の中に居たのよダイは?知ってるとばかり思ってたけど」

 

「だから皆私を見て笑ってたのか……クソッ!ダイ!コノヤロー!」

 

「ピィィ!?」

 

ダイを捕まえて攻撃する妹紅に微笑むパチュリー

 

「さっ……明日は早いわ、もう寝ましょう」

 

「わかった……パチュリー!」

 

図書館へ戻るパチュリーを妹紅は呼び止めた

 

「絶対勝つぞ!!」

 

「ピィ!!」

 

振り向くと妹紅とダイが凛々しく見ていた

 

「当然よ……勝つのは前提、私は最初から如何に被害を減らすかしか考えてなかったわ」

 

そう返すと

 

「じゃあ……お休み妹紅、ダイ」

 

図書館へ戻っていった

 

「私達も寝るか!」

 

「ピィ!」

 

二人も部屋へ戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日私は夢を見た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

夜中に目覚めた妹紅は顔を横に向ける

 

「……ダイ」

 

眠っているダイをそっと手繰りよせ額を合わせる

 

「お前……こんな酷い目に会ってきたんだな……」

 

苦い表情のまま呟いた

 

 

妹紅は夢を見た

 

 

ダイの今までの記憶の夢を

 

 

人間に捕まえられ、希少生物だと売り払われ、ペットにされ

 

またある時は魔物に襲われ傷付いて逃げる

 

それでも諦めず探した

 

何も無い荒野、灼熱の砂漠、広く深い海、毒の沼、村の中、町の中、城の中

 

 

そして闇の中……

 

 

ずっとずっと探していた

 

会いたい者が居たから

 

宛も無く……でも会いたいからずっと……ずっと……

 

 

100年近くも……

 

 

「お前に比べたら私は幸せな方かもしれないな……」

 

ダイの境遇に同情し、唇を噛む

 

それだけの地獄を見ていたと感じたから

 

今ダイが自分達と笑い合えるのが奇跡だと思うくらい

 

 

 

「お前は私の友達だダイ……」

 

寝ているダイに聞こえずとも誓う

 

「絶対に守ってやるからな……それと……」

 

一層強く抱き締めて約束する

 

「全部終わったら……一緒に探しに行こうな……」

 

それだけ言うと妹紅は眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

様々な想いが交差し幻想の世を美しく残酷に奏で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決戦の時、来る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




集結の章、これにて終わりです。

こんなに長くなるとは予想外です、計画性の無さがよく出ています、レティが唐突に活躍とか……まぁいいや、行き当たりばったり万歳!

ゆうかりんの登場はバランを意識しました、傘でギガブレイクさせたいけど流石にそれはさせませんww

どう考えても慧音とレティ連れていくのは馬鹿過ぎるだろ!と思うでしょうが何もかも完璧に出来る者は幻想郷に居ないのです、何かしら不完全な部分もあるから良いのです。
何もかも完璧な、機械みたいなのは楽しくないでしょうしね、刺激があるから人生は楽しい、って事で何卒ご容赦を……

次回も頑張ります!
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