ウジョー様の作品「ハドラー子育て日記・コーセルテル編」のコラボになります。
「なんだこれは?豚の餌か?」
昼食に出された食事を見たバーンは即座に言い放った
「バ、バーン様……それは言い過ぎかと……」
慌てふためく咲夜
「なにがだ?お前はこれが人に食させる物に見えると言うのか?」
皿に盛り付けられた……いや、置かれた暗黒物質のような物体を指して問う
「し、しかしそれはお嬢様が心を込めて作ったものですので……」
「想いを込めれば家畜の餌を食わせてもよいとお前は言うのだな?」
「わ、私は大丈夫です……ムシロゼンブタベタイ」
「お前の腐った忠誠心で話をするな馬鹿者、喜んで食うのはお前だけだ……違うかお前達?」
同じく物質を並べられている6人に問い掛ける
「……料理が初めて、ってのは理解してたけど流石にこれは……なぁ?」
妹紅も顔を曇らせている
「ああ……これは無いぜ……何をどうしたらこうなるんだ……料理でダークマター作る奴なんて一人しか聞いたことない……料理じゃなくて錬金術したんだろ?そうだと言ってくれ!」
魔理沙が顔を引き吊らせてながら答える
「すいません……私もこれはちょっと……」
大妖精は異臭を感じ鼻を押さえている
「これならあたいの方が絶対上手いって断言出来るわ……」
同じく鼻を押さえるチルノ
「きゅっとしてドカーン!」
フランは破壊した
「ごめん……持病の喘息が……ゲホゲホッ!?」
パチュリーはとっくの昔に魔法で治している喘息を仮病に逃げようとしていた、と言うか謝った時点でダメなのだが
「これが答えだ、お前はどう思うのだ……?」
バーンはさっきからずっと俯いて震えている者に聞いた
「レミリアよ……」
料理を作った張本人に
「もう……いいわ……」
震える声でレミリアは呟いた、最後の理性で怒りを必死に抑えているのがわかる
「咲夜……お気に召さないみたいだから貴方が作ってあげなさい……!」
無理して平静を装っているのは誰の目にも明らか、後ほんの一言で理性が飛ぶのがわかるくらいに
「では失礼するわ……」
幸いにもその一言は誰も言わなかった
そのままレミリアは震えながら自分の部屋に戻って行った
「聞いた通りだ、代わりを持て」
「わかりました……」
咲夜の作った料理にて昼食は事なきを得た
ズドオッ!
上階で轟音が鳴った、間違いなく破壊音
おそらく壁でも殴ったのだろう
「……」
全く気にしていないバーンと焦っている6人は昼食を済ませた
紅魔館・図書館
「……!」
魔導書を読むバーンは視界に入った物を見て反応した
「小悪魔よ」
本を抱えて走り回る小悪魔を呼び止める
「はい?なんですかバーンさん?」
「手に持つそれを見せよ」
小悪魔がバーンに寄ると手に抱えたいくつもの本の中から一際大きな本を抜き取る
「……やはりあやつのか」
「その紙芝居がどうかしましたか?」
数冊ある本、それは紙芝居だった
「あら……懐かしいわねそれ」
そこに気付いたパチュリーが声を出した
「その紙芝居、貴方の事書いてるのよ?」
驚くべき事を告げる
「知っておる」
だがバーンは驚かなかった、何故なら
「これは余が知古に頼んで作成させた物だからな」
紙芝居にはバーン自身が絡んでいたから
「……どういう事?貴方消えてた筈でしょ?」
「余にも説明は出来んが……これを見て何故か紙芝居の完成に至るまでの過程を思い出した、話せば長くなる故またの機会に話してやろう」
そう言って紙芝居を一冊手に取り捲る
「これはいつからあった?」
「私にもわからないの……いつの間にかここに有った、見つけたのは50年程前にロン・ベルクから貴方の事を聞いた後、魔界言語だったから翻訳したらビックリしたわよ、著・ハドラー、協力・バーン、なんて書いてあって見たら貴方の事だったし……」
「そうか……これをレミリアには?」
「見せてないわ、ロン・ベルクから既に聞いた事だったから」
「ふむ……そうか」
紙芝居を捲るバーンは心なしか楽しそうだった
「……ねぇバーン?」
そんなバーンにパチュリーは聞いた
「レミィの事……放っといて良いの?」
怒らせた親友の事を
「構わん、直に戻る」
だがバーンは全く気にしていない
「冷たいのね……貴方の妻になるのに……愛があるんでしょ?可哀想だと思わないの?」
ピクッ……!
その一言がバーンの指を止めた
「妻……妃か……」
少しばかりの怒気を含みバーンはパチュリーを睨んだ
「愛だの可哀想だのと軽々しく言葉を垂れ流すなパチュリー」
気圧されるパチュリーに言い放つ
「舐めるでないわ」
言葉に表せない
「あれは余が選んだ女だ、余とあれの間に余計な気遣いなど要らぬ」
真の愛を
それには流石のパチュリーも
「要らない世話だったわね……」
何も言えず読書に戻った
「……」
紙芝居を読んでいたバーン
(可哀想か……)
ふと言われた事が頭に浮かび紙芝居を見つめる
「む……」
(そういえば確かあやつは……)
ある事を思いだし同時にロンからの贈り物を思い出す
(なるほど、奴はこれを見越していたか)
暫し沈思黙考した後、バーンは魔力を飛ばす
「何かしら?」
スキマから紫が現れる
「お前に連れていって欲しい場所がある」
「また突然ね……どこへ何をしに行くつもりなのかしら?」
「その前に確認したい……この紙芝居を持ってきたのはお前だな?」
「……おそらくね」
「えらく抽象的だな」
「だってその紙芝居を持ってきた記憶が無いのに何故か私が持ってきたと感じてるのよ……だからおそらく、何かの意思を感じるわ」
「何かの意思……か」
二人は考えるが拉致の開かない事だとすぐに悟り目的に戻ろうとした
「紅茶貰って来たぞー……って紫がここに居るの珍しいな、何かあったのか?」
そこに妹紅等が現れレミリア以外全員が揃った
「丁度よい、出掛ける支度をせよ」
「出掛ける支度ぅ?なんだよ藪から棒に……どこへ?何しに?」
「それはだな……」
レミリアの私室
「確かに料理は初めてだったわよ……咲夜に教えて貰いながらだったし……でもバーンに食べて貰いたくて頑張ったのに……」
怒り治まったレミリアは部屋で一人悲しんでいた
「いくら下手だからって……あんなにハッキリ言わなくてもいいじゃない……」
ベッドに転がりふて寝を始めようとしたその時、ドアがノックされた
「入るぞレミリア」
声はバーンだった
「今は一人になりたいからやめて」
フンッと顔を逸らした瞬間
バキャア!
ドアが吹き飛びバーン達が入ってきた
「……ドアまで壊して何よ?」
不機嫌に睨むレミリア
「ゆくぞ」
気にせずバーンは告げた
「いきなり何よ……」
「すぐに出る、早く支度をしろ」
「……」
強引な誘いに溜め息を吐いたレミリアは起き上がり答えた
「わかった行くわよ……行くからせめてどこに何をしに行くかだけ教えなさい」
咲夜と美鈴も加えた皆の前で支度をしながら問う
「場所は異世界、そこに居る古い知人にお前を会わせたく会いに行く」
「幻想郷じゃなくて異世界?どこなの?」
「そこはかつて竜の都と呼ばれた場所だ……」
「竜……」
支度を終えたレミリアが顔を向けると既にスキマは開き、前でバーン達が立っていた
「そう竜……今から向かう場所は竜の住む国……」
身を翻したバーンはスキマへ入りながら告げる
「コーセルテル」
コーセルテル
「よし、仕込みはこんなものか」
とある一軒家で元魔王は料理をしていた
(まだ夕食まで時間があるな……ジゼルを鍛えるとするか)
身に付けていた調理服を脱ぐと娘の場所へ向かう
「瞑想の修行を行うぞジゼル」
「はーい!」
娘の子竜と共に外で瞑想を行う
「……」
深く潜る元魔王はやはりダメかと内心溜め息を吐いていた
(やはりあの方は居られん……数年前から毎日試してはいるが気配すら感じられん)
瞑想を止めると隣の娘を見ながら思う
(バーン様……何かあったのか……)
その時だった
太陽が強く輝いたと思った瞬間
「ッッ!!?」
凄まじい魔力をコーセルテル全体から感じた
『あなた!』
内なる聖母竜が語りかける
「わかっている!この魔力はオレを呼んでいる!」
互いに知っている魔力、聖母竜は危険が来たと慌てている、元魔王は慌てては居るが聖母竜とは違う意味で慌てていた
(ここに貴方の様な方が来れば混乱が起きる!)
コーセルテルは魔族が原因で一度滅んでいる、再興した今は閉鎖的な国になっており外部の人間や他種族の来訪、特に魔族などがくると騒ぎになる
魔族なだけでも騒ぎなのに大魔王と呼ばれた魔界最強の実力者が突然魔力を解き放って現れた
騒ぎどころか大混乱に違いない、だから元魔王は攻めて来たのでは無いと知りつつも慌てていた
「ジゼル!」
娘を呼ぶ
「……はい!なんですか?」
瞑想を止めた娘は普通に返してきた
「……?」
その様子が気になったが
「じっとしていろ!動いてはならんぞ!」
急いで呼び掛ける魔力の元へ急行した
「へぇ……ここが竜の住む国かぁ」
周囲を見回す皆
幻想郷とは異なる風景が珍しく興味深々に見ている
コーセルテルの住民は何故か異邦人である皆を全く気にしていない
「それで誰に会うの?」
「呼び出しはしておいた、直に来るだろう」
「ふーん……で?何者なのそいつ?」
「うむ、その者はかつて余の配下だった者、魔王を経たのち魔軍司令となり、最後は誇り高き武人にまでなった不屈の男だ、噛みつかれた事もあるが今の余がミスト以外で全幅の信頼を寄せる古き知人よ」
「随分と買ってるのねそいつを?」
「紙芝居を共に作った仲でもあるのでな」
「元大魔王と魔王が何やってんのよ……それで?そいつはなんて言うの?」
バーンが名を答えようとした時だった
凄まじい勢いでやって来る気配を感じ視線が集まった
「バーン様!!」
現れた大柄の魔族の男がバーンの名を呼ぶ
「久しいな……ハドラーよ」
微笑みを見せ、バーンは名を呼んだ
バーンの会いに来た者はハドラー、かつて配下としていた元魔王、訳あってハドラーはここコーセルテルで生活をしていたのだ
「どういう事ですかバーン様!連絡が取れないと思えば突然の来訪!しかも私の知らないその姿!そもそも何故貴方が生きている!?いや、それより貴方が来ればコーセルテルに混乱が……」
矢継ぎ早にハドラーは捲し立てる
「落ち着けハドラーよ、話せば長い、後で話してやろう……その前に先にお前の一番の懸念、ここコーセルテルの混乱の有無には答えておこう」
「そうだ!貴方の様な魔族が来たとなればここでは大事件!早く魔力を抑えてください!」
「心配は要らん、その証拠に誰も我等を奇異の目で見ておらん」
「……確かに、ジゼルもそうだったがここに来る途中も誰も騒いでいなかった……何をしたのですかバーン様?」
「それは私が答えましょう」
紫が口を挟んだ
「コーセルテルの住民全てに術を掛けて一時だけ認識を変えたのよ」
「変えただと?」
「ええ、「私達の存在が日常になる」って認識に、だからバーンが魔力を高めてもいつもの事だから誰も気にしない、貴方に掛けなかったのは呼ばないといけないからね」
「……!?」
それを聞いたハドラーは驚きを見せた
(そんな大層な事を……)
能力の高さに驚きを禁じ得ない、バーンからある程度は聞いていたがそれでもこのコーセルテルを下手をすれば無傷で陥落させれる力が驚きなのだ
「ですがバーン様、来てくれたのは嬉しい限りではありますが……」
まだ懸念はあった
「オレは「他者をコーセルテルに連れて来ない」との約束をしています……」
それはハドラーがこの地へ来る時に交わした約定、それに抵触するのではと思ったのだ
「それも知っておる、だがハドラー……」
しかしバーンは優雅に告げる
「お前が招いた訳ではあるまい?」
「ム……」
難しくハドラーは考える
「自ら来た余等がどうすればその約定に触れると言うのだ?」
「ムゥ……」
そう言われればそうだ、自分が連れてきた訳ではない、あくまで連れてこないだけであり勝手に来た分には適用はされないと言われハドラーは考える
(特に騒ぎは起きていないし起こす気も微塵に感じれん、まぁ……良いか)
結論を出したハドラーは落ち着きを取り戻すと問う
「いいでしょう、では何用でオレを訪ねに来られたのですか?旅行がてらに会いに来た……ではありますまい?」
「フフフ……お前の腕を見込んで頼みがあるのだ」
「……なんでしょう?」
妖しく微笑むバーンに方唾を飲むハドラー、重要な事を頼まれるのではないかと若干汗をかいている、他の皆も目的を聞いていない為に二人を見つめている
「料理を教えて貰いたい」
全員が一瞬固まった
「何かと思えば料理かよ……緊張して損したぜ」
「だな、でも……なるほど料理か」
「ふふっ……なんだかんだ言ってやっぱり優しいのね」
内容に納得する皆と一人だけまだ驚いているレミリア
「……料理を、ですか?」
「うむ、余の妃となる者に料理を教えて貰いたいのだ」
「バーン様の奥方様にオレが……?」
「そうだ、目に余る酷さ故にな……余の住まう館には専属のメイドが居るゆえ別段覚える必要も無いが覚えていて損はあるまい、それに……」
バーンは振り向きレミリアを見る
「お前の想いが込められた料理をまともに食べてみたいのでな」
「……!」
レミリアは感激していた、ちゃんと自分の事を考えてくれている事に
「と言うわけだ、頼めるかハドラー?」
「そういう事ならば喜んでお受けしましょう、しかし……オレは厳しくいきます、それはバーン様の奥方様であろうが変えるつもりはありませんがそれでも?」
「構わん、方法は一任するが……手痛い反撃を受けんようにな」
「……?わかりました」
ハドラーはバーンの後ろに居る皆に向かい呼び掛けた
「奥方様は誰か!」
少し威圧感を出していた、教える立場故に舐められてはいけないと思い鬼教官の雰囲気を出す
「わた……」
レミリアが名乗り出ようとした時だった、バーンがハドラーに言った
「当ててみるがいい」
「……いいでしょう」
ハドラーも乗り、紫含めた10人を凝視する
(バーン様の奥方ともなればやはり力と知性、両に優れた聡明な女性に違いない)
考えのもとに一人一人見ていく
「ふふん!」
自信満々に構えているレミリアをハドラーは見た
(……無いな)
レミリアは素通りされた
(そもそもほとんどが少女ではないか!全くバーン様も馬鹿にしておられる……先の術も考えれば答えは一つではないか……)
確信を得たハドラーは指を差す
「貴方ですな?」
この中で一番大人びている紫に……
「あらあら、私もまだまだ捨てたもんじゃないみたいね」
「プッ……」
「笑うなって魔理沙……わかるけどさ……ククッ……!」
満更でもない紫と笑いを堪える魔理沙と妹紅
「……」
そして不機嫌なレミリア
「残念ながらそやつでは無い」
「なんと……」
外れて驚きを見せたハドラーはまた考えながら凝視する
(さっき笑った奴が二人居た……笑えるのは自分ではないからだ、よってこの二人は除外……そういえばバーン様はメイドと言っていたな、あのメイド服がそうか……む?あの中華服、違うとジェスチャーを……ならば残るは5人か……)
残るチルノ、大妖精、フラン、パチュリー、レミリアを見ていく
(全員ガキではないか……特にこの頭の足らなそうな青いガキと大人ぶっている白いガキは違うに決まっている)
二人は除外され3人を見ていく、その前にレミリアがまたもヒントを出す様にウィンクした
(無いな……オレを罠に嵌めようなどと片腹痛い)
またも無視された
「フッ……わかりましたぞ誰が奥方様か、見た目に似合わぬ隠された高い魔力、そして知性を感じさせる瞳……貴方ですな?」
ハドラーは指を差した
「……私?」
パチュリーを
「違うわ」
「プッ……アハハハハ!」
「ごめん……私も無理……アハハハハ!」
レミリア以外が笑った
「残念だがハドラー……答えはお前の目の前の女だ」
「なんですと!?」
驚愕するハドラーは不機嫌なレミリアを見る
「……フッ」
何故かハドラーは笑った
「バーン様も人が悪い……こんな子どもが奥方様な訳がない、使い魔か何かでしょう?」
ハドラーがバーンに振り向こうとした瞬間
ドゴオッ!
「誰が使い魔だ……ガキが!」
レミリアの拳が腹にメリ込んでいた
「アガッ……!?」
口を開け鼻水を垂らしレミリアを見つめるハドラー
「ハッハッハ!ハドラーよ、見た目は子どもだがお前より歳上だ、甘く見るとそうなる、気を付けよ」
「グッ……失礼しました……」
顔を歪めるハドラーにレミリアは微笑しながら言った
「よろしくお願いするわ……先生?」
異界の地、コーセルテルで始まった料理教室
果たしてレミリアは無事料理を習い、バーンに食べさせる事が出来るのか?
吸血鬼の花嫁修業が幕を開ける
ようやくこぎつけました、かねてより考えていたコラボ回第一弾!
実現出来た事に感謝です、ちなみに私の作品もウジョー様の作品に出演しています。
細かい設定などは是非ハドラー子育て日記の方を読んでみてください、聖母竜良い味出してます。
少々作品間で矛盾がありますが下の方で苦しいながら説明するつもりです、まぁお祭りみたいなものですのであまり気にしないで頂けると幸いです。
早々にギャグやってハドラーに鼻水出させてしまって大丈夫かなとビクビクしながら書いてます……
次回も頑張ります!