東方大魔王伝 -夢現幻想-   作:黒太陽

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第二十八話 約束

エスターク神殿・闘技の間

 

ドズッ!

 

ドドッ!

 

ドッ……ゴッ!

 

ガッ……バキィ!

 

 

「グハッ!?」

 

 

殴り飛ばされ床を擦る美鈴

 

「温い……」

 

残心を決めた拳を引きながら豪鬼は告げる

 

「うぬを見誤ったか……」

 

期待外れだったと

 

「クッ……!」

 

痛む体をゆっくり起き上げ、立ち上がる

 

「フゥー…………ハァ!」

 

右手に気を込める

 

「メイリンフィンガー!」

 

飛び込み手を伸ばす

 

「……笑止!」

 

迫る美鈴を前に豪鬼は持つ力を最大に高めた

 

「ヌンッ!」

 

ガシッ

 

手を受け止める

 

「!?」

 

驚く美鈴を前に豪鬼は動いた

 

「滅殺!」

 

屈み、力を溜めた腕を振り上げる

 

ガガッ

 

回転しながらアッパーを繰り出す

 

「ヌゥリャア!」

 

ガッガッ……ガンッ!

 

更に回転し、地を蹴り上げ渾身のアッパーで美鈴ごと打ち上げる

 

「天魔……豪斬空!」

 

空中のゼロ距離で美鈴に手をかざし特大の波動弾を撃ち込む

 

「ガァ……ク……ソォ……」

 

波動ごと叩きつけられた美鈴は苦しく豪鬼に視線を向ける

 

「ヌン!」

 

着地した豪鬼は既に撃っていた

 

先に撃った波動弾と同様の弾を

 

ドウッ!

 

まともに受けた美鈴は弧を描き倒れた

 

「……まだ立つか」

 

構えを解いた豪鬼が呟く

 

「ま、負けられません……ので……」

 

美鈴は存分に痛め付けられた体に力を入れ、立ち上がって見せた

 

「うぬの気概……見事!」

 

スゥゥゥ……

 

音も無く、瞬時に美鈴へ詰め寄る

 

「!?」

 

美鈴が気付いて反撃しようとした時にはもう遅かった

 

ガシッ……

 

胸を掴み

 

 

「一瞬千撃」

 

 

豪鬼が告げると

 

 

視界が暗転した

 

 

 

 

 

 

「我こそ、拳を極めし者!!」

 

 

暗転が終わった後の光景

 

 

向けた背に神の文字を浮かばせ佇む豪鬼と

 

「……」

 

倒れ、沈黙する美鈴の姿だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社・周辺の岩場

 

ザンッ

 

「ッ!?ハアッ!」

 

ギンッ

 

「甘ぁい!」

 

スパッ

 

「クッ……ウゥゥ!!」

 

ギンッギギンッ

 

「ハッ!」

 

ザンッ

 

「アグウッ!?」

 

堪らず飛び退く妖夢

 

「どうやら私の方が本物の剣士の様だ」

 

無傷のゴーガンダンテスが告げる

 

「くぅ……」

 

妖夢は返せない

 

二人の戦いは一方的だった

 

攻撃を全て障壁に防がれる妖夢に比べゴーガンダンテスは剣で防御する必要が無い分圧倒的に有利だった

 

徐々に増えていく傷が二人の剣士としての差を表し、妖夢を黙らせていた

 

「諦めてはどうです?私と貴方では剣士の格が違い過ぎたのです」

 

「黙れ!」

 

楼観剣を納刀し、残る白楼剣を持つ力を更に強くさせ、妖夢は構える

 

「貴方には負けられないんです!」

 

半身に構え左足を出し、白楼剣を逆手に刃を下に取る

 

「やれやれ……強情なお嬢さんだ……」

 

その構えの意味する事を察したゴーガンダンテスが歩み寄り剣を上段に構え、降り下ろした

 

 

「空観剣「六根清浄斬」!!」

 

 

剣を受け流した妖夢の必殺の剣が胴へ向かう

 

切れる、間違いなく、ゴーガンダンテスを鎧ごと

 

 

ギンッ……

 

 

障壁さえ無ければ

 

 

「終わりです……妖夢!!」

 

居合いの構えを取っていたゴーガンダンテスの剣

 

「幻魔剣!!」

 

力を込められ、赤いオーラを出す剣で抜き胴を放った

 

「……!!」

 

咄嗟に白楼剣で受ける

 

 

パキィン……

 

 

白楼剣が折れた

 

ザンッ

 

僅かに逸らされた剣が脇腹を切った

 

「……アアアッ!!」

 

白楼剣を捨て楼観剣を抜き、切りかかる

 

「しつこい!」

 

幻魔剣で剣を狙う

 

キンッ……

 

剣はぶつかり、唾競り合った

 

(折れない……この剣は特別なのか?)

 

先の白楼剣と違い折れない楼観剣

 

(ならば!)

 

剣を持つ力を緩める

 

「!?」

 

押し合っていた均衡を崩された妖夢の剣がゴーガンダンテスへ向かう

 

ギンッ

 

妖夢の剣は障壁に阻まれた

 

「楽しかったです……妖夢」

 

剣が肩を穿つ

 

ドンッ!

 

刺突と共に走った衝撃に妖夢は吹き飛ばされ岩場に叩きつけられる

 

「……」

 

妖夢は動かなかった

 

「……本物の剣士は私です」

 

ゴーガンダンテスが勝利の宣言をするも

 

「……」

 

妖夢は動かなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間の里・周辺の森

 

「ハアッ!」

 

バキィ!

 

「ウラァ!」

 

バキィ!

 

「ハアアアッ!」

 

「ブルアアッ!」

 

激しい打ち合い

 

「……!!」

 

幽香が傘で殴る

 

「……ラァ!!」

 

バルバトスが斧で打つ

 

一進一退の攻撃の応酬

 

幽香が殴ればバルバトスも殴る

 

互いに一歩も退かずただ相手を上回らんと攻撃し続けていた

 

「ツアッ!」

 

髪を掴んだ幽香の膝蹴りが炸裂する

 

「ドリィィア!」

 

顔を掴んだバルバトスが地に叩き付ける

 

「「オオアアアッッ!!」」

 

互いの戦いを好む本能がぶつかる

 

鮮血を散らし、骨が軋もうと体が痛かろうと止まらない狂戦士の本能

 

奇しくも二人は似た者同士、いや、同類だった

 

「ハァ……ハァ……」

 

「ゼェ……ゼェ……」

 

だが勝者は一人

 

この戦いに引き分けなど言う生易しい結果は存在しない

 

己の全てを懸けて相手を打ち倒すだけ

 

 

「ますます気に入ったぞ風見幽香!」

 

痣だらけのバルバトスが言う

 

「さっさとくたばりなさい……」

 

口の血を拭いながら幽香

 

楽しそうなバルバトスに比べ幽香に余裕は無かった

 

ただ目前の相手を倒すだけのバルバトスとは違い幽香には守るべき里があった

 

だから抑えられているこの状況が、こんな奴に抑えられている事実が腹立たしかった

 

「そろそろ勝たせて貰うぞ!」

 

バルバトスが宣言したと同時

 

「ブルアアアアアアアアッ!!」

 

咆哮したバルバトスが駆け、斧を降り下ろす

 

「そんな見え見えの攻撃……」

 

避けて背後に回る

 

ガッ

 

「俺の背後に……」

 

本能の手が顔を掴んでいた

 

「立つんじゃねぇ!!」

 

叩きつけ

 

「いつまで寝てんだ!!」

 

踏みつけ

 

「灼熱のバーンストライク!」

 

「殺戮のイービルスフィア!」

 

「断罪のエクセキューション!」

 

存分に痛め

 

「ルアア……!?」

 

打ち上げる刹那

 

「ハアアアッ!!」

 

幽香の反撃

 

「ツアアアアッ……!!」

 

殴り続ける幽香の拳

 

ガッ

 

バルバトスが受け止め

 

「グフッ……終わり……だ!微塵に砕けろ!」

 

打ち上げ、斧を構えた

 

 

「ジェノサイドブレイバー!!」

 

 

斧から波状の凄まじいエネルギーが撃たれ幽香を飲み込んだ

 

 

ドサッ……

 

 

落ちた幽香、倒れたまま動かない

 

「手加減はしてある、今日の俺は紳士的だ……運が良かったな」

 

遠くに落ちた幽香にゆっくりと歩いていく

 

連れ帰る為に

 

「……」

 

動かない幽香を自分の物にする為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスターク神殿・王の間

 

パチッ……バチッ!

 

「……ハッ!?」

 

ワルぼうは正気を取り戻した

 

「正気に戻ったみたいだね」

 

「誰だ!」

 

声だけ聞こえて辺りを見回すワルぼう

 

「ああ悪い、ほらこれで見えるだろ?」

 

ステルスを解いたにとり

 

「お前はエスタークに洗脳させられてたんだよ、私が解いたからもう安心だよ」

 

「洗脳……?あっ!カメハは!?」

 

思い出したワルぼうににとりは指を差す

 

「あそこさ」

 

「カメハ!?」

 

目の前に広がる光景が信じられずワルぼうは顔を歪める

 

「あれは邪配合じゃないか……何があったんだよカメハ……」

 

悪友の変わり様に心を痛めた

 

「1つ聞かせな精霊、あのクソガキは死人?」

 

「そんな訳ないだろ!カメハもオレも生きてるよ!」

 

「ならあのクソガキは騙されてるんだね?」

 

「そうだよ!エスタークって奴がマルタに来て仲間に誘ったんだ!反対しようとしたオレを洗脳して喋れなくしたんだ!」

 

「やっぱり……!?」

 

知りたい事を確認したにとりの耳に轟音が響いた

 

 

「ギャハハハハ!!」

 

デスタムーアがロビンを持ち上げて落としていた

 

「弱い……弱いぞぉ!」

 

鉄槌を何度も食らわせる

 

「ギ……ギッ!」

 

レーザーが右手を貫きサーベルが両断し右手を倒す

 

「やるではないかキラーマシン!だがぁ!!」

 

左手が呪文を唱えると右手が復活した

 

「ザオリクだ!残念だったなぁ!」

 

復活した右手で殴る

 

「カアッ!」

 

本体が灼熱の炎を吐きロビンを焼く

 

「ギギッ!」

 

炎を突破したロビンにデスタムーアは呪文を唱えていた

 

「ビッグバン!」

 

イオナズン以上の大爆発がロビンを飲み込み、吹き飛ばした

 

「ギャハハハハ!」

 

「お、おいデスタムーア!やり過ぎだ!」

 

笑うデスタムーアにカメハが止める様に言うが

 

「五月蝿いぞガキ!楽しんでるんだ!邪魔をするな!」

 

命令は聞かなかった

 

「どうしたどうした!終わりかぁ?」

 

倒れるロビンを両手で殴り、打ち付ける

 

金属片が飛散し、ボディがへこみ、亀裂が入る

 

「やめろデスタムーア!」

 

カメハが再度言うも

 

「ギャーハッハッハァ!!」

 

デスタムーアは止まらない

 

 

「ダメだ……カメハの力を越えてる、扱いきれてない……」

 

絶望に悲しくしているワルぼう

 

「……約束してくれる?あのクソガキをもう二度と誤った道に進ませないって」

 

にとりは聞いた

 

「出来るならそうする!でももう遅いんだ!」

 

「……約束する?」

 

「なんなんだよお前……したらあの化物をどうにかしてくれるのかよ!?」

 

「出来るよ……ロビンと私なら」

 

「……わかったよ!約束するよ!」

 

「よし、ヤバい相手だけどロビンが生きてさえいれば勝機は……」

 

そこにカメハの声が入った

 

「何してる河童!ワルぼうから離れろ!」

 

ステルスを解いたにとりを見つけたカメハが叫んだと同時

 

 

ゴシャ……!!

 

 

デスタムーアの右手がロビンの胴を打ち裂き

 

 

「ロビン!?」

 

 

ロビンの動きが止まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスタークパレス・王室

 

「み……皆……」

 

映像に映る光景

 

「ま、まさか……やられてしまったのか!?」

 

慧音も驚いている

 

「風見幽香、魂魄妖夢、伊吹萃香……」

 

3つの映像

 

「紅美鈴、河城にとり……」

 

更に2つ

 

「倒しました」

 

倒れる4人と1体の姿

 

「少し出掛けていたので何があったかは知りませんが4人とキラーマシンは片付いた……」

 

妹紅の表情を楽しみながらエスタークは続ける

 

「もう少し苦戦すると思ったのですが……造作無かったですね」

 

「……!」

 

簡単に言い放つエスタークに妹紅の怒りが溜まる

 

 

「更に……」

 

新たな映像を映す

 

「博麗神社」

 

「ここには相応しい者を向かわせました、先代の博麗の巫女……以前地獄を漁った時に見つけ、温存していた戦力です」

 

博麗神社で対峙する3人の内、師を差す

 

「中々強い力を持っていましてね、鬼眼の力で能力の低下を無くし、洗脳して向かわせました……博麗の巫女が博麗神社を攻撃する……面白いでしょう?」

 

「まぁ今はこの妙な紅白に邪魔されていますが……魔物もまだまだ居ますし時間の問題でしょう」

 

妹紅に顔を戻す

 

「……どうしました?」

 

妹紅はエスタークの言う妙な紅白を静かにずっと見つめていた

 

「あれは……霊夢!!」

 

慧音が叫んだ

 

「……霊夢?まさかあれが歴代最強の?」

 

名を聞いたエスタークは映像を睨む

 

「……獄の管理者の仕業ですか、小癪な真似を……」

 

二人の嬉しそうな顔が面白くないエスタークは里の映像を切り次を映す

 

「人間の里も危う……」

 

里の様子を映したエスタークの言葉が止まった

 

「……誰ですこれは?」

 

魔物を蹂躙する少女に顔をしかめる

 

「魔理……沙……?」

 

真っ先に気付き妹紅は言った

 

「魔理沙!!」

 

嬉しくて

 

何故死んだ魔理沙が居るのか?何故若返ってるのか?

 

思うところは沢山あるが何よりまず嬉しかった

 

(魔理沙……するとあれが死んだ頂点?)

 

その力を見ながら更に顔は歪む

 

(……殺しておくべきでしたね)

 

地獄の管理者に何もしなかった事を少しだけ後悔した

 

「頂点と歴代最強が甦ったのは正直予想外……ですが」

 

先程と変わって希望に満ちた顔の妹紅に不機嫌に顔を向ける

 

「多少形勢を返したに過ぎません、幻想郷は滅ぶ、依然変わりなく……」

 

現れた救援は確かに厄介だがまだ数いる魔物に3人を倒したバルバトスとゴーガンダンテスにミストが居る、手負いなので厳しいだろうが豪鬼とカメハも向かわせれば大丈夫だろう

 

そう考えて救援も無駄だと告げる

 

「……」

 

妹紅は映像を見ていた、5つの倒れた仲間の映像を

 

魔理沙と霊夢を見て落ち着いた妹紅は倒れる仲間を良く見ていた

 

「……倒したって?誰を?」

 

口元がつり上がる

 

「……見てわかりませんか?」

 

意味深な問いに無表情のエスターク

 

「良く見てみろよ」

 

促され映像を注視する

 

「……!」

 

動いた

 

倒したと思っていた者達が僅かに、力を振り絞り、ゆっくりと

 

「なに……」

 

立ち上がった

 

「あいつらが負けるわけない……お前が一番知ってるんじゃないのか!」

 

「……!?」

 

指摘に苦虫を噛んだ如く曇るエスタークに妹紅は言った

 

「言った筈だぞエスターク!」

 

信頼を込めて

 

「皆は……幻想郷は……!」

 

強く

 

 

「負けない!!」

 

 

言い放った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスターク神殿・闘技の間

 

「惜しかった……幻想の武道家よ」

 

倒れる美鈴を見下ろしながら豪鬼

 

「うぬの拳に殺意さえあれば更に良き死合いになったものを……」

 

踵を返し間の出口へ向かう

 

(真の力……我が勘も鈍ったか……)

 

少しばかり無念を感じ間の扉へと手を掛ける

 

 

ピクッ

 

 

「……!」

 

背後から気配を感じた

 

「……紅美鈴」

 

振り向いた視界には立ち上がる美鈴の姿があった

 

「何故立つ、勝てぬのに何故お前は立ち……」

 

豪鬼は美鈴の瞳に感じる

 

「闘志を燃やす……」

 

戦う意志を

 

「負けられないん……ですよ……」

 

フラフラと体が芯をしっかり捉えられない、ダメージを食らい過ぎている

 

「約束……ですから……」

 

大きかった揺れは徐々に小さくなっていく

 

「……意志ではなくか?」

 

「そうです……私が勝手にした約束ですけどね……」

 

揺れの収まりと同時に体に力が湧いてくる

 

「格闘戦じゃ……絶対に負けないって!」

 

芯を捉えた体は揺れを収めた

 

 

「バーンさんに!!」

 

 

凛とした構えはダメージなど感じさせず、寧ろダメージを食らう前より強く見えた

 

約束

 

勝手に決めたバーンとの約束

 

 

「流派東方不敗の不敗は!武の道において不敗の契り!」

 

 

「加えて!西方!南方!北方!いずれにおいて不敗!マスター美鈴改め……「東西南北中央不敗!スーパー美鈴!!」」

 

 

「そして……!!」

 

 

気を高める

 

「私の力はアレが全力……お前が私に感じた真の力は……この技!!」

 

高まりは気を可視化させ、尚も止まらない

 

 

 

~我が心、明鏡止水、されどこの拳は烈火の如く~

 

 

 

邪念を捨て怒りも殺意も飲み込みながらも拳に力を込める

 

全ては勝つ為に!絶対に負けない為に!

 

 

 

 

「ハアアアアアアアアアッ!!」

 

 

 

高まり続けた気が美鈴の体を黄金に染め、黄金の気を溢れさせる

 

「……!!」

 

その力に豪鬼は打ち震える

 

 

「受けて立つ紅美鈴!我が拳に敵う業無し!!」

 

 

構えた豪鬼も殺意の波動を極限まで高める

 

美鈴を殺す為に

 

 

気が最高潮に高まり、互いが睨み合う

 

 

「行くぞぉ!!」

 

 

美鈴が技に入った

 

 

「天地魔闘の名の元に!!」

 

 

気が体に凝縮されていく

 

 

「流派!東方不敗が最終奥義……!!」

 

 

全ての気と力を体に集め、凝縮し

 

 

スッ……

 

 

その託された技を構えた

 

 

「覚悟はよいか!!」

 

 

同時に豪鬼が動いた

 

目もくれぬ速さで瞬時に美鈴の頭上に移動し

 

 

「ヌゥリャアアアアッ!!」

 

 

振り落とす

 

 

 

 

当たれば確実に死に至る慈悲無き殺意の手刀が振り落とされる

 

 

「……」

 

その拳を見ても美鈴は些かも動揺しなかった

 

己が技を信じた構えは一切の揺らぎ無く

 

ただ迎え撃つ!!

 

 

 

      「構符「天地魔闘」!!」

 

 

 

勝手に決めた約束を果たす為に!!

 

 

 

           天

 

 

 

      「気符「地龍天龍脚」!!」

 

 

 

剛脚が手刀を止め、勢いを止めた豪鬼を瞬く間に脚と共に目の前に落とす

 

 

 

           地

 

 

 

      「星気「星脈地転弾」!!」

 

 

 

溜め込んでいた気弾を重なる刹那に放ち、爆発させる

 

 

 

     「ハアアアアアアアアアッ!!」

 

 

 

爆煙で姿が見えない、だが美鈴には見えていた!!

 

残る力を全て込めた拳を打つ為に地を割る剛脚で踏み込み爆煙へ突っ込む

 

 

 

           魔

 

 

 

      「華符「彩光蓮華掌」!!」

 

 

 

神速の動きが風圧を起こし爆煙を吹き飛ばす

 

 

 

「ガ……ハアッ!!?」

 

 

 

そこに映るは胴に掌底を打ち込まれ血を吐き崩れる豪鬼と

 

 

 

           闘

 

 

 

    「これが私の……天地……魔闘!!」

 

 

 

打った手を引き残心を決める美鈴の姿だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社・周辺の岩場

 

(負けた……)

 

頭を垂れる妖夢

 

生きてはいた

 

(私の剣では……勝てなかった……)

 

だが敗北に立ち上がれない

 

(幽々子様怒るだろうなぁ……)

 

完全に心を切られていた

 

剣士としての誇りを真っ二つに

 

「苦しそうですね妖夢」

 

死んでいない事を知るゴーガンダンテスが話し掛ける

 

「そのまま死を迎えるのは辛い事……」

 

1歩、1歩とゆっくり歩いてくる

 

「剣士同士の戦いの礼儀……」

 

剣を持つ手を強めて

 

「介錯して差し上げましょう」

 

ゴーガンダンテスは妖夢にトドメを刺すつもりだった

 

だがトドメを刺すと言っても邪な気持ちからではない

 

戦った妖夢に対する礼儀としてトドメを刺すのだ

 

(終わりですね……)

 

確実に与えられる死

 

その死を前に妖夢が思ったのは

 

(ごめんなさい……)

 

懺悔だった

 

(ごめんなさい皆さん……お役に立てませんでした……)

 

(ごめんなさい幽々子様……負けてしまいました……)

 

敗北の懺悔を皆にする

 

「……」

 

手に持つ楼観剣を見る

 

(ごめんなさいバーンさん……約束……守れそうにありません……)

 

果たせぬ約束を思い懺悔する

 

「首を切ります……さらばだ……!」

 

ゴーガンダンテスが剣を構える

 

(……こんなに良い剣に打って貰ったのに……)

 

懺悔はもう一人居た

 

(ごめんなさい……ロ……)

 

懺悔する者の名を出そうとした時だった

 

 

 

「何をしていやがる!立て妖夢!」

 

 

 

妖夢に掛けられる声があった

 

「何者だ!」

 

ゴーガンダンテスが声の主を確認するも知らなかった

 

それは魔族の男だった

 

「……!!あ、貴方は……」

 

顔を上げた妖夢が見たのは

 

 

「ロン・ベルクさん……!!」

 

 

岩場の上に居たのは魔界の名工

 

ロン・ベルク

 

「なんで貴方がここに……」

 

妖夢が信じられず問う

 

何十年も前に試合、親交を深めた魔族の男性

 

それが今、幻想郷に居て、自分を鼓舞していたのだから

 

「そんな事は今はどうでもいい……」

 

ロンはイラつきを見せていた

 

「さっさと立て!俺が打った剣で負けるなんざ承知せんぞ!立て妖夢!」

 

「ロン……ベルクさん……」

 

激を飛ばすロンの言葉に僅かだが体に力が入る

 

「……五月蝿いですよ貴方、彼女は負けたのです、後は習わしにより首を落とすだけ、余計な茶々を入れるな」

 

ゴーガンダンテスが不機嫌にロンに言い放つ

 

「黙ってろ」

 

威圧にゴーガンダンテスは面白そうにロンの携える2本の剣を見る

 

「……その剣、貴方も剣士なら剣で黙らせてはいかがです?」

 

「……俺が遊んでやっても良いが生憎と俺は剣士じゃなく武器職人なんでな」 

 

「武器職人……?なるほど、妖夢のその剣は貴方が打った剣……だから折れなかったのか」

 

「そうだ、楼観剣は俺が妖夢の為に鍛えた妖夢だけの心剣一体の剣、妖夢の意思が折れない限りその剣が折れる事は決して無い!」

 

妖夢の持つ一刀、楼観剣はロンにより鍛え直されていた

 

その昔に試合、親交を深めた礼として

 

素の強度や切れ味は勿論の事だが鍛冶の師として弟子と共に腕を上げていたロンの技術でより妖夢と剣を繋げられ特別な剣に生まれ変わっていた

 

 

「そんな事よりもだ……」

 

どうでもいいロンは怒鳴る

 

「いつまで寝てやがる!」

 

妖夢に

 

「お前は誓ったんじゃなかったのか!」

 

「……!」

 

「破ると……それが約束なんだと!俺にそう言った筈だぞ!」

 

「……!!」

 

想いを知るが故に怒鳴らずにはいられない

 

 

「バーンの天地魔闘を破ると!!」

 

 

戦慄すら覚えた技を破る想いを

 

 

「立て妖夢!そんな雑魚に負けていてどうして天地魔闘を破る事が出来る!」

 

 

「剣が泣いているのがわからんのか……剣も立てと言っている!」

 

 

「さっさと立て……!俺を……失望させるなッ!!」

 

 

鼓舞の様な、激の様な、罵声の様な

 

その中には確かにあった

 

友を信じる絆が

 

 

「……わかり……ました……!!」

 

 

グッ……グググッ……

 

 

立ち上がった、瀕死の体に約束を果たす気力を与えられ

 

妖夢は立って見せた

 

「よし……」

 

立った妖夢に微笑むロン

 

「見事!……ですが立ったところで勝敗は何も変わらない!」

 

立ち上がったのは驚きだが攻撃の通じない妖夢に勝機は無い、だからゴーガンダンテスは告げた

 

 

「黙れ!!」

 

 

「!?」

 

 

「そして聞け!!」

 

 

剣を強く握る

 

 

 

      ~Ancient Temple~

 

 

 

「妖怪と魔族が鍛えたこの楼観剣に……」

 

 

信じる絆と負けれぬ想いを言葉に乗せ

 

 

「斬れぬものなど無い!!」

 

 

剣を突きつけた

 

 

「我が名は妖夢……魂魄妖夢!!」

 

 

ゴーガンダンテスは飛び退いた

 

 

「約束を果たす剣!!」

 

 

妖夢から異常な妖力と集中力を感じたから

 

「フゥー……」

 

精神を統一し、更に、更に、集中する

 

楼観剣に力が集まっていく

 

体に持つ力を剣に込めていく

 

「こんな奥の手を!面白い!受けて立つ!」

 

ゴーガンダンテスも力を剣と障壁に集める

 

「見せてやれ妖夢……」

 

二人の対峙を見つめるロン

 

「天地を穿ち、魔を討つ……お前の必殺剣を!!」

 

 

妖夢は構えた

 

八相の構えから剣を真横に倒し足を開く

 

 

「この切っ先に、一擲を成して乾坤を賭せん……!!」

 

 

全てが楼観剣に集まる

 

 

     「届け!雲曜の速さまで!!」

 

 

妖夢は消えた

 

 

        「幻魔王剣!!」

 

 

神速を察知したゴーガンダンテスが己の必殺剣と絶対防御で迎え撃つ

 

 

 

      奥秘・西行春風斬……

 

 

 

剣が重なる

 

 

 

         魔倒!!

 

 

 

 

僅か一瞬、刹那の交差

 

 

 

 

スッ……

 

 

 

 

抵抗無く通り過ぎる刃音

 

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 

背を向け合う二人

 

先に声を出したのは……

 

 

「これぞ……天地魔を断つ一刀なり……成敗!!」

 

 

妖夢だった

 

同時にゴーガンダンテスが崩れ、倒れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスターク神殿・王の間

 

「ギャハハハハ!!死んだ!死んだぞぉ!!」

 

高笑いをするデスタムーア

 

「バラバラにしてやる!」

 

既に動かないロビンを更に殴る

 

「やめろデスタムーア!」

 

「ガキの言う事なんぞ聞けるか!そぉらぁ!」

 

カメハの制止も聞かず攻撃を与え続ける

 

「クソッ……クソォ……!」

 

こんなつもりじゃなかった

 

カメハはただにとりに勝ちたかっただけだったのだ

 

こんな非道は望んでいない

 

「なんで……こうなるんだよぉ!!」

 

無力に叫ぶも何も変わらなかった

 

「……クソガキ」

 

そこへにとりとワルぼうが話し掛けた

 

「なんだ河童!」

 

「あいつを倒すけど構わないだろ?」

 

にとりが告げたのはデスタムーアの打倒

 

「どうやってだよ!お前のキラーマシンはやられたんだぞ!」

 

無理だと知るカメハが食いかかる

 

「構わないだろ?」

 

にとりの凄みに気圧されたカメハ

 

「……やれるもんならやってみろ!」

 

なげやりに承諾した

 

「よし……ならついでにこの河城にとりが特別に教えてやろう」

 

カメハに背を向けたにとりはロビンに歩いていく

 

「河城にとりだって!?」

 

ワルぼうが驚愕し目を見開いた

 

「知ってるのかワルぼう!?俺も聞いた事あったけど……」

 

カメハの促しにワルぼうはにとりの背を見ながら呟き始めた

 

「……河城にとりは伝説のモンスターマスター、星降りの大会の優勝者だよ」

 

「嘘だろ!?あの河童が星降りの大会の!?」

 

星降りの大会

 

異世界のある時期に行われるモンスターマスターの大会

 

優勝者には願いを叶えると言う賞品があるモンスターマスターの最大の大会

 

「タイジュの代表で飛び入り出場した河城にとりは圧倒的な力を持つキラーマシンで優勝したんだ」

 

「……それがなんで伝説なんだよ?」

 

「強過ぎたんだよ……誰も河城にとりのキラーマシンに勝てなかった、大会の最短優勝記録を残してるくらいなんだよ」

 

「……ホントかよ」

 

「伝説になったのはそれだけじゃない、優勝した後、賞品の願いを叶える神の竜と会った後に河城にとりは突然姿を消したんだ、何の願いを叶えたかもわからずに……」

 

「そんな凄い奴に勝とうとしてたのかオレ……」

 

唖然とするカメハを前ににとりはロビンへ辿り着いた

 

「派手にやられたねロビン」

 

「なんだお前は!このキラーマシンのマスターか?」

 

デスタムーアの問いを無視しロビンを見つめる

 

「ギ……ギギッ……」

 

顔の赤い目を弱々しく発光させロビンが応えた

 

「邪魔するならお前も殺すぞ!」

 

デスタムーアの威圧

 

「……フンッ」

 

横目でデスタムーアを見たにとりは鼻を鳴らし

 

「ロビン……」

 

秘密の奥の手を発動した

 

 

「合体だ!!」

 

 

「ギギッ!!」

 

 

呼応したロビンが頭から光の線をにとりに当てる

 

光に包まれたにとりが強く発光すると

 

「……勝てる!!」

 

にとりはロビンの中に居た

 

同時にロビンが力強く動きデスタムーアを両手ごと押し飛ばした

 

「な、なんだお前は!?」

 

驚くデスタムーアに立ち上がったロビンからにとりは言った

 

 

「これが私達の本気!絆合体!」

 

 

腕を組みながらデスタムーアを睨んだ

 

「これは私が開発したロビンの内部機構!」

 

嬉々として説明が始まる

 

「自分の肉体は一切傷つかずに思い通り動かせてなおかつ一方的に敵をいたぶれる能力だ!」

 

(最低の発想だ……)

 

カメハはその説明に戦慄した

 

本来はマスター本人が狙われた際の危険を考慮しマスター本人を守り、尚且つそれに共鳴機構を備え付けロビンの力を上げる本気モードなのだがデスタムーアをビビらそうと曲解した説明にカメハは誤解したのだ

 

「グギギ……舐めるなよキラーマシン風情が!」

 

デスタムーアが両手に魔力を溜める

 

「ん~?ジゴスパークか」

 

解析したにとりにカメハが叫んだ

 

「危ない!そのキラーマシンは装甲が割れてパーツが出てる!壊れるぞ!」

 

内部の機械に感電しショートすると言った

 

「そうだねぇ……パチュリーと機能テストした時も大変だったよ、ジゴスパーク食らったロビンが動かなくなってさ……」

 

だがにとりは何もしなかった

 

「ジゴ……スパーク!!」

 

地獄の雷がロビンを襲う

 

ズオッ!

 

「グギアアッ!?」

 

レーザーが左手を消し飛ばした

 

「でも今は……この通り!」

 

ミス!ロビンにダメージが与えられない

 

ロビンには効かなかった

 

「あの時の結果は課題として残った、だから内部のパーツは全て絶縁処理をしてる!」

 

自慢気に叫ぶ

 

「改良したのか……」

 

カメハの呟きににとりは微笑む

 

「そう、改良……改良とは前回の課題を全てクリアして初めて改良と言うのさ!!」

 

ザウッ!

 

「ウギィィ!?」

 

ロビンのサーベルが左手を復活させようとした右手を切る

 

「復活などさせるものか!」

 

合体したロビンがデスタムーアを追い詰めていく

 

「……クソガキ」

 

攻撃の最中にとりが話し出す

 

「モンスターマスターってのは魔物との絆が一番大事なんだ」

 

右手に魔力の弾幕を放つ

 

「心を通わせた魔物と一緒にマスターは強くなる、その道は長く険しいけどそれが当たり前……邪配合なんて楽で簡単な道を頼った時点であんたは既にマスターじゃ無くなってたんだよ……」

 

「……」

 

思う所があるカメハはうつむき拳を握り締める

 

「ほら……あんたの後ろを見てみなよ」

 

促されたカメハが振り向くとそこには3体の魔物が心配そうにカメハを見ていた

 

「お前等……」

 

3体の魔物はカメハが最初に連れていたメタルキング、キングレオ、ゴールデンゴーレムだった

 

「あんたが私に勝てないからって捨てられたのにそれでもそいつらはあんたを心配してる……この意味わかる?」

 

「……うん」

 

「弱くたっていいんだよ!一緒に強くなったらいい!信頼した仲間と一緒に!それがモンスターマスターの本質なんだ!」

 

「……うん!」

 

 

ズガァ!

 

 

「私だって苦労したんだ……ね?ロビン……」

 

「ギッ!!」

 

 

相棒と共に右手を撃破した

 

「グギギギギィ……オノレ……オノレェ……!!」

 

残る本体のデスタムーアが怒りに震える

 

「さぁてロビン……仕上げだ!」

 

コックピットのボタンを押すと小型のバズーカを模したコントローラーが現れる

 

 

「遠慮しないよロビン!!」

 

 

手に持ち構えたにとりが叫ぶ

 

 

 

       ~全人類ノ非想天則~

 

 

 

ロビンの全身から砲門が飛び出した

 

「や、やめろ!た、助けてくれ!」

 

死を感じたデスタムーアが命を乞う

 

「……止めてやろうか?」

 

「た、頼む!何でもする!頼む助けてくれ!」

 

「何でも?」

 

「あ、あぁ!そうだ!だから助けてくれ!」

 

懇願するデスタムーアににとりは笑った

 

 

「なら死ね」

 

 

にとりはトリガーを引いた

 

 

 

    「スーパーロビンスコープ!!」

 

 

 

全ての内蔵武器による一斉射撃

 

 

「ギエエエエエ!!」

 

 

デスタムーアの体を抉っていく

 

「エエエェェ……ェ…………」

 

断末魔は小さくなっていき

 

 

偽の大魔王は消え去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間の里・周辺の森

 

「ククク……」

 

倒れる幽香へ歩を進める

 

「……ん?」

 

視界にある物が見えた

 

(花……)

 

それは先にバルバトスを邪魔した花

 

「……ククッ」

 

口元を吊り上げ近付いていく

 

「……」

 

無造作に足を上げる

 

踏み潰すつもりだ

 

「……!?」

 

気配を感じ足が止まる

 

バルバトスが気配へ向くと

 

「風見幽香……」

 

幽香が立っていた

 

頭を垂れ、静かに

 

「その子は……やらせない……」

 

「!?」

 

ブアッ!

 

飛び掛かった幽香の拳にバルバトスは飛び退き距離を離す

 

「まだやる気か……その死に体でこれ以上やれば死ぬぞ?」

 

戦う意思を見せる幽香に限界を見る

 

全身が隈無く痛み、血を流し滴らせ、破れたチェックの柄を赤く染め上げる

 

「死ぬわね……確かに……」

 

ゆっくり、ゆっくりと顔が上がっていく

 

風で髪が揺れる

 

流れる風が僅かな匂いを届ける

 

 

「お前が……ね」

 

 

幽かな死の香り

 

幽香を!

 

 

「どうあっても俺の女にならんつもりか……」

 

「当然でしょう……」

 

幽香はその心にある想いを語る

 

 

「約束があるのよ……いつか地獄で会う奴を殺す為に……」

 

 

遠い約束

 

 

「だから……」

 

 

それを果たすまで

 

 

「お前程度の雑魚に負けられないのよ……!!」

 

 

絶対に負けられない!

 

 

「……いいだろう風見幽香」

 

バルバトスは諦めた

 

幽香を物にする事を幽香の目が諦めさせた

 

「俺の物にならんのなら……」

 

変わりに出た感情

 

「死ねぇぇぇい!!」

 

殺意だった

 

「ヌウゥゥゥゥゥゥゥ……!!」

 

斧を背に下段に構え左手を掲げ闘気と進化した力を全て斧に溜め込んでいき、赤く強烈に発光する

 

 

 「一発で沈めてやるよ!!覚悟は良いかァ!!」

 

 

バルバトスの荒ぶり猛る戦士の本能

 

 「光栄に思いなさい……この姿を見せるのは……」

 

傘を地に刺し

 

両手を伸ばし腰より少し離して掌を前に開く

 

 

     「お前が最初で……」

 

 

足を小さく交差させ

 

上目使いで微笑む

 

 

      「最後よ!!」

 

 

幽香はその力を解放した

 

その昔、自我を飛ばさねば出せなかったその力

 

制御した後も研ぎ続けた

 

果たせぬ約束を果たす為の力を

 

 

幽香から眩い閃光が一瞬放たれる

 

 

「なにぃ!?」

 

力を溜め続けるバルバトスは変化に驚いた

 

「……」

 

幽香の髪が伸びていた

 

肩までだった髪が腰より長くなっていた

 

「~ッ!?」

 

同時に感じる強さがただ髪が伸ばしただけとは思わせなかった

 

 

   「さぁ……始めましょうか……!!」

 

 

 

      ~Inanimate Dream~

 

 

 

   「ブルアアアアアアアアアッ!!」

 

 

猛る咆哮と共にその一撃を放った

 

 

    「ワールドデストロイヤー!!」

 

 

大地に打ち付けた斧からエネルギーの大爆発が起き幽香に広がる

 

 

ズオオッ!!

 

 

衝撃が駆け抜ける

 

周囲の物を粉微塵に全て吹き飛ばす威力に生きていないと誰もが思う

 

 

「……」

 

 

彼女は立っていた

 

傘を構え

 

その背の花を守り抜きながら

 

 

       「夢は見れた?」

 

 

傘には既に溜まっていた

 

 

 

    「花符「絆の花・ヒルガオ」!!」

 

 

 

それは放たれた

 

幽香の3倍以上はあろうかという超大のビームを

 

 

「ヌグアアアアアアアアアアッ!?」

 

 

飲み込まれたバルバトスは絶叫し

 

 

「カザミユウカァァァァァァァァァ!!」

 

 

黄泉へ繋がるビームの奔流に消えていった

 

「フンッ……」

 

残ったのは髪の戻った

 

「……まぁ楽しめたわ」

 

幽香だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無縁塚

 

「……伊吹萃香」

 

倒れる萃香の名を呼ぶ

 

「……なんだい?」

 

ミストに問う

 

「……確かめさせろ」

 

「……何を?」

 

問いにミストは暗黒闘気を高めた

 

「お前が霧の名に相応しいかどうかをだ!」

 

バーンを象るミストの提案

 

 

願い

 

「……いいよ」

 

ヒョイと立ち上がった萃香は微笑んでいた

 

「気分はどうだい?ミスト……」

 

ゆっくり歩きながら距離を取る

 

「……お前が生きてなければ怒りで狂うところだ」

 

ミストも距離を取る

 

「お前の言った通り私は始まった……」

 

10メートル程離れた時に足は止まり振り返る

 

「そして……終わる……」

 

「……!?」

 

その言葉に萃香は悲しく目を閉じた後

 

「そうかい……」

 

振り返った

 

 

「わかっているな伊吹萃香……本気で来い!」

 

「わかってる……さ!!」

 

 

二人の力が柱の如く打ち上がる

 

「……今から出すのは私の新しい技だ」

 

ミストが手をかざし暗黒闘気を集める

 

「闘魔最終掌で集めた力をビームにして撃ち出す」

 

「!!?」

 

萃香は反応し思わず体を跳ねさせる

 

その技が知っている技と酷似していたから

 

知っている筈が無いのに

 

「名付けるとするなら……」

 

技名を口にする

 

 

「「闘魔滅砕砲」」

 

 

二人の言葉が重なる

 

「!?」

 

何故わかったと言うミストに萃香は話し出した

 

「その技は……その名は……」

 

嬉しさと悲しさを織り混ぜて

 

「バーンの……」

 

仲間の編み出した技なのだと……

 

「……そうか」

 

その言葉が意味するところを知ったミスト

 

「……」

 

無言で発射体勢に入った

 

「……ハアッ!!」

 

もう止められないのだと知る萃香は力を再び右手に萃め、右腕を不可視にする

 

 

「さっきのとは違う……本気でやってやるよ!」

 

 

また二人は対峙する

 

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 

       ~Missing_Power~

 

 

 

 

       「闘魔滅砕砲!!」

 

 

     「鬼神「鬼哭・萃霧想」!!」

 

 

 

 

二人の名がぶつかる

 

 

     「ウオ……オオオオッ!!」

 

 

     「ハァ……アアアアッ!!」

 

 

譲れぬ意思を持って

 

 

     「……アアアアアアッ!!」

 

 

ズシャ……

 

 

 

萃香が進む、一歩一歩、僅かだが確実に

 

 

     「オオオオオオオッ!!」

 

 

ミストも吼え押し返そうと力を込める

 

 

ズシャ……

 

 

だが萃香の歩みは止められない

 

 

「……」

 

 

無言で萃香を見つめると

 

撃つのを止めた

 

 

      「私の……勝ちだ!!」

 

 

その右腕を打ち込み

 

ミストを霧散させた

 

 

「……」

 

 

辺りを漂う黒い霧を見た勝者の萃香が笑うと

 

 

霧は萃香の中へ入っていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




うぐぐ……纏められない!!
書きたい事が多くてどうしても長くなる……
書くのが下手くそになったんだと思い始めた今日この頃です。

まずは仲間5人の決着編!
ハイライトシーンなので頑張りましたがどうでしたか?
決着間際の曲名挿入は動画の様な感じを意識して考えました、盛り上がるあの感じを再現出来てたら幸いです。
3名は各テーマ曲(幽香は旧作)から取ってますが美鈴とにとりは違います、美鈴に至っては有名な処刑用BGMですし……美鈴の流派がアレなんで……

次は頂点達ですがまだ仲間編は後少し続きます。

次回も頑張ります!
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