インフィニット・ストラトス AngelWaltzー天使の奏でる輪舞ー   作:八神刹那

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プロローグ 永久語り

昔々。とある世界に1人の少年がいました。彼が住む世界は地獄でした。

神によりマナを使える人間とそうではない存在を区別され、尖兵となり戦う日々。そこには家族もいました。姉が2人と妹が1人。毎日が生きるか死ぬかの瀬戸際でしたが、その毎日は楽しいモノでした。

 

パラメイル。龍神器。ラグナメイル。

神が作った3つの機動兵器は世界を灰に変えていきます。それを見た神さまは世界を作り替えようとしました。2つの星を1つにしようとしたのです。

 

 

 

ラグナロク。世界を変える事象はそう呼ばれました。

 

 

少年とその家族は神に戦いを挑みました。世界を。いや、自分たちが生きる意味を失わないために。

 

クスィー、ペーネロペー、ウィング、デンドロビウム。

4人の駆る龍神器、パラメイルは空を駆け抜け、神と戦いました。

 

 

 

 

「君たちには随分と邪魔をされたが、ここまでのようだ」

「まだだ! まだ時間はある!」

 

神の言葉に少年は愛機クスィーを走らせる。すでに大破寸前。ミノフスキークラフトは破壊され、サイコミュ兵器は使えない。両肩のメガ粒子砲も同じ。使えるのは両手のビームサーベルのみ。

 

「もう終わりだよ。もうすぐ時空収斂が終わる。新しい世界の扉が開くのだよ‥‥‥!」

 

神の言うとおり、すでに殆どの建物が時空収斂の影響で塵へと代わり始めている。

 

「なぜそこまで抗う? 私は君たちのようなノーマと呼ばれる存在をいない世界を創るのだよ」

 

神の計画はわかっていた。人の生きた記憶をクリスタルに変えることで人という存在を一度消し去り、新たな世界をゼロから造り上げる。確かに耳障りのいい計画だ。だが、

 

「それでも俺たちは生きる! 何があろうと! このどうしようもない世界で!」

 

少年はクスィーを走らせた。機体にスパークが走る。

少年たちは決めていた。確かに神の言っていることは正しい。自分たちのような人間が生まれない世界を創ることが新しい未来をつくると。でも、自分たちは決めていた。どんな世界でも自分たちの生きた証は、こんなどうしようもない世界でも生きていくのだと。

 

「俺はいきる!」

 

ビームサーベルが光。が、

 

「そんな理屈! 意味がないのだよ!」

 

神のラグナメイルの実体剣がそれ拒む。そして、弾き飛ばされた。

 

「ぐわあぁぁ!?」

「消えろ! 世界の果てへ!」

 

ラグナメイルの両肩にエネルギーが集束している。収斂時空砲を放つ気だ。

その刹那、少年に見えたのは家族と過ごした日々だった。

 

(ここまでなのか? こんなところで終わるのか?)

 

ノーマとして生まれた命。バケモノと蔑まれ、傭兵として戦った日々。それを照らしてくれた家族の存在。

みんなで決めた。何があってもこの世界で生きよう。みんなで。

 

(まだだ。まだ、俺は戦える! 俺は、生きる!)

 

その刹那、クスィーを光が包んだ。光はラグナメイルの放った収斂時空砲を相殺したのだ。

 

「なんだと!?」

 

光に包まれたクスィー。その光は虹色に変わり、クスィーの姿を変えていく。

 

『諦めてはダメよ。ソラ!』

『立ちなさい。あなたは生きるのです。私たちの分まで』

『ソラはまだこっちに来ちゃいけないんだよ!』

 

家族の言葉。

 

「そうだよな。アレク。サラ。ヴィヴィ。ーーーーー俺はまだ! 死ぬわけにはいかない!」

 

光が創りだしたのはクスィー新しい姿。ペーネロペーのフライトユニット。ウィングの翼と力。エクシアの剣。家族の思いがマナとなり、具現化したのだ。

 

「バカな!? なぜだ! なぜノーマごときがマナの光を!」

「アンタには絶対わかんないだろうな。これが生きる力だ!」

 

虹色に光り輝くクスィー。

勝負は一瞬でついた。

 

クスィーが高速でラグナメイルの間合いに入り込み、エクシアの剣で四肢を両断。さらにウィングのライフルが頭部打ち抜き、ラグナメイルが崩壊していく。

 

「バカな! 私は神だぞ! 私はこの世界を!」

「そんなの俺たちにはかんけいない! 人間はみんな自分の足で歩く! お前の命令なんて! ゴメンなんだよ!」

 

クスィーの左手に集束した虹色の光がラグナメイルを貫いた。

 

「後悔するぞ。だが、もう‥‥‥」

 

ラグナメイルが光に包まれ、弾けた。だが、

 

「もう、時空が‥‥‥ゴメン」

 

すでに遅かった。

その日、世界は崩壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

少年は暗闇の中を漂っていた。

何もない世界。死んだら天国か地獄に行くと言うのは案外嘘だったのかもしれない。

何もない虚無の世界。

 

「君は、すごいね」

 

声が聞こえた。女の子の声だ。

 

「ロンスヴァールを倒した。ノーマと呼ばれた者が世界を変えたんだね」

「‥‥‥俺は負けたよ。だから、こんな世界にいる。何もない。真っ暗な世界に。それに、あいつの言っていることが正しいかもしれないことだってわかってた」

「でも、君たちは戦ったんでしょ。生きるために」

「かもね」

 

結局。自分は何もできなかった。神を倒したが世界は終わった。時空が一つになって新しい世界を変わる。もしかしたら神のやっていたことの方が正しかったのかもしれない。

 

「もし、その世界が新たしくなった。でも、また、ロンスヴァールが現れたとしたら?」

「どういう意味?」

「彼はいくつもの平行世界を往き来する神。また、世界が変わろうとしている」

「俺に何ができる? 俺はもう、死んだんだ」

 

自分にはもう何もできない。

 

「でも、戦ってほしいの。あなたはまだ消えてはいけないのだから」

 

少女の言葉に目の前が光に包まれていく。少女の姿が見えた。

 

「あなたがいきること。それが彼女たちの約束だから」

 

光に包まれ、少年、ソラはどこかへ飛んだ。

 

 

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