今回は艦これのキャラクターが登場します。
時に西暦2036年。
深海凄艦に海が支配されて十数年。
その深海凄艦に対抗できる最も有効な存在〝艦娘〟
主に第二次世界大戦中の軍艦の魂を持つ少女達。
艦娘は各国で厳重に管理されこの終わりの見えない戦争に投入されていた。
そんな彼女達の数ある拠点の一つが、アメリカ合衆国のグアム島にある。
〝グアム海軍基地〟
この基地にはアメリカ海軍の他に日本海軍の艦娘達が新日米安全保障条約に基づき、常駐していた。
しかし、この基地の日本海軍の艦娘達は他の日本鎮守府の艦娘達とは程遠い生活をしている。
彼女達の主な任務は偵察と訓練の二つだけなのだ。
その為、戦力は極端に少ない。
条約上しかたなく常駐させているに過ぎないのだ。
艦を修理する為のドックも埃がたまり、本格的な修理や建造は一切しない。
他の部隊に比べて悪い意味で刺激の無い毎日。
だがこの日は、少しばかり違っていた――――。
≪――続いて次のニュースです。ロシアの大統領は先日、首都モスクワでおこなわれた深海凄艦対策議会で黒海の深海凄艦に対して〝深海凄艦はたとえ便所に隠れていても、息の根を止めてやる〟と発言し新型核兵器による黒海の全面制圧作戦を発表しました。ロシアが黒海で核攻撃をおこなうのはこれで120回目です。これに対し、欧米各国ははロシア政府に対し懸念を示し――≫
「東と西の国は、いつになっても変わらないわよね」
スクール水着の上に制服をを着た赤い髪のポニーテールの潜水艦の艦娘、〝伊一六八〟通称、イムヤが退屈そうに休憩室のソファーに座ってテレビを見ながら言う。
「そうですねー」
栗色のショートヘアの頭の上に二二号電探と射撃方位盤を乗せた駆逐艦の艦娘、〝雪風〟がソファーの上に、寝そべりながら答えた。
「ロシアは結局、何をしたいの?核兵器じゃ深海凄艦を減らす事はできても殲滅はできないじゃない」
「欧米への圧力じゃないでしょうか――あっ」
暇そうにイムヤと雑談をしていた雪風は壁にかけてある時計を見て、思い出したように声を上げた。
「どうしたの?」
イムヤが首を傾げながら言う。
「そういえば、ゴーヤちゃん。今日は帰ってくるのが遅いですね。いつもならもう帰ってくる時間なのに――」
雪風は少し心配そうにした。
「なに心配してるのよ、大丈夫よ。ゴーヤは戻ってくるわ。どうせ、寄り道でもしているんでしょ」
「それもそうですね――あっ、言ってる端から帰ってきたようです。」
ドタドタドタと足音が離れたところから聞こえ、次第にその音は大きくなった。
廊下の方を雪風とイムヤが覗くと、そこには全力疾走するゴーヤの姿があった。
イムヤと雪風はいつものようにゴーヤが愚痴を言いながら休憩室に入って来るかと持ったが今日のゴーヤは、いつもと様子が違った。
ゴーヤは休憩室には目もくれずに、部屋の前を走り去っていった。
その姿はどこか興奮しているようだった。
「ゴーヤちゃん、どうしたんだろう?」
「さぁ?」
二人は遠ざかるゴーヤを見ながら首をかしげた。
するとイムヤは、ふと、ゴーヤが通った廊下の床を見て怒りをあらわにした。
「ちょっと!?廊下がびしょ濡れじゃない!?」
「てーとく!ゴーヤが戻ったよ!」
ゴーヤは勢いよく司令室の扉を開けた。
「ようやく戻ったか――」
だがそこにいたのは提督ではなく提督の秘書艦である戦艦長門と戦艦陸奥の二人だけだった。
「あれ?てーとくは?」
ゴーヤは当たりをキョロキョロと見回した。
「提督は今、用があって基地を留守にしている」
「え~!?そんなぁ~」
「お前が遅いからだ……それになんで濡れてたままなんだ、まぁ良い。さっさと報告しろ」
長門はゴーヤを見ながら呆れた様子で言った。
「むぅ~分かったでち」
ゴーヤは不満そうに言うと背筋を伸ばし、遅い敬礼をした。
「報告します!基地正面海域の深海凄艦は戦力を集結させています。空母ヲ級と戦艦ル級が数隻、重巡チ級、軽巡ホ級、駆逐イ級を多数確認しました」
「やはりか――」
ゴーヤの報告に長門と陸奥は深刻そうな顔をした。
「長門、やぱり深海凄艦の次の標的は――あっ」
「伊五八、ご苦労だった。下がっていいぞ。あと床は吹いておけ」
「…………」
長門はもう部屋から出ていいぞとゴーヤにいったが、ゴーヤは部屋から出て行こうとしなかった。
「どうしたの?ゴーヤちゃん、もう行って良いわよ?」
陸奥は優しく言ったがそれでもゴーヤは動こうとしなかった。
「まさか――床を拭くのが、嫌とか言うんじゃないだろうな?」
ゴーヤは首を振った。
「――本当は提督だけに言うつもりだったんだけど」
「なんだ?」
「実はすごいものを、見ちゃったんでち――」
「それでは失礼します」
「おい、今回の任務は他言無用だぞ」
「はーい」
「あと、この部屋の掃除は最後で良いからな?他を先にやっておけ」
「むぅ~わかったでち」
そう言うとゴーヤは司令室を出て行った。
長門はゴーヤが出て行ったことを確認すると、陸奥に向き直った。
「――陸奥、さっきの話どう思う?」
「さすがの私もちょっと信じられないわね」
ゴーヤは長門たちに、自分が偵察先の島の沖合いで見た、大和、霧島似の謎の艦娘二人の存在を報告した。
だが、長門と陸奥はこの報告を信じる事ができなかった。
「機銃で深海凄艦を殲滅。しかもその機銃からは、レーザーが……」
長門がゴーヤの話を軽く言った。
「きっと疲れているんでしょう。しばらくは休ませた方が良いかもね」
「ああ、そうだな。伊五八にはしばらく休息をとらせよう」
長門は陸奥の意見に同意した。
「それはそうと長門、敵が集結しているのは少しまずそうね」
「そうだな。敵の次の攻撃目標は恐らく――」
「「グアム」」
長門と陸奥は難しい顔をした。
「でも今になってなぜ?」
「分からんがここ最近、深海凄艦の活動が活発化しているのと、関係があるかもしれない。アメリカ軍からの情報は?」
「いつもと同じ。何も入っていないわ。たぶん、いつも通り独自に動くんでしょうね」
陸奥は呆れた様子で言った。
「こんな時につまらない意地を……」
アメリカと日本は条約上は同盟関係だが深海凄艦が海を支配して以降、日本がロシアに急接近した事をきっかけに日米関係は過去最悪レベルまで悪化していた。
そのため補給や最低限の情報共有以外は軍事的協力はほとんどしなくなったのだ。
「どうするの?」
「とりあえず状況を暗号化して本土へ送ってくれ」
「大淀に言っておくわ」
「ああ、そうしてくれ――これ異常やっかいな事は起きてほしくないな」
こうして長門の心配事は、また一つ、二つ、増えそのストレスは長門の胃を苦しめていた。
今回は主に艦これのキャラクターを中心の話でした。
世界観は現代の世界の延長線上という設定なので世界観と今後の話の展開の為に舞台をグアムにしました。
なんかオリジナル設定多すぎてすいません。