「ぐおーー、すぴーー。ぐおーー、すぴーー。」
大量のコンピュータ、様々な記号が書かれている書類の山が山脈の如く積み重なり、ハンマーやスパナなどの工作道具があちらこちらに散乱していた。
その中で鼻から丸い風船を出し、いびきをかきながら爆睡していて顔にも書類が覆い被さっている男がいた。
男が爆睡している中、扉が開いて白衣を着た若者が走りながら入ってきた。
「ドクター!Dr.インディゴ!起きてください!」
そうすると、それまで寝入っていた男が起き上がった。
パァン!!
「うるさいなー、人が気持ちよく寝ていたのに何でおこすのかな、君は!」
Dr.インディゴ。
そう呼ばれた男は顔がまるでピエロ、白衣を纏い、首には手製の針金入りマフラーをしている。
「ドクター!今はそれどころではありません!」
「ううん?また、あの欠陥兵器を信奉している連中がきたのかね。処理しておけ、研究の邪魔だ。」
「違います!」
若者がそう答えた。
「...もしかして我々のスポンサーなのかね。」
「はい!珠洲宮家の殿下が来ています!」
「それを早く言え!この馬鹿!」
Dr.インディゴは大慌てで飛び出していく。
プップップップー
「Dr.インディゴ、やっと起きましたか。資料、置いときますよ」
「Dr.インディゴ、昨日実験したデータ整理きちんとしてくださいね」
「Dr.インディゴ!第8研究室から電話が来ていますが!」
廊下を独特の足音を立てながら走る、Dr.インディゴに気が付いた科学者、研究者達が声をかけた。
「今はそれどころではない!...おい!ワトソン君!殿下がいらっしゃるのはどこだ!」
「例のあそこ、第一ドックです!Dr.インディゴ!それに私はワトソンではなくワトソアです!」
「一文字違うだけだろうが!?」
地味に付いてくるワトソア君を引き連れDr.インディゴは走っていた。
天井部分の土が丸見えの巨大ドック。
そこでは多くの人間が群がり、大量の鋼材やブロック化された船体部品を接合するための溶接の火花が散っていた。
そのドックを完全に見渡す事が出来る場所に珠洲宮家現当主がいた。
彼が見つめる先には、今だ竜骨が剥き出しの状態でいる一隻の艦がある。
「ピーロピロピロ。お待たせしました、殿下」
「...遅かったな、Dr.インディゴ」
「申し訳ありません、何せ研究がそれはそれは楽しくて、もうここはパラダイスですよ!我々にとって」
殿下と呼ばれた男は質問を投げかけた。
「...ISは最強の兵器だと思うか?」
Dr.インディゴは怒った表情を浮かべた。
「IS?冗談じゃない!私はあんな欠陥兵器認める訳がない!」
Dr.インディゴは興奮し語り始めた。
「そもそも兵器と言うのはババアやジジイ、ガキであろうと引き金を引けば弾が撃てるのが当たり前なのです!いかなる戦場でも持ち主を選ばず、誰で在ろうと使える、それが兵器なのです!!しかし!ISはその前提すら克服出来ていない。女性だけが使える史上最強の兵器?否!女だけしか使えない欠陥兵器なのですよ!あの白騎士モドキは!」
「...Dr.インディゴ」
男は指先を艦に向けた。
「この艦が物になるまで、後何年掛かる?」
男の質問に対して、Dr.インディゴは右腕の手を広げた。
「5年、5年はお待ちください!必ずこの艦のみならず、他の姉妹艦の完全配備をご覧にして見せます!」
Dr.インディゴの答えに満足そうに頷くと、男はこう言った。
「例の二つのあれ、見れるか?」
「ああ、あれですか見れますよ。見られるのですか?」
「見ていく案内してくれ」
「分かりました。ではこちらに、ピーロピロピロ」
Dr.インディゴの先導の下、一行がたどり着いたのは巨大な鋼鉄の扉であった。
『Dr.インディゴこんにちは、暗証番号をお願いします』
扉から伸びるケーブルの先にある端末から無機質の声が聞こえた。
「暗証番号、19050902」
『合致、扉開きます』
鋼鉄の扉が音を立てながら開いていく。
扉が開いた先には、二つの光り輝く物が多数の電子ケーブルに繋がれたまま水槽の中に浮かんでいた。
ISコア
世界に467個しかないISコアが、二つも彼らの目の前に存在していた。
「この二つのISコアから得られた技術を元に、素晴らしい技術が開発されました!まずPIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)を基に簡易ではありますが、重力制御装置の開発、
ハイパーセンサー仕様の多機能レーダーシステム、シールドバリアーによる間接防御力の強化装置、なによりISコア最大の特徴と言っていいエネルギー制御を元にした、高エネルギー制御技術の実用化!!これさえあれば原子力なのではなく、遥に先の核融合炉の実用化が可能です。他にも「殿下!!」...」
「おお、真希ではないかどうしたんだい」
「殿下、来ていたなら連絡くらい下さい!」
Dr.インディゴが更に得意げに語ろうとしようとした時、走りながら向かって来た、まだ小学生ぐらい少女がいた。
「おい!ガキンチョ!まだ俺が説明しているだ!引っ込んでろ!」
「黙れこのピエロ野郎!先程から一方的に話しているだけではないか!それよりそのピエロ顔なんとかしろ!」
「なんだと!俺様に命令する気か!?」
「そうに決まっているだろう!」
ギャーギャーとお互い罵り合う二人を見かねて男は口を開いた。
「二人共、言い合いは止めろ。それより真希、どうしてここに?」
そうすると早乙女真希は躊躇いながら言った。
「...声が聞こえたのです」
「「声?」」
「はい。ここから出して、大空を飛びたい...と」
それを聞いた男は一瞬、ISコアの方を見てから、
「...ククク...アハハハハ!」
爆笑した。
「殿下?」
「Dr.インディゴ、こいつは傑作だぞ!」
「はあ?」
「ククク、Dr.インディゴ、お前は魂の転生や神の実在を信じるかね?」
「いいえ、私が科学の道を歩んである以上、そのような不確かな物は一切信じていませんが」
「そうだろうな」
だがな、と男は言う。
「実在するのだよ、オカルトの塊は。その証拠に」
男は早乙女真希を見つめた。
「真希が聞いた声、紛れもなくあの二つのISコアの声だろう」
「そんな馬鹿な」
Dr.インディゴが飽きれ還っていると、男は真希の肩を掴み目線を合わせた。
「真希よ、本当に声が聞こえたのだな」
「聞こえました、確かに」
真希の答えたに一瞬目を閉じると、Dr.インディゴの方に向き直った。
「Dr.インディゴ」
「何でしょうか、殿下」
Dr.インディゴの問いに男はこう答えた。
「あの二つのISコアで、早乙女真希専用のIS作れ」
男の言葉に、Dr.インディゴの表情が怒りに染まった。
「...殿下、それはあの欠陥兵器を私に作れと、そう言っていられるのですか」
「そうだ、理由はある。まず現在開発中もしくは実用化した新技術をISを利用する事で実用試験することが可能になること、我々に協力する財閥や企業にその恩恵を回せること、これは一番の理由だかIS至上主義者の連中から合法的に予算をぶんどれる」
男が言った言葉に落ち着きを取り戻したDr.インディゴは言った。
「分かりました。そこまで言うのなら作って見せましょう!」
「そうか、真希良かったな」
男が真希に話しかけると恥ずかしそうに小さな声で、
「...ありがとう...」
言ったらDr.インディゴが悪い顔して
「ん?すまない、耳が遠くなった様でな。もう一度言ってくれ」
「ええい!黙れ気持ち悪い!
「なんだと!このクソガキ!」
再び言い争う二人をにこやかに見つめている男。
そんな男に近づく軍人がいた。
「ツァーリ」
「おう、どうした」
「我々を尾行していた、連中の処理が終了しました」
「どんな輩だった?」
「白人と黒人の混合、恐らく...」
「正義の大国、我らが同盟国、アメリカ合衆国か」
男が呟くと軍人は静かに頷いた。
「バレてはいないな」
「はい。連中はどうも正確な情報を持っていなかった模様です」
男は今だ言い争う早乙女真希を見つめた。
「早乙女真希のどうだ」
「...あまり言いたくないのですが、彼女は天才です。嫉妬してしまう程」
「天才?どう言う天才だ?」
「世間で言う非凡な才能を持っているわけではありません。しかし驚異的なのは彼女の軒並みならぬ不屈の心です。その心により普通なら大の大人でも音を上げる、厳しい訓練でも彼女はただ黙々と訓練しています。それに他の人間より少しだけ少しだけ優れた身体能力が合わさり凄まじい成長をしております」
「...そうか」
男は軍人の言葉を深く胸に刻んだ。
本来、彼女には必要なかった才能を引き出すように命じたのは彼本人だ。
1人の少女の人生を、地獄の道に替えた、1人の人間としてその罪を深く深く胸の奥底に刻み込んだ。
ふはははは!!
悪の科学者だぜ!
それと感想プリーーーズ!カモン!