東方大魔王伝 -夢現幻想-   作:黒太陽

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第47話 夢、幻、そして……

 

「来るがいい、幻想の者達よ」

 

破壊神が告げた瞬間

 

「そこを退けぇ!!」

 

妹紅は飛び出していた

 

不死鳥を纏い殴り掛かる

 

「……遊んでいるのか?」

 

防御せず受けた破壊神は力すら込めていない

 

皮肉を込めた冷笑で妹紅を見ていた

 

「……アアアアッ!!」

 

破壊神を炎が覆う

 

「……」

 

軽く、本当に軽く

 

 

ドギャアッ!

 

 

破壊神は妹紅を指で押した

 

「妹紅!!」

 

凄まじい勢いで飛ばされた妹紅は柱を数本砕きながらようやく床を擦り、落下する

 

「ハハハ……そこの魔族より脆いのはわかってはいたがここまでせねば遊びにもならんとはな」

 

遊び

 

これは破壊神の戯れなのだ

 

理由などない

 

その気になれば妹紅など容易く殺せる力を持ちながらそうしないのは先を知っているから

 

死という結果が決まっているから道中を楽しんでいるのだ

 

バーンですら敵わぬ決して埋まらない力の差が破壊神を遊びへと戻らせていた

 

「妹紅を見て来て大ちゃん!」

 

大妖精を行かせると破壊神に冷気を放つ

 

「丁度良い……」

 

チルノの冷気を受けた破壊神は

 

「少々火照る体を冷ますには丁度良い温度だ」

 

涼しげだった

 

「クッソー!!」

 

自分の冷気をまるで休憩する様に涼しむ事に腹が立ち更に冷気を高める

 

「ご苦労、もう充分だ」

 

破壊神は小さな極小の魔弾を放った

 

チルノの冷気をものともせず進む

 

「舐めんなー!!」

 

直接触れて凍らせようと両手を伸ばす

 

チルノの冷気ならば凍らせれる、それだけ強い力を持っている

 

「避けなさい!!」

 

ただそれは今までの話

 

超越の存在の攻撃は例え手加減していてもチルノを上回る

 

それをわかっているからパチュリーが叫んだ

 

「……!!」

 

声は集中するチルノに届かず、魔弾は向かう

 

 

バシュ……

 

 

消えた

 

跡形もなく消えてしまった

 

 

「そうはさせないよ!!」

 

 

魔弾が

 

「……」

 

破壊神が魔弾を消した者、フランに目を配らせる

 

「チルノ下がって!」

 

能力により魔弾を破壊したフランがチルノを下がらせ破壊神に飛び込んだ

 

「うりゃー!!」

 

レーヴァテインを引き抜き切りかかる

 

「面白い能力を持っているな血の鬼よ」

 

剣先で魔剣を逸らし床を切りつけたフランを見ながら破壊神は剣を突き出す

 

「驚いたぞ……」

 

剣が一瞬ぶれた

 

「!!?」

 

フランは体を刻まれていた

 

「能力に頼らねば破壊も出来ぬその弱さに……」

 

倒れ、苦しむフランを眺めると顔を上げる

 

「フランから離れろ……!!」

 

目前には槍を構えたレミリアが居た

 

「魔槍「ブラッディースクライド」!!」

 

回転を加えた魔槍が破壊神に命中する

 

パシッ

 

「……!!」

 

映る光景にたじろいだ

 

魔槍は破壊神の指一本で止められていた

 

「……クウッ!?」

 

わかってはいても己が全力を力を込めてもいない指に防がれるのは苦い表情を作らせる

 

「レミリア!」

 

魔理沙が八卦炉を構えてビームを放とうとする

 

「フッ……」

 

静止していたレミリアの体が動く

 

魔槍はいつの間にか二本の指で掴まれいい様に動かされていた

 

ブンッ!

 

槍を振りレミリアを弾丸の如く魔理沙へと飛ばそうとする

 

「!」

 

破壊神が驚いた

 

魔理沙を狙った筈だった弾が魔理沙を大きく避けて飛んでしまったからだ

 

「加減を違えたか」

 

余りにも弱過ぎるレミリアの力を見誤り狙うより前に手が離れ飛ばしてしまっていた

 

「構いはせんがな」

 

残った槍を魔理沙へ軽く放る

 

「なっ!?」

 

腕を軽く振った様にしか見えなかった

 

なのにそれからは想像できない速さだった

 

「ッ!?」

 

対応出来ない魔理沙に槍が迫る

 

 

「……ッッ……!?」

   

 

槍は消えた

 

冷や汗を滴らせる魔理沙の眼球寸前で

 

「よく間に合わせたものだ」

 

破壊神は槍を消した張本人を見た

 

「私のモノで死なせるなんて……そんな馬鹿な事させるものか……!」

 

それはレミリア

 

壁に打ち付けられながらも手を伸ばし魔理沙の窮地を救っていたのだ

 

「それでこそ遊び甲斐がある」

 

破壊神は笑うと

 

「踊れ幻想達よ……私が飽きるまで……」

 

レミリアへ進む

 

「もし私に勝てたなら望みを叶えてやってもいい」

 

それは覚めない夢

 

幻想郷が見る終わらない悪夢

 

 

「さぁ見せろ、壊れる刹那に光る……生命の輝きを……」

 

 

破壊と殺戮の夢

 

 

「見せてやるよ!!」

 

 

破壊神をビームが飲み込む

 

「私達の……!!」

 

魔理沙は叫ぶ

 

 

「お前には壊せない……幻想郷の輝きを!!」

 

 

強く!

 

 

ビームに飲まれた破壊神は出てこない

 

「……これがそうか?」

 

 

出てこないのでは無い

 

「弱き輝きだ」

 

立ち止まっているだけ

 

ヴンッ

 

破壊神は周囲に魔力を放ちビームを打ち消すと

 

「そこで見ているがいい」

 

再びレミリアへ歩き出した

 

「……!」

 

破壊神がそれを感じたと同時に声が掛かる

 

「止まりなさい」

 

顔を向けるとそこにはパチュリーがメドローアを構えていた

 

「それ以上進めば撃つわ」

 

脅しでは無いと思わせる強い瞳だった

 

「消滅を与える魔法か……なるほど、確かに私でもそれを受ければ消滅に抗えんだろう」

 

破壊神が体をパチュリーに向けると告げた

 

「撃ってみるがいい」

 

笑いながら

 

「……!!」

 

メドローアを構える手に力が籠る

 

「どうした?やはり迷っていては撃てんか?」

 

「!?」

 

パチュリーの顔が歪む

 

「気付かんとでも思っていたのか?お前の強き瞳の内にある迷いに」

 

「……!」

 

「言わなくともわかる、お前は考えていた……私が反射出来るのか否かを」

 

更に歪むパチュリーを見ながら続けられる

 

「器となった魔族が反射呪文を使えていたからと考えていたのだろう?器があの魔族なら使えるかもと……そうでなければそれをすぐ作れるお前が他を相手していた私に撃たない理由が無い」

 

「……ッ!?」

 

「その上でもう一度聞いてやろう、撃つなら早く撃て、勝てる可能性にも縋れない知識しか持てないのなら大人しく順を待て」

 

顔はパチュリーから離されレミリアへ向かう

 

「……待ちなさい!」

 

背を向けた破壊神に叫び

 

(例え一か八かでも……もうこれしか!これしかないのよ!!)

 

それを撃つ

 

 

「メドローア!!」

 

 

消滅の光球が破壊神に向かう

 

パキィン

 

「察しの通りこの程度の呪文容易い……器など関係無しにな」

 

破壊神の背に反射光壁が出現する

 

(やはり……)

 

マホカンタの出現に予想通りだと覚悟していた目を見せていた

 

僅かにあった可能性を信じメドローアを放った

 

返される可能性の方が高かったから他の皆が攻撃している時には撃たなかった、自分にならともかく他に返されたら防ぎようがないから

 

返されたのが自分ならば相殺出来る

 

だから一対一でメドローアを放ち、良くて消滅、悪くても魔力の消費だけで済まそうとしたのだ

 

「気に入らんな、そのわかっていたと言いたげな目……気に入らん」

 

……フッ

 

相殺する準備をするパチュリーの前で光壁が消えた

 

「見せてやろう、私が破壊神たる由縁……」

 

メドローアを前に剣を構え

 

バシュ……

 

一刀の元に消し去った

 

「なっ……」

 

驚くパチュリー、その意味が彼女を戦慄させる

 

「私の前では消滅すら破壊の対象だ」

 

結果だけ見れば最悪より良かったと言える、相殺分の魔力を使わなくてよかったのだから

 

だが意味は違う

 

メドローアに消滅させられる事なく破壊出来る

 

それはつまりメドローアすら効かない事を意味していた

 

「ッ……~~~~ッ!?」

 

唯一の希望すら無意味に変わり、辛い表情を見せるパチュリー

 

(もう……勝ち目は……)

 

絶望が侵食してくる

 

理知が先立つ彼女は理解してしまったのだ

 

勝ちたいと思う気持ちは確かにある、あるのに理性から来る魂がどうしようもなく感じさせるのだ

 

 

もう何をしても……奇蹟が起きても勝てないと……

 

 

「……」

 

腕が下がる

 

戦う意思が無くなっていく

 

「死を受け入れたか」

 

破壊神が手をかざす

 

それはレミリアではなく

 

「望み通り殺してやろう」

 

パチュリーへ

 

「……」

 

頭を垂れ、足にすら力が入らなくなっていき、手を着いた

 

「悲観する事はない、むしろ誇るがいい……私を前にそこまで気を保てていた事を」

 

動かないパチュリーへ死を与える魔力が集まった時

 

「諦めるなよ……」

 

魔理沙が前に立つ

 

「めでたい奴だ、意思で勝てる次元の相手ではないぞ?」

 

破壊神が聞くと魔理沙は一瞬睨み

 

声を掛ける

 

「正邪が言ってた、私達は幻想郷で……不屈の魂を持った希望の戦士らしい、最後の最後まで絶望しない強い心こそが私達頂点の最大の武器なんだってよ」

 

絶望した友に向かって

 

「私もそう思う……だから戦おうぜ?眩しく燃えて……生き抜いてやろうぜ!」

 

そして

 

「なぁ皆!!」

 

集まった6人の友に

 

「だな……バーンも心配だけど先にこいつだ」

 

大妖精に肩を借りている妹紅は破壊神を見据える

 

「行くよパチュリー!」

 

「行きましょう!」

 

チルノと大妖精も見据えながら声を掛ける

 

「顔を上げなさいパチェ……頂点なら……私の親友なら!!」

 

「パチュリーが居ないとヤだよ!」

 

レミリアが肩に手を乗せフランと共に前を向いていた

 

「……」

 

6人の友情を受けたパチュリーは着いていた手を握る

 

「わかったわよ……!」

 

体に力が入り、ゆっくりと立ち上がる

 

「馬鹿よ皆……馬鹿は私ね」

 

魔力を高めると笑った

 

「やりましょう!」

 

戦える

 

勇気をくれる皆となら

 

「行くか……!」

 

力を合わせ7人は立ち向かう

 

 

 

「そうだ……それでこそ……」

 

 

 

声が響く

 

「!!」

 

7人はすぐにバーンを見た

 

「ベホマの……光……」

 

バーンは光に包まれていた

 

体が少しずつ起き上がる

 

(お前達がそうだからこそ……弱くとも諦めず、強く、眩しく生きようとするから……余を惹く様に立ち上がらせる)

 

魔法力が更に強烈な光を放つ

 

(照らしたくなるのだ……いつまでも……)

 

 

 

 

      余の……最愛の友よ……

 

 

 

 お前達に出会えて……良かったと……心から思う

 

 

 

 

 

立ち上がったバーン

 

破壊神の背から7人へ微笑みを向けていた

 

「バーン!!」

 

立ち上がったバーンに喜ぶ皆

 

(さっきの光……ベホマとまだ……あれは……)

 

パチュリーだけは気付いていた

 

バーンの出した光の違いに

 

「……貴様は破壊した筈だが?」

 

破壊神が背で問う

 

「余は不死鳥故……」

 

真っ直ぐに見据えたバーンは答えた

 

「死と再誕を繰り返すのが不死なる鳥、決して壊せぬ不尽の炎鳥……貴様ごときにこの不死の流転は止められぬ」

 

そう答えると破壊神がバーンへ向いた

 

「……本気で言っているのか?」

 

疑問の目で見ていた

 

「虚言を言うな強き魔族よ、笑わせるならもう少し愉快な事を言え」

 

破壊神は知っている

 

立ち上がれた理由を

 

「減らしたのだろう?」

 

バーンに問う

 

「減らした……?」

 

7人も意味はわからないが気になった

 

「僅かばかりの……」

 

破壊神が理由を告げる

 

その口を

 

「そこまでだ破壊の神よ、それは貴様が語るに及ばぬ事だ」

 

バーンが止める

 

「……結果は変わらんぞ?」

 

「どうだろうな……」

 

返した瞬間

 

「!?」

 

バーンが破壊神に一瞬で詰め寄った

 

ドウッ!

 

強烈な衝撃音を立て

 

「……!」

 

拳は破壊神の顔を側方に殴り飛ばしていた

 

「ヌ……アアアッ!!」

 

そのまま掴み掛かり7人から離れながら攻撃を続ける

 

「やった!効いてるぞ!」

 

喜ぶ5人

 

何が起きたのかわからないが勝機が出た事が嬉しいのだ

 

勝てるかもしれないから

 

「「……」」

 

だが押し黙る二人が居た

 

パチュリーと次いで気付いた魔理沙

 

二人はバーンを辛そうに見ていた

 

(バーンを包んでいた光、あれは補助呪文……)

 

(バイキルト、スカラ、ピオリム、マジックバリア……あるだけ全部使ったんだ)

 

戦えている理由を知っていたのだ

 

補助呪文を施し底を上げたから攻撃が通る様になっていたのだ

 

「……嫌だっただろうな」

 

「……そうね」

 

バーンが補助呪文を使用する意味と気持ちがとても理解出来る

 

「バーンは好まないもの……小細工なんて……真っ向から力でが信条だから」

 

「でも使った、矜持を捨ててまで戦うのはやっぱり……」

 

「私達の為……」

 

バーンは補助呪文を好まない

 

培った力で戦うのが彼の信じる力の在り方だから

 

「見て欲しくないだろうな……守る為だからって格好悪いところなんて……」

 

プライドを捨ててでも戦う理由があった

 

「そんな事……ないのに……」

 

守る為

 

友を守る為にバーンはプライドをかなぐり捨てて挑んでいるのだ

 

それを充分に理解しているから二人の表情は苦いのだ

 

 

「アアアアアアッ!!」

 

 

バーンが破壊神を打ちのめす

 

格好悪くなどない

 

友の為に全力を尽くすバーンは誰よりも気高く、美しかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人間の里

 

そこに居た者達は感じていた

 

7人の、バーンの戦いを

 

「……!!」

 

拳を握り見守る事しか出来ない

 

パレスから伝わる想いが表情を険しくさせる

 

「お願いします……!」

 

皆が祈る中

 

「~~ッッ!?」

 

何人かの耐える姿が見えた

 

(あいつらが頑張ってるのに……あのバーンが必死に頑張ってるのに……)

 

(私達は……見てるだけしか出来ないの……?)

 

今この場に居る事が正しい事なのかがわからなかった

 

(でも行ったところで……)

 

(無意味なのはわかってる……)

 

苦悩するのは助けたいから

 

助けにならないとしても助けたいから悩む

 

「……もう、我慢出来ない」

 

一人が意を決し前に出た

 

「足手纏いなんて知るか!私は行く!」

 

少女は叫ぶ

 

「今行かなきゃ……絶対後悔するから!どっちも絶望なら……私は後悔しない方を選ぶ!!」

 

天邪鬼は覚悟を示す

 

「……私も行く!」

 

「私も行きます!」

 

「私も行くのだー!」

 

続くは邪仙と鴉天狗に人食い  

  

(妹紅が諦めてない……皆も……なのに私は……)

 

諦めない意思を感じ、絶望していた姫の魂が動く

 

(負けてらんない……ここで……!ここで折れたままだったら……!私は一生……!)

 

「私も……行くわ!!」

 

(妹紅に勝てないから!!)

 

勇気を貰った魂が人知れず意思を燃え上がらせる

 

「およしなさい!」

 

「おやめください姫様!」

 

白蓮と永琳が止めるべく立ち塞がるが

 

「行かせてやれ」

 

ロンが割って入った

 

「最期かもしれないんだ、こいつらの好きにさせてやれ……どうするか、どうしたいかを決める決定権はお前達にも誰にも無い、違うか?」

 

「しかし……」

 

食い下がる白蓮にまた新たな者が割って入った

 

「そう……自分の魂に従っているだけ、この5人は勝つ為に向かう、私達は信じて待つ……それだけの事」

 

「負けたら最期なんだ!どうせならやるだけやって華々しく散れば良い!安心しな!負けたらそん時はあたしも一緒に死んでやるよ!」

 

咲夜と勇儀

 

「姫様!ファイトです!」

 

「正邪!頼んだよ!」

 

鈴仙とてゐ

 

信じて待つ者達が意思を託す

 

「……わかりました」

 

もう何も言うべきでは無いと知った白蓮は静かに諦め

 

「お気をつけて……」

 

道を譲った

 

「じゃあ皆……」

 

5人は振り返ると

 

「行ってくる」

 

パレスへと向かって行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「名は……バーンと言ったか」

 

なすがままに打たれる破壊神が不意に聞いた

 

「貴様にとってあの者達はなんだというのだ?」

 

素直な疑問だった

 

ここまでの力を持ちながら遥かに弱い者達を守ろうとする気迫が

 

「たわけが……!破壊のみの貴様が戯言を抜かすなァ!!」

 

バーンに答える気は無い

 

言っても理解は無いと知っているから

 

「あやつらを守る!それだけが余の全てだ!!」

 

更に攻撃は続く

 

「ハハハ……」

 

最中、破壊神は笑った

 

 

「ハハハハハハハ!」

 

 

響く程の声で

 

「何が可笑しい!!」

 

渾身の手刀が振り落とされる

 

「そうか、余程大事なのだな」

 

体に触れる刹那に破壊神は呟いた

 

ガアッ…… 

 

「面白い余興だった」  

 

破壊神が告げ

 

「!!?」

 

バーンは驚く

 

手刀は破壊神の肩で止まっていた

 

 

「礼に極限の悪夢を見せよう」

 

 

ズオオッ!

 

 

超越の魔力が解放されバーンを7人の前に押し返す

 

「!!?」

 

驚愕し冷や汗を流すバーン

 

「ッッ!?」

 

唇を噛み、信じられないと破壊神を睨む

 

「これが我が真の力、全てを暗き夢へ誘う……破壊の力だ」

 

尋常ならざる力

 

一人称すら変わる気を見せ

 

破壊神は全てを見せた

 

万物を破壊し、命を殺戮し尽くす絶対の力を

 

(余の全てを擲っても……足元にも及ばんのか……)

 

バーンは思い知る

 

差を

 

違い過ぎるレベルの差を……

 

効いていた様に見えた攻撃は効いてなかった、力を抜いていた破壊神を揺らせていたに過ぎなかったのだ

 

「どうしたのだ?今更怖じ気づいたとでも言う気か?」

 

もうレベルの差など生易しい事ではない

 

真の意味で次元が違うのだ

 

レベルと言う次元を越えた存在

 

この世の者を嘲笑うかの様な馬鹿げた力

 

「バ、バーン……」

 

もはや測る事すら出来ない力だったがバーンの焦燥に7人は苦しそうにするバーンが心配で声を掛ける

 

「……逃げよ」

 

破壊神から目を離さないバーンが言った

 

「生き残った者を集め八雲紫のスキマで異世界へ逃げるのだ!」

 

「な……何言ってんだバーン!?」

 

突然の言葉にわからないと妹紅が返す

 

「わからんのか!!奴には勝てん!このままでは皆殺しを待つだけだと!」

 

背を向けたまま叫ぶバーン

 

「早く行くのだ!反論は許さん!」

 

命令だった

 

有無を言わさぬ命令

 

バーンが友にそうするだけの事態だった

 

「……わかった」

 

言われた通りに逃げようとする6人と慧音とダイに向かおうとする妹紅に

 

「皆を任せたぞ……」

 

バーンは頼む

 

「……お前は!?」

 

それを行うのがバーンではない事を知り妹紅は問う

 

「……行け」

 

「バーンお前……」

 

妹紅はそれだけで察した

 

時間を稼ぐ気だと

 

皆が逃げ終わるまで破壊神を止めておく気なのだと

 

「持たせると断言したいが……アレ相手にいつまで持たせれるか保証出来ん、早く行け……余の命尽きる前に!」

 

願いにも聞こえるそれ  

 

どうあっても守ろうとする想い

 

「……わかっ……た」

 

妹紅は承諾した

 

その命すら懸けた想いを無下には出来ないとわかったから

 

だから心を殺し、友を見殺しにするのだ

 

生きろと言う友の願いを叶える為に……

 

 

ボッ

 

 

光線が二人の間を抜け

 

「ク……ッ!?」

 

「ガアッ!?」

 

バーンと妹紅の片腕が消し飛んだ

 

「逃がしはせん、誰一人として我が夢から逃げる事叶わぬ」

 

破壊神が迫る

 

「行けッ!」

 

腕を再生させたバーンが破壊神へ突っ込む

 

「グゥ……ッ!?バーン……!」

 

炎で止血する妹紅に6人が寄り肩を貸す

 

 

「ヌアアアアアアッ!!」

 

 

咆哮を上げ、破壊神を抑えんと掴み、殴り掛かる

 

「退け」

 

裏拳がバーンを吹き飛ばす

 

「ガァ!?ッ……アアッ!!」

 

倒れるのを堪えまたすぐに向かう

 

「ゴッ……ゴハッ……!!?」

 

虫を払う様な攻撃を受け吐血し体がふらつく

 

「……ハアッ……ハアアアアッ!!」

 

だがその行為を止めない

 

本当に命懸けで時間を稼ごうとしているのだ

 

ただ愛する友を生かす為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

7人は何故か止まっていた

 

逃げないといけないのに体は動かず、静かにバーンを見つめている

 

動かないのは恐怖からではなかった

 

「……なぁ皆」

 

妹紅が口を開いた

 

「我が儘……聞いてくれないか?」

 

バーンを見ながら問い掛ける

 

「良いわよ、考えている事は……きっと皆同じだから」

 

レミリアが答えると他の皆も頷いた

 

「……行くか」

 

妹紅が呟くと

 

無言で6人も後に続いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウゴッ……カァハッ……」

 

「もうよせバーン、楽しませてくれた礼だ、今一度見逃してやろう、貴様がこの世界で最も強き者なのだろうが上には上が居るのだ」

 

左腕を押さえ上体を下げ喘ぐバーンに破壊神は告げる

 

「ハァ……ハアッ……!?」

 

苦悶の表情を浮かべているバーンだがその胸中にはある言葉が浮かんでいた

 

((力が正義……常にそう言っていたな……バーン!!))

 

((これがッ!!これがッ!!これが正義かっ!!?より強い力でぶちのめされればおまえは満足なのかッ!!?))

 

((こんなものがっ……!!こんなものが正義であってたまるかっ!!))

 

遥か昔に聞いた言葉

 

それがバーンの心を反芻する

 

(これが余の望んだ正義なのだな……)

 

これはバーンが望んだ正義

 

力が正義だと言う持論

 

それを今、完璧な形で叩きつけられていた

 

(もう何が正義かわからなくなってしまった……)

 

昔の自分ならおそらく力無き己を弱者として受け入れ死んだだろう

 

ここまでの力の差を前に潔く諦めたと思う

 

(ただ……これだけは、これだけは疑い様の無い事……)

 

そう、昔なら……

 

「消えろ、これ以上は確実に死ぬ……我もつまらぬ者をいつまでも相手にするつもりは無い、残り僅かな余生を怯えて過ごすがいい」

 

破壊神の最期通達にも思わせる言葉に

 

「何を以て死とする破壊の神よ……」

 

バーンは静かに

 

「それは人によって異なるものだ」

 

されど強く

 

「余にとっての死……それは……」

 

絆を胸に

                                          

「友を守れぬ時だ!!」

 

 

叫ぶ!

 

 

魂の命ずるままに!

 

 

今のバーンには譲れないものがある

 

今や何よりも大事であり、己の命すら懸けるのを躊躇わない

 

生涯で唯一得た友を守る為の力

 

それが今の……確かに言える正義だから

 

 

「面白い、死んでもほざけるか試してやろう」

 

 

巨大な魔弾が放たれた

 

 

「……!!」

 

 

魔弾を前に、バーンは体に力を込める

 

 

(今なら理解出来る……お前が全てをかなぐり捨ててでも守ろうとした気持ちが……)

 

 

(お前に比べれば……小さな事だがな……)

 

 

「オオオオオオオオオオッ!!」

 

 

魔弾に向かい、バーンは進む

 

 

(生きてくれお前達……お前達が生きてくれるだけで……余は満足だ……)

 

 

死へ……

 

 

 

 

 

その時だった

 

 

バーンの後ろから7つの影が飛び出し、魔弾を防いだ

 

 

「……お前達!?」

 

防いだのは7人の友

 

力を合わせ魔弾をバーンに当たらぬ様に押し留めていた

 

「何故逃げなかったッ!!」

 

怒るバーンに

 

「見捨てるなんて事出来るか!」

 

妹紅が答えた

 

「悪いなバーン、無理だぜ逃げるなんてさ」

 

魔理沙

 

「バーンさんばっかり辛いのは嫌なんです!」

 

大妖精

 

「あたい達、友達でしょ!」

 

チルノ

 

「気持ちは一緒だよ!皆もわかってくれるから!」

 

フラン

 

「嫌とは言わせない……私達の絆に上下なんてないもの」

 

パチュリー

 

「死ぬなら一緒よ……バーン」

 

最後にレミリア

 

 

7人は決めていたのだ

 

どんな結果になろうと最期まで共に在り続けると

 

それが友に自分達が出来る唯一の事だったから

 

 

「……愚か者達が」

 

唇を僅かに吊り上げたバーンはすぐに7人に並び魔弾に手をかざす

 

「……余は大変な者達を友に持ってしまったようだ……」

 

力を合わせ魔弾を消した

 

「ほお……」

 

防いだのを見た破壊神が感心の声を出す

 

「破壊の神よ、貴様にも壊せぬ物があった……それは見えずとも確かに有る不滅の絆!」

 

バーンの言葉に呼応し

 

8人は構えた

 

「フフフ……面白い、いつまでも楽しませてくれる奴等だ」

 

破壊神は愉快に笑っている

 

「……まぁ、勢いに任せて来たのは良いんだけど……」

 

「どうしましょう……?」

 

魔理沙と大妖精

 

来たは良いが何も状況は変わらない

 

例え8人全員で挑んでも勝ちの芽すら無いのだ

 

「……」

 

どうするか迷っている中

 

(……もしかしたらアレなら……)

 

パチュリーは考えていた

 

(きっと私達がそうだから偶然出来た、さっきの攻撃を防げたのなら……それを意図的に攻撃に転化すればあるいは……)

 

蓄えた知識から導いた可能性

 

勝算など全くわからない賭けに等しい作戦

 

「……皆聞いて」

 

パチュリーはそれに賭ける事にした

 

賭けは賭けだが今このまま挑む0の勝率よりは勝てる可能性が0以上にはあったから

 

「あいつを倒せるかもしれない方法があ……」

 

 

ドウッ!

 

 

バーンが視界から消えた

 

「そこまでほざくなら見せてみるがいい、壊せぬ絆とやらを……」

 

破壊神のかざしていた手に全員は攻撃されたのだと知り破壊神と逆へ向いてバーンを探す

 

「……グカァ……ァ……!?」

 

バーンは壁に埋もれていた

 

既に多大なダメージを受けていたバーンはなんとか壁から出るも膝を着き起き上がれない

 

「バー……」

 

呼び掛けようとした言葉

 

「今のは違うのか?」

 

7人の前に立っていた破壊神に止められた

 

 

ドンッ!

 

 

破壊の力が7人を吹き飛ばす

 

「ッ……ァ……」

 

強烈な力に打ちのめされた7人は倒れたまま起き上がれない

 

「……」「……」

 

特に妖精の二人が危なかった

 

意識が途絶えかけて呻きすら出せていなかった

 

「これを殺せば絆とやらは壊せるのか?」

 

破壊神がチルノの前に立ち剣を突き立てる

 

「どうなんだ?答えろ……」

 

そのまま背後に居た者に問う

 

「バーン」

 

居たのはバーン

 

足を引き摺りながらも殺させんと来ていた

 

「壊れはせん……が……殺させぬ!」

 

剣へ手を伸ばした

 

「そうか」

 

ザンッ!

 

伸ばされた腕は切り落とされた

 

「ッッ……ガアッ!?」

 

波動を撃たれ床を転がる

 

「我が力でも壊せぬ絆とやらを見せろ」

 

歩み寄る破壊神

 

返答次第では殺すつもりだ

 

「……ガ……ハッ……」

 

立ち上がろうとするが体は震えるだけで上体を僅かに上げる事しか出来ない

 

「さぁ……見せよ!」

 

誰も止められない破壊神の歩み

 

 

「もう……見せてるだ……ろ……」

 

 

片腕の無い少女が止めた

 

「妹……紅……」

 

体は死に体、全身はズタズタ、片腕は無いし足は抉れ片目は閉じている

 

傷という傷から流れた血が体を赤く染め上げ血の道を作る程

 

「見えないのか……?ハハ……ならやっぱりバーンの言った通りお前には壊せないんだよ」

 

生きているのがおかしいとさえ思わせる傷

 

もう意思だけで動いているのだ

 

「……」

 

破壊神が無言で妹紅を見る

 

「……!?よせ!!」

 

バーンが気付いた時には既に動いていた

 

ガッ

 

「カァ……ァクッ……!?」

 

妹紅のある方の腕を掴まえ持ち上げていた

 

「……上等な口を聞くな人間」

 

掴む腕に力を込める

 

 

グシャ

 

 

「ア……ガッ……アアアアアアッ!?」

 

 

腕を握り潰され悲鳴を上げる

 

「よせ……!やめろ!!」

 

「ピィ!?ピィィィ!?」

 

バーンとダイが叫ぶが破壊神は聞こえない

 

「……ム?」

 

破壊神は気付いた

 

「貴様……人の姿をしているが人ではないな?……不滅の魂を持つ不死人か」

 

妹紅が不老不死であると

 

「なるほど不死故か、不死故にここまでやっているのか……しかし」

 

その剣に力が込もる

 

「我が力は不死の魂すら破壊が可能、息絶えれば魂は砕かれ、我が糧となる」

 

その力に限界は無い

 

真の破壊の前には例外など存在しないのだ

 

例えそれが少女が長年悩んでいた不老不死であろうとも……

 

「……勘違い……するな」

 

妹紅は消え入りそうな声で呟いた

 

「不死なんて……関係ない……」

 

破壊神は思い違いをしているのだ

 

「私は……!!」

 

だから言う、魂が決めた

 

「友達を助けたいからやるんだ……!!」

 

生き方を!

 

(妹紅……!)

 

バーンの顔が歪む

 

友にそこまでさせてしまう自分の不甲斐なさが憎い

 

「何を言っているのか理解に苦しむ……もういい、貴様を殺し、絆とやらが壊せるか試すとしよう」

 

剣を持つ手に力が入る

 

「よせぇぇぇ!!」

 

「ピィィィィ!!」

 

止めるべく動こうとするが体は動かず、ダイは叫ぶ

 

「……」

 

ぼやける目で剣を見つめている妹紅

 

(生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く……死に死に死に死んで死の終りに冥し……)

 

思うのは化物である自分の事

 

(皆……死ぬみたいだ私は……皆と同じ様に……)

 

自分すら越える化物を前に妹紅は戻れていた

 

皆と同じ場所に

 

(先に待ってる……行き先はこいつの中らしいけど……また会えるといいな……)

 

瞳を閉じ

 

死を受け入れた

 

「死ぬがいい」

 

剣が心臓へ向かう

 

(このままでは……妹紅が死ぬ……!止めねば!!)

 

バーンは必死に動こうとするが僅かに体を起き上がらせるだけで動けない

 

「クッ……妹紅……!!」

 

止められない

 

自分ではどうやっても止められない

 

(頼む……!)

 

必死の形相でバーンは頼んだ

 

(誰でもよい……!救ってくれ!)

 

祈った

 

(妹紅を……!)

 

願った

 

 

(余の友を!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        「いいよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かが言った後、バーンの横から飛び出した者が妹紅を救った

 

 

「……わざわざ殺されに来るとは……この世界は本当に楽しませてくれる」

 

破壊神が目を向けた先には6人がバーンの傍に立っていた

 

 

「ここは幻想の郷、幻想が生きる楽園だ……夢はお呼びじゃあ無い……出てって貰おうかい」

 

 

友と言う絆があれば仲間と言う絆もある

 

これは必然

 

バーンが繋げた絆の起こした必然

 

 

破壊の運命を前に絆の力を集めた幻想は夢へ立ち向かう

 

 

 

終焉の時が迫る

 

 

 

全てが終わった後に残るのは

 

 

 

 

 

 

夢か、幻想か……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遅くなりました、仕事が忙しいのと結局一万字越えたのもあって時間が掛かりました、3月中は週一無理っぽいかも……

今回は破壊神無双でした、正直やり過ぎた様な気もしてましたがあの幻魔王との戦いを改めて見たらそうでもないかなと思うくらい破壊神は強いです。

次話ついに決着予定です!

次回も頑張ります!
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