なんとか十月中に投稿することができました。
ですが、今後はしばらく月一投稿になりそうです。
あらためて読んでいただきありがとうございます。
感想も文のアドバイス等もいつでも大歓迎でお待ちしています。
「ひどいものね……」
ヤマトはそう呟きながら廃墟と化した村を一人で食料を求めココナッツの実やバナナ等沢山の実が入った大きなカゴを背負って散策していた。
かつて道だったと思われる所は荒れ果て獣道とかし、その周囲には木造の家が崩れている。
さらにそれを取り巻くように薄暗いヤシの森が広がっていた。
「まぁ、これは仕方がないでしょうね……それはそうと、よいしょっと……そろそろ満タンね」
ヤマトは背負っているカゴの肩掛け紐を持ってカゴを背負い直した。
「最後に何か実が欲しいですね。何か美味しそうな実は……」
周囲のをキョロキョロと見回すとヤマトは一本のヤシの木に注目した。
「ヤシの実、発見!」
ヤマトは実のなっていた自分の身長の三倍か四倍はありそうなヤシの木を片手で揺さぶると実を落とし落下してきた実を見事にカゴにいれた。
「ふぅ……結構集まったわね。これだけ集まれば久々にまともな食事がとれそうです」
ヤマトは笑みを浮かべ数日ぶりのまともな食事に気分を高揚させた。
「うふふ♪キリシマさんが見たら喜びそうですね♪」
ヤマトはそのままキリシマが拠点を構築している洞窟に向かって歩いていった――。
ヤマト達は今、日付変更線、赤道近くのとある無人島にやって来ている。
人の姿は見えない。
島民は深海凄艦に殺されたか何処かへ避難したのだ。
そして、この島に島民が戻ることは当分無い。
理由は、この島が深海凄艦の支配海域の内部に存在しているためだ。
しかし、支配海域内にも関わらず良い自然が保たれているのと、戦略上意味のない土地のため敵の警備は比較的手薄だった事から、ヤマト達はコスモタイガーや自身のレーダーを用いて敵の警備網を突破して来ていた。
何故、こんな島にヤマト達は居るのか。
それには二日前に遡る……。
ヤマト達が新たな無人島に来る二日前、まだ小さな無人島で簡易的な野営をしてた時、ヤマトはヤシの木の影で座りながら、偵察、特に太平洋の諸島を中心に偵察の結果を聞いていた。
「なるほど……そういうことですか……」
ヤマトは耳に手を当て偵察部隊からの報告を聞きながら呟いた。
「ヤマトさん、何か分かりましたか?」
その様子に横で座っていたキリシマが反応する。
「だいたい深海凄艦の戦略が分かりました。これで新しい拠点の候補が見つかりそうです」
ヤマトは口元をニヤつかせ、してやったりとでも、言いそうな得意気な表情をした。
空中に太平洋の地図を表示したヤマトは地図に指を指しながら説明を始めた。
地図上には大陸や大きい島沿いに赤いラインが表示されている。
「太平洋の深海凄艦は主に日本列島やユーラシア大陸、オーストラリア大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、あとはフィリピンやインドネシア等の大きな島を中心に戦力を集中させている事が分かりました」
「はい」
キリシマは静かに頷いた。
その表情は真面目そのもの。
「そして私達が居るのは……ここです」
ヤマトが指差したのはグアムより少し南の部分だ。
そこから指を動かす。
「そこから東南へ行った先にある諸島のこの島。この島が私が考えている拠点の候補です」
ヤマトはその島の上で指をトントンと2回指した。
「サモア諸島……私が作られた時代にはもう温暖化で無くなっている島ですね……ですがヤマトさん、ここは……」
ヤマトの言葉にキリシマは眉間のシワを寄せた。
何かの間違いだと思ったのだ。
しかし、ヤマトはそのまま話を続けた。
「ええ、お察しの通りです。キリシマさん。この海域は……深海凄艦の支配海域です」
キリシマは驚愕した。
自分の耳を疑い、同時にヤマトをまるで狂っている者を見るような目で見た。
「どうしたのです?キリシマさん?」
そんなキリシマにヤマトは何事もなかったかのように普通に話してきた。
「ヤマトさん……一体何をいっているんですか?」
「え?」
ヤマトは自分が変な事は言っていないかのように首を傾げた。
そんなヤマトに耐えきれなかったキリシマは口を開いた。
「ヤマトさん、本当にどおしちゃったんですか!?正気に戻ってください!!深海凄艦の支配海域内に拠点なんて自殺行為です!!」
キリシマの怒声にも近い声にヤマトは耳をふさいだ。そしてキリシマが話終わるとヤマトはゆっくりと耳から手をどかした。
「キリシマさん、最後まで話を聞いてください。良いですか?」
「……はい」
キリシマは不満げに答えた。
そんなキリシマに対したヤマト呆れたように溜め息をついた。
「良いですか?この地球の人類は深海凄艦にかなり追い詰められています。その為深海凄艦は大陸や大きな島の周辺海域に集結しています。サモア諸島はその全てが深海凄艦に支配されていますが、サモア諸島に一番近い最前線はニュージーランドやオーストラリアです。つまり……」
「あっ……」
ヤマトの説明にキリシマは何か気がついたように、あっと言う言葉が漏れた。
「ようやく話が見えてきたようですね。つまりサモア諸島はすでに、戦略上意味の無い土地です。さらに偵察によると敵はほとんど確認できません」
ヤマトはうっすらと笑みを浮かべた。
「なるほど……そこなら安全かも……」
「それだけじゃありませんよ?」
キリシマが腕を組んで納得するとヤマトは先程よりも得意気な笑みを浮かべるとチッチッチと人差し指を振った。
「深海凄艦の支配海域ですから人類側の勢力……艦娘とも遭遇する確率は低いのです。これなら誰にも見つからず情報収集ができます」
ヤマトが得意気に言うと突然キリシマはヤマトの両手を握りしめた。
「お……おぉ~!す、すごいです!ヤマトさん!つまり、敵を隠れ蓑にするということですね!」
キリシマはヤマトの説明に一転変わって尊敬の眼差しを送ってくる。
「そこまで考えているなんて!さっきは疑ってすいませんでした!さすがは地球を何度も救った英雄!このキリシマ、感激しました!」
「そ、そこまでのことは……あははははは――」
ヤマトはまんざらでもなさそうに顔を赤くして笑みを浮かべた。
こうしてヤマトとキリシマの二人は厳重警戒体制のまま深海凄艦の支配海域内を突っ切って現在の島にやってきた――。
そして現在。
ヤマトは洞窟の入り口に立っていた。
洞窟の中からは、かなずちの叩く音が響いてくる。
洞窟はかなり広く、入り口付近だけだとヤマトの身長の二倍はある。
ヤマトは視界を暗視モードに切り替え暗い洞窟の中に足を踏み入れた。
足元にはキリシマが何処からか取ってきたと思われる多数の木の丸太がいくつも置いてありそれを踏まないように歩いった。
しばらく進むと洞窟の高さはヤマトの身長より少し高め位まで下がったが奥の方にライトの明かりが見えた。キリシマだ。
キリシマは何かの作業をしているようでヤマトの存在に気がついていない。
「キリシマさーん!」
ヤマトが手を振りながら呼ぶとキリシマは何かの作業を止めて手を振り返してきた。
「ヤマトさーん!こっちです!」
ヤマトはゴツゴツとした地面に気を付けながらキリシマの元に小走りで急いだ。
すると、キリシマの数メートル手前でゴツゴツとした床から滑らかで平らな床へと変わった。
ヤマトは暗視モードを解除すると自分の立っている床や周りの壁を見た。
「どうですヤマトさん。昨日見つけた時よりも見違えたでしょう?」
キリシマはそう言うとドヤ顔を決めた。
「すごいですね……キリシマさん。たった半日でここまでできるとは思いませんでした」
ヤマトは感激していた。
昨日、この洞窟を見つけた時は本当に何もない、ただの洞窟だった。
そして今朝、ヤマトは食料を探しに森へ。キリシマはこの洞窟に新拠点を作る為の作業を始めた。
それが今やどうだ。
洞窟はヤマトが午前中、食料を集めている間に、奥だけだとはいえ、りっぱなトンネルができている。
床や天井はよく見れば岩石だが、綺麗に削られ、まるでコンクリートで鋪装されたようだ。
「一体、どうやってこんなものを作ったんです?ヤスリでここまで削った訳では無さそうですけど」
ヤマトは率直な疑問をキリシマに聞いた。
すると、キリシマは自分の擬装の三連装高圧増幅光線砲をヤマトに見せた。
「これですよ、これ、」
「主砲がどうかしたんですか?」
ヤマトはキリシマの言っている意味が分からず首を傾げた。
「まぁ~分からないのは無理もないですね」
相変わらず首を傾げているヤマトに対しキリシマは腕を組んでニヤっと笑った。
「実は!主砲の光線で削りました!」
「へ?」
キリシマが何を言ってるのか理解できずヤマトは間の抜けた声を出した。
「しゅ、主砲で削ったって……そんな事は無理のはずです。主砲の光線やビームは深海凄艦だけでなく通常の宇宙戦艦の装甲も破壊する力があるんですよ?たとえ主砲の出力を下げてもできるはずがありません」
ヤマトの言ってる事に間違いは無い。ヤマト達艦娘の装備の破壊力はただ外見が人のサイズまで小さくなっただけで、その威力は通常の宇宙戦艦の主砲と同じ威力を持つ。
それどころか武装が人のサイズに小型化しているため、威力は同じでも、それだけエネルギーが凝縮され貫通能力は通常の宇宙戦艦よりも高いと言われる。
「ええ、その通りです。ですがそれは波動エンジンを持ったヤマトさん達だけに言えることです。ヤマトさんがもしも、同じ事を、やったらこの島が吹き飛んでしまいますからね。“キリシマ達”つまり波動エンジンが搭載されていない世代の艦娘は主砲の出力がとても弱い為、出力を最低まで下げれば、レーザードリルの様に岩を削る事ができるのです」
「な、なるほど……」
ヤマトはキリシマが言った以外な事実に内心驚いた。
正直を言うと“キリシマ達”の持っている主砲は全く役に立たない代物とだけ思っていたが、まさか、こんな使い道があったとは思いもしなかった。
「その顔、その顔、分かります。分かりますよヤマトさん。あなたが何を考えているか……」
キリシマはヤマトの顔を覗きこんできた。
ヤマトは一瞬驚いて1歩後ろに下がった。
「そ、その、すいませんでした……」
ヤマトは謝った。するとキリシマはククク……と笑い始めた。
「ヤマトさん、そんなに本気で謝らないで下さいよ~。別に“私達”は普段から“そんな事”は慣れっこなので気にしないでください。それに私達の世代の艦娘の間ではこれを使って彫刻とか作って楽しんでる娘もいるんですから。それに私達が役に立たないのは事実ですからね」
「…………」
キリシマは笑い話をするようにヤマトに言った。しかし、ヤマトは笑う気になれなかった。
それもそうだ、キリシマは冗談として言っているが、これはヤマト達の地球艦娘の闇の部分だった。
闇とは簡単に言えば“差別”だ。
ただし、それは表に出ない内心の事だ。たいていの艦娘は皆仲が良い。
それはヤマトとキリシマを見ていれば分かるだろう。
この小さな差別の原因は性能の問題から来ていた。
地球防衛軍の艦娘は異常に轟沈率が高い。
どんなに高性能な艦でも何故か皆やられてしまう。
そんな中、キリシマ達の世代の艦娘は初期の戦い以外は性能の低さから
最前線から軒並み外され後方支援や警備任務についた。
その事がきっかけでキリシマ達の世代への“小さな差別”が始まった。
波動エンジンが搭載されていない艦娘は役に立たない。
旧時代の遺物だと。
言葉は悪いがそういう事なのだ。
ヤマトの世界ではこれを“波動エンジン優越主義”や“波動エンジン未搭載艦無用論”などと呼んだりしている者もいる。
様は沢山の仲間が死んでいくなか波動エンジン未搭載だけが戦線から外され安全な任務につくのを誰かが妬み、そして波動エンジン未搭載艦無用論などと言って自分達を慰めたのだ。
そしてそれはいつの間にかヤマトの元まで広がるに至った。
「「…………」」
二人の間に無言の時間が流れた。
するとこの空気にキリシマは“しまった”と思った。
冗談にしては重すぎたのだ。
「あぁ~冗談が過ぎましたね。すいませんでした」
キリシマはヤマトに頭を下げると「話を戻しますが……」と言って会話を戻した。
「本当なら10メートル以上先まで掘るつもりだったんですけど、まだ主砲の調子が若干おかしいのでそこまで進めませんでした。夜になったら再調整しないと……」
「じゅ、10メートル以上!?」
ヤマトはキリシマの発言にかなり驚いた。
ヤマトにとって数メートルでも凄いのに10メートル以上も行くつもりだったと言っているのだ。
「はい、冥王星沖海戦の前は深海凄艦から解放された土星の衛星の再開拓任務に従事していましたからこれくらいは余裕です!」
キリシマは二の腕をヤマトにドヤ顔をして見せつけた。
「本当にすごいですね……」
ヤマトは呆気に取られそれくらいしか返上が出来なかった。
もしかしたら、現時点でこの地球にやって来て一番驚いた事かもしれない。
少なくともヤマトのキリシマへの小さな差別の感情は無くなった。
「あっ……そうです!そうです!言うの忘れてました。食料、沢山取って来ましたよ」
ヤマトはそう言うと床に果物が沢山入っている食料をキリシマに見せた。
するとそれを見たキリシマは目を輝かした。
「おぉ~これは、ココナッツ!他のは~バナナにスターフルーツ!!」
キリシマは果物を持って目を輝かせた。
「じゃあ、ヤマトさん!今日の夕飯はフルーツの盛り合わせですね!」
キリシマは興奮している。
ヤマトもそうだ。まともな食事は、もう何日も取っていない。
最後にとった食事は冥王星沖海戦の前だ。
しかもその食事も簡易的なドロドロの宇宙食で、イメージとしては味のしないミルクセーキの様な物だ。
「……キリシマさん」
ヤマトは突然、キリシマに圧し殺したような声で話しかけてきた。
「なんですか?ヤマトさん……」
キリシマも圧し殺したような声で答える。
「あの……もう、食べちゃいませんか?」
ヤマトの果物をまるで飢えた野獣の様に見ながらキリシマに提案した。
「ヤマトさん……前言撤回、ヤマトさんの意見に激しく同意します」
キリシマがそう言うとヤマトとキリシマは互いに目を合わせてニヤリと笑うとほぼ同時に電光石火のごとくカゴの中の果物を勢いよく手に取り皮を剥くと口に入れた……。
ヤマトはこの時、空腹のあまり、気づいていなかったが西北方面を偵察中のコスモタイガーから“重要”な報告が入っていた――。
気がつけばもう秋ですね。
まだ、半袖でもいけますがあと何週間もつか……。
季節の変わり目ですので風邪にはきおつけてくださーい。
ちなみに次回は11月中、15日以降投稿します。
ついに飛龍を入手ました!
あとは蒼龍と瑞鶴が入手できれば良いですね。