廃人ゲーマー<ゲームでも現実です   作:中二ばっか

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 玉座の扉を開けるアカザ。

 畏怖堂々と座るクスフィーは、アカザを迎えるようにして椅子を立つ。

 

「アカ君、お姉ちゃんと一緒に居てくれることを決めてくれた?」

「そんな訳ないだろ」

「じゃあ、服でも探しに来たのかしら?」

「お前のせいだろうが!?」

 

 傍から見ていた兵士たちは、なんだかよく分からない。

 ただ、彼が透き通るような空色の刃と、雲が掛かったようにぼやけている波紋を持つ野太刀を手に持って入ってきたことに警戒の色を強めた。

 

 クスフィーから、彼の待遇はゲストとして対応するように言われていた。が、戦闘状態で今にも切り掛かります、と言っているような者に警戒をして取り囲まない理由はない。

 

 だが、兵士たちが動くよりも早く、クスフィーが制止の声緒を掛ける。

 

「待ちなさい。あなたたちは手を出さないで」

「しかし」

「聞こえなかったの? 手を出さないで。それとも私の邪魔をしたいの?」

「そ、そう言う訳ではありません」

「それにあなたたちは邪魔よ。さっさと避難しなさい」

 

 味方に対して、殺すとしか思えない威圧を放つ女王。

 しかし、これから起こる事が分かっているのか、国家転覆時に実力を把握している兵士たちは走り出して撤退する。寂しくなった玉座だが、これから起こることを考えれば、兵士たちを誰も責められない。

 

 一方は城を落とした姉。一方はモンスターの軍勢を払い除けた弟。

 その二人が戦う余波は、情人では計り知れない物となる。

 

「1対1は俺の望む展開だけど、いいの?」

「ええ。後で言い訳なんて出来ないようにしないとね。何なら【独自技芸術(オリジナルアーツ)】とか制限して上げた方がいいかな?」

「そんな制限いらねぇよ。【手加減】制にでもしておけ」

 

 【手加減】制は、アビリティスキル【手加減】を発動させた状態てPVP《対人戦》を行い【生命力】が1になった方が敗北となる。デスペナルティを受けたくない為、仲間内で練習でやるようなPVPのルール。

 

「【手加減】を解いたら死ぬの分かってる?」

「俺が【手加減】制で勝つから問題ない」

 

 クスフィーの遠回しな停戦要求を、アカザは強気を装い返した。

 

 無論、アカザに負ける気などない。だが、勝率は殆どない。そのことが分かっているから、鼓動が速くなり緊張してくる。

 

 アカザの状態すら見抜いていそうなクスフィーは、微笑みながら最初から【同調操作《チューニング・ワーク》】を使用し人形たちが次々と出現する。

 

「じゃあ、躾直してあげる」

 どうやらクスフィーはアカザとの戦いを、戦闘とすら認識していないらしい。

 

「俺は姉さんの所有物じゃない」

「いいえ。所有物じゃなくて伴侶よ」

「ふざけてろ」

 

 姉の重々しい発言を吐き捨て、野太刀【天叢雲剣《剣之神器》】を正眼に構え、戦闘態勢を取ったアカザ。

 

【一応聞いておく。姉を(やる)気はないのか?】

「殺す気でやって、初めて姉さんの舞台に立てるんだ。【手加減】何て使ってるけど、この戦いは手加減じゃねぇよ」

【ややこしいな】

「全くだ」

 

 その会話にちょっとだけ緊張が解れるアカザ。多少、ルール違反だがこちらは2人で戦っているようなものだ。そのことで安心できる訳ではないが、心強い味方が居る。それだけで、昨日の戦闘とは変わっていた。

 

「作戦会議は終わったかしら? それともこっちから来てほしいなら言ってよね。そうしてあげる」

 

 マリオネット、25体がアカザに襲い掛かる。

 

 

 

 向かって来る様々な形や能力を持つマリオネットたち。

 

 アカザは迎撃のためにスキルを連続発動。【侍】スキルの特徴は【スタンバイタイム】がない、速効性。マリオネットたちがアカザに攻撃を仕掛ける前に、準備が終わる。

 

 スキル群【侍】スキル、【渾身一刀】、【渾身一擲】、【乾坤一擲】を連続発動。

 【渾身一刀】の発動で1000%がダメージ率に加算。【渾身一擲】によって2倍化され2000%、そこから更に【乾坤一擲】によって【生命力】【スタミナ】が1割消費され、平均化されたダメージ率が【蓮華】に加算される。

 

 更に、ファッション装備の【錬金術師コート】に隠れた【八竜】シリーズ、サブ、サード装備の【果てなき武士道の霊魂】【暗鬼鞘】のダメージ率加算が加わった。

 

 そして、マリオネットたちがアカザを包囲し、攻撃を仕掛けようとした時、アカザもスキルを放つ。例え、普通にスキルを発動しマリオネットの攻撃を迎撃しようが、続く飽和攻撃に袋叩きに合うのは目に見えている。

 

 だったら、普通のスキルでなければいい。

 

 放たれるのは【融技(フュージョンスキル)】。これも全てスキル群【侍】で、【斬鉄剣】、【霞飛花】、【霞八雲】の3つが同時に発動し、混ざり合う。

 

 【霞飛花】は【蓮華】に溜まったダメージ率を初期化する。代わりにダメージ率数分、攻撃回数を相手に与えるスキル。【斬鉄剣】は武器、装備、建造物などの耐久値を減らすスキル。

 

 それらのスキルと同時に実行されたスキル、【霞八雲】は【侍】スキルの範囲攻撃。ただし、その攻撃範囲は使用者を中心とした直径100メートル。軽く町の広場や公園を覆う攻撃範囲。

 

 現実で言えば拳銃の有効射程が50メートルなので、軽く遠距離攻撃のような錯覚を覚えるほど。

 

 一瞬アカザの姿がブレ、無数に分身した後その場から消える。その瞬間から凄まじい数の斬撃音が玉座に響く。

 

 時間にしておよそ2秒。その間に千を超える装備破壊の斬撃が、マリオネットたちとクスフィーに降り注いだ。

 

 マリオネットたちは【斬鉄剣】と【天叢雲剣《剣之神器》】の装備破壊能力が付加された斬撃を、何千にも渡る攻撃回数によって耐久値を失う。

 

 ガラガラと音を立てて大理石の地面に転がるマリオネットたち。全部使い物にならないがらくたへと変貌、全滅した。

 

 クスフィーはアカザの【霞八雲】のモーションから、狙いを見抜き【フェアリー・バンブーズル】を発動し、物理攻撃を大幅に軽減。それでも、何千という斬撃を喰らったために、装備は破壊され【生命力】も2割ほど削られている。

 

「ふふふ、まずは合格かな」

 

 だが、これだけの損害に驚く訳でも、怒る訳でもなく、クスフィーは笑顔でアカザを見つめる。そして、使い物にならなくなった装備は一瞬にして、換装された。

 

 青のドレスと白銀の鎧が合わさった軽鎧、【シルキーラミナータ】シリーズ。AIGや移動速度、それぞれ10%の物理ダメージの2割を軽減し、全部揃えて5%の確率で物理ダメージを無効化する能力を持っている鎧。

 

 そして、【ティターニアレイピア《フェアリーフェンサー》】と【オーベロンサーブル《エルフルーラー》】が装備される。

 

 【ティターニアレイピア《フェアリーフェンサー》】と【オーベロンサーブル《エルフルーラー》】はどちらも細剣で見分けがつきにくいが、柄の装飾や形から判断できた。

 

 そして、昨日の【ティターニアレイピア《フェアリーフェンサー》】にはなかった妖艶な青紫色のオーラが刀身に掛かり光っている。同じように【オーベロンサーブル《エルフルーラー》】にも薄い青緑のオーラが刀身から溢れていた。

 

 これは特定の装備を同時に身につけてた時に発動する装備効果、【コンビネーション】と呼ばれる装備アイテムがある。頭、胴、手、足の防具をそろえて装備すると発動する物が多いが、【膝丸《薄緑》】のように武器の方にもある。

 

 クスフィーが手にしている2つの細剣は、その【コンビネーション】武装であり、どちらも魔法を放つ際に【杖】の役割を持つ細剣。

 

 ティターニアは妖精の女王、オーベロンは妖精の王。能力としては女王は豊富な【マナ】を、王は強力な技をプレイヤーに与える。

 

 【オーベロンサーブル《エルフルーラー》】は、【マナ】を使用するスキルの敵愾心(ヘイト)を下げ、属性ダメージを強化し【付与術】や【回復術】などの効率を上げる。

 そして、妖精の女王と王の名を冠する細剣が揃った時に【スタンバイタイム】、【チャージタイム】は短縮され、攻撃力も上がるという装備。

 

 【マナ】を大量に、【魔法】、【付与術】、【回復術】などのスキルを使うキャラクターにとっては喉から手が出る程のレアアイテムだった。

 

 【八竜】、【天叢雲剣《剣之神器》】と同じ神話級装備。

 

 恐らく、補助装備、【魔法】スキルなら【魔導書】などで更に強化して【スタンバイタイム】、【チャージタイム】は更に短縮されているはず。

 

 クスフィーも本気で、確実にアカザを殺そうとしている。

 

「じゃあ、始めましょう?」

 アカザも先程使った【侍】スキル、【融技(フュージョンスキル)】によって【クールタイム】が40分まで伸びてしまったスキルを【明鏡止水】で、初期化する。

 

 今までのは準備運動にすぎない。

 ここから更に苛烈さを増した姉弟喧嘩(殺し合い)が始まった。

 

 

 

 クスフィーが持ったレイピアに、白い球体と赤い球体の集団が纏わる。

 

 【アイスボルト】10発、【ファイアボルト】10発が同時に剣先から発射される。ショットガン(散弾銃)のような攻撃は、面制圧によってアカザに大きく移動して避けざる得なくさせる。そのまま移動するアカザを追い、照準を合わせ今度は【ライトニングボルト】10発、【ウォーターボルト】10発がばら撒かれる。

 

 初級魔法。最弱の威力しか持たないスキルだが、クスフィーの妖精族の種族特徴とステータスの高いINTによって、厚い大理石で出来た壁を貫通、融解、破壊していく。

 

 【チェーンキャスティング】や【インスタントキャスティング】などのスキルを同時使用しても、【クールタイム】の関係からボルトショットガンの連射は不可能。このことから、1つの補助装備はストック式のスキルを最大チャージ出来る【連動型魔導書】と判明。

 

 また、本来【ファイアボルト】はチャージした回数分、弾数を増やすのではなく火球の攻撃力を上げるスキル。恐らくまた何かしらの【独自技法術(オリジナルアーツ)】やクスフィー自身のテクニックを使用している。

 

 クスフィーはアカザの動きを先読みし、手前でショットガン化した【アイスボルト】を発動させる。アカザの移動先が破裂し、足を止めてしまった。

 

 そこにスキル群【武器《片手剣》】、【スティンガー】を発動するクスフィー。

 凄まじい速度でアカザに接近し、突進に合わせ両手のレイピアを突き刺そうとして来る。

 一気に距離を詰めて来る。

 

 だが、これは接近戦をするアカザに有利は働かず、数々の【独自技芸術(オリジナルアーツ)】を持つクスフィーにはアドバンテージがない。

 

 【スティンガー】による魔の刺突。1つは野太刀で弾き、もう一つは身を捻って回避する。

 

 突進攻撃を危なげに防いだアカザ。

 だがそこからクスフィーは、連続して繰り出される刺突をアカザは避けきれず、掠ったり、肩や足に細剣が突き刺さったりする。

 

 アカザは連撃の刺突の鋭い痛みに、【ティターニアレイピア《フェアリーフェンサー》】の【マナ】吸収による気怠さに、顔をしかめている暇はない。

 

 刺突を回避、あるいは受け流し、弾き、隙を見ては攻撃を繰り出す攻防を続ける。

 

 妖精族が筋力(STR)硬さ(DEF)が低く、魔法特化の能力を持っているからと言って、接近戦が弱い道理はない。むしろ、素早さ(AGI)器用さ(DEX)と言った近接戦において必要となるステータスは、高く設定されている。

 

 そして、レイピアと言う武器も問題であった。

 

 レイピアの特徴として、ダメージが軽く、相手に与えるダウン値も低くなっている。その為、手数による撃破が多い。しかし刀身は軽く、細い刀身をしておきながら、攻撃を普通に弾く強度がある。

 

 これはゲームの設定で耐久値が設定されているためであり、アカザがハンマーなどの重い武器でかち合っても壊れない。耐久値がある武器は装備破壊能力を持つスキル、アイテムなどで壊すのが【フォークロア】の常識。

 

 だが、何より厄介なのは突きと言う攻撃手段である。

 

 まず速い。

 弾丸が放たれるような速度で、剣先が向かって来る。また腕を引く時は、もう片方の手が攻撃、牽制、アカザの攻撃を防御、受け流して引いた腕が攻撃して来るため隙がない。

 

 斬撃でもないので、軌道は見えず、手元の力加減や角度を変えることによって喉や眼球、心臓などの急所に剣先が向かって来る。 

 

 クリティカルヒットの確率が上がると言う理由ではなく、生存本能からそこへの攻撃を回避したい衝動が起こってしまう。どうしようもなく、意識してしまい動きがぎこちなくなる。

 

 そこをもう片方の細剣がアカザの身体を貫いて来る。

 

「っぐ!」

「あっは、その顔も素敵だよ」

 

 アカザは体中に生傷が、突き刺さった後の瘡蓋があり、顔が歪んでいる。レイピアと言う針を喰らう度に、異物を差し込まれるズキッとした強い痛みが走っている。

 

 クスフィーも最初、アカザに何千という斬撃を軽減しているとはいえ受けているのだ。だが、アカザとは違い余裕があるクスフィー。

 

 そのことを知っているから、アカザはなぜそのような顔が出来るのか不思議に思う。

 我慢ではない。

 

 ならばなんだ?

 

「愛よ」

 

 アカザは何も言っていない。だが、アカザの顔色から察したのか、心を読んだように答える。

 

「君が与えてくれたの物だから、お姉ちゃんはそれを受け入れているだけ。痛みも、感情もあなたの全部受け止めてあげる。だけどそれだけじゃ、君は私の物にならない。だから、こうしているの。これが最も分かり合えるの。痛みを与え、感情を曝け出し、お姉ちゃんだけを見てくれる」

 

 何度も何度もレイピアと野太刀がぶつかり合い、鍔迫り合いになる。

 そして、クスフィーは瞳を覗き込んで来て、言う。

 

「全力で君を愛してあげる」

 

 実の姉に言われても、余り気持ち悪くはなかった。

 怖くも、拒否感も感じない。

 

 ただし、本気だと言うことは分かった。何より、人格はともかく、腕は一級すら超越したプレイヤーだ。だったらこちらが無様なところを見せる訳にはいかない。

 

 アカザは野太刀を握り返し、眼前の敵を見据えた。

 

【追い込まれていることに焦ったかと思いきや、あのような姉の言葉で正気に戻るものか?】

「何が言いたい無機物」

【いや、なに。姉も狂ってていれば、弟も大部イカれている】

 

 その言葉に思わず笑いそうになってしまう。

 そうだ。最初からアカザは狂っている。ならば今更姉と戦うことに恐怖を感じる必要はない。そして、強ければ強いほど燃えるのが対人戦。

 

 この戦いを楽しまなければ損だ。

 だから、アカザは顔の抑えがきかず、唇が三日月型になり獰猛な歯が見え始めた。

 

 

 

 そして、詠唱なしで突然、極級魔法がクスフィーの細剣から放たれる。

 

 【オグン・ノヴァ・ウォー】、火柱がアカザの真下からいきなり噴火したような激流が吹き上がる。天井は既に燃え尽き、灰すら残らない超高熱。

 

 一瞬にしてアカザは炎に包まれる。

 

 四方八方から全身に熱した鉄を押し付けられたみたいに、体が燃え上がりそうな痛みがアカザを潰しに掛かる。

 

 だが、【暗鬼鞘】を腰から抜いて地面に突き刺し、何故かその場から離れない。

 【スティンガー】を放つと同時に、【並列行動(パラレル・アクション)】によって【スタンバイタイム】を詠唱し放つ【オグン・ノヴァ・ウォー】。

 

 その場から離れないと、ヒット数が5回当たりダメージを継続して受けてしまう。

 

 アカザならすぐにその特性に気付き、急いで退避しようとするはず。そこを【並列行動(パラレル・アクション)】で詠唱を終えた極級魔法で狙い撃ちにする。そうクスフィーは戦略を立てていた。

 

 例え、クスフィーの戦略をアカザが読んでいたとしても、攻撃を無効化するスキルは温存しておきたいはず。ここで切り札の一つを切る大胆な戦術を取るとは思わなかった。

 

 しかし、その予測が間違い。

 

 次のダメージが発生する瞬間、火柱が【暗鬼鞘】の鯉口に吸い込まれていく。

 【オグン・ノヴァ・ウォー】の紅蓮の炎が、ブラックホールに呑み込まれていくように、貪欲な鞘に食い散らかされる。

 

「へぇ。そんなアイテムだったんだ」

 おどけた風に、わざとらしく両手を広げるクスフィー。

 

「それで、そこからどうするのかな?」

「こうする!」

 極級魔法を呑み込んだ状態の【暗鬼鞘】に野太刀を納刀する。

 

 【暗鬼鞘】に描かれている説明文(フレイバーテキスト)には、魔を吸収し力を我が物とする、と書かれている。

 魔は間違いなく【魔法】や【回復術】などのスキル。その力を吸収し自身を強化すると思われる。

 

 だが違う、力を得るのはアカザではない。

 抜刀した時、アカザが握っている【天叢雲剣《剣之神器》】の色が黒ずんでいる。

 武器が強くなった訳ではない。

 

【さぁ】

「反撃だ」

 【鬼道丸】の意識が【天叢雲剣《剣之神器》】に乗り移った。

 

「……虚仮にしているのかな?」

「やってみれば分かる」

 今度は打って変わってアカザから仕掛ける。

 

 向かって来るアカザに極級魔法【ゼウス・ケラノウス・フォールズ】を放つ。

 太い稲妻がアカザを呑み込もうとする。

 

 が、その紫電の蔓はアカザには届かない。

 

 一太刀、アカザが稲妻に向かって野太刀を振るう。

 そこから生まれた黒い風。

 

 絶え間なく野太刀から放出される黒い【マナ】が、アカザに纏わりつき、紫電を遮る。

 

 恐れることなく、何度も稲妻の中で、稲妻を切り裂き、突き進んで行く。

 

 黒い【マナ】の源は先程取り込んだ【オグン・ノヴァ・ウォー】。そして、その【マナ】を操り、アカザを補佐しているのは野太刀に乗り移った【鬼道丸】。

 

 アカザが力を得るのではない。

 

 【鬼道丸】が魔を手に入れ、一時的に共闘するのだ。

 稲妻の中を掻き分け、クスフィーの目の前に来たアカザはその勢いのまま【疾風一閃】と【黑之絶断】を発動。

 

 疾風となり、クスフィーを黒いオーラを纏った野太刀で、切り裂く。

 

 痛みの感覚がリアルとなった今、アカザは攻撃の中を突切って来るとは考えなかったのか、クスフィーはその一撃を喰らった。

 

 装備している【シルキーラミナータ】には物理ダメージの軽減化がある。

 だが、袈裟斬りにつけられた傷口から血が噴き出し、黒の【マナ】は侵入し、傷痕を広げる。

 

 たった一撃。

 だが、強烈な一撃。

 そして、それに耐えるクスフィー。

 

「ふふ、ちょっと驚いちゃった」

 傷口には目を向けず、アカザをじっと見つめて来る。

 

「痛いよ……でもね、体がゾクゾクしちゃう」

 恍惚した表情を見せ、体を震わせて甘い息を漏らす。

 

「だから、もっと、もっと、もっと戦いましょう?」

 瞬間、玉座に仕掛けてあったトラップが作動。

 

 床は勿論、壁、天井に目では設置した本人しか見えない魔法陣。そこに立っていたアカザを飲み込んだ。




姉弟喧嘩と名付けたものの、
弟にとっては殺し合い、
姉にとっては殺し愛、
起こる戦闘は災害クラス。
周りの人にとってはかなりのとばっちり、主に部屋を掃除しなきゃいけないメイドとか。
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