現世と比べるとアナログな幻想郷になんと、ビデオカメラが幻想入り。それは天狗らの書く新聞、河童らの造る機械、人里の人間らの防犯などに影響を与え、今回舞台の地底でも娯楽として広まっていた。
こちら地底の眠くなるような薄暗い地霊殿にて、さとりはサードアイごとまじまじとビデオカメラを見ている。どうやら、こいしがお燐にねだって買ったもののようだ。さとりは、あの時のお燐の心の中は
(壊さないで下さいよさとり様…!)
の一点張りだったことを思い出す。
(壊さないで下さい、ねぇ。しかしよ、このまま使わないのもそれはそれで勿体無い。確か説明書があったはずよ。それじゃあ、それを見ながら使いますか。)
さとりはビデオカメラ本体に下敷きになっている説明書を取り、見ながら操作する。
(なる程。これが電源ね……。それで、このつまみをひねると、ビデオモードになるのね……)
ちなみにこのカメラ、河童が幻想入りしたものの改良を重ねて作ったものだ。ビデオモードとカメラモードがあり、連写機能もついている。さらに撮ったものは現像ボタンですぐに写真にでき、動画は動く写真にできる、魔法のようなカメラだ。
しばらくそのビデオカメラを弄っているうちに、さとりはビデオフォルダに動画がいくつかあるのを見つけた。
(ん?色々と撮ってあるわねぇ。さては、こいしが撮ったのかしら?)
誰が撮ったのだろうと思っているその時、さとりの背後からぬるりと誰かが来た。
「だぁ〜〜〜〜れだァ?」
その人物はさとりのサードアイを揉むので、カメラを床に落としそうになった。
「うわっとと!?………こいしね。」
「やっぱわかった?」
「ええ。てか、危ないわよ。カメラを落としそうになったのよ?わかる?この罪の重さ。」
と、さとりはサードアイを睨みつかせながら言う。
「もし落とし壊してそれを謝ったのならお燐は、誠意は言葉ではなくお金、って言うだろうねぇ。だって買ったやつ、5万くらいしたもの。」
こいしは笑いながら言う
「……アンタも払ったんでしょうねえ?」
「もっちろぉん。だから壊したら、私もお金をせがむね。」
さとりには妹の目に¥が映っているように見えた。
「……あまり高額な請求はやめなさいよ。それはさておきアンタ、これ使ってみたの?何か撮ってあるみたいだけど。」
「あ、うん。ちょっと色んな人を隠し撮りしたんだ。そうだ!明日人を集めて観賞したいけど、いいかな?」
こいしは流れ星に願いを叶えるように姉に請う。
「う………しょうがないわね。いいわよ。三階の部屋が使えるわよ。」
「よっしゃあ!その部屋が物置きみたいだったら承知しないよ!」
姉は妹に甘い。しかし、妹は姉にキビしい。
そして翌日、地霊殿に鬼、橋姫、土蜘蛛、釣瓶落とし、魔法使い、博麗の巫女、河童、天狗がやって来て、さとりとお燐は出迎える。
「あら皆さん、いらっしゃい。」
「今回は特別に来てやったぞ!べ、別に、映像を見たくて来たワケではない!覚妖怪が隠し撮りをしているのを取り締まる為に来たんだぞ!勘違いするな!」
そう発言したかなり背の高い鬼は勇儀。さとりのことが嫌い(?)らしい。
(さすが鬼、正直ねぇ……。その発言は心を読まずとも嘘という事がバレバレだと思うわ…。)
「まあそう固くなるなって。酒でも交わしながら楽しもうや!な?河童共?」
そう発言した背の小さい鬼は萃香。幼女に見えるが、中身はかなりおっさん。
(あ、この人飲むことしか考えてないわね…。)
「ひゅい!?私らも飲むんですかい!?」
それを聞き驚いた河童はにとり。どうやら鬼とは酒を交わしたくないようだ。
(まあ、鬼は水のように酒を飲むからねぇ…。)
(そうですか……。なら、今回は死ぬ覚悟を決めるしか無いですねぇ……。)
同時に、天狗の射命丸はこう思った。ビデオ観賞の件で取材に来たようだ。
(縦社会は苦労するわねぇ……。)
「まあ気軽に行こうじゃないか。飲むのに付き合ってやるわよ。お燐が。」
「って、あたいが!?」
気楽にお燐に鬼と飲むことを擦り付けてきた土蜘蛛はヤマメ。蟲の類なので、心が読めない。
(心が読めないから、蟲は苦手ねぇ……。)
「でもヤマメさん。私の分だけは飲んでくれるんでしょ?」
「うん、そうだ……って、んな事言ってないわよ!」
ヤマメさんにノリツッコミをさせたのは、釣瓶落としのキスメ。ヤマメが来ると聞き、参加して来たようだ。
(類は友を呼ぶのね……。)
「それじゃあ私は嫉妬を肴に、好きなように飲もうかしら?」
白黒の魔法使いを見ながらニヤついてそう言った橋姫はパルスィ。色んなこと(主に嫉妬関連)を考えていて、心が読みづらい。
(この人の心を読むと疲れるわ……。)
「な、何こっち見ているんだよ!?相変わらず気持ち悪いな!」
パルスィにそう発言した白黒魔法使いは魔理沙。面白いものが観れるということで来たみたいだ。
(あら、よく見ると案外嫉妬深いのね。そりゃあ水橋さんに狙われるワケね……。)
「ん?私に嫉妬しているのかしら?そりゃあ当然よねぇ!ゴホッゲハッ!」
そうドヤ顔で言った後、咳き込んだ紫色の魔法使いはパチュリー。いい知識が手に入りそうということで、来たようだ。
(喘息ねぇ……。後で地底の医者でも紹介しようかしら……。)
「んなワケ無いでしょ。多分、霊夢のことよ。」
パチュリーにツッコミを入れた人形のような魔法使いはアリス。霊夢も行くというので着いて来た。
(やっとまともそうな人が……。)
そしてアリスは何かに気付く。
「……って、霊夢は?」
そう射命丸に問うと、こう返ってきた。
「霊夢なら、もう会場に行きましたよ。」
ああ、無事に終わるのかしらこの観賞会……と、ワカメのような頭を搔いてさとりは思った。
続く