紅魔館
「テーブルをもっと持ってきて!そこの妖精メイド!サボるな!1回休みにするわよ!」
咲夜が慌ただしく用意をしている
「椅子は壁際に並べて!人数が多いから立食パーティーにするから!」
今日はパーティーの当日だった
だから咲夜は慌ただしく館内を駆け回っている、幻想郷全てから大部分の人数が訪れるのだ、空間を広げたりと大活躍である
むしろ咲夜が居なければ紅魔館でのパーティーが成立しないくらい重要な位置に居る
「ウォルター!料理の準備はどんな感じ!?」
「こちらは問題ありません、最初に出す分は仕上げと盛り付けを残すのみ、今は追加分の仕込みをしています」
「わかったわ、厨房は任せたからそのままお願い!私も落ち着き次第向かうから!」
「わかりました!」
紅魔館で働く者全てが駆け巡る言わば戦場
「……」
その戦場をコソコソと抜けていく者が一人
「よし、誰も居ない、今の内だ……」
幼い緑の妖精が皿に盛られた料理に手を近付ける
「何をしているのですか大妖精?」
「ひゃわぁ!?」
声を掛けられ飛び上がった
「うっ……ウォルターさん……」
大妖精が怯えながら振り向く
「まさか料理を取ろうとしましたか?」
「あう……はわわ……」
ウォルターの出す威圧感に後ずさる大妖精
「ごめんなさいッ!!」
謝って逃げ出した
「待ってください」
ウォルターが優しい口調で言うと大妖精がドアの隙間から恐る恐る顔を覗かせた
「何か理由があるのですね?」
ウォルターは大妖精が摘まみ食いをする子ではないと知っている、その大妖精が料理を取ろうとしたのだから何か理由があるのだと察し聞いてみたのだ
「……何にもありません、ごめんなさい」
だが大妖精は話さなかった
「……わかりました、この料理は差し上げれませんので代わりに何か作りましょう」
「えっ!?そんな大丈夫です!自分で作れるのにズルしようとした私が悪いんですから!」
「いいですから……今は忙しいので簡単なものしか作れませんが何かリクエストはありますか?」
「じゃ、じゃあ、おにぎりを何個か欲しいです……」
(やはり誰かにあげる為ですか……紅魔館の人達ではなさそうですね、外へ持っていくからこその携帯しやすいおにぎりでしょうから)
「わかりました、少し待っててください」
慣れた手つきで瞬く間に10個のおにぎりを作り、箱に入れ大妖精に手渡した
「どうぞ」
「ありがとうございます!」
喜ぶ大妖精に微笑むと仕事へ戻る為に背を向ける
「お早めに戻ってください、パーティーに遅れるとフランドールお嬢様が怒りますので、ではお気をつけて……」
「はい!わかりましたウォルターさん!」
礼をした大妖精は出ていき、ウォルターは仕事へ戻っていった
図書館
「パーティー楽しみだね!」
「そうねフラン!どっちがたくさん食べるかあたいと勝負よ!」
上機嫌にフランとチルノがはしゃいでいる、それを眺めているバーン達
「チルノはともかくフランも毎回いつも初めてみたいに楽しそうよね……どうしてかしら?」
「そうだよな、チルノはともかくフランは毎回あんな感じだもんな……わかるか居候?」
「誰が居候だ、最近はお前等が泊まれって帰らせてくれないからだろうが……それはともかくわかんないな、親分はともかくフランは……」
「聞いてくればいいじゃない、ねぇバーン?」
レミリアが聞くとバーンは話を聞いていないように考え事をしていた
「どうしたの?」
「ん……いや、何でもない……すまぬ、少し席を外す、パーティーには参加する故心配するな」
そう言って自室へと戻っていった
「なんか最近変だよなバーンの奴……」
「そうだよな、なんか11月になってからよく一人で出掛ける様になったし、聞いても教えてくれないし……レミリアお前なんかした?」
「してないわよ……」
「ふーん……」
パーティーの開始まで時間を潰す面々
「あ、そうだ!レミリア、パチュリー!アレなんだけどよ……」
「わかってるわよ」
「準備は出来てるわ」
コソコソ3人は話をしている
「妹紅?」
「なんだレミリア?」
「実は今日のパーティーはドレスの着用が参加の条件なのよ」
「は?聞いてないぞ?」
「そうでしょうね、言ってないもの」
「言えよ!」
「言ってもドレス持ってないでしょ?」
「……持ってないけどさ」
「だから貸してあげるわ、感謝しなさい」
「えー……」
「最初は普段着で後半に皆でお披露目する予定にしてるの、わかった?」
「……本当に着なきゃダメか?いいだろ私一人くらい」
「フラーン!チルノー!妹紅、パーティーに出ないって!残念ね!」
それを聞いた二人が妹紅に詰め寄り捲し立てる
「なんで!?なんで妹紅出ないの!?皆でパーティー出ようよー!」
「出なさいよ妹紅!親分の命令が聞けないのかー!」
有無を言わせぬ口撃にたじろぐ妹紅
「わかった!わかったから!出るから落ち着けって!着れば良いんだろ着れば!」
観念してドレスの着用を承諾した
「チョロいわね」
「レミリア……お主も悪よのぉ」
「いえいえ大魔導士様ほどでは……って何やらすのよ」
「今夜が楽しみね」
悪どく3人は笑った
迷いの竹林
「こんにちはー!」
大妖精が親子の居た場所に訪れる
「……あれ?居ない……」
だがそこには誰も居なかった
「あ……」
辺りを見回すと隠す様に置かれたある物を見つけた、自分があげたお菓子の箱、それだけが置かれていた
「どうしてこれだけがあるんだろ……?」
手に取り開けてみると中には手紙が入っていた
「「また来るから、その時はいっぱいお話しましょう」……行っちゃったんだ……」
その顔は寂しげ
(そうだよね……何か事情があったみたいだし、いつまでも居られないよね……)
ここから去ったのだと知り肩を落とす
「大丈夫!来るって書いてあるんだもん!また会いましょうね!」
気を取り直して紅魔館へ戻っていった
紅魔館
「ねぇウォルター!」
「どうしましたフランドールお嬢様?」
用意を終えて一息ついていたウォルターにフランが話しかけた
「お仕事ご苦労様!」
「この程度、皆の……お嬢様の為を思えば造作無い事です、咲夜さんと同じく苦にもなりません」
そう言いながら紅茶を差し出されフランは嬉しそうに並んで飲む
「フランドールお嬢様?お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「いいよ!何?」
「何故、フランドールお嬢様はパーティーの度にまるで初めての様に楽しみにしてられるのですか?」
ウォルターも気になっていたのだ
普通、主にこんな質問はしない、傍らに立って主に付き従うのが執事だからだ
それが出来るのはひとえに主従でありながら家族の様に思うこの二人だからこそだろう
「うーん……なんか言うの恥ずかしいなぁ」
「無理にとは言いません、私も少し気になった……程度の事なのでお嬢様が言いにくいのであればそれでいいのです」
「ウォルターには言いにくいって訳じゃないんだけどね」
「わかっております、まだ日は浅いですがバーン様達と遜色無い絆があると私的には思っています、大丈夫ですよ」
紅茶を飲み終えたウォルターはフランのカップを貰い立ち上がる
「もうすぐパーティーの開始です、お嬢様も御準備なさってください……ちょうど大妖精も帰ってきました」
廊下を指差すと大妖精がテクテク歩いていた
「うん!じゃあたし行ってくるね!」
「何かありましたら何なりと申し付けください」
笑顔で大妖精に向かって飛んでいったフランを見てウォルターも笑顔になって戻っていった
もうすぐ楽しみにしていたパーティーが始まる
「聞いたか?なんでも紅魔館って所でデカイパーティーやるんだとよ、ここの住人の殆どが参加するらしい」
「聞いた聞いた、それで相談なんだがよ?盗みに入らねぇか?」
「手薄になった里やらじゃなくてその紅魔館にか?」
「そうだ、シケた里なんかじゃなくてよ!そんなデカイパーティーするぐらいだからお宝ぐらいあるだろうよ、それにそんなに居るなら俺達10人くらい入ってもバレやしねぇだろ、木を隠すなら森って言うだろ?」
「そうだな……あの女には感づかれて逃げられちまったし、このまま戻って制裁受けるより何か手土産でも持ってきゃお頭も許してくれそうだしな」
「よし、決まりだな……行くぜ野郎共!」
そして開宴の時は来た
パーティー会場
「流石にこれだけ揃うと凄いわね」
広い会場を犇めく様に人と妖怪が入り乱れている
「妖夢、とりあえず全部持って来なさい」
「それはさすがに幽々子様が食べれるか以前に許されないかと……」
「聞こえなかったの妖夢?私は全部持って来いと言ったのよ?」
「ヒィ!?わ、わかりましたぁ!すぐ持ってきます!」
「いつも思うが……食事の時だけはバーン並の威圧感だな……追加を言っておくか」
さぁ急げ!早くしないと大食い幽霊に全て食べられるぞ!
「ヒャッハー!酒が美味い!やぁやぁ幽香さんや!飯はまだかのぅ?ツマミが食べたいねぃ!」
「……一昨日食べたでしょ」
「毎日食わせろ!!」
「いつから私はあんたの家政婦になったの?腐れ根無しのホームレスが……」
「あれあれ?いいのかいそんな事言って?霧の萃香ちゃん怒っちゃうよ?」
「かかってきなさいよ、花の養分にしてやるから」
逃げろ逃げろ!火事と喧嘩は幻想の華!霧と花の大妖怪が暴れだすぞ!
「フフッ……ぬるりと来たわ、ツモ!大車輪!」
「カン!ツモ!清一色、対々和、三暗刻、三槓子、赤1、嶺上開花……数え役満だよ!」
「御無礼、純正九蓮宝燈です」
「ふざけんなテメェラァァァ!!」
迂闊に挑むな!二人の夜と河童の雀鬼達に食い潰されるぞ!
「私が代わりに打ちましょう……」
雀鬼達も逃げろ!地霊の主に食われるぞ!
「師匠!」
「モグモグ……もう私は貴方の師匠ではありませんけど鈴仙?」
「そう言わず!私の新しい技を見てください!」
「新しい脇……?脂汗?」
「まそっぷ!って違いますよ!?技です技!行きますよ!「二重の極み!」……アッーッ!?」
「モグモグ……勝手に飛んでっちゃった……まっいいか、コレ美味しいですね、モグモグ……」
「……美鈴」
「なんですかミスト?モグモグ……」
「また来たぞ」
「しつこいですね……モグモグ……えい!三重の極み!」
「ぐえぇー!!?」
「何人か巻き込んじゃいましたが……うん、これでよし……モグモグ……」
「……不憫な姉弟子だ」
武道家の間合いに近付くな!離れていなきゃ食うのは巻き添えだ!
「龍神様大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけないだろ……でもお陰でようやく理解出来たよ、霊夢は怒らせちゃいけないってね……これからは機嫌取って穏やかに過ごすよ……もう逃げられないし……」
「龍神様……あっ!?早苗さんが霊夢様にちょっかいだして今にも怒りだしそうですよ!?」
「何だって!?また僕が八つ当たりされるじゃないか!?クソッ……こうなったら!」
「何をされるんですか龍神様!?」
「こうするんだ……おいコラお前達!余興はもうお仕舞いだ!さぁこれから楽しいビンゴ大会の始まり始まりー!」
「龍神が踊ってるよ神奈子!」
「何をやっているんだあいつは……?」
「……楽しいビンゴ!エイッ!」
「ちょっと引きましたね霊夢さん……」
「えぇ、あいつが歌も踊りもあんなにヘタなんてね……早苗の歌といい勝負よ」
「それは心外です」
(おいたわしや龍神様……そんなに霊夢様が怖いなんて……わかります、わかりますとも……)
決して巫女を鬼にしてはならない!死にたくなければ!
「はいお姉様!バーン!持ってきたよ!食べて!」
「ありがとフラン」
「すまぬな」
8人が集まっている
「私達の分は無いのかよー!オラー!」
「キャー!魔理沙イターイ!グリグリしないでー!」
「あたいはアイスクリームを所望する!妹紅!取ってきなさい!」
「あーへいへい親分……ったくしょうがねぇな」
「あ、私ケーキね」
「お前はもやしでも食ってろパチュリー!ったく……」
「私も行きます妹紅さん!」
楽しく過ごしている
そんな最中だった
「……!」
フランが何かを感じ取り一瞬止まった
「……ルーミアの所に行ってくるね!」
笑顔で告げると足早にその場を去って行く
「……」
誰も居ない廊下に出たフラン
「……ウォルター」
その顔はさっきまでの笑顔ではなかった
「ここに」
背後からウォルターが1歩下がった状態で並ぶ
「何人?」
「10人、内部に5、外周に5……外は逃げ道の確保に居るのでしょう」
「結界が反応したんだよね?」
「そうです、幻想郷の住人以外が通れば警告を知らせる結界から……」
「外来人って事だね」
「その通りです、フランドールお嬢様が地道に交流を重ねながら一人一人に付けていった魔力のマーカー、それが付いていないのは現在の幻想郷では外来人のみです、十中八九……賊でしょう」
「……中の5人はどこに居るの?」
「廊下を進んでいますね、宝部屋を探しているのでしょう、各部屋は軽い物色程度ですぐに次へ向かっています、ですが……このまま進めば……」
そこでウォルターは口をつぐんだ
「どうしたの?」
「……レミリア様の部屋があります」
「!!」
それを聞いたフランは目を見開いた
レミリアの部屋に有る、とある物を想像したのだ
(お姉様の宝石……)
その真紅に輝く愛の証を
「ウォルター」
傍らの執事の名を呼ぶ
「中はあたしが行くから外をお願い」
「
「任せる!ウォルターの好きにして!」
「仰せのままに」
ウォルターが返した直後にフランは目にも止まらぬ速さでその場から消え、ウォルターも闇の中へ溶けていった
紅魔館・外周
「簡単に忍び込めたな、門はあるのに番は無し……ザル過ぎだろ」
「後はお宝があるかどうかだな……まぁ最悪、金でも充分だけどよ」
闇に紛れ、息を潜める5人組
「何をされているのですか……?」
そこへ掛けられるのは死神の声
「あーちょっとトイレを探しててなー」
少年の見てくれに侮り、舐めている賊達
「つかぬ事を聞きますが……招待状はお持ちでしょうか?」
死神はニコリと笑った
「ん……あー……招待状ね……」
一人が懐をまさぐりながら死神へ近付く
「ほら……これが招待状だ!」
招待状と言う名のナイフを喉元へ突き入れた
ザンッ
「あ……?」
気付くと目前からナイフが消えていた
「あれ……?」
ナイフは舞っていた、頭上を腕と一緒に……
「確かに拝見させて貰いました、ではここよりは我が主、フランドール・スカーレットお嬢様の命によりこの私、ウォルター・
血の雨が降りしきる中、鋼線が付いたフィンガーグローブを纏い、礼をする
「覚悟は出来たか?赤子共……!」
顔を上げたその顔は
その身、既にフランドール・スカーレットの携える剣
そう……死神に……
レミリアの私室前
「まだ開かねぇのか?」
「焦んなって、どうやらここだけ特別な部屋らしいな、盗賊の鍵で開かなかったし……当たりかもな」
部屋前でゴソゴソと何かをしている、ピッキングをしている様だ
「もうちょい……よし開いたぜ!」
ガチャリと鍵が降りた音にニヤリと顔を見合う5人の盗賊
「さぁ行くぜ……」
ドアノブに手が掛けられる瞬間だった
「楽しい楽しい宴の夜……同じ時は二度と無い永遠の夜……」
冷たく響く声にその手は止められる
「終わった後は幸せな気持ちと一緒に寝るの、今日も良い日だったなー!って……」
闇から吊り上げられた口元が映る
「それを壊そうとするのはだ~れだ?」
少女が出す様なあどけない笑顔でフランドール・スカーレットは現れた
「見つかっちまったか……」
盗賊達はドアから離れフランを睨む
「……ガキじゃねぇか、ここのガキか……?黙らせてさっさとお宝頂いてずらかろうぜ」
「待て、侮るな……幹部がやられたのを忘れたか?」
したっぱの中でも上の方だろう男が諌めると油断無くフランを囲う
「~♪」
囲まれたフラン、だが楽しそうに背伸びをして戻す仕草を繰り返していた
「上手い事やったねお兄さん達!流石に美鈴や妖夢でもこんなに集まった気配の中じゃわかんないんだよね~」
トントンとリズムを刻みながら続けられる
「お姉様達も最近平和だから気が抜けてるみたいでちっとも警戒しないんだよ?あ、それは幻想郷全部に言える事か!」
トン……
不意にリズムは止んだ
「あたしはね……幻想郷が大好きなの、妖怪も人間もみ~んな友達で大好きなの、皆が平和で楽しく生きるって良いよね!」
軽い感じで話している様に見える
だが盗賊達はいつの間にか冷や汗が頬を伝っていた
「だからね……」
ゴシャ……!
一番近くに居た男を「男だった物」に変え、その紅く光る瞳を残りに向ける
「それを壊そうとするお前等を決して許さない……」
狂気の瞳で……
それが盗賊達に死を感じさせるには充分過ぎた
「ゆ、許して……くださ……ギョブッ!?」
次に近かった男の心臓が貫かれる
「今更命乞いか……?おちょくってるのかお前等?子どもの時に叱られなかったか?謝るくらいなら最初からするなって……」
もう物言わぬ物体を捨てると残る3人に目を向ける
「な……あ……あぁ……」
3人は震えて動く事も出来なかった、余りの恐怖で蛇に睨まれた蛙の様に動けなかった
「まぁなんにせよ……」
二人の首を瞬く間に切り裂いたフランは最後に残った男の前に立つ
「お前等が明日の陽の光を見る事は無い」
その手に目を作り出しよく見える様に差し出す
きゅっとして……
ゆっくりと指を閉じていき
ドカーン……
目は握り潰された
「永夜をさ迷え……永久に……」
「落ち着きましたかお嬢様?」
「あ、ウォルター……お疲れ様!」
血の海で立ち竦んでいたフランはウォルターの声で顔を上げる
「あー!ダメだねあたし……またやっちゃった……」
いつも通りに戻ったフランが悔しそうに肩を落とす
「お姉様の事になるとついカーッてなってさっきみたいになっちゃうんだよねー……」
「確か……バーサク状態でしたか?」
「うん、狂気の制御は出来てるから暴走はしないけどちょっとオバサン臭い喋り方になるからイヤなんだけどねー」
(それはバーサクとは言いませんよお嬢様……名付けるならアレはEXフラン……いえ、「フランドール様」……ですかね)
成長したフランを想像してウォルターは微笑んだ
「さぁこちらに着替えてお先にお戻りください、後始末は私がしておきます」
「うん!ゴメンねウォルター!行ってくる!」
血濡れの服を着替え、血を拭き取ったフランは会場へ飛んでいった
パーティー会場
「これ面白いな!」
魔理沙がにとりから借りた道具で遊んでいた
「なんですかにとりアレ?」
「ん?文か……アレはね、スカ○ターって言って女の子の女子力を測る道具さ!」
「女子力ですか……」
「そっ、料理家事とかを普通に出来るレベルを100で基準にして算出されるよ」
「へー……どうやって測るのかわかりませんけど私はどれくらいでしょう?」
「さっき見たら90だったね」
「おおよそ普通くらいですか、なるほど」
ふーん、と色んな人を見ている魔理沙を眺めた
「アリスは110か、早苗は105……おっ!幽香150!ツンデレは関係無いんだな……ムッ!大妖精300!やるなぁ!……チルノは15……プッ!霊夢50しかねぇでやんの!」
楽しそうに見ているにレミリアがやって来た
「何やってるの魔理沙?」
「おおレミリア……!?」
映されたス○ウターの数値を見て魔理沙はほくそ笑んだ
「女子力たったの5か……ゴミめ!」
「ダニィ!!?」
レミリアは怒った、いきなりゴミなんて言われたら当然である
「ほら二人共……メインの準備が出来たわよ」
そこへパチュリーがやって来て二人を押さえる
「待ってたぜ!」
「よし……では始めましょう、大妖精、連れてきて」
「わかりました!」
少し経つと大妖精が誰かの手を引きながらやって来た
「引っ張るなって大妖精!見えちゃうだろ!」
引かれて来たのは妹紅だった
髪をポニーテールにし、黒いシックなミニスカートのパーティードレスを着た
「うー……恥ずかしい……」
スカートの端を手で押さえながら顔を真っ赤に恥ずかしがる妹紅
「綺麗ですよ妹紅さん!」
「おー!似合ってるぜ妹紅!」
「完璧なコーディネート……流石私ね」
「やっぱり紅のドレスの方が私は良いと思うんだけど……」
「中々ね!あたいならもっと似合うけど!」
騒ぎ立てる5人に釣られて周囲の視線が妹紅に向けられる
「そんなに見るなってぇ……」
恥ずかしくて死にそうな妹紅
そこへ慧音が青娥と共にやって来た
「きゃー!妹紅素敵ー!!」
「ええい引っ込んでろ青娥!……とても綺麗で似合ってるぞ妹紅!」
「そ、そうか……?」
テレテレしている妹紅
「だがどうしてお前だけドレスを着ているんだ?」
「……え?」
それを聞いた妹紅が周囲を見回す、誰もドレスなど着ていなかった
「え……だってドレス着なきゃパーティーには出れないって」
「そうなのか?私も誰も聞いてないぞ?騙されてないか妹紅お前?誰が言ってたんだ?」
「レミリアだけど……ハッ!?」
そこでようやく気付いた
「騙したな!!」
騙されていた事に……
「やっと能天気なお前でも飲み込めた様だなぁ、全てはその白沢の言う通りだぜ」
誰かの真似をしながら魔理沙が答えた
「貴方に女の子らしい服を着せて皆に見てもらうのが私達の目的だったのよ」
「褒められてその気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ」
パチュリーが答え、またしても魔理沙が笑う
「ふざけんな!ぶっ飛ばしてやるからな!覚悟しろよお前等!」
怒った妹紅が拳を握る
「良いけどその格好で?」
「……あっ!?」
レミリアの指摘にミニスカだった事を思い出す妹紅
「見えちゃうわよ?」
「ぐぐぅ……!?」
殴りたいが出来ない妹紅は悔しく睨み付けるだけ
「なら……!」
着替えようと踵を返す
「残念だけど服は隠したから、パーティーが終わったら返してあげる」
「……!!?」
攻め手も逃げ場も無くなった妹紅
「ほれほれ!どうした妹紅~?ぶっ飛ばすんじゃなかったのかよ~?相手してやんぜ~?」
「バカやめろ魔理沙!?スカート触るな!後で覚えてろよお前!!」
「ほーれほーれ!」
「なんか面白そうだからあたいもやるー!」
「やめろぉぉ!私の傍に近寄るなぁぁぁぁぁ!!」
残ったのは終わるまでいじられる事だけだった
「あ!みんな~!」
戻ってきたフランが皆を見つけ走る
「待てフラン……」
酒を楽しんでいたバーンが止めた
「血が付いているぞ……気を付けろ」
そっとナプキンで頬に残っていた血を拭き取った
「あ……これは……血じゃないよ!ケチャップだよ!」
慌てて取り繕うフランにバーンは微笑む
「隠さずともよい……お前が行かねば余が行っていた、レミリアの宝石を守ってくれた事を心より感謝する」
頭を撫でるとフランが抱きつき、顔を埋める
「うん……!!」
バーンがそう言ってくれるのが嬉しいのだ
幻想郷を大好きで居られる今を作った切欠はバーンだったから
バーンに救われていたから今の自分がここに居る
大好きな姉が居て、大好きな友達がいっぱい居るこの幻想郷に……
だからあれだけ怒り、許せなかったのだ
大好きな皆が楽しめる、幸せな時間を壊そうとするのが……
「行ってこい」
バーンが言うとフランは顔を上げる
「うんっ!!」
天真爛漫な笑顔を見せ、フランは駆けていく
「みんな~!お姉様~!!」
狂気を狂う程の喜びに変えた想いを胸に……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
???
「報告です、見張りが帰って来ません」
「チッ……またか……グズ共め……」
頭はイラつきながら酒を飲む
「それと……気になる情報が」
「なんだ?」
「ここで最近「ゴーグルをかけた剣士を見た」との噂が……」
「まさか追ってきやがったかあの野郎……?早めに済ませて逃げるのが得策か……おい!」
「はい」
「少々、目についても手荒でも構わねぇ、あの女からブツを取ってこい!」
「わかりました」
それはもう目前まで迫っていた……
フランの短編……ですがあまり短編っぽくはないかもしれません、ネタに走った回でもありますし……お陰で温度差が凄い事に……。
あんまり目立った活躍の無いフランが密かにしている事……を書きました、やっぱり能力が能力なので活躍させるのって難しいんですよね……ゴメンねフラン。
次はついにレミリアとバーンの短編です!
先にサブタイだけちょっと……「誰が為のセプテット」です!
次回も頑張ります!