ポケットモンスター エトワール   作:中佐

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もう一つの方優先と言っておきながらこっちを更新。
今回はレッドに関する特殊な設定についての話です。
読んでみて苦手だと思った人は早めに退散してください。
ちなみにファンタジー要素とかではないです。


ないしょばなし

あれから、オーキド研究所にピカチュウを預けた俺は、母さんとオーキド博士に長長と説教された。

まあ確かにオニスズメが他の人に襲い掛かったり、俺が怪我をしたら大変だったってことはわかるけどな。

でもポケモンの命がかかってたんだし仕方ないと思う。

 

「で、どうなったんだ?あのピカチュウ大丈夫なのか?」

 

「ああ、怪我は早いうちに治るらしい。・・・その様子だと随分搾られたみたいだな。」

 

「そうなんだけど酷くねえ?結果的に町に何の被害もなかったし!ピカチュウ助けたし!」

 

グリーンに愚痴を言いながら、目の前のお茶を思い切り飲み干す。

現在グリーンの家で待機しつつ、例のピカチュウについての話をしているところだ。

テーブルを挟んで向かい側にいるグリーンが、呆れたような表情を浮かべる。

 

「はいはい。話逸れるぞ。」

 

「最初に逸らしたのはお前だろ!で、何か他にわかったか。」

 

「そうだな。お前の話によると、近くにトレーナーはいなかったんだよな?」

 

「おう。」

 

すると、グリーンがごそごそと鞄を漁り、中から赤色のスカーフを取り出す。

几帳面に畳まれたそれを開きながら、テーブルの上に置いた。

 

「これはあのピカチュウが身につけてたスカーフだ。ここを見てみろ。」

 

グリーンはスカーフの端を指差す。

対してデザインのないシンプルなものだが、けして粗雑な品でもない。

指の先にはあまり見慣れない文字。

 

「なんじゃこりゃ。」

 

「カロス地方の言葉だ。読みはエトワール。意味は星。あのピカチュウの名前だと思う。」

 

「名前ってことは!」

 

「あいつにはトレーナーがいるはずだ。」

 

トレーナーがいるなら探してる奴がいるってことだよな。

というかトレーナーならどんな状況でも守ってやれっつーの。

でもきっと会いたいだろうなあ、そいつに。

 

「なあなあ!」

 

「却下。」

 

「早っ!」

 

「お前が何か提案してくる時はだいたいろくでもないこと考えてる。」

 

心外だな。

 

「そんな事ねえよ。あのな、俺があいつのトレーナーを探してやりたいんだ。で、文句いってやる。ちゃんと守れよって。それに、ポケモンがいるなら旅に出たっていいだろ?」

 

グリーンは腕を組んで考え込む。

 

「反対だな。トレーナーを探すなら他に方法はあるし、見つかった後のポケモンはどうする?というかそもそもあのピカチュウに懐かれなかったら戦えないだろ。」

 

「俺が見つけたんだから責任は自分でとりたい。ポケモンは途中で捕まえる!ピカチュウとは仲良くなる!」

 

呆れたように溜息をついてから、グリーンはこちらを見る。

 

「じゃあ失声症はどうする。」

 

「あ。」

 

はっ、と息をのむ。

思わず視線を逸らしてしまった。

 

「結局このマサラの中ですら、母親と俺の家族としか話せないんだろ?会話はどうする。筆談で全部済ませる気か?」

 

俺は幼い頃、強いショックとストレスを受けてしまい、人前で声が出せなくなった。

一時期はとある事件の影響でポケモンの前ですら声が出せずに、筆談以外の意思疎通が不可能になった。

それが回復してポケモンの前でも声を出せ、カウンセリングのお陰で母さんとも話せるようになったのまではいい。

声が出せない事を教師は甘えととって叱咤したし、友達は友達じゃなくなった。

ますます母さん以外の人間との会話はできなくなった。

したくなかった。

母さんはそんな俺を心配して、マサラに引っ越し、療養生活を送らせてくれた。

で、グリーンの家族は近所だからととても親切にしてくれ、グリーンとは兄弟のように過ごした。

それから何年か経ったある日、俺は彼らの前で声を出せるようになった。

それまでは筆談で、俺は文面では敬語を使ってたので、この口の悪さを聞いたとき、グリーンはとても驚いていた。

今でも他の人に聞かれるような所では声を出せない。

だから、オニスズメに襲われても助けを呼ぶことができなかった。

確かに、そんな俺が冒険に出るなんて困るだろう。

 

「それでも俺は行きたい。俺にもポケモンマスターになるって夢があるんだ。お前の旅立ちをただ見送るのは嫌だ。」

 

はっきりと断言すると、再びグリーンは溜息をつき、それから笑った。

 

「よし!そこまで言うならじいさんに聞いてみる。レッドはちゃんと母親に許可をとれ。」

 

「え!いいのか?」

 

「それを決めるのは俺じゃない。でも、お前は俺のライバルだ。精一杯の協力はしてやるよ。」

 

「おう!」

 

「じゃあ今日はもう帰れ。ピカチュウの体調が回復してから交渉してみよう。」

 

「・・・ありがとな。」

 

「ま、もう幼なじみって奴だし。レッドがいないとつまんないしな。あ、その時まで秘密だからな。」

 

ああ、本当に良い友達持ったなあ、なんて笑うと、手元にあった雑誌で叩かれた。

こういうのをツンデレって言うんだろうな。

それから俺は家に機嫌よく帰っていった。

母さんにはまた怒られた。




とりあえず主人公がこんな感じの設定なのでストーリー展開は少し変わりますが、一応原作沿いになります。
こういうライバルもなかなかに好きです。ちょっとおかんなところがいい!
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