遭難!宇宙戦艦ヤマト!    作:エウロパ

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皆様、おひさしぶりです。
今回でグアム決戦前の話は終わりになります。
ここまでくるのに時間かかりすぎてしまいました……反省。



第十二話 カウントダウンⅢ

「あんた達、〝今さら〟何しに来たのよ!」

 

イムヤの怒声がバーベキュー会場に響いた。

イムヤ以外の艦娘達も相手の少女を睨みつける。

相手の少女とはツインテールが特徴のアメリカ軍の幼女補佐官、リリィ・ブラウンだ。

だが、彼女は平然としていた。

 

「何しにって、作戦の説明ですよ。じゃなきゃこんな弱小部隊の所になんて来ませんよ」

 

リリィはすました顔で言った。

しかし、その言葉にはどこか悪意が込められていた。

 

「そうじゃ無くて!なんで、あんたが説明するのかって聞いてるのよ!」

 

イムヤがリリィの前にすぐにも殴りかかりそうな雰囲気で迫った。

さすがに不味いと思ったのか提督がイムヤとリリィの間に入る。

 

「ちょ、ちょっと待ったー!」

 

「何よ提督!アメリカ軍に肩入れする気!?」

 

間に入った提督にイムヤは迫った。

提督はイムヤの鋭い眼光から目をそむけた。

 

「いや~そういう訳じゃないけど……」

 

提督が苦笑いを浮かべていると後ろから溜め息が聞こえた。

 

「はぁ……まさか、あなた……まだ知らせていないんですか?」

 

リリィが呆れた様に提督の方を見る。

提督は苦しそうな表情をした。

 

「今から言うつもりだった……」

 

「提督?」

 

提督のその表情に五月雨達は不安そうな表情を向ける。

すると、リリィは提督とイムヤの二人を手で押し退け皆の前に立った。

 

「それなら……私が代わりに説明いたしましょう!」

 

リリィは突然、悪意に満ちた満面の笑みを浮かべ言い放った。

 

「ちょ、ちょっと待っ――なっ何だお前ら!?」

 

いきなり代わりに説明すると言い出したリリィを提督はとっさに止めようとしたが突然後ろから体を羽交い締めされる。

後ろを見ると黒人と白人の大男の兵士がいた。

 

「て、提督を放しなさい!!」

 

不味いと思ったのか五月雨が心配そうに提督の近くにかけよって叫んだ。

 

「そうよ放しなさいよ!!たたじゃおかないわよ!!」

 

「そうでち!!放しなさい!!」

 

いきなりの事で唖然としていたイムヤも他の艦娘も五月雨が行動したことによって動いて声をあげる。

そしてついに、長門も動いた。

 

「ん?」

 

アメリカ軍の兵士が腕に強い違和感を感じた。

違和感の正体を確かめようと後ろをふり向くとそこには鬼のような形相の長門がアメリカ兵の腕を掴んでいた。

 

「いい加減にしておけ、いくら私でも怒るぞ?」

 

「私も怒っちゃうわよ~」

 

長門の気迫とその後ろにいた陸奥の目にアメリカ兵は明らかにおびえ怯んだ。

 

「「……」」

 

「あ~もう。みっともないから放しなさい。それにこんな状態じゃ話せるものも話せないです」

 

一気に険悪な雰囲気に包まれた会場だったがリリィはめんどくさそうに部下に命令すると部下はすぐに提督を放した。

だが、リリィを見つめる彼女達の目は怒りに満ちている。

 

「それじゃあ説明を始めましょうか。……例のものを持ってきなさい」

 

「「Yes, Sir!」」

 

リリィがそう命令すると二人のアメリカ兵はホテルの方へと駆け足で向かった。

 

「まず始めに……この作戦における貴女方の指揮権についてお話ししましょう」

 

リリィはそう言うと小さな封筒から一枚の紙を皆に見せた。

その紙は英語で書かれていたが一番下の方に日本の海軍省の刻印がされていた。

 

 

「今回の作戦では貴女方の指揮権は完全に我々が握るものとし作戦中の一切の命令は我々が下します」

 

 

沈黙の時間が流れた。

誰一人、五月雨達はリリィの言ってることを理解できなかった。いや、理解したくなかった。

この場で理解していたのは長門、陸奥、そして提督の三人だけだった。

 

そしてようやく五月雨が口を開く。

 

「な……何言ってるんですか……そ、そんな事できるはずが……できるはずがありません!!」

 

五月雨は叫んだ。

しかし、現実は冷酷だった。

 

「はぁ……あのですね。見えませんかこの紙が。これは、あなた方の祖国日本から直々に送られてきた通達書ですよ?ほら、ここに書いてあるじゃないですか。〝貴軍に指揮権を譲渡する〟って。それにこの紙はあなた方が一番早く貰っていたはずですが」

 

リリィの言葉に長門、陸奥以外の艦娘達が提督の方を一斉に見る。

長門と陸奥は知っているのだ。

 

「ど、どういう事ですか……提督。一番早く貰っていたって……嘘ですよね?」

 

五月雨が提督をすがるように見つめる。

提督は下に俯いた。

 

「どうなのよ、提督!!」

 

「そうでち!そうでち!教えてほしいでち!」

 

「司令……本当なんですか?」

 

「提督……」

 

イムヤ、ゴーヤ、雪風、伊八の四人が提督に詰め寄る。

そしてついに提督の口からその答えが出た。

 

「……ほ、本当だ。すべて本当の事だ。だ、だが、さっき言うつもりだった」

 

答えを聞いた五月雨達は落胆した。

そして五月雨は崩れるように膝を床につける。

 

「そ、そんな……」

 

「「…………」」

 

再び永遠に続くかのような重い沈黙が訪れる。

すると突然リリィ手を二回ほど叩いた。

 

「はい、そこまで、そこまで、私も時間がないので一応言っておきますけど指揮権譲渡と言っても完全な譲渡ではありません。あくまで我々の作戦通りに動いてくれれば良いです。ですから提督はそのままで結構」

 

リリィの言葉に五月雨達は少し安堵の雰囲気を見せた。

ちょうどその時バーベキュー会場の入口の扉がまたバンッと開いた。

見ると開けたのは先ほどの二人のアメリカ兵だった。

アメリカ兵の腕には大きなダンボール箱が抱えられていた。

 

「来たわね。全員にその端末を配りなさい」

 

「Yes, Sir!」

アメリカ兵はリリィに敬礼するとダンボール箱から人数分のタブレット型端末を取り出し全員に配った。

 

「全員持ったわね?」

 

リリィは全員の手元にタブレットがあることを確認すると電源を入れるように指示した。

提督や五月雨達がしぶしぶ電源を入れる。

すると画面がついてすぐにアメリカ軍のマークが表示され少したつと主に青色で構成されたグアムのマップが表示された。

 

「これよりグアム決戦における作戦内容を説明します。皆さん、心して聞いてください」

 

リリィがタブレットを操作すると全員のタブレットに映るマップのグアムがどんどん小さくなり周囲の海域が全て写った。

その海域の一ヶ所が赤く点滅する。

 

「敵はこの海域から侵攻してくると予想されます。敵の戦力は我々の数倍、まともに戦っても勝ち目はありません。そこで通常戦力である陸軍や現存する海軍艦艇で攻撃します」

 

するとグアム周辺の海域に三本の黄色いラインが表示された。

その一番外側のラインが点滅する。

 

「まず第一次防衛線は、我々アメリカ海軍の艦娘部隊が担当します。敵がここに来た場合、後方からジェット戦闘機と対深海淒艦ミサイルで支援します」

 

マップ上にアメリカ海軍の艦娘部隊の艦隊構成表が出ると次に二本目のラインが点滅する。

 

「そして第二次防衛線ですが、ここがあなた達の配属される防衛線です。ここは第一次防衛線が突破されたらとにかく守ってください。第1次防衛線が突破され次第、第1次防衛線の艦娘部隊も後退して貴方方に加わります。後方からもイージス艦や陸軍が援護をします。質問は?」

 

リリィはそう言って周りを見ると五月雨が手をあげた。

 

「はいそこの……青髪さん」

 

名前が分からなかったのかリリィは適当に言った。

 

「五月雨です!質問ですけど……作戦、それだけですか?」

 

五月雨の疑問はもんともだった説明があっさり過ぎたのだ。

 

「それだけです」

 

「何か無いんですか!秘策とか秘密兵器とかそういうの!私達だけではとても抑えられませんよ!!」

 

「ふふふ……よくぞ聞いてくれました」

 

リリィは不適に笑った。

 

「今回の作戦には我が合衆国海軍が誇る最終兵器、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦が参加します!」

 

リリィは大声で称えるように言った。

しかし、それに対して五月雨達の反応は薄かった。

 

「……ズムウォルト級?」

 

だれかそう呟く。

一同が首をかしげる。

それに対してリリィは呆れた顔をした。

「まさか……ズムウォルト級を知らないのですか……?」

 

リリィは開いた口が塞がらなかった。

艦娘に通常艦船の立場が奪われたからと言っても海軍関係者なら一度は聞いたことあるはずの名前からだ。

「おい、お前ら、恥ずかしいからやめろ……」

 

「そうよ常識よ?」

 

長門と陸奥は知っていたようでリリィと同じく呆れた顔をする。

長門にいたっては恥ずかしそうだ。

「提督、ズムウォルト級って何ですか?」

五月雨が首をかしげる。

提督は少し考え込み思い出すと答えた。

 

「確か……ズムウォルト級って三隻建造された世界で初めてのレールガンを搭載した艦だったような」

 

「そうだ、通常戦力では核兵器の次に戦艦クラスの深海淒艦を沈めることができる艦だ」

 

後から長門が付け加えるように説明する。

 

「へ~そんな艦があったんだ」

 

「SFみたいでち!」

 

五月雨達は関心たように様々な反応をした。

 

「でも、そんな艦があるなら何で最初から使わないのよ?」

 

するとイムヤが首をかしげた。

イムヤの疑問は当然だ、深海淒艦に対抗できるならなぜ使わないのか、理解できなかった。

 

「そんなの決まってるでしょ。海上封鎖されてる今じゃ使用コストが大きすぎるからですよ」

 

イムヤの質問にリリィがすましたように答えた。

 

「とにかく!あなた達の任務は第二次防衛線を死守して後方の第三次防衛線にいるズムウォルト級を守ることです。遠距離ではズムウォルト級は強力ですが近づかれたらおしまいです。もしそうなったら最終防衛線には陸軍が配備されていますが長くは持たず、このグアムは陥落するでしょう……。こんな事言いたくはありませんが、あなた達は命令で嫌々戦わせられるとは言え私たちと共に戦ってくれます。その事には感謝したいと思います。それでは、次に――――」

 

 

 

それから約一時間、正確な作戦内容を各自に伝えリリィの作戦の伝達は終わった。

その帰りのジープの中、グアムの夜の町の夜景を見ながらリリィは浮かない顔をしていた。

 

「はぁ……」

 

「どうしたんです?リリィさん」

 

付き添いに来た白人のアメリカ兵が溜め息をつくリリィに聞く。

 

「いえ、ズムウォルト級……あれが決戦兵器って事になってるけど本当に勝てるんでしょうかと……」

 

リリィは珍しく不安そうな表情を見せる。

 

「……ズムウォルト級は最強の海上通常兵器なのでは?心配しすぎですよ。リリィさんも言ってたではありませんか」

 

「いや、あれは……」

 

「あれは?」

 

「いえ、何でもありません……」

 

 

あれは士気を上げるためだなんて言える分けない……。

 

 

確かにズムウォルト級ミサイル駆逐艦のレールガンはいかなる深海凄艦の装甲をも貫通することができる。

だが、リリィには一つ引っかかっている事があったのだ。

アメリカ政府の公式発表によると〝ズムウォルト級ミサイル駆逐艦のレールガンは世界最強。ズムウォルト級の前では深海凄艦など敵でもない〟だった……ならばなぜ……。

 

 

そんなに強力な兵器なのに今まで全然使わなかったの……?

 

 

リリィが日本海軍の艦娘に言ったコスト面の問題も確かにある。

だが、それはグアムでの話しだ。

本国では違う。

本国では石油資源も鉄もほぼすべての資源が無数に存在する。

それらを使えばこの非常時、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦を大量生産にかけることも不可能ではなかったはずだ。

だが、今までそれをしたことは一度も無い。

 

もしかしたら、ズムウォルト級には何か欠点があるのではないか……?

そんな疑問をずっとリリィは抱いていた。

 

「リリィさん?」

 

「そう……ですね。ズムウォルト級に弱点なんて……でも、何だか……」

 

「何だか?」

 

「……いえ、何でもありません」

 

「そうですか」

 

リリィはそれ以上何も言わず、その後の車内では無言が続き、車はそのまま夜の闇に紛れてグアム海軍基地に戻っていった……。

 

 




どうも
最近、進路を間違えたと思い始めているエウロパです。

次回、いよいよグアム決戦に入ります。――戦闘シーン猛勉強中――
ここまで来るのに何ヶ月もかかってしまいましたが、ようやく本番に入れそうです。
さて、今回出したズムウォルト級のレールガンですが実際にレールガンはもう完成しててスゴイですよね。
IPS細胞にレーザー砲等々SFの世界がもうすぐそこな感じです!!
って前にも言った気が……思い違いかな?まぁ最後のIPS云々の文は場合によっては忘れてください。


春だー!私にとっては春と秋はただの地獄ですけどね……。
皆さんは、花粉症や体調、寒暖差アレルギーには、くれぐれもお気おつけてくださーい。


お待ちしていた皆さん、更新に遅れて大変もうしわけありませんでした!


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