インフィニット・ストラトス AngelWaltzー天使の奏でる輪舞ー 作:八神刹那
クスィーを纏い、飛翔したはソラはすべてのスペックを確認する。
(ビームライフルにシールドは普通でミサイルランチャーはあるけど、あれ? サイコミュシステムがないの? なんで?)
武装は確かにいつも通り、ビームライフルにサーベル、ミサイルランチャーとオーソドックスなものばかりなのだが、問題なのはクスィー最強のサイコミュ兵装がないのだ。
考えていると突然、アラートが鳴り響いた。
「やば!」
その原因である妙なISは両手を突き出し、ビーム兵器の砲身を見せている。砲身をの奥が光った。
凶悪なビーム兵器がソラのいた砂浜を蒸発させる。
「砲撃型か! でも!」
間一髪のところでビームをかわし、高度を上げたソラは左手首にマウントされたビームサーベルの桃色の刀身を閃かせる。
「今度はこっちからだ!」
スラスターを吹かせ、一気に加速。狙うのはーーーーーー
「そこぉ!」
「!?」
肩口。だが、目の前のISは人体の構造からはあり得ない動きでビームサーベルをかわした。
「やっぱり無人機! 容赦はしない!」
ソラがビームライフルを突きつけ、トリガーを引いた。従来の2倍近い初速を持つ、桃色の閃光が無人機の左肩を貫いた。溶ける装甲。そのとき、
「敵の危険レベルをBからAに変更。殲滅に移る」
無機質な機械音がしたかと思うと、無人機の動きが変わった。
スラスターを吹かせ、一気に加速したかと思うと突如アクロバットな動きをはじめる。宙返りからの蹴り、腕を独楽のようにブンブンと振り回しながら、ビームを放ってくる。その動きに圧倒されはじめるソラは距離を置こうとした。
「くそ! ファンネルミサイルがあれば」
サイコミュ兵器の一種であるクスィーの代名詞があれば、現状を打破できるかもしれないが無いものをねだってもしょうがない。
「ターゲット・ロックオン! 集中して撃ち抜く!」
背部のミサイルランチャーの砲門を解放し、一斉射。18機のミサイルが飛んでいくが、無人機のISはアクロバットな動きで回避と迎撃を繰り返し、すべてのミサイルを無効化する。だが、
「もらった!」
ソラの狙いはそこにあった。いくら無人機とはいえ、この爆煙の中ではクスィーを捕らえられないはず。ソラは縦横無尽に空を駆けながら爆煙のなかにビームライフルを打ち込みながら高速で飛翔する。
爆発音が響いた。
「やったか!?」
沈黙する爆煙。ソラは睨むなか、
「敵機をSSランクと認定。殲滅プログラム”デスフェイサー”起動」
声が響いた。
「まだ生きてるか! ランチャー展開!」
再びミサイルランチャーを展開し、今度はビームライフルと共に撃ち放つが、
「起動完了。殲滅を開始」
爆煙の中からマシンガンが斉射される。
「なんだぁ!?」
さっきまではマシンガン何て武装はなかったはずだ。
ソラはシールドを構えながら回避行動に移るなか、それは煙の中から姿を表した。
それは先程までの形状を保っていない。もはや別物に変わった。
右手にはハサミのような腕。左手にはガトリング砲。全身は先程と同じ灰色だが、継ぎ接ぎのようなフォルムをしている。
「形態が変わったのか!?」
そんな兵器は見たことも聞いたこともない。おそらくは金属そのものがISのコアに対応して変化したのだろうが、今の敵の姿は、
「電脳魔神か」
「殲滅を開始する」
敵のISがガトリングを突きつけてきた。ソラは素早く回避行動に移る。放たれたガトリングをかわしながらソラはビームで狙いを定めよう。
「もらった!」
放たれた桃色の閃光は電脳魔神に簡単にかわされてしまう。それどころか、ハサミのような右手を突き出した。ハサミの奥に砲身が見える。
「やば」
エネルギーが収束されているのが見える。
赤色の閃光が走った。ソラは急上昇して回避するが、近くに見えたドーム状の建物のシールドが破壊されたのが見えた。
「なんつー威力だ」
気を引き直そうとした刹那、電脳魔神から何かが伸びた。それはハサミ。ハサミはクスィーのシールドを挟み込んだ。
「伸びんのかよ!?」
逃げようにもシールドは固定されていて動こうにも動けない。そのまま、ソラは投げ飛ばされてしまった。
空中を回転しながらソラはなんとかバランスを建て直そうとするが、スラスターが思った通りに機能しない。
「クッソ」
クスィーは制御不能に陥りながらドーム状の建物のなかに落下してしまった。
「なんだ?」
「なに? IS?」
落下したことでようやく立ち上がることができ、ソラは辺りの状況を確認する。自分を見下ろすように白いISと赤と黒が入り交じったISに、気がつく。
「どうも」
のんきに挨拶を交わすがそれどころではない。一斉にアラートが鳴り響く。狙われている。
「あぶない!」
ソラはスラスターを吹かせ、二機のISをつかみ、その場を離脱。
「うわあ!?」「ちょっと!」
直後、ソラのいた場所に熱線の火柱が突き刺さった。
「なんなのよ!?」
驚く間もなく、観客席が防護壁におおわれ、至るところから警告音が鳴り渡る。
『織斑くん! 鳳さん! はやくピットに戻ってください! そっちの未確認機の人も!』
スピーカーから女性の声が聞こえる。しかし、ソラは、
「いや、こいつのスペックはヤバい。援軍が来るまで持ちこたえるか、勝負をつける」
そう宣言し、ビームライフルを握り直す。
『ちょっと! なに言ってるンですか! 今、教師部隊が向かっています! すぐに避難を!』
「安全な場所なんて、ないよ。だったらここで迎え撃った方がいい。どうせ、俺の獲物だ」
女性の声を無視し、ソラは手首のラックからビームサーベルを取り出す。
「二機共、エネルギーヤバいでしょ。あとのことは俺に任せて、逃げて」
「でもよ!」
ソラの言葉に白いISが反論するが、
「大丈夫だ。俺、強いから!」
ソラはそのまま、無人機デスフェイサーに向け、スラスターをふかす。
『敵機の排除に移る』
無機質な声でデスフェイサーは右腕のガトリング砲を構える。複数の砲口から一斉に実弾か発射されるが、ソラはシールドを構えながら突撃していく。
(無人機なら!)
シールドに衝撃が走るが、ソラはクスィーを左右に振るように動かし、ビームライフルで狙い撃つ。しかし、デスフェイサーはそれがわかっているかのように回避してくる。
「動きが見切られている。どうする・・・」
おそらく、デスフェイサーは今までのソラの行動パターンから予測しているのだろう。
こちらの攻撃は単純なものしかできない。せめて、
(ファンネルミサイルがあれば)
空間を封鎖する武装があれば、勝機を見いだすことができるかもしれない。そう、思った瞬間、
デスフェイサーの右腕のハサミがソラをとらえた。
「しまった!」
ハサミで捕らえられ、身動きが取れなくなる。
「殲滅を開始する」
無機質な声と共に、デスフェイサーの左腕のガトリング砲の砲身が変形した。砲口はソラを捕らえ、エネルギーが装束しているのがわかる。
「装束砲!?」
ビームライフルを向けようにもライフルを握っていた右手は固定されていて、思うように動かせない。
エネルギーの装束が終わった。砲口から山吹色の熱線が迸る。回避は不可能。おそらく、シールドエネルギーそのものを溶かす威力はある。
エネルギーが解放される刹那、ソラの脳内に言葉が走った。
『あきらめないで!』
姉さんの、アレクの声が走った。その瞬間、クスィーが虹色の光に包まれ、デスフェイサーの装束砲を相殺した。
『な、何が・・・』『あれは!』
その光景を見た誰もが驚愕する。
『まさか、一次移行をしていなかったのか?』
虹色の光が治まり、クスィーが姿を現した。
両肩にはメガ粒子砲が二門。ミノフスキークラフトが追加され、機体は少しだけ、肥大した。
これがソラが駆る本当の機体、クスィー。サイコミュデバイスを搭載した一対多を機体。
「ミノフスキークラフト始動。同時にファンネルミサイル!」
ソラにはわかっている。これが本物の愛機であると。
ミサイルランチャーから8つのミサイルが飛びだし、浮遊する。
「敵機の生存を確認。再度殲滅する」
デスフェイサーが、動く。クスィーはミノフスキークラフトでゆっくりと浮上し、ソラは8つのミサイルに指示を出した。
すると、ミサイルは意思を持っているかのように動きだし、一気にデスフェイサーを取り囲んだ。
デスフェイサーは回避しようとする。しかし、
「遅い!」
ミサイルは一斉にデスフェイサーに直撃。四肢がよろけた。
「終わりだ!」
ソラはビームライフルを捨て、肩部のメガ粒子砲を展開する。
「消えろ!」
桃色の粒子が閃光となり、デスフェイサーに直撃。デスフェイサーを消滅させた。
「ふぅ、任務完了」
ミノフスキークラフトを解除し、通常飛行モードへ移行しアリーナに着地する。なんとか脅威は去った。しかし、
『そこの未確認機。動くな。貴様はすでに包囲されている』
声が響く。薄々とはわかっていたがIS学園の部隊にソラは包囲されている。
「一難去ってまた、一難か」
ソラはクスィーを待機形態に移行させ、両手を上げて降参とアピールする。
(さて、こっからどうなる?)
そう、思いながらソラは拘束されることにした。