東方大魔王伝 -夢現幻想-   作:黒太陽

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第三十三話 恋色夜想曲

「友達ぃ……?」

 

ルーミアは怪訝な顔で現れた魔理沙を睨む

 

(人間が妖精と友達?)

 

チルノを友と呼ぶ魔理沙に疑問を覚えていた

 

(そんな事が……?私が居ない間に変わったの?)

 

皇の知る時代は妖怪が跋扈していた闇の時代、妖怪が人間に恐れられていた時代、そんな事がある時代ではなかったから不思議に二人を見ていた

 

 

「大丈夫かチルノ!」

 

「うん……会いたかった……魔理沙ぁ……!」

 

何も気にならなかった

 

あの魔理沙が来てくれた、その事実だけでチルノは嬉しかったから抱き付いて離さない

 

「ごめん……あたい……殺せなかった……」

 

謝るチルノに魔理沙はルーミアを見る

 

「……いいさ、それで……」

 

ルーミアを見た魔理沙はすぐに何があったか察した

 

あのルーミアは自分の知るルーミアの変わり果てた姿であり、それを殺そうとして出来なかったのだと

 

「お前はそれでいい!」

 

力強く断言する

 

「お前が友達のルーミアを殺せる訳ないだろ……誰よりも友達想いなお前が殺すところなんて見たくない!それでいいんだ!」

 

「凄く強いけど……凄く脆い……」

 

「それが私の友達の……チルノだ!!」

 

そんなチルノが友であり、そんなチルノだから助けるのだと

 

「ごめん……ごめん……!」

 

想いを察してくれた事が嬉しくて、でも皆を危険にしたのが申し訳なくて

 

感謝と罪悪感が混ざり、また涙を流した

 

「泣くな!!胸を張れ!!お前は間違った事してないだろ!!だから泣くな!!」

 

「……うん」

 

正しいとハッキリ言ってくれて泣いていた顔が緩んだチルノ

 

「……少し休んでろ」

 

ラリホーを浅く掛けて大妖精の横に寝かすと魔理沙はルーミアを睨み付けた

 

 

「泣かしたな……」

 

 

「はぁ……?」

 

聞き返したルーミアは魔理沙の静かな怒りを感じる

 

「こいつにとってそれがどんなに辛い事だったか……お前にわかるか?」

 

「さぁ……?下等種族の事なんて気にすると思う?」

 

話すにつれ怒りは段々と膨れていく

 

「もういい……」

 

「何が言いたいのよお前……」

 

もう完全に知っているルーミアではないのだと認識した魔理沙は箒を持つ手に力を込めた

 

「こいつはな……弱いのに調子に乗るバカだった!でもそれ以上に友達を大事にしてた!……それは強くなっても変わらなかった!私達の最高にバカな妹分なんだよ!!」

 

箒を突きつけて告げる

 

「良かったな私が相手で……私は優しいから礼を返すだけで勘弁してやるけど……もしこいつの子分が相手だったらお前焼き殺されてるぜ?」

 

妹紅がこれを知れば絶対に許しはしないだろう、例え相手がルーミアだとしても優しさを履き違えない妹紅なら殺していた筈だから

 

「……どいつもこいつも……人間風情が……!!」

 

ルーミアにも怒りが溜まっていた

 

餌でしかない人間にここまで言われたのだ、食事の邪魔も相まり怒気はかなり膨れていた

 

「怒るよなぁ……楽しみにしてた食事を邪魔されて私みたいなちっぽけな人間に馬鹿にされちゃなぁ……そらそうだろうなぁ……」

 

「……食い殺す」

 

ウンウンと頷く魔理沙にルーミアは弾幕を放とうと指を上げた

 

 

「でもなぁ!!」

 

 

ドウッ!!

 

 

「グウッ!?」

 

腹に魔弾が当たり前屈みに腹を押さえた

 

 

「私の方が怒ってんだよ!!」

 

 

魔弾を撃った魔理沙は続けて弾幕を撃つ

 

「魔符「スターダストレヴァリエ」!!」

 

次々撃たれる星の弾幕はルーミアに全て命中していく

 

「まだまだこんなもんじゃないぜ!」

 

増える魔理沙の弾幕がルーミアの姿を隠した瞬間

 

ズオッ!

 

闇鳥が弾幕を突き破った

 

「危なっ!うわっ!?」

 

ギリギリで避けた魔理沙を弾幕が襲う

 

「ぐぅっ!?」

 

回避出来ず魔力を体に行き渡らせ防御した魔理沙に声が届く

 

「単体で私に傷を付けれる人間が居るなんてね……驚いたわ……」

 

破った弾幕から出でるルーミア、魔理沙の弾幕により所々傷が付いている

 

「……弾幕はパワーが信条なんでね、大魔導士だし……」

 

少し焦りを見せる顔で魔理沙は答えた

 

チルノの冷気とは違い純粋に力を高めていた魔理沙の弾幕は皇に届く強さがあった

 

だが焦ってしまうのはルーミアにあった

 

(ダメージが少ない、結構本気で撃ったんだけどな……それに防御してこれか……)

 

通るには通るが見張るダメージではなかったのと受けた力の高さ

 

(強さ的には枷の外れたバーンくらいか?冗談キツイぜ……こんなのと戦ってたのかチルノ……)

 

強さを正確に認識して分の悪い相手だと知ったから

 

(どうする?こんなの幻想郷に出す訳にいかない……でも私一人じゃ……)

 

どうするか思案する魔理沙にルーミアは手をかざす

 

「出来れば生きたままが良いけど……最悪死体でも良いか」

 

闇の大玉を撃ち込んだ

 

「くっ……」

 

回避しようと箒を動かそうとする魔理沙の目の前に

 

バチッ

 

結界が出現し大玉を防いだ

 

「こいつが夜の元凶ね……」

 

間に居た少女がルーミアを見ながら呟く

 

「霊夢!!」

 

頼もしい救援に魔理沙は声を上げた

 

「大丈夫……じゃないわね」

 

魔理沙の横に並んだ霊夢は辺りを見回し気絶する大妖精とボロボロで寝ているチルノを見つけて表情をより引き締める

 

「助かったぜ霊夢……気を付けろ、私の見立てじゃ枷の無いバーン並みだ!」

 

「言われなくても見たらわかるわ……それよりもアレ……ルーミア?」

 

「そうみたいだぜ……チルノを食べようとしてた、今は私か……」

 

「……」

 

霊夢はルーミアを見ながら考えていた

 

(……もしかしてあの巻物の?確か……常闇ノ……)

 

昔見たある事とルーミアの関係を繋いでいた

 

「……」

 

ルーミアは何も喋らず今は消した結界の跡を見つめていた

 

「その結界術は博麗の……名は霊夢……」

 

不意に呟かれる言葉

 

ズオッ!!

 

闇の力が溢れ出す

 

「お前……博麗の巫女……!博麗零夢の後継か!!」

 

激しい憎悪を覗かせて

 

「やっぱり……」

 

「知ってんのか?」

 

魔理沙に促されて霊夢は知る事を語り始めた

 

「ずっと昔……まだ幻想郷が出来るよりもっと前、初代博麗の巫女が遺した手記があったのよ」

 

「かなり劣化していて全部は読めなかったけどそれには妖怪の王について記されていた、妖怪と共に戦い、封印したって……」

 

「歴史から消されたけど初代博麗零夢だけは封印の要だったから後世の巫女に伝えていたみたい……時が過ぎる内に手記の劣化と共に伝えられなくなったみたいだけどね、だから私も気付かなかった、手記は常闇ノ皇……で掠れてて名前までわからなかったし」

 

語り終えたと同時にルーミアの怒声が響く

 

「お前だけは許さない……体をバラバラに引き裂いてそのはらわたを食い尽くしてやる!!」

 

憎悪の怒りを向けた攻撃が開始された

 

「くっ……どうする霊夢!?」

 

どういう結果にしたいのか、出来るのかを霊夢に問う

 

「……」

 

攻撃を回避しながらルーミアを観察する

 

「……結論から言えば」

 

背中を合わせた魔理沙へ霊夢は告げる

 

「殺すのが一番楽で出来る可能性が高いわ」

 

「却下だ!!」

 

迫る弾幕に弾けた二人

 

「それじゃチルノが何の為に踏み止まったのかわからないじゃないか!」

 

「……そうよね、ゴメン……」

 

言うべき事じゃなかったと反省した霊夢に弾幕が迫る

 

「ッウ……」

 

防御した霊夢は次に迫る弾幕に祓い棒を振りかぶり迎撃する

 

「方法は……有るッ!!」

 

弾き飛ばした霊夢に魔理沙がまた背を付ける

 

「どうするんだ!?」

 

「有るには有るけど出来る可能性は低いかもしれな……」

 

「いいから言えよ!」

 

「わかったわ……よ!」

 

また弾けた二人は応戦しながら話を続ける

 

「封印するの!」

 

「ルーミアをか!?」

 

「そうよ!」

 

回避に専念しながらの会話だが時折被弾をしながら続けられる

 

「ッ……多分あのルーミアは……主人格!」

 

「主人格!?二重人格って事か!?私達の知るルーミアは副人格だったって事なのか!?」

 

「多分ね……おそらくそういう封印式だったのよ、私が歴代最強らしいから初代はあまり強くなかった、そして常闇ノ皇は強過ぎた!だから副人格を作り、入れ換えて主人格を力と一緒に封印するのが精一杯だった!」

 

「うっ!?ッテーなコノッ!……それで!?」

 

「くっ!?……だから封印をし直せば!」

 

「戻るかも知れないんだな!!」

 

希望が見えて笑顔の魔理沙

 

「だけど全部推測で根拠なんて無い!可能性なんて無いかもしれない!」

 

多数の弾幕を結界で防ぎ顔を歪める霊夢に

 

「それで……充分だぜ!!」

 

魔理沙は言った

 

「やるぞ霊夢!私は何をすればいい!?」

 

「本当にやるの!?無理かもしれないのよ!?」

 

「ぐだぐだうるせぇぜ霊夢!やるったらやるんだよ!!」

 

闇の力を魔力で押し返す魔理沙

 

「可能性があるんだろ!少しでも助けれる可能性があるならそっちだ!出来る出来ないじゃなくてやるんだよ!」

 

押し飛ばした魔理沙が霊夢に並ぶ

 

「無理を通して道理を蹴飛ばせ!大丈夫だ!私達ならやれる!」

 

根拠なんて有りはしない

 

でも力強く語る魔理沙に

 

「……わかったわ!」

 

信じる事にした

 

「……!!」

 

結界を強く張り攻撃を耐える

 

「私が力を溜めて封印をし直す、かなりの力を溜めなければならない……その時間を稼いで!」

 

「わかったぜ!」

 

「後、推測が正しければ封印式が組まれた霊具がある筈なんだけど……」

 

ルーミアを見つめた二人はすぐ気付いた

 

「あのリボンか!」

 

「多分ね……あのリボンがそうなら媒介にして封印する、違うなら私が組む!でも……」

 

「時間が掛かるんだろ!わかってる!」

 

「だからあんたには時間稼ぎとリボンを探して欲しいの」

 

「わかったぜ!任せろ!」

 

する事が決まり飛び出そうとする魔理沙だったが霊夢が止めた

 

「私もね……ルーミアを殺したくなんてない、でも……」

 

無理だった場合の事を示唆する

 

「言うな霊夢……わかってるよ、その時は……私がやる」

 

決意を見せた魔理沙は結界を飛び出しルーミアの前に立つ

 

「聞こえてたわ……私をまた封印するつもりだって?」

 

「じゃあ聞くまでもないだろ?聞こえてたんならな」

 

魔理沙の不遜な返事にルーミアの様子が変わる

 

「フ……フフッ……」

 

それは怒りを通り越した感情

 

「どこまでも舐めた真似を……この私に対して……」

 

闇の力が荒れ狂う

 

「エスターク……許さんぞあの小僧……私にこんな奴等の相手をさせるなんて……何もかも食った後にお前も食い殺してやる……!」

 

不完全な洗脳が全てに牙を向く

 

「……もう誰もお前に食わせねぇよ!」  

 

魔理沙が言った直後

 

 

「誰に向かって言っている!!」

 

 

ルーミアの怒声が間に響く

 

 

「私を常闇ノ皇……ルーミアと知っての口か!!」

 

 

激昂

 

完全にキレたルーミアの闇の力が間を全て闇に変えた

 

「闇に飲まれて消えろ……」

 

激昂の皇に対し

 

「知るかお前なんてよ!私達が知ってるのはいつもふよふよ漂って無邪気に笑うルーミアなんだよ!!」

 

大魔導士は強く飛び出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスタークパレス・王室

 

ブゥン……ボッ!

 

スキマから呪文が飛び出す

 

「……ハッ!」

 

腕で弾き飛ばした妹紅の前にはまたスキマ

 

ドドドッ!

 

連続で撃たれる呪文

 

「ツラアッ!」

 

腕を振り炎で焼き払う

 

ブゥン……

 

真横からスキマが開き剣を構えたエスタークが飛び出した

 

「~ッ!?」

 

かろうじて剣を白羽取りした妹紅だが表情は優れない

 

「顔色がよろしくないみたいですが……大丈夫ですか?」

 

「……お前こそそれで精一杯なんだろ?無理するなよ」

 

「そうですか」

 

もう一刀を妹紅目掛け振り抜く

 

手を離し飛び退いた妹紅が着地した瞬間

 

ドドッ!

 

「ッ……ぐぅ!?」

 

背に開いていたスキマから魔弾が直撃していた

 

「クク……」

 

怯んでいる妹紅に手をかざす

 

「バギクロス」

 

風の極大呪文が妹紅を襲う

 

「う……がああッ!?」

 

防御の姿勢を取る妹紅を風の刃が通り過ぎた

 

「クク……クハハ……!」

 

アーチの様に両の手から発生していた熱エネルギーを両手と共に合わせ、構える

 

「ベギラゴン」

 

放射された閃熱の呪文が

 

ヴオッ……

 

妹紅を通り過ぎた

 

「中々良い様ですね藤原妹紅」

 

語りかける視線の先

 

「……く……そっ……」

 

体を刻まれ軽い火傷のある妹紅の姿があった

 

「どうですか大魔王の力は?懐かしいでしょう?」

 

強大な力を誇示する様にエスタークは言った

 

スキマを使った全方位攻撃に加え妹紅の間合いから外れた剣での直接攻撃

 

そしてバーンの魔力を使った呪文

 

熱や火に強い妹紅に火傷を負わせれる強い力

 

良く知る力に傷付けられる気持ちが知りたくて問う

 

「そんなもんねぇよ……」

 

キッと睨む妹紅

 

「ただもっと強く思うだけさ……私の魂が……」

 

 

「お前を倒せって!」

 

 

ボウッ!  

 

 

妹紅を炎が纏った

 

本気の段階を上げた炎はある姿に形を成していく様に見える

 

「本当に酔狂な騎士だ貴方は……そこまで守る価値が人間に有るとは思えませんが……」

 

「有る!人間は悪い奴ばかりじゃない!」

 

「なら人間に価値を見出だせない私は皆殺しにします」

 

「お前にそんな権利は無い!」

 

「有るのですよ私には!人間を裁く権利が!私は人間が生んだ業!人間は自らが生んだ業によって滅ぶのです!」

 

口角を上げたエスタークは言う

 

「そう滅ぶ……人間は!滅ぶべくして!」

 

もう何をしても、何を言っても微細な変化すら起きる気もしないエスタークに

 

「やらせるか!」

 

妹紅はただ対抗する

 

「威勢が良いのは結構ですが……魂では私は殺せない、私を殺したいのなら言葉ではなく……力で語れ!」

 

スキマを妹紅の四方に開き呪文と魔弾を放つ

 

「オオッ!」

 

呪文と魔弾を纏う炎で焼き払った妹紅が飛び込む

 

「そうこなくては面白くありません!」

 

球体状に張った魔力障壁を蹴り飛ばされるが無傷のエスタークは微笑を向ける

 

「……!!」

 

燃え上がる炎と同じく戦いは苛烈になっていった

 

 

 

 

 

「妹紅……」

 

心配そうに妹紅を見る慧音、同時に消えていない映像も気になる

 

(チルノは危なかったが魔理沙に霊夢も来てくれた!大丈夫だ妹紅!あの二人なら何とかしてくれる!)

 

映像を見ながら拳を握り締め体に力を入れる慧音

 

ズルッ……

 

服の中で何かがズレた

 

「ダイ……暴れるな、じっとしていろ」

 

またダイが動いているのだと考えた慧音は注意だけすると間の映像をまた見始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エスターク神殿・分岐の間

 

「目障りな下等種族があッ!!」

 

ズドドドドドド!!

 

闇の弾幕が二人を襲う

 

「うっ!?くっ……!うおおっ!?」

 

激し過ぎる攻撃を必死に回避する魔理沙

 

「この野郎!これでも食らいやがれ!」

 

弾幕の僅かな隙を見つけた魔理沙は八卦炉をかざして叫ぶ

 

「恋符「マスタースパーク」!!」

 

得意の必殺技を撃ち込む

 

スゥ……

 

撃った直後、ルーミアが闇に溶け見えなくなった

 

「何!?」 

 

見えなくなった場所をレーザーが通り過ぎる、無論手応えは無い

 

「闇を前に……哭き……叫び……命を乞うても決して許しはしない……皇に刃を向けた愚行……」

 

声だけが響いた直後黄色の弾幕が闇から発生し停滞する

 

そして闇からうっすらと体の輪郭と赤く光る赤眼が浮かび上がる

 

 

「闇世で悔やめ!!」

 

 

血よりも濃い赤色の弾幕が発生し皇は宣言した

 

 

「常闇「ダークサイドオブザムーン」!!」

 

 

力の全てを込めた弾幕が二人に向かう

 

「霊夢!!」

 

「わかってる!夢境「二重大結界」!!」

 

結界が霊夢、チルノと大妖精を覆う

 

「くっ……うぅ……!!」

 

余りの威力に結界が破壊されそうになる

 

「このぐらいでぇぇぇ!!」

 

諦めない意思が耐え、力を溜める

 

「やらせるかぁぁぁ!!」

 

魔理沙も弾幕を放ち霊夢の負担を減らしながら探す

 

「足掻けると思うなぁぁぁ!!」

 

止める気も緩める気も無い慈悲無き弾幕

 

「ウオオオッ!」

 

攻撃もするが闇に溶けたルーミアには当たらない

 

「ッガア!?」

 

被弾し吹き飛ぶ魔理沙

 

「まだまだァ!!」

 

決して強くは無い体を奮い立たせ向かう

 

「……!!」

 

耐えながら探していた霊夢が見つけた

 

「魔理沙!!」

 

闇の中に見える1本の希望の布を

 

「!!」

 

すぐにそこに向かう魔理沙に弾幕が集中して迫る

 

「~~ッ!?」

 

紙一重で回避しながら向かう

 

(もう……ちょっと……!)

 

後、数メートル

 

「……よし!」

 

辿り着いて手を伸ばす

 

 

ドッ……

 

 

リボンを目の前にして魔理沙は床に叩きつけられた

 

「気付いてないとでも思ったの?」

 

闇から姿を現したルーミアが魔理沙を見下ろす

 

「……コノヤロー」

 

阻止された事に悔しく見上げる魔理沙にルーミアは冷酷に微笑むと

 

ドッ!

 

ドドドッ!

 

ドウッ!

 

弾幕で宙に上げ痛めつけ、最後に衝撃を浴びせ床を転がせた

 

「私が封印の可能性を無視する筈が無いだろうが……」

 

ゆっくり魔理沙へ歩いていく

 

「魔理沙!?」

 

危機に焦る霊夢、その時結界の中で動いた者が居たのを気付いていない

 

「ッ……ウガッ!?」

 

まともに受けた攻撃に上手く動けない魔理沙をルーミアが首を掴み持ち上げる

 

「夢は見れたか下等種族?どんな夢を描いてたかは知らんが醒めた後に見えるこの光景……これこそが現実だ赤子共」

 

魔理沙に告げた後に霊夢を見る

 

「次はどうするの?わはぁ……」

 

「くぅ……この……」

 

リボンの入手を阻止され、魔理沙を人質に取られた

 

封印式の無い今、式を組む時間も力を溜める時間を与えてくれる筈も無い、かといって他の方法も無い

 

有るのは皇の食卓に並ぶ事だけ

 

「ワハハハハハハハ!!」

 

目論見を潰せ、安全を確保した皇が笑った瞬間

 

 

 

「ルーミアちゃん!!」

 

 

 

風弾が魔理沙を掴む腕を撃った

 

「ッ……」

 

魔理沙を放した腕の攻撃跡を見て攻撃者を睨み付ける

 

「やめてルーミアちゃん!ルーミアちゃんはそんな事する子じゃない!」

 

攻撃者は大妖精

 

気絶から目覚めた大妖精は状況が危険だと認識しすぐに行動に出たのだ

 

「魔理沙さん!!」

 

「助かったぜ……大妖精!!」

 

掛け声に飛び出しリボンを掴む魔理沙に並ぶ大妖精

 

長年の間に培った絆がいつもの様に二人を動かせた

 

何故生きてるとかそんな疑問と説明は二人の間に一切無かった

 

ただ魂が感じた

 

『あれは本当に魔理沙さんで助けに来てくれたけど危ない状態』

 

『大妖精は言わずともわかってくれる』

 

そう理解したから二人は迷い無く連繋したのだ

 

 

「キサマラァァァァアアァァァァアッ!!」

 

度重なる邪魔に怒りの臨界などとうに振り切った皇の怒声

 

「アアアアアアッ!!」

 

冷静さを失った皇は姿を闇に隠す事も忘れ弾幕を放ち、撃ち続ける

 

「行くぞ!!」

 

「はい!!」

 

リボンを霊夢に投げた二人が攻撃を防ぐべく弾幕を張り巡らせる

 

「くう……!!」

 

見境無く撃たれる弾幕の勢いは凄まじく二人の力を持ってしても防ぎきれず結界に次々命中していく

 

(持た……ない……!?)

 

結界が限界を迎えようとヒビが入り霊夢は目を閉じる

 

 

「ハッ!」

 

 

結界に当たる弾幕が弾き飛ばされた

 

 

「ロビン!」

 

 

チルノを覆う結界を守る様に仁王立つ機械の魔物

 

「大丈夫ですか!」

 

「なんだよこの状況!?」

 

目を開けた霊夢の視界には一人と一体の魔物が居た

 

「美鈴!……それとその声はにとりね!」

 

「ハイ!お久し振りです霊夢さん!魔理沙さんの事とか聞きたい事は山程ありますが……私達はどうすれば良いですか!攻撃ですか!防御ですか!」

 

「美鈴は私が力を溜め終わるまで守って!にとりはチルノをお願い!」

 

「了解!」

 

「わかった!任せて!」

 

美鈴とにとりの加勢で負担が減った霊夢は力を溜めながらリボンを注視する

 

(やっぱりこのリボンには封印式が組まれていた……そうよね、でなければあいつがリボンを取るのを阻止する筈無いもの)

 

「よし……!!」

 

リボンを媒介に破損した式を組み直しながら力は溜められる

 

 

「餌の分際でつけあがるなァ!!」

 

怒濤の弾幕が皆を襲う

 

「ハアッ!」

 

弾き飛ばす美鈴、だが腕の痺れに顔を歪めている

 

(一発一発がなんて威力……)

 

細かく分かれた弾でさえまともに受ければ鍛えている美鈴すら危うい威力がある

 

同じ弾幕を使うと言えど力の差がハッキリと感じられ汗が滴る

 

(このまま続けられたら持ちません……にとりも……あの二人も……)

 

にとりもかなり苦戦している、ダメージが無くともまともにやれば敗色濃厚とも言える力の差

 

今は魔理沙と大妖精が抑え、にとりと分散されているからなんとか出来ている状態

 

(あの持っているのはルーミアのリボン……封印するしろ何にせよ急いでください……!)

 

迫る弾幕を力の限り防ぎながら自分の限界を計り、急かす

 

 

「オラァ!!」

 

「えい!!」

 

二人が弾幕を放ち相殺を狙う

 

「くっそ!?」

 

「強い……!?」

 

しかし強過ぎる弾幕はかなりの力を込めなければ相殺出来ない、頂点の力を持ってしても全ては無理だった

 

「ルーミアちゃん……ごめん!!」

 

大妖精が両手を頭上にかざし風を集める

 

「風精「大風妖玉精」!!」

 

特大の風玉を撃ち込む

 

風玉は弾幕を打ち払いながらルーミアへ向かう

 

「誰に謝っている!不届き者が!!」

 

左手に闇の力を集め風玉を受け止める

 

「ヌゥゥゥ……!!」

 

「ん~!!」

 

押し合う皇と妖精

 

「ウアアッ!!」

 

雄叫びと同時に風玉を真上に弾き飛ばした

 

「……ッウ!?……下等種族……ごときに……!!」

 

手の痛みを感じながら大妖精を睨み付ける

 

「この痴れ者がァッ!!」

 

弾幕を集中させ大妖精に撃つ

 

「わっ!?うわわっ!?」

 

高速で向かってくる大量の弾幕に対応が遅れる大妖精

 

「大妖精!!」

 

魔理沙が押し飛ばす

 

 

ズドッ……ドドドドドッ!!

 

 

代わりに弾幕を一身に受けた

 

「魔理沙さん!?」

 

大妖精が叫ぶと集中させた弾幕の最後が当たった魔理沙が吹き飛び床に落ちていく

 

「わはぁ……!」

 

落ちていく魔理沙に追撃の弾幕を撃っていた

 

ドッ

 

「ワハ……ハ……」

 

ドウッ

 

「ワハハ!」

 

ズシャ……

 

「ワハハハハハハハ!!」

 

床に倒れた魔理沙を見て高笑うとまた弾幕を4人に向け撃ちだす

 

「魔理沙さ……きゃう!?」

 

魔理沙へ向かおうとする大妖精の頬を弾幕が掠り動きを止められる

 

「霊夢さん!?」

 

美鈴が叫ぶ、魔理沙の安否を見に行くのかどうかを

 

「大丈夫よ!!」

 

霊夢は言った

 

「そうでしょ!魔理沙!!」

 

友へ向けて

 

 

「……ああ……当然だぜ……!!」

 

 

声援を受けた魔理沙は激しく痛み、立つのも辛い体でヨロヨロと立ち上がる

 

「死なない程度に寝ていなさい……」

 

弾が一発魔理沙に撃たれる

 

「まったく……寝ちゃいられないってか……そうだよな……」

 

弾が迫りながらも魔理沙は何もせず、笑っていた

 

 

「友達の事だもんな!!」

 

 

キンッ

 

 

弾は凍りつき砕けた

 

 

「なぁチルノ!!」

 

 

砕けた弾を見たルーミアはすぐさま視線を結界に居る妖精に向ける

 

 

「この……死に損ないガァァァ!!」

 

 

「へっへーんだ……ざまぁみろ……!!」

 

 

血走る眼光を向けられたチルノは誇らしく笑い、その場にへたり込んだ

 

「もう……いい……!貴様等など最早食うにも値しない……!」

 

はち切れんばかりの怒りに認識が変わる

 

餌から抹殺対象へ

 

「常闇に葬ってヤルワァァァァ!!」

 

純粋な殺意のみを込め、死体にもする気が無い闇夜の力は漆黒のオーラを溢れさせ血走る眼光を全て深紅に染め上げる

 

 

そして攻撃に出る動作に出ようとした瞬間だった

 

 

「霊夢!!」

 

 

「わかってる!!」

 

 

魔理沙の叫びに応えた霊夢がリボンを投げた

 

「!!?」

 

頭上で止まったリボンを見上げ動揺した皇は霊夢を見る

 

 

「終わりよ!!」

 

 

両手を広げた霊夢が力を解放するとリボンから封印式が展開され皇を囲う

 

 

「神霊「夢想封印・皇」!!」

 

 

式から稲妻の様な光が皇に放たれ縛り付ける

 

 

「ウギィ……!?アアアアアアアアアッ!!?」

 

 

悲鳴を上げる皇

 

徐々に式が縮まり頭に向かっていく

 

「よし!良いぞ良いぞ!」

 

「もう少しです!」

 

「お願いします……!」

 

にとり、美鈴、大妖精が見守る中

 

「流石に皇な訳あるぜ……」

 

小さく呟いた魔理沙だけはゆっくりと浮かび上がった

 

 

「!?」

 

霊夢は顔を歪ませた

 

「あ、侮る……な……!」

 

次いで皇が言葉を発し口元を緩ませる

 

「常闇ノ皇……ルーミアを!!」

 

消えていた闇の力を体から再度溢れさせると狭まる封印式が止まる

 

(しまった……私の力を使った封印に抵抗出来るなんて……誤算だったわ、前の封印はたぶん妖怪と人間が総力をあげて弱らせてからだったのね……)

 

「ここまで来……て……!!」

 

予想外の事態にそれでも諦めず力を込める

 

「無駄だ無駄だ博麗の巫女!貴様の力ではこれが限界……よ!!」

 

式を押し返していく

 

徐々に押し返される式はビシビシと破壊音を立て始める

 

「貴様ごと消し去ってやる……」

 

霊夢に向け両手を上下に構えると中心に膨大な闇の力が集まり巨大な球体を作り上げる

 

ズキッ……

 

「ッ!?」

 

皇の頭に突如痛みが走る

 

(封印式の影響か!引っ込んでいろ!)

 

もう一人を押し返すと皇は撃った

 

 

「皇夜「ウェルテクス・ナイトバード」!!」

 

 

鳥を模す、持てる全てを凝縮した闇の極致を!

 

「……!!」

 

封印の為に動けない霊夢は迫り来る闇鳥を前に

 

(力不足か……皆ごめん……)

 

諦めて目を閉じた

 

 

 

 

 

「諦めるなよ……」

 

 

 

 

 

霊夢の前に立つ者が居た

 

「魔理沙!?あんた何してんの!死ぬ気!?」

 

庇う様に立つ魔理沙に慌てて叫ぶ

 

「バカ言うな……そんな気はさらさらないぜ、まぁ見てな……」

 

そう言うと闇鳥に向け八卦炉をかざす

 

「とにかく痛めつけるか力を使わせて弱らせたら良いんだろ?ならとっておきがある……」

 

キィィィィィ……

 

八卦炉に凄まじい魔力が込められていく

 

「これは私がいつかバーンに使うつもりだった技だ……土産にくれてやるよ……」

 

込められ過ぎた魔力に八卦炉が限界なのか溜めきれない魔力が八卦炉を中心に魔方陣を描き

 

 

「食らいやがれぇぇぇぇぇ!!」

 

 

一瞬の閃光の様な力を解き放つ

 

 

 

「魔砲「ファイナルマスタースパーク」!!」

 

 

 

それは築き、鍛え上げた力の結晶

 

短い人生で積み上げた最大最高の力の魔法

 

バーンに勝つ為に生み出した閃光のごとき力

 

 

 

ドオウッッ!!

 

 

 

視界が埋め尽くされる巨大なレーザー

 

 

ズガガガガガ!!

 

 

ぶつかった闇鳥と激しく進退を争う

 

 

「結果は見えている!もがくナアァァァ!!」

 

 

「うる……せぇぇぇぇ!!」

 

 

魔理沙は叫ぶ

 

 

「結果が見えてたってもがくんだよ!一生懸命に!眩しく燃えて生き抜くんだよ!良く目に刻みやがれ!これが人間の……」

 

 

 

「私達の生き方だ!!」

 

 

 

一切力を緩めるつもり無い魔理沙

 

その生き方は生き返っても変えない、変わらない

 

 

「戯れ言をホザクナァァァァァァ!!」

 

 

皇も退くつもりは一切無い

 

「アアアアアアーッ!!」

 

自由を勝ち取る為に渾身を込める

 

「!!?」

 

突然皇の力が弱まり押され始める

 

(体に力が入らない!?あの程度の食事では持たなかった!?)

 

食事により力を出せる皇の時間は量に比例する

 

仔竜2頭しか食べていなかった上に全力の力を出したが為に消耗が激しくもう限界だった

 

「だが……だが!!」

 

意地で押し返す

 

せっかく自由になれたのにまた封印されたくない皇は強靭な意思で持ち直す

 

「なんて奴だ……これでもダメなのか!!」

 

最高の技でさえ耐える皇の力

 

(こうなったら……でもそれにはルーミアを……)

 

決断を迫られる

 

「……」

 

ゴウッ

 

魔力が高まる

 

「悪い皆……」

 

呟かれたそれ

 

「やるのね……」

 

察した霊夢が目を閉じる

 

「チルノ、大妖精……皆には後で謝る、お前等も許してくれよな……」

 

悔しく唇を噛みながらの言葉

 

魔理沙も本当はしたくない、でもこれ以上は殺す気でなければ

 

したくはない

 

しかしもうそれしか無いのだ

 

 

ルーミアを殺すしか……

 

 

「……わかり……ました……」

 

大妖精は承諾した

 

殺したくなんかない、助けたい

 

でもそれしか!それが最善なのなら!

 

「私も一緒に謝ります……魔理沙さん……」

 

だからルーミアを諦めた

 

「……」

 

チルノは答えない

 

それしか無いのだとしても言いたくなかった

 

友達に死ねとは……

 

 

「悪いルーミア……行くぜ……!!」

 

八卦炉に殺意を込める

 

 

 

 

「バカヤロウッ!!」

 

 

 

 

魔理沙を新たな声が止めた

 

「正邪……来たのか」

 

止めたのは正邪

 

とても怒っていた

 

「お前等それでも幻想郷の頂点かっ!?そんな簡単に諦めちまうような連中に頂点を名乗られちゃ……!!」

 

感じるままに手をかざし

 

 

「消えたバーンも浮かばれないだろうが!!」

 

 

力を高める

 

 

「私が生涯を賭けてまで越えようとした頂点!それは不屈の魂を持った希望の戦士だっ!最後の最後まで絶望しない強い心こそがお前達頂点の最大の武器じゃなかったのかっ!!」

 

 

「違うのか!!」

 

 

正邪は能力を使った

 

「コノヤロー……あんな弱かったお前が一丁前の口聞きやがって……はっ、そうだった……そうだったなァ!」

 

殺意を納めた魔理沙が叫ぶ

 

 

「諦めるのは早いよなぁ!!」

 

 

正邪の加勢に諦める事を諦める

 

 

「ッ!?ウ……アッ!?」

 

激しい頭痛を感じ片手で頭を押さえる

 

正邪の能力、何でもひっくり返す程度の能力を使い主人格である皇と副人格のルーミアをひっくり返そうとしたのだ

 

弱ってきている皇と封印による縛りが助けになり普通なら効きはしない能力が効いたのだ

 

「なん……だ……?」

 

様子がおかしい皇に魔理沙は不思議に見ていると

 

「こ……て……だー……」

 

皇がか細い声で呟いた

 

「ルーミア……ちゃん?」

 

大妖精が気付く

 

押し合いを続けながら皇が顔を上げる

 

「殺して……なのだー……」

 

涙を流すルーミアの姿だった

 

「ルーミアちゃん!!」

 

大妖精が呼び掛けるとルーミアは涙をまた流し、言った

 

「私は……危ない妖怪だから……皆を殺しちゃう……居ない方がいいのだー……」

 

自分の中に皇が居る限り皆が危ない、だから封印より殺して欲しい

 

そうルーミアは言った

 

そうすれば皆には良いと思ったから

 

「そんな!?そんなの嫌だよ!」

 

「良いって……事なの……だー……それで皆が楽しく暮らせるなら……良いって事なのだー……」

 

言葉と笑顔とは裏腹に涙は止まっていない

 

 

 

 

「「ルーミアァァァ!!」」

 

 

 

 

6人の声が向けられた

 

 

「良いか!もう持たないから一回だけ聞くぞ!!」

 

 

魔理沙

 

 

「正直に言いなさい!!」

 

 

霊夢

 

 

「本当に死にたいんですか!?」

 

 

美鈴

 

 

「嘘言ったら許さないよ!!」

 

 

にとり

 

 

「早く言え!!」

 

 

正邪

 

 

「死にたくなんてないでしょ!!」

 

 

チルノ

 

 

「言ってよ……ルーミアちゃん!!」

 

 

そして大妖精

 

 

「……」

 

 

言葉を受けたルーミアは顔をくしゃくしゃに皆を見て

 

 

「えぅ……うぅ……うー……」

 

 

嗚咽を混じらせて泣いた後に

 

 

「死にたく……ないのだー……」

 

 

本音を言った

 

 

「皆と生きたいのだー……」

 

 

大好きな皆と一緒に……

 

 

「充分だルーミア!後は私達に任せとけ!」

 

「わかったのだー……」

 

笑顔で頷くと顔を下げた

 

「チッ……作り物がぁ……!!」

 

顔を上げた皇が魔理沙を睨み付け押し返そうと力を込める

 

「……ハアアアアアアッ!!」

 

魔理沙が咆哮すると闇鳥を急激に押し始める

 

「クッ……ウヌゥ……!!」

 

(力の低下で封印が更に……でも!もうあそこには!)

 

目前まで押し返された闇鳥を止め耐える

 

 

「戻りたくないのよォォォ!!」

 

 

また押し返し始める

 

(あいつまだ……そりゃそうよね、何百年以上も封印されてたんだから当然か……)

 

異常とも言える自由への執念、その根源が自由無き封印にあるのならこの鬼気迫る抵抗も納得出来る

 

(でもね!私達も譲れないのよ!)

 

かといって幻想郷を食い尽くす者は野放しに出来ない霊夢は封印が壊れない様に力を込め続ける

 

「くおおおっ……!!」

 

封印を助ける為に力を振り絞る正邪

 

「早く……もう一息なのに……」

 

「頑張れ魔理沙……霊夢……正邪……」

 

美鈴とにとりが悔しくも見守るしかない中

 

「……ルーミアちゃん!」

 

「……ルーミア!」

 

大妖精とチルノは祈る

 

 

助けて、と……

 

 

 

 

 

 

ポウッ……

 

 

 

 

 

 

 

その時、闇の中で何かが光り、封印のリボンへ向かった

 

 

「あれは……!バーンが贈ったリボン!?」

 

それはバーンが昔にルーミアに贈ったリボン

 

淡い光を放つバーンのリボンは封印のリボンに触れると強烈な光を発し闇を照らした

 

「なに!?なによこれは!!?」

 

バーンのリボンから感じる力に驚きを隠せない

 

「これほどの力が何故こんな……こんな布切れに籠っているの!?」

 

感じたのは大魔力

 

闇の皇ですら怯んでしまう絶大な魔力だった

 

「今だァ!!」

 

隙を見せた皇に一瞬だけ力を高め闇鳥を突き破る

 

「ア……アァ……」

 

技を破られ、レーザーに飲まれた皇は自身の先を予期し呻く

 

 

「い……イヤ……助けて……」

 

 

誰にも聞こえない懇願

 

 

バチッ……バチッバチッ……

 

 

魔力の助力を得た封印が自身を封印する刹那

 

 

確かに聞いた

 

 

 

 

 

 

        許せ……皇よ……

 

 

 

 

 

 

 

 

知らない声が謝罪したのを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わった後の間は静寂に包まれていた

 

「……」

 

皆レーザーの照射を止めた煙立ち込める場所を見つめている

 

「……!」

 

煙が晴れてきた

 

煙の中に小さなシルエットが浮かび上がる

 

「ぐすっ……あぅぅ……」

 

居たのはルーミア

 

いつもの小さな体に戻って泣いていた

 

少し違うのはリボンが1つなだけ

 

「ルーミア!!」

 

皆が駆け寄り喜びの声を上げる

 

だがルーミアはずっと泣いていた

 

「私……危ないのだー……皆と一緒に居れないのだー……」

 

自分の中に危険な皇が潜んでいる事を知ったルーミアは皆を危険に合わせたくなくて一緒に居る事を拒む

 

「大丈夫よルーミア」

 

そんなルーミアに霊夢は言った

 

「もう封印は解かれないから」

 

リボンを指差しながら優しく告げる

 

「そのリボン……封印のリボンにバーンのリボンが一体化して封印を解けない様にしてる、バーン本人でももう解けないわ」

 

一体化した赤を基調に黒いラインの入ったリボン

 

バーンはルーミアの中に居る存在に気付いていた

 

だが誰も知らない事に加え封印式自体が強力な為にあまり危険は無いと誰にも言わなかった

 

しかし万が一もある為にリボンには細工をしていた

 

封印が解かれる様な事があり、誰かが封印し直そうとした時に秘めてあった魔力が助力する様にと

 

100年経った今もバーンの想いは生きていたのだ

 

 

「でも……でもなのだー……」

 

封印が解かれる心配は無くなっても皆を危険に晒した罪悪感が素直に喜ばせない

 

「じゃあよ!あの二人に決めて貰えよ!」

 

魔理沙が親指で後ろに居る二人を差す

 

「チルノ……大妖精……」

 

ルーミアが見ると二人は無言のまま抱きついた

 

「良かったよルーミアちゃん……良かったよぉ……」

 

「その時はまたあたい達が止めてやるわよ!うだうだ言ってないで泣いて喜べ!バカー!!」

 

二人がルーミアを見て言った

 

 

   「あたい達!」   「私達!」

 

 

 

 

 

      「「友達でしょ!!」」

 

 

 

 

 

 

     二人の変わらない友情を受けて

 

 

 

 

 

       「……わはっ!」

 

 

 

 

 

 

     喜びの涙を流すルーミアは言った

 

 

 

 

 

 

 

      「そーなのかー……!!」

 

 

 

 

 

 

 

         笑顔で……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ギリギリでしたがなんとか……

常闇ノ皇決着編になります。
ラストバトル手前にしては色々と凄い事になってしまいました、やり過ぎた気もします……

不意にもこたんがポニテになったらすっごく可愛いんじゃないのかと思い始めた今日この頃……

年の瀬ですね、今年も読んでくれた皆様ありがとうございます!

良いお年をお過ごしください!

次回も頑張ります!
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