ハイスクールD×D 昼行灯のサイキッカー   作:野分大地

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7.答え合わせとこれから

「まずは……オカルト研究部へようこそ、イッセー。私達は貴方を歓迎するわ」

「は、はぁ……」

 

 緊張と困惑が見て取れるイッセー君を尻目に、出された紅茶をいただく。ううん、いい香り……や、俺別に味の違いとか分からないけど。俺コーヒー派なんだよね。

 

 

 リアスちゃんは改めて、自分たちがオカルト研究部を隠れ蓑にした悪魔と呼ばれる集団であること。そして瀕死のイッセー君を救うために彼を悪魔に転生させた事を話した。

 

「俺が……悪魔に?」

「そう。今の貴方は、上級悪魔グレモリー侯爵家の娘……この私、リアス・グレモリーの眷属なのよ」

「おぉー、やるねぇイッセー君。大出世だ」

「人事だと思ってンな呑気な……ってかそうっすよ!リアス先輩やオカ研の皆が悪魔で、あの男や……夕麻ちゃんが、堕天使で……じゃあ奏海先輩はなんなんですか?!流れからすると、天使とか……?」

 

 と、茶々を入れると矛先が此方に挿げ替わる。

 

「そうね、その辺りもこの場で聞こうと思っていたの。天使は天使でまた別に居るから、彼は違うと思うのだけれど……」

「あ、居るのね……まぁ、俺の自覚が無いだけで実はその3つの中のどれかでした~、ってなことが無い限りは、俺は人間のはずだよ?」

「じゃ、じゃあ一体あれは……」

 

 彼が言いたいのは俺のPSIのことなんだろう。でもなぁ、俺も別にこの力の由来とか知ってるわけじゃないし……

 

「……そうね、まずは神器について話しましょうか」

 

 

神器(セイクリット・ギア)

 

 それは一部の人間に宿り、物によっては人の身で悪魔や堕天使を脅かし得るほどの、規格外の力。

俺のPSIはそれの産物かもしれず、イッセー君はそれ故に堕天使に目をつけられ殺されたのだという。

 

「あぁー、そういやあったねぇ。なんかこう、ヤバイのが」

「え゛っ!?」

「あら……どういうことかしら、長谷君?」

 

 うっかりポロッと零してしまった一言に、しっかり食いつく彼ら。

 

「……えー……あの、君が夕麻ちゃん? ってあの堕天使に殺されたところに出くわした時にね。治療と一緒に事情を把握しようと思って、トランスを……まぁ、要するに。心に、ちょっと……ね?」

「心……え、心って、じゃあ、先輩ってサトリ妖怪みたいなことが……?!」

 

 頭を掻いて目を逸らしながら言うと、怯えたような様子のイッセー君。オカ研の面々も驚いているようだった。

 

「やー、違う違う。有線だし、外気だとかいろんな影響を受けるし、技量もそこまでだから、完全に油断してるか相手が受け入れてるかじゃないと使えないし」

「……すいません、やっぱちょっと……」

 

 当然ながら、精神を覗かれたことでなんとも言いがたい表情をするイッセー君に申し訳なく思いながらもあの時見たものを思い出す。

 

「なんていうか……赤い? そこに揺蕩ってるだけだからさほど影響は無かったけど、触ったらトランスの端子ごと此方の心まで罅が入りそうな、荒々しい“赤”……だったかなぁ」

「……そう……」

 

 俺のざっくりした印象を聞いて、リアスちゃんは考えこむように口元に手を当てて目を伏せる。イッセー君はピンと来ないようで首を傾げていた。

リアスちゃんはしばらくして顔を上げると、イッセー君に手をかざすように言った。

 

「そう。目を閉じて集中して。一番強いものを思い浮かべるの」

「一番強い……ドラグ・ソボールの空孫悟、とか」

 

 不思議そうに言われるがままにするイッセー君。しかし……力いっぱい頑張っている割には、どうにも身が入っていない。

度々デレッと崩れる視線の先を辿れば……

 

「ああ、なるほででででっ」

 

 パンチラ、というには些か大胆にすぎる光景に気がついてしまったのもつかの間。三度すまし顔の小猫ちゃんから制裁を受ける。

というかこの娘そろそろ慣れてきてないだろうか。習慣化する前に何か手を……

 

「すみません! これ以上無理っす……!」

 

 などと言っている間に悔しさと満足感の同居した複雑な様子のイッセー君が膝をつく。ふっ、まだまだ甘いねぇ。

 

「いいわ、まだ難しいみたいね……そうだ。長谷君もやってみて頂戴な」

「ん、俺もかい」

 

 と、今度は此方に白羽の矢が立つ。

 

「ええ、貴方は既に能力を扱えるし……神器という概念を知った今なら、その能力ももしかしたら違う形で発現するかもしれないわ」

「なーるほど……んじゃ、やってみようかなぁ」

 

 目を閉じて、トランスの要領で自分に潜る(・・)

既に形はイッセー君の中で一度見たのだ。その形……神器を、俺の中に探す。

 

 ……やがて。深い深い集中の果て、俺の最深に根を張り半ば同化した“それ”に辿り着き―――

 

「―――見つけた」

 

 すっと目を開けば、俺の周囲をぐるりと取り囲むように何かが漂っていた。これは……

 

「……バッジ?」

 

 テレキネシスで浮いているらしい、それらの内一つを捕まえれば、それは黒地に白い手がプリントされた缶バッジのようなものだった。

意識すれば他のも机の上で停止して転がる。デザインがそれぞれ違うらしいバッジが全部で5枚。

 

「これが、先輩の神器……炎の柄の、バッジ?」

「……こっちのは、ロケットです。……いえ、デフォルメされた魔力弾?」

「あらあら、これは雷のイラストですわね。お揃いかしら?」

「これは何だろう、風? ソニックウェーブかな……?」

 

 ポップなデザインも相まっておもちゃのようなそれらは、皆の手の中を行ったり来たりだ。

 

「見た目からして直接的な武器ではなさそうだけれど……見当はつくかしら?」

「ん? んー……まぁ、なんとなく」

 

 リアスちゃんの言葉に応じて、バッジを皆の手の中から周囲に引き寄せる。おそらくこれで切り替える(・・・・・)という事だろうから……

室内という事も考えて、まずは手のバッジを選ぶ(・・)。何をしたというわけではないが、それだけで手のバッジが黒い燐光を帯びた。

それを確認して、自分のカップに手をかざせば。

 

「……紅茶が、浮いた!」

「や、君には一回見せたじゃない」

 

 素直に驚いてくれるイッセー君に笑いながら、テレキネシスで紅茶を自由自在に動かしてみせる。この程度なら一日中やっていても負担にはならないから差は分かりづらいものの……なんとなく、いつもより細かい操作ができる気がする。

 

「念動力……貴方の言っていたPSIね」

 

 驚いたように、あるいは面白そうに紅茶の動きを見守るオカ研メンバーの中で、リアスちゃんだけが事前に聞いていたからだろう。特に驚く素振りも見せずにそう言う。

 続いて炎のバッジを選べばそちらが赤い燐光を帯び、手のバッジから光が消える。

そのまま指をひとつ鳴らせば……紅茶がカップに落ち、今度は虚空に火の玉が浮かんだ。

 

「今度は、炎?」

「あらあら、多芸ですのね」

 

 先ほどの用に炎を動かしてみたり、火力を上げ下げしてみる。テレキネシス程使い込んでいないにもかかわらず、随分と自由に操作することが出来た。……こめかみ辺りにぴりっと来るものはあったが、この程度なら慣れでなんとかなるだろう。

 その状態で、同時にまたテレキネシスを使おうとしても手応えが全くない。……決まりだろう。

 

「……多分、俺の神器は……PSIのアシストというか、ハンドル? そういうものなんじゃ無いかなぁ?」

 

 集中力をスイッチする、とでも言うのだろうか。併用はできない代わりに、一つ一つが非常に使いやすくなっていた。

慣れていないものまでそうなのは、柔軟性の代わりに指向性を与えてくれているからだろう。素で使うよりも融通は効かないものの、そこは使い分けの練習をすればいいし。

 

「イレギュラーね……本来の異能をアシストする神器? それともPSIが今まで中途半端に覚醒していた神器の能力の一端だったとか……?」

「さぁー? 卵が先か鶏が先かって奴じゃないかなぁ」

「……それは、何か違うと思います」

 

 目を細めるリアスちゃんに、あっけらかんと笑う。小猫ちゃんもまた不思議そうにしながらもツッコミは忘れない。嫌いじゃないぜその姿勢。

 

 神器についてのあれこれが一段落した後、イッセー君に対する悪魔稼業の説明を聞きながら俺はバッジを手の中で弄びながら考える。

思い出すのはあの恐ろしい光の槍。速く鋭いあれと対峙して、昨夜は余裕なく跳ねまわるばかりだった俺。

 

「(……この神器の補助があれば、今度は戦闘中にバーストだって……って、なんか思考が物騒な方に傾いてきたなぁー……)」

 

 溜息を一つ。中学卒業辺りでそこそこ上げきったと思っていた俺の人生の難易度は、まだまだ上があったらしい。




 神器の形状については知ってる人は知っている、あの作品から。同じくサイキックつながりですね。
全部ノーブランドバッジ、要するに初期装備です。原作の強い能力なんかには及びません。
 せいぜい電撃が現代のハルヒコと同レベルくらい?やったね奏海、原作キャラに並んだよ!
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