死神が逝く!   作:オラクリオン

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死神の食事会

トントンという包丁を動かすリズミカルな音が響く台所の中で困惑する少年が一人いた。特殊警察『イェーガーズ』に配属された元海軍兵のウェイブである。彼はこの台所で動く三人のメンバーに対して疑問を持っていた。

 

「(料理出来るメンツがおかしいんじゃねぇか!?)」

 

この場にいるのはウェイブと元焼却部隊の筋骨隆々な男性ボルス、元暗殺部隊の『死神』カミナ。明らかに可笑しいメンバーである。そんなことを考えていたせいかボルスに注意されてしまう。

 

「ウェイブ君、ほうれんそうは一番最後。すぐにしなっとしちゃうからね!」

「あ、すいません!」

「魚捌き終わったっすよ」

「ありがとう、じゃあそっちのお皿に乗せておいてくれる?」

「わかりましたぁー」

「いや、でも俺安心しました。ボルスさんが優しい人で」

 

ウェイブの一言に今まで止まることがなかったボルスの腕が止まる。一泊置いた後、悲しそうにボルスは言葉を吐き出した。

 

「私は…やさしくなんかないよ…」

 

 

*                    *                     *

 

 

ところ変わって特別警察会議室では和やかな雰囲気に包まれていた。クロメは猫じゃらしを使って帝具『魔獣変化・ヘカトンケイル』たるコロで遊んでいる。セリューはエスデスとの会話を楽しんでいた。

 

「隊長はご自分の時間をどう過ごされてるんですか?」

「狩りや拷問、またはその研究だが…最近は『恋』がしてみたいと思っている」

 

その一言に女性陣の間に戦慄と衝撃が走る。それは同じ女性として、興味を持ったからなのだろうか、その思惑は彼女たちにしかわからない。しかしエスデスはそんな彼女たちに構うことなく話を続ける。

 

「そういえばクロメ、お前はカミナと随分仲がいいようだが、付き合ってるのか?」

「あ、それ私も気になりました! どうなんですか、クロメさん!?」

「ムグムグ…うん? 付き合ってないよ?」

 

クロメの一言に今度は部屋にいた全員に衝撃が走る。全員、てっきり二人は付き合っているものだと思っていたのだが…

 

「えぇっ!? 付き合ってないんですかぁ!?」

「うん」

「いやいや、二人とも恋人みたいだったじゃないですか!」

「でも違うよ?」

「なんでですか!?」

「カミナが認めないから」

「「「は?」」」

 

クロメの意外過ぎる解答に困惑を隠せない一同。しかしクロメは他の様子など気にせずお菓子を頬張っている。そんな中、湯気を立てる鍋や様々な魚料理を持った三人が入ってくる。

 

「おーい、料理出来たぜー」

「たくさんあるからどんどん食べてね!」

「あ、おいクロメ、お前また飯の前に菓子食ってんのか? 飯の前だけでも我慢しろって」

「カミナは仕方ないの知ってるでしょ」

「そうだけどよぉ…」

「だから許して、ね?」

「…しゃーねぇか」

 

カミナとクロメのやり取りを見たメンバーはやっぱり付き合ってるんじゃ?という思いに駆られる。全員の心の中に疑問を残したまま食事は始まる。しかし、料理の出来にすぐさまそんな疑問はどこかへ行ってしまった。皆が料理に舌鼓(したつづみ)を打ち、ウェイブやボルスは満足げに顔をほころばせる中、カミナだけは甲斐甲斐しくクロメの世話を焼いていた。それを見たことで先ほどの疑問が蘇ってくる。ついに意を決したセリューが口を開く。

 

「あの、カミナさん!」

「ん? どした?」

「クロメさんと付き合ってないって本当ですか!?」

「「「(ついに言った!)」」」

「ああ、ほんとだが?」

 

アッサリと言い切ったカミナに面食らいながらもセリューの質問は止まらない。

 

「な、なんでですか!?」

「飯の時ぐらい落ち着いてくれよ…」

「で、でも…!?」

「まぁ強いて言うならクロメには自分の目的に専念してほしいってのがあるかな」

「クロメさんの目的?」

「あー、まぁいろいろあるんだわ、こいつにも」

「モキュモキュ、ん?」

「あーほら、またついてる。拭いてやるからじっとしてな」

 

クロメの口の周りについているご飯粒を取ってやるカミナはまるで子供の世話を焼く母親の様だった。その様子にそこにいる全員が微笑ましい光景に思わず口が緩んでしまう。その様子からは、とても彼らが帝都最強の部隊だとは思えなかった。




短めですいません。今回は日常回ですね。

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