エピソード 0 クローズドベーターテスト
アインクラッド 第十層 迷宮区
『ギャァァァーー!!!』
迷宮区に響き渡る悲鳴。
しかし、誰も反応する者はいない。
それもそのはず。この迷宮区は現在の最前線である第十層にある。
つまり、到達しているプレイヤーが“ほんの一握り”しかいないのである。
その上、迷宮区は多フロアで構成されている。そんな迷宮区の同じフロアにパーティーメンバー以外の“ほんの一握り”がいる可能性など皆無だ。
“そんな場所にいる一握り”の一人である私は現在
HPが0になったとしても第一層はじまりの町の黒鉄宮にて復活することが出来る上、ここまでまた来る手間もたいした物ではないのだがデスペナルティは存在しているため、これまで極力死なないようにしてきた。
……………閑話休題……………
そうこうしているうちに先ほどの七体からの逃走に成功した私は、安全地帯にて一休みしている。
安全地帯とは迷宮に何カ所か存在している“Mobに索敵されないエリア”である。その上、既にトレイン=<Mobに見つかっている>状態であってもそこに入れば振り切ることができるエリアでもある。その安全地帯が設定されている場所には大まかに2パターンある。フロア移動の為の階段そばの場合と、フロア中間付近にある場合である。
現在私がいるのは中間付近に設定されている安全地帯なのだが、先ほどから剣戟の音がする。
『誰かこの先で戦ってるのか…?…見に行ってみるか…。』
剣戟の音の種類の少なさに興味を持った私は見に行く事にした。
…………………………
先で戦っている人が蹴散らしたのか、Mobの数が激減していて、スムーズに音のする所に着いた。
そこで見た物は複数のMobに囲まれていながらそれをモノともせずに居る一人の剣士だった。
『……。』
言葉が出なかった。一切の無駄が存在しない流麗な剣閃に見とれていたのだ。
どれ程の時を見とれていたのだろうか……私の時を動かしたのは
「後ろっ!」
彼の声に引き戻された私の後ろにMobがリポップしていた。
『どわっ!』
リポップしたMobからの先制攻撃をギリギリで回避する事に成功。
ギリギリだというのに、回避しながら彼を見ると未だ戦闘中。
あれだけの闘いをしながら近くに来た私に気付き、なおかつ私の背後にリポップしたMobにも気付いて注意を促すとは…すげぇな、オイ。
…って、感心して呆けている場合じゃなかった。こんな状態で彼の足を引っ張るハメになるのはいただけない。キッチリ倒さないと…。
改めて敵に向き直った私は戦闘を開始した。
……………戦闘終了
さすが、この迷宮初出の刀スキルMob、あいかわらずの強さだ。いくつかのソードスキルは既に覚えているとはいえ、大変やりにくい相手である。
「大丈夫か?」
先ほどの戦闘を振り返っていると先刻、背後のリポップを教えてくれた剣士が声をかけてきた。
『ああ、さっきは教えてくれて助かった。』
「仮にも迷宮区で呆けてちゃダメだろう。」
『面目ない。実は君の闘いに見とれていた。』
「んなっ。」
『君程の手練を今まで知らなかったとは……実にもったいない事をした。…俺はセレス。君の名を聞いても…?』
「……。あ、ああ…俺はキリト…。」
『キリト…もしかしてデュエル大会常勝の…?』
「…ん、まぁ…な。」
『あのさ、君さえ良ければ…なんだが、次の安地までお供してもいいか?』
「…かまわない。」
『サンキュー。』
この日から私はたびたびキリトと組んで迷宮区に潜った。
キリトの剣技は凄まじく、学ぶ事が多かった。見て学び、直接教えてもらいながら私は自身の技能を底上げする事が出来た。
だが、それでも刀使いMob《オロチ・エリート・ガード》の多岐に渡る技に振り回された私達は、スキルを覚え切るのに手一杯で。結果、ボス部屋にたどり着く事は叶わなかった。
エピソード0 End Next エピソード1
プロローグはこんな感じです。
エピソード1は第一層なので正式サービス開始です。
2016/2/11 18:37
ひっそりと一部改稿および修正しました。
2016/8/16 02:14
ひっそりと一部改稿および修正しました。
2016/8/16 02:30 以下の裏話を追記しておきます。
・キリトとあった後に第4回決闘大会開催。オリ主初参加。準々決勝でキリトと対戦し、敗北。
・初対面の時キリトは5体の敵と交戦中。残り2体になった所でオリ主付近の敵がリポップ。キリトが倒したはずなのにリポップしたのはキリトがダンジョンをバックしながら戦っていた為。オリ主同様進んだ先で7体とエンカウント。安地に向かって戻りながらの戦いを余儀なくされていた。(先まで強制突破するより戻った方が近かった)オリ主と違ってまともに戦っていたのは、キリトが倒しきれると判断した為。