インフィニット・ストラトス AngelWaltzー天使の奏でる輪舞ー   作:八神刹那

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第三話 問題児?

織村千冬は朝早くからIS学園の廊下を歩いていた。今日は土曜日で授業はないのだが、大きな問題が学園に流れていた。

 

『五日前に現れた謎の二人目の男のIS操縦者は何者?』

 

と言う問題だ。千冬は深くため息をつく。

 

(五日前、突如現れた謎の無人ISに謎の操縦者。あの男は自分の正体を平行世界から来たと言っていたが)

 

尋問を担当した千冬であったがその少年、ソラと名乗ったが飄々とした答えにただ無駄に時間を浪費しただけだった。

 

(不明のISか。まさかな)

 

脳内にはある人物の名前が浮かぶのだが、ありえないと首を振る。すると、

 

「織村先生! 大変です!」

 

廊下から一人の教師、山田真耶が走ってくる。

 

「山田先生。どうしました?」

「それが、尋問室にいたはずのソラくんが」

「あの少年がどうした?」

「脱走したんです!」

 

まさかの言葉に千冬は絶句する。

 

「脱走? どうやって」

「わかりません。ただ、書き置きで」

 

真耶が紙を見せる。そこには、

 

『色々、暇なんで買い物に行ってきます。夕方には戻ると思うよ。じゃあ! 夕飯の準備だけお願いしまーす』

 

と書かれていた。千冬に額に一瞬だけ、青筋が浮かんだ。

 

「山田先生。すぐに追跡班を組織してください」

「わ、わかりました!」

 

立ち去って行く真耶。千冬は苦虫を噛み潰したような表情で殺気を振り撒きながらその場を後にした。

 

 

 

 

 

その頃、脱走したソラは、

 

「さてと、買い物買い物」

 

どこからか手にいれた現金を片手にショッピングモールの一角をぶらぶらしていた。

お金は喧嘩を売ってきた優しい人に貰ったらしい。

買うものと言っても服と日用品。金が余れば何かを買おうと言う計画性のないショッピングだ。

それにしても目立つ。周囲からの視線がすごい。

 

「やっぱ、もう、ニュースで俺のこと知ってんだろうな」

 

見世物になるのはごめんだとソラはとある洋服点に入るのだった。

 

 

 

 

三時間後。

服やらなんやらを一通り買い終えたソラはIS学園への道を歩いていた。

 

「大漁大漁。満足満足」

 

両手に袋をぶら下げたソラはご満悦だ。服の他にも本やらなんやらを買ったのだ満足なのだろう。

すると、ソラは立ち止まり、振り向く。

 

「あのさぁ、ずっとつけてきてるけど。どこの誰?」

 

その声に反応したのか、三人の女性が姿を表す。三人とも私服だが、ソラはよく感じていた空気を覚える。

 

「気づいていたのか?」

 

リーダー各の女性が言う。

 

「そりゃね。街中で俺のこと拐おうとしたりしたでしょ」

「そこまで気がついていたのか」

「それで? 用件は? 軍人さん」

 

ソラが聞く。辺りには誰もいない。封鎖されているのはわかっている。そして、彼女たちの正体が軍人だということ。それの意味も。

 

「わかっているのなら話は早い。ソラとか言った男。我がフランス軍に加われ」

 

短い言葉にソラは苦笑いする。

 

「加われれって、どうせクスィーは回収されて、俺は研究所のモルモットだろ?」

 

彼女の言葉の真意はわかっていた。

 

「そこまでわかっているならどうする?」

「慎んで断らさせてもらうよ」

「逆らうのか?」

「当然。フランスだが、どこだか知らないが俺には関係ないね」

 

ソラの言葉に女性は握っていた拳を強く握る。すると、ソラは、

 

「こう言うんだろ? なら、力強くでいかせてもらうって」

「なら、力強くでいかせてもらう。────はっ!?」

「どうする? こんなとこでIS展開したら問題なるよ?」

「男ごときが!」

 

女性の顔が憤怒に歪む。

 

「そこで提案。IS学園の訓練場で戦ってあげるよ。ルール違反だけど」

 

ソラが挑発し、学園の敷地をまたぎ、クスィーを展開する。

 

「なら! こちらも遠慮はしない!」

 

三人ともISを展開する。フランス、デュノア社製のラファール・リヴァイブだ。

そして、ソラは陽動するように先日の戦いでバリアーに大穴が空いたアリーナへ飛翔する。

 

『ソラ! 何をしている! 勝手にISを展開するのは!』

 

尋問を担当した織村千冬の声が響く。そういえばオープン回線にしてたんだっけと思いながらソラは無線に応じる。

 

「大丈夫大丈夫。フランス軍に絡まれているだけだから」

『国際問題になるぞ!』

「ならないよ。向こうは隠密部隊みたいだし、公にしたくないでしょ。だから、あんたの権限で握りつぶしといて」

『なにを・・・!』

「奴さんには喧嘩売ってきたこと、後悔させるから」

 

ソラの声のトーンが低くなる。それを感じたのか千冬はなにも言わない。

 

「それと門のところに袋があるから回収しといて」

 

ソラはそれだけ言うと通信を切り、アリーナに降り立つ。眼前には三機のラファール。カタログスペックは不明だが、ソラは

 

「遊んであげるよ」

 

右手のビームライフルの安全装置を解除する。それを合図に各ラファール・リヴァイブも全武装の安全装置を解除する。

先に動いたのは三機のラファール。上下左右に散り、連携を図る。ソラは動揺しない。この手の連携、一対多の戦闘には慣れている。だからこそソラは一気に勝負をつけることを選択する。そして、蹂躙する。

 

「後悔するがいい!」

 

リーダー各の女性がアサルトブレードを片手に攻め込んでくる。ソラはスラスターを吹かせ、回避運動へ移行。さらにクスィーの拡張領域にあったとある武装をビームサーベルの代わりに右手首にコールしてある。

 

(こいつにはきっとみんなの思いが詰まっている。思いは力になる)

 

クスィーのスペックは確認してあるが殆んどがブラックボックス同然の確認できないシステムが組み込まれているようだ。その一部が解放されたらしい。

 

コード“デンドロビウム”

 

家族の一人が作り上げた機体の名であり、移動武器庫と呼ばれたラグナメイルだ。

 

「ありがとうな。ヴィヴィ」

 

勝負をつける。上昇したソラを三機のラファールは捉えている。最初の一撃を食らわそうとするのはリーダー各の女。

 

「終わりだ!」

「あんたたちがな」

 

ソラは一瞬だけ、ビームライフルでアサルトブレードを防ぐしぐさを見せたが、両手首にコールしたアンカーワイヤーを射出。ラファールのバックパック部分に絡めた。

 

「なに!?」

 

驚く間もなくソラは力任せにリーダー各のラファールを振り回し、連携を狙おうとしていた二機にぶち当てた。

 

「きゃあ!?」「隊長!」

 

すでにアンカーワイヤーは外している。三機のラファールはワイヤーに絡まり、身動きがとれない。

 

「ゲームセットだ!」

 

後は蹂躙するのみ。

 

 

 

 

 

 

「貴様、何者だ?」

 

戦闘を終えたソラを待っていたのは千冬だった。

 

「何者って、ノーマ特務機関アルゼナルのパラメイル中隊から傭兵組クルセイダーズにいたから、傭兵ですよ」

「・・・なら、貴様はこれからどうする? どこの国でもない貴様はどうするのだ? 世界を敵に回すのか?」

「それも楽しいけど、俺にはやるべきことがある」

「やるべきこと?」

「ああ。俺がこの世界に来た理由はそれしかない」

 

ソラの瞳は決意に溢れている。いや、何かを抱え込んでいるようにも見える。

 

「だから、ここにいることにするよ。IS学園に」

 

それがソラの導き出した答えだった。

 

「身勝手なやつだが、それしか選択肢がないようだな。では、お前をここの生徒として認める。本当の名前を教えてくれ」

「本当の名前ねえ。ノーマになってからファミリーネームはなくなったからな。確か」

 

ソラは自分の記憶をたどる。そして、自分の墓であろう場所で見た名を思い出した。

 

「ソラ・ブロウニングってことにしておいてくれ」

 

それが、きっと、自分の両親の名前だと信じて告げた。

 

 

 

 

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