死神が逝く!   作:オラクリオン

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死神の日常

青い空、白い雲、明るい太陽、周囲に広がる緑豊かな自然…これだけならピクニック日和とか散歩日和だとか思うんだろう。…まぁ、絶対に思える状況じゃないんだが。

 

「死ねェェェ!」

「こんの、バケモノがァァァ!」

「…ウルセェ」

 

腰に帯刀している刀を鞘から一息に抜き放ち一瞬で納刀する、いわゆる居合切りで迫ってきていた二人の男の首を胴から斬り離す。迫ってきていた勢いはそのまま、制御を失った体はドサリと倒れ込む。首をコキリと鳴らし、他の敵を探す。敵、すなわち帝国への反乱分子たる『革命軍』。そいつらを支援していた帝都辺境にあるこの『テンスイ村』の住人達を皆殺しにすること、それが俺、帝都軍所属の軍人『カミナ』の今の任務だ。大して戦えないだろうし、すぐ終わると思っていたんだが…これがなかなかどうして、割と戦える奴らがいる。例えばさっきの男たちのように、だ。

 

「さぁて、お次は何処かねぇ?」

 

辺りを見回しても他に人影らしきものは見つからない。他の軍人たちが殺したのか?と思っていた、その時―――

 

ドスッ

 

鈍い音と共に俺の胸元から銀色に輝く刃が付き出てくる。後ろを見れば黒いセーラー服に身を包んだショートカットの黒髪の少女が、俺を貫いている刀の柄を握っている。

 

「アハッ、死んでよ、カミナ」

「クロ、メ…」

 

ズルリと刀が俺の心臓から引き抜かれる。俺は力を失い膝を着く、が

 

「バーカ、俺は死なない(・・・・)って何度言えばわかんだよ」

「むぅ、やっぱり死んでくれないんだ」

「当り前だっての。誰が死ぬか」

「私の(むくろ)人形(にんぎょう)になって欲しいんだけどなぁ…」

「毎回毎回、何なんだよ…」

「だって、ずっと一緒に居たいんだもん」

「愛が重い…」

 

俺を刺した少女、『クロメ』は俺と同じく帝都の軍に所属していて、幼いころからずっと同じ部隊に配属されている。こいつが持つ帝具『死者行軍・八房』は殺した相手を8体まで自分の思うように操れる骸人形にすることができる、という能力だ。

 

ちなみに帝具というのは今から大体1000年前のこと、現在の帝国を築いた始皇帝の命令によって造られた48個の超兵器のことだ。超級危険種とまで呼ばれる生物たちや、希少な鉱石、大昔に滅亡してしまった国の技術などなどを、かつて存在していたありとあらゆる人材、技術を使って生み出された帝具は、ただ一つあるだけで一騎当千とまで呼ばれる力を出せる。が、その分反動も大きく個人の技量や個性、特性に左右されてしまい、使用者がその帝具へ抱いた第一印象が相性に左右されるとも言われている。不適合者が装備すると拒絶反応を起こしたり、無反応を示したり、最悪の場合は発狂や即死するものまである。そして、性能や能力を大きく発揮するほど、体力や精神力を著しく消耗してしまう、などリスクも大きい。さらに『奥の手』と呼ばれるものもある。始皇帝の「国を守りたい」という思いで作られたというのに、その大半が500年前の『内乱』で失われてしまっているのだから、皮肉と言えるだろう。

 

とにかく、そのうちの一つである八房で俺のことを殺したがっているのだが…

 

「あ、カミナ後ろ」

「あ?」

「オラアアアァァァ!」

「ガッ!?」

 

後ろから棍棒で殴りかかってきた五人の男たちの一人によって俺は派手に吹き飛ばされ、近くの家屋に壁を崩しながら突っ込んでしまう。

 

「は、ははは! なんだよ! 大したことねぇなぁ!?」

「あとはそこの嬢ちゃんだけだ! さっさと殺しちまおう!」

「あらら、ずいぶん派手に吹っ飛んじゃった」

「んだよ、この餓鬼…! 余裕かましてんじゃねぇぞ!」

「んー? だって、カミナはあの程度じゃ死なないもん」

「何言ってんだテメェは…!?」

「ったく、いきなり何すんだよお前ら…」

 

ガラガラと崩れてしまった壁の瓦礫を退けながら立ち上がる。男たちは俺の姿を見て唖然としている。そりゃそうだ、初めて鏡で見た時は俺もビビったんだから。頭の傷口に黒と青の入り混じった雷が走り傷口が急速にふさがっていく。初めて見るやつには軽くホラーだ。

 

「な、なんで…なんで生きてんだよぉっ!?」

「あー、俺って『死神』だから、さ。死ねないんだよ」

 

こんなことを言ったが本当はちゃんと理由がある。俺の持っている帝具、『死神無葬(ししんむそう)・タナトス』は、所有者に不死の呪いを与える帝具だ。もちろん能力はそれだけじゃないんだが、とにかく俺はタナトスによって死ぬことができなくなっている。たとえ体をミンチにされようがバラバラに切り刻まれようが毒を盛られようが水中に沈められようが炎で体を焼かれようが何をしようが死ぬことはない。ショック死すらできない。しかし、痛みは消えない。つまりミンチにされれば体を磨り潰されたようなというかそのまんまの痛みが走るし以下略だ。不死なんて世の権力者連中が欲しがりそうな能力だが…別に不老なわけではないので寿命で死ぬ以外に出来なくなっているだけだ。そして傷口に、『治癒』といえば聞こえはいいが、体を『修復』するための雷が走る。たとえ寿命以外で心臓が止まってもこの電撃で強制的に叩き起こされる。

 

「ホント、イテェもんはイテェんだっての…」

「全くもって忌々しい帝具だよ、おかげでカミナのこと殺せないし」

「その点に関してはタナトス様々だ」

「チクショウ…なんなんだよ、何なんだよォォォ!?」

「だから言っただろ?俺は―――」

 

タナトスを鞘から抜き放つと同時に、背後にそれぞれが鎖につながれた8個の浮遊する棺が現れる。そして、刀を天へと振り上げながら呟く。

 

「―――『死神』だ」

 

死神ノ太刀(シシンノタチ)』、広域殲滅型奥義『空間殺法』

 

空間内の全てを切り刻む剣戟が、空間内にいた五人全員へと襲い掛かる。五人は悲鳴を上げる暇すら与えられることなく粉々の肉片へと変わる。刀身に着いた血を振り払い、タナトスを鞘へと納める。それと同時に背後に浮遊していた棺も霧散する。パチパチと場の空気に似合わぬ拍手が聞こえてくる。

 

「お見事だね」

「褒められるようなもんじゃねぇよ」

「でも、カミナの剣はいつ見てもすごいねぇ、さすがは彼のエスデス将軍と渡り合えるだけのことはあるよ」

「ありゃ、奥の手(秘密兵器)が万全だったからだっての。普段の状態だったら瞬殺だ瞬殺」

「またまた~、謙遜しなくていいって!」

「そう言いながらまた八房を突き刺そうとするのヤメてくんね?」

「ヤダ」

「そっすか…」

 

クロメとの他愛ない会話をしながら考える。

 

「(ああ…やっぱり、人を殺すのって楽しいなぁ…!)」

 




アニメ終わって今更な気がしますが『アカメが斬る!』の二次作品です。

ちなみにこんなタイトルですが割と主人公とクロメの日常の話にしていきたいと思います。
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