究極大英雄の山田次郎かく闘えり!   作:うぃっちべーす

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第二十五話『山田くん愛馬で疾走す』

 

 

鈴木一浪は回想する。

今にして思えば全てが変であった。その『異変』はある日急に始まった。

慕っていた後輩が、共に戦っていた同輩が、揃って退部届を出したのだ。

自分の至らなさを謝罪した。改善すべき所は改善すると何度も懇願した。

 

しかし彼らは揃いも揃って目をそらしつつ、次々と部室を去っていった。

 

 

 

「佐藤、お前は何か知ってるんだろ?!せめて理由ぐらい言っていけ!」

 

「鈴木、お前も美術部に行かないか?女子ばっかりでパラダイスだぞ?」

 

「女子だと?!そんなのは来年にでも勧誘すればいいだろうが!あぁ?」

 

「とにかく、映研は潰れる。いや、潰れざるを得ないんだ。判るだろ?」

 

「潰れん!この鈴木一浪が居る限りは、映研の歴史は絶対終わらせん!」

 

 

 

副部長の佐藤隆太郎は、そんな熱い鈴木の台詞に寂しげに微笑んでいた。

だがそれ以上何も言わない。この佐藤の無言を鈴木は勘違いしてしまう。

 

 

 

「そうか、女だな!お前ら揃いも揃って美術部の女に勧誘されたのか!」

 

「……そう受け取ってもらっても結構だよ。映研は元々美術部だしな。」

 

「佐藤ぉっ!独立以来自主自立を貫いてきた映研を否定するってのか!」

 

「もう一度言う、美術部に来いよ鈴木。田中一葉もお前を歓迎するさ。」

 

「言うな!もういい、行け!美術部にでも行ってしまえ!馬鹿野郎が!」

 

 

 

大所帯であった映研だが『規定人数にちょうど足りない』人数になった。

残った面々には、ある特定の規則性があった。親が裕福な生徒達だった。

鈴木一浪も父親が霞ヶ関勤務の国家公務員である。かなり裕福な家庭だ。

 

今にして思えばとはなるが、鈴木はココで気が付くべきだったと思った。

田中若葉と二宮純一郎の人脈が行使され部員は家族ごと篭絡されたのだ。

 

 

 

「そういえば聞いてなかったな。一葉、山田の事っていつ頃気づいた?」

 

「偶然よ偶然。モジモジしてて変な奴いるなって見たら、山田だった。」

 

「そっから映研の部員だって判らんだろ。俺だって忘れてた位だしな。」

 

「ママに言って興信所を使ったわ。そしたら本人だって事で大騒動よ。」

 

 

 

離婚した田中若葉にとって山田次郎とは絶命性のあるアキレス腱だった。

事件は数年前とはいえ、表立てば社会的地位を全て失うことも有り得る。

山田次郎を取り込む、このアイデアは母たる彼女の最後の切り札だった。

 

そして生まれて初めて彼女は土下座をする。しかも、別れた夫に対して。

二宮純一郎はこの光景にいたく感動し、その後山田には甘い判断をする。

 

 

 

「金持ちってのはすげーよな。他人の人生を一体なんだと思ってんだ。」

 

「他人の人生とかに興味はないわよ、だって他人だもの。何か変かな?」

 

「だが山田を……いや、やめとこう。あいつは巧く立ち回れる奴だし。」

 

「あのガキ大嫌いだけどさ、双葉が受け止めてんなら生きてていいわ。」

 

 

 

二人は大きなベッドでうつ伏せになりながら、肘を立てて話をしている。

枕元にあったスポーツ飲料のペットボトルを手に取り、口をつける鈴木。

それをごく自然に隣にいる田中嬢に手渡し、彼女もまた自然に飲み干す。

 

 

 

「俺が動かなきゃ山田はフリーになってて美術部に入り、双葉と会う。」

 

「そーゆー事。もっともあのガキ映研に入ってたの忘れてたんでしょ?」

 

「てゆーか興信所はケチらん方がイイぞ?あいつ仮入部だったからな。」

 

「すっごい高い探偵なのよ?でもまあ、そこまでの細かい所は無理か。」

 

 

 

田中若葉は離婚後に事業を起こす。美容サプリメント輸入販売業だった。

彼女の父は全面的な支援をする用意があったが、予想に反し大成功する。

 

彼女は元々田中重金属工業でも実力で幹部までのし上がった女傑である。

余りにも有能すぎて自尊心が強く、父の用意した縁談は全て破棄された。

そこに白羽の矢が立ったのが二宮財閥の御曹司。実力は折り紙付だった。

 

 

 

「しかし解せん事がもう一つある。なんで卒業後に俺と接触したんだ?」

 

「そりゃあ人を見る目があるもの。鈴木クンは前から目を付けてたし。」

 

「それなら卒業前でもいいだろうが。正直、最初は喧嘩かと思ったぞ。」

 

「だって山田にベッタリだったじゃない?あのガキは大嫌いだからよ。」

 

「嫌われたもんだな山田も。ま、好みは人それぞれだ、仕方が無いか。」

 

「双葉の気が知れないわ。双葉が居なきゃ最悪だって有り得たからね。」

 

 

 

鈴木は『最悪』には言及しなかった。恐らくは言うに憚る事なのだろう。

横にいる女の何かが歪んでいる事は彼も承知していた。だが、離れない。

彼女が魅力的な肢体を持っている事もある。それ以上に彼女は凄まじい。

 

本人もある程度は自覚しているが、その実力は本職を名乗る以上だった。

この女となら何かが起きる、そう思うと彼女からは離れる事が出来ない。

 

 

 

「山田の話はもうよしましょ?それより鈴木クンの大砲はまだ装填中?」

 

「大砲とか言うな。比べた事は無いが平均程度の持ち物でしかないぞ?」

 

「いや、それ以上だと人類には扱えないわ。象とシたいなら別だけど。」

 

「合宿で山田のを見たが俺より大きかったぞ?お前の妹は象並みかよ。」

 

「あーあ、ご愁傷様だわね双葉。……って、また山田の話になってる!」

 

 

 

拗ねて頬を膨らませる田中一葉。鈴木一浪はそんな彼女の表情に微笑む。

一種の化け物じみた存在が見せる人間らしさ。その瞬間に彼はときめく。

その頬を掴み、顔を向かせ唇を重ねる。二人の動きは、ピタリと止まる。

 

 

 

「お前がどんなに凄かろうが、俺の女だ。俺は便利な手下にはなれん。」

 

「それでいいのよ。手下が欲しいのなら、鈴木クンなんか要らないわ。」

 

 

 

時は既に朝から昼にさしかかろうとしている。だが、部屋は暗いままだ。

爛れた二人の営みは、夜も朝も変わりなく、まどろみと交互に繰り返す。

一つ言えるとすれば、こんな生活をする浪人生には合格は不可能である。

 

 

 

 

 

 

瀬田ヶ谷は回想する。

思えば不自然な事件であった。降って湧いた様な夏休みに起きた不祥事。

長年勤務し様々な経験をしてきた瀬田ヶ谷でも異質だと感じる程だった。

それでも日常すら過酷な職場、しかも彼は三年生の学年主任という重職。

二宮とのやりとりが無ければ忘却の彼方に消えていたはずの事件だった。

 

 

 

「しっかし、赤シャツも馬鹿だよな。調べりゃバレるって思わんのか。」

 

 

 

そう独り言を呟き資料をめくる瀬田ヶ谷。それは事件当日の教頭の資料。

家族旅行と学校には報告しておきながら、彼はゴルフ場に予約していた。

ゴルフコンペの出席者に教育長がいた。更に問題なのは支払いが教頭だ。

 

恐らく黙秘を依頼されていたのだろうが、教育長は実名ブログにアップ。

二人だけのコンペであった事から支払いの事まで克明に記載されている。

 

 

 

「赤シャツが馬鹿なのか、それか山田に運があるのか……お、来たな?」

 

「お待たせしました瀬田ヶ谷先生。そろそろあの人到着するそうです。」

 

「マジで来るのか。いや、ちょっと緊張するな。会うのは初めてだし。」

 

「俺も2回しか会った事ないですよ。でもまぁ、同じ人間ですからね。」

 

「同じだといいけどな?俺には同じ人間だという感覚が湧かんからな。」

 

 

 

これから都立国立国分寺立川高校に来校する人物とは非常に有名である。

しかも一度敵に回れば、恐らく国内では一番手に負えない凶悪な人物だ。

目前にいる二宮純はただの生徒ではない、瀬田ヶ谷はそれを思い知った。

 

 

 

「落ち着きましょう先生。上手くいけば先生にも必ず利益になります。」

 

「そんなのはどうでもいい。とにかく平穏無事に終わってくれればな。」

 

 

 

机上にある中身の減った煙草と吸殻の積み重なった灰皿を見る瀬田ヶ谷。

確か愛煙家だったはず、しかし職務専念義務の規定を知ってたらマズイ。

色々と葛藤しながら、最後は煙草は私物のバッグ、吸殻は引出に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教頭は珍しく土曜に出勤していた。

今日は悲願成就の日である。朝までは意気込んでいたが、今は不機嫌だ。

旧友であり高校OBでもある文科省の職員から連絡があったからだった。

何かが起きているから気をつけろ、と。それ以上は彼も知らないと言う。

 

 

 

「何も起きたりはしないだろう。瀬田ヶ谷も消えて綺麗になるだけだ。」

 

 

 

教頭の机の上には薄く束ねられた書類とUSBメモリーが置かれている。

似た様な物を我々は見たが、これは別物である。映研顧問の物ではない。

教頭が自ら作成した資料で、タイトルに『不適任管理者報告書』とある。

 

部室として使用している映像文化研究部の施設損壊の写真、証言、資料。

そして顧問が準備室に私物を持ち込み私室状態にしているモノもあった。

更に瀬田ヶ谷教諭の喫煙癖と、それによる非喫煙者との就業時間の差異。

 

これは教室管理者への指摘だけではなく瀬田ヶ谷への攻撃文書でもある。

 

 

 

「職員全体会議で議題に上げてやるぞ、瀬田ヶ谷。お望みどおりにな。」

 

 

 

高笑いをする教頭、だがそこにノックする音が聞こえる。首を傾げる彼。

教頭の居る教員用資料管理室は職員室から更に奥にある秘密の小部屋だ。

教員でもおいそれとは近寄らない。何故なら教頭用の部屋と知るからだ。

 

以前は校史編纂室であったが、改装を実施して廊下側の入り口を塞いだ。

 

 

 

「……誰かね?」

 

「富井ですが。」

 

「入りたまえ。」

 

 

 

仏頂面で扉から部屋に入る富井有栖。視線だけを左右に泳がせて見回す。

机と椅子こそ置けてはいるが、部屋よりは書斎と言う方が正しいだろう。

この狭い部屋が報酬だと知ったら山田次郎は何と答えるかと考えていた。

 

 

 

「巧くいったんだな富井君?で、映研の山田次郎は勝てそうなのかね?」

 

「負けるでしょう。が、負けた時には映研の部員が乱入する手筈です。」

 

「そこを写真付で押さえれば映研は終わりだな。よくやったぞ富井君。」

 

 

 

教頭は富井への謝意に握手でもしそうな雰囲気で立ち上がるが、素通り。

そのまま少し屈んで彼女の入ってきた扉の鍵をただ掛けただけであった。

 

 

 

「君は実に良い生徒だ。素直で頭も切れる、素晴らしい模範生徒だよ。」

 

「……恐れ入ります。」

 

「だが奨学金規定の結果が出せていないのが非常に残念だよ、富井君。」

 

「申し訳ありません。」

 

「だが我々教師も忙しい。多忙に感けて報告を間違える事だってある。」

 

「……畏まりました。」

 

 

 

富井有栖が首元に手を掛ける。そして学年カラーの赤色のリボンを取る。

リボンは落ち、更にジャケット、ブラウス、スカート、下着類が落ちる。

表情を全く変えずに、彼女は全裸で立ち尽くす。そして教頭は席に戻る。

 

席に深く腰掛けた教頭は、机から黒く無機質で四角い物体を取り出した。

それは一眼レフカメラ。彼はカメラを構えて目前の全裸少女を撮影する。

 

 

 

「やはりカメラは国産に限るな。被写体がいいとカメラも喜んでいる。」

 

「有難うございます。」

 

「だが今日で最後の仕事だ。撮影後はカードを抜いて焼却炉に入れろ。」

 

「承知しております。」

 

「忘れるな富井有栖。君の生殺与奪はこの俺が握っているのだからな。」

 

 

 

最新の連射機能をフルに使い、全身余す所無く彼女を撮影していく教頭。

やがて席を立ち、少女の下から横からと様々にシャッターを押していく。

満足げに息を吐くと、カードを抜き出して別なカードをカメラに入れる。

 

そしてそのカメラは全裸の少女に渡される。表情を変えず受け取る少女。

 

 

 

「では行き給え富井君。おっと、ちゃんと着替えてからだぞ?ははは。」

 

 

 

少女は言われるがままにノロノロと着替えて、そして一礼し部屋を出る。

そして無人の職員室を通り抜けて、誰にともなくやはり一礼をして出る。

廊下には彼女を待っていた人物が居た。富井はその人物にカメラを渡す。

 

 

 

「じゃあ手筈どおりに頼むわ。今回も失敗は許されないから覚えてて。」

 

「判ってるよー。でもー、裏切っちゃってもいいかなーって思ったり?」

 

「それでも構わないわ。でも裏切るならもっと早くすべきだったわね。」

 

「そーだよねー。えーっと、なんて言うんだっけー?毒は、それまで?」

 

「毒を喰らわば皿までね。覚悟があるのなら最後まで貫いて欲しいわ。」

 

 

 

カメラを受け取った人物が笑顔を浮かべて飄々とその場を去っていった。

富井は思う。去っていく人物が言ったとおり教頭を裏切るべきかも、と。

だが、もう後には退けない。恐らく失敗すれば高校生活は御破算になる。

 

稀代の天才と謳われ、友や教師からの期待を背負い入学した彼女だった。

だがこの学校には田中姉妹が居た。ちっぽけなプライドはすぐに砕けた。

必死の努力も追いつかず、実力差に圧倒されて何ら成果を上げていない。

 

楽々とクリアする筈であった奨学金の規定を、彼女も超えられなかった。

 

 

 

「部長には山田次郎と一緒になってもらう。一緒に、滅びてもらうわ。」

 

 

 

表情は何も変わっていない。だが、その眼の奥の感情は暗く燃え上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土屋杏奈は受験生である。郷田武士も受験生である。それは事実である。

しかし二人は有名人になってしまっていた。主に悪い方向で、であるが。

 

土屋が歩くと郷田が歩く。土屋が止まると郷田も止まる。その繰り返し。

それだけなら教師や周囲から郷田への勧告が行く筈なのだが、行かない。

それは彼女の表情である。彼女は小悪魔的な笑顔をずっと浮かべている。

 

 

 

「ねぇねぇ土屋さん、後ろの彼って、本当にあの『ジャイアン』なの?」

 

「はい、そうなんです。部長、結構かっこよくなったって思いません?」

 

「それは思うけど……でも目が危ないわよ?あれ、襲ってくるかもよ?」

 

 

 

そこで土屋がくるりと振り返り、郷田に向かって満面の笑みをぶつける。

すると彼は動きを止めてしまう。そして、ぎこちなく口角を上げていく。

彼女は知っている。郷田は尾行中である。だからバレぬ様に演技もする。

 

尾行を感づかせない様に自然に会釈しているのだ。実際は酷い有様だが。

 

 

 

「大丈夫です、単なる尾行らしいので。あとは何か質問はありますか?」

 

「が、頑張って土屋さん。危なくなったらちゃんと助けを呼ぶんだよ?」

 

 

 

厳然たる事実として、昨日から郷田は土屋を徹底的に尾行し始めていた。

どれくらい徹底的かといえば彼女の家に普通に挨拶して上がり込む程だ。

さすがに彼女の父親が飛び出してくるが止めたのは何と土屋本人である。

 

 

 

「杏奈、彼は誰だね?なんか普通に『お邪魔します』とか言ってたが。」

 

「えーと、郷田武士さん。ウチの部の部長で財務省の郷田局長の息子。」

 

「……は?!郷田局長だと?!次の次官レースの対抗馬じゃないか?!」

 

 

 

土屋家も公務員として働く父がいる。国家公務員二種、今で言う一般職。

すごく頑張ると民間企業の部長クラス程までいけるという公務員区分だ。

つまり、民間企業に就職するよりちょびっとお得な公務員という感じだ。

 

対して郷田父は完全にエリートの道をひた走っている『ザ・官僚』な男。

局長の上には次官しかいない。次官になれば事実上日本官僚のトップだ。

財務省では主税局長の鈴木と主計局長の郷田が2トップと言われている。

 

 

 

「いやいや、ありえんぞ。郷田局長の息子クラスなら私立に居る筈だ。」

 

「意外とそういう人多いよ?鈴木局長の息子だって去年の卒業でしょ?」

 

「そ、そういえばそうか。滑り止めの高校が意外と当たりだったのか。」

 

 

 

もちろん偏差値は決して高くはない。だが指標であって絶対値ではない。

いかに学校の評価が低かろうと個人の合格は個人によってもたらされる。

自由な校風が功を奏してなのか、数年に一度は驚くような進学先が出る。

 

 

 

「どうするパパ?愛する娘に近寄るクズは消えろって殴ってくれるの?」

 

「まぁ必要であれば、確かに。しかし、話し合いも人間には必要で……」

 

「出来もしないくせに言わないの。悪い様にはしないから任せといて。」

 

 

 

そこで父親は目を疑う。実の娘に他人の息子が常に付き纏っているのだ。

しかも、本人の見ている前で。更に言えば、その本人が住む家の中でだ。

その右手にはデジカメを構えており思い出したようにシャッターを切る。

 

だがそのタイミングが良く判らない。娘が笑顔の時だけ彼は撮っていた。

 

 

 

「えーと、郷田君、だったかな。君は何をしているか教えてくれんか。」

 

「あ、脅迫出来る写真を撮りたいんです。いいアイディア有りますか?」

 

「あー、そうだな、今のままで良いんじゃないかな。多分成功するよ。」

 

「ありがとうございます。僕、こういうの初めてで、よく知らなくて。」

 

 

 

成功する訳がない。風呂も覗かない、トイレも入らない、着替えも待つ。

狙われている娘の父ですら、郷田の盗撮には全く才能が無いと確信した。

事実こうして娘の父と話している間も彼女は入浴中でチャンスなのだが。

 

 

 

「着替えはどうするかね郷田君。なんなら今日は私の肌着でも貸すか?」

 

「え?いいんですか?それじゃ喜んでお言葉に甘えさせてもらいます!」

 

「……聞いておくが親御さんには伝えてるのかね?今日ココにいると。」

 

「メールはしましたが見てないでしょう。毎年この時期は帰らないし。」

 

 

 

土屋父は思い出す。そうだ、大臣交代の騒ぎで本省では鉄火場のはずだ。

それに郷田局長の細君も有名なアナリストで多忙を極めていると聞いた。

財務事務所の単なる事務官である自分は薄給な代わりに安穏とした仕事。

 

 

 

「娘と良く相談して盗撮するといい。本人の協力無しに難しいだろう。」

 

「な、なるほど!それは盲点でした!確かにそれなら成功できるかも!」

 

 

 

盲点どころでは無い。普通に考えれば本人承諾ならば盗撮とは呼ばない。

自慢のコレクション『うっふん盗撮~人妻物語~』を見せてやりたい程。

だが目の前の少年は教えれば素直に自分の娘に実行してしまうであろう。

 

カメラ256台に囲まれながら延々と襲われ続ける娘の姿は見たくない。

 

 

 

「部長、お先にお風呂頂きました。残り湯でよければこの後入ります?」

 

「そうだね、ちょうど着替えを借りれる事になったし、いいですかね?」

 

「じゃあついでにパパも一緒に入っちゃってよ、お湯もったいないし。」

 

 

 

こうして土屋家の夜は更けていった。ちなみに奥さんとは現在別居中だ。

夫がカメラ256台を寝室に設置した上で営みを迫り実家に帰ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山田次郎は夢を見ていた。

 

夕方の校舎、そして二人以外は居ない教室。夕日が周囲を朱色に染める。

田中双葉の父親が巻き込まれた交通事故の翌日、彼女と彼はここにいた。

 

 

 

「あ、あのさあ、双葉ちゃん、お父さんは、そのさ、大丈夫だったの?」

 

「………………うん。病院で寝てるけど、怪我じゃなくて過労だって。」

 

「よかった……じゃあ今もお母さんとかが、お父さんと一緒なんだね。」

 

「ううん?お母さんはまだお仕事で出張中だよ。いそがしいんだって。」

 

 

 

山田次郎の理解を超える返答。父親の入院なのに、母親が忙しいと言う。

なぜ一緒にいないのか。そもそも、なぜ父親の事故に駆けつけないのか。

正しくない。間違っている。母が怪我をした時には自分の父は違ってた。

 

山田家は近年でも珍しい昭和型の家庭である。だが彼とっては『普通』。

 

 

 

「双葉ちゃん、ぼくは君が怪我したらずっと応援したい。変なのかな?」

 

「……わたしも、次郎くんに応援されたい。でも、お母さんは違うわ。」

 

「いっしょにいた女の人にはお父さんが来てたよね?普通そうだよね。」

 

 

 

一緒にいた女とは一之瀬雄大の母であり、お父さんとは一之瀬雄二郎だ。

出世もバラ色の人生も全てふいにした張本人だが、彼がベタ惚れだった。

一之瀬父は看病できぬなら離職すると言って職場放棄しての来院だった。

 

 

 

「……お母さんのところに行きたい。行って、帰ってって言いたいの。」

 

「じゃあ行こう!大丈夫、こう見えてもぼく電車に乗れるから!ねっ!」

 

 

 

実際、彼に電車運転のスキルは無いし免状も許可も無い。乗っかるだけ。

だが彼は乗れると言う。要は切符を買って電車で目的地に行けるだけだ。

そんなのは子供でも大人でも誰でも出来る。だが、目の前の少女は違う。

 

 

 

「えっ?!電車って小学生も乗れるの?お母さんは子供は無理だって?」

 

「大丈夫だよ、ぼくにまかせて双葉ちゃん。まえに一人で乗ったから!」

 

「すごい、すごいわ次郎くん!やっぱり次郎くんってすごい子なんだ!」

 

 

 

二宮双葉は本気で感心している。彼女にとって山田はヒーローであった。

サッカーではクラスで一番、そして誰とでも仲良く話せる人気者の少年。

クラスの隅で独りで絵を描き続ける双葉にとっては別世界の住人だった。

 

だが、ある日に山田は少女に声をかける。彼女のセーラームーンを見て。

 

 

 

「す、すごい!すごい上手じゃんか!どうしても巧く描けないんだよ!」

 

「……山田くん、漫画描くんだ?えっとね、ここはまるーく描いて……」

 

 

 

山田は兄の勧め、というか半強制で親に隠れてマンガを描かされていた。

山田太郎は非常に強権的な長兄である。対して、次郎は彼に絶対服従だ。

いままでスポーツと球技を父に叩き込まれていた彼は絵に苦戦していた。

 

 

 

「す、すごすぎる!ホントにかんたんに描けたよ!ねえねえ、ほらっ!」

 

「でも山田くんもすごいわ。ちゃんとマル描けるし。練習、してるの?」

 

「してるしてる!おにいちゃんが描け描け言ってて、すごい怖いんだ!」

 

「あはは、いっしょだね。わたしもおねえちゃんに言われてるんだよ。」

 

 

 

こうして二人は意気投合していく。同じ様な境遇に、同じ様なスキルに。

変な子扱いされていた彼女は山田を経由し、クラスに馴染み始めていく。

山田次郎は彼女にとって救世主であり、いつしか淡い恋心も抱いていく。

 

 

 

「わたしね、その、次郎くんが好きだよ。本当に、世界で一番好きよ。」

 

「でも日本じゃ二番目だよ。だって、ぼくのがもっともっと好きだし。」

 

 

 

他愛も無い子供同士の背伸びの告白。だが、その時の二人には真実の愛。

二宮双葉は思う。山田次郎が言う事は全て正しい。だからずっと一緒と。

山田次郎は思う。二宮双葉が自分を信じてくれる。だからずっと守ると。

 

山田次郎は二宮家の家庭のルールをろくに確認もせずに、暴走し始める。

だが二宮双葉はそんな山田次郎を止めない。なぜなら彼は彼女の英雄だ。

 

 

 

「お母さんは……かながわけんのさがみおおのぐりーんほーるにいる。」

 

「神奈川県、相模大野……知ってる、知ってるよ双葉ちゃん!大丈夫!」

 

 

 

不幸な事に、山田次郎の唯一の一人電車は東京都町田市の町田駅だった。

そして都内から離れるとはいえ、相模大野は小田急電鉄で隣の駅である。

彼の脳裏にプランが組みあがる。町田行きの隣の料金を払えば大丈夫と。

 

そして彼らは相模大野駅前のグリーンホールに着く。駅から看板がある。

更に不幸な事に、その公演は入り口で大々的に告知され、無料であった。

 

 

 

「こっちだ双葉ちゃん!そっちにお母さんがいるんだって書いてある!」

 

「あ、あの、でも、やっぱり、怒られるかも……お母さん、こわいよ?」

 

「大丈夫だよ!きみは怒られないから!ぼくがきみをぜったいまもる!」

 

 

 

少年は少女の手を引き会場内に入る。ほの暗い会場で唯一壇上が明るい。

彼女が小声で彼に伝える。あの明るい所にいる女性こそが自分の母だと。

幼い少年の知識を総動員して、どうすれば伝わるかを必死に考えていた。

 

そこでヒーローショーを思い出す。お姉さんがいつも脇で話をしている。

そして段を降りたところにマイクスタンドを見つける。あれがお話の台。

彼は鍛えられた脚力で一気に壇下のマイクに走り寄り、そして奪い取る。

 

 

 

『双葉ちゃんのお母さん!おじさんが事故で入院してる!早く行って!』

 

 

 

その降って沸いたような大声にざわめく観客。そして動揺する二宮若葉。

スタッフが確認する為に壇上に集う。双葉の母は犯人の少年を見つけた。

 

 

 

『ボク、おばさんお仕事なのよ?そんないたずらしたら駄目でしょう?』

 

『おじさんが大変だよ!それに、いっしょにいた女の人も大変なんだ!』

 

 

 

ここで二宮若葉が手からマイクを落とし雑音の後にハウリングが起きる。

会場の観客が揃って手を耳に当て、不快な反響音を何とか防ごうとする。

ちなみにハウリングとは、マイクをスーピカーに向けると起きる雑音だ。

 

そして血走った目で二宮若葉が壇下に向かい走り出した。驚く山田次郎。

彼はとっさに怒られると感じて、その場から少女の手を引き走り去った。

 

だが真実は違う。彼女は知らなかったのだ。夫は単身事故と聞いていた。

実は二宮純一郎は入院の際に秘書の判断で息のかかった病院に運ばれた。

そして一之瀬氏の細君の事は緘口令が敷かれ、夫人には伏せられていた。

 

 

 

「これできっとうまくいくよ!きっとお父さんに会いに行く!きっと!」

 

 

 

嬉しそうに少女に話しかける山田次郎。しかし少女の胸中は複雑だった。

たぶん自分は叱られる。何故ならば『双葉ちゃんのお母さん』と言った。

しかし彼を責める言葉が出てこない。彼の為になら叱られようと思った。

 

 

 

事実、二宮若葉は早々に公演を切り上げ入院している病院へと急行する。

しかしねぎらいの言葉の為ではない。女性の正体と真相を確かめる為だ。

そして夫から浮気の告白を受け、彼女は即座に離婚調停の準備を始める。

 

 

 

 

 

 

大冒険から数日、彼女は学校を休んでいた。教師は病気だと言っていた。

登校を心待ちにする山田。きっと家族仲良くなっているに違いない、と。

そして登校する。心なしかその目元は少し大人びた雰囲気を帯びていた。

 

山田は彼女に促されるままに、初めて行く屋上階段の踊場に辿り着いた。

 

 

 

「ねえ次郎君、あのね、もう、二度と会わない方が良いと思うのよね。」

 

「ど、どうしたの?まさか怒られたの?だったらぼくのせいだって……」

 

「違う……その、お姉様が、次郎君を、殺すって言ってたの。だから。」

 

 

 

手を握りチラチラと上目で見る彼女。いつもと違い半分瞼を伏せている。

山田は少し違和感を感じた。確かに目の前にいるのは大好きな双葉の顔。

だが何か違う。それをずっと彼は考えていた。一体、何が違うのだろう?

 

 

 

「おおげさだなあ双葉ちゃん。それに殺されるようなことしてないよ?」

 

 

 

にこやかに微笑みそう言い放つ山田次郎。そこで目の前の少女が動いた。

握っていた手を離し大きく両手を振り上げる。そのまま彼女の手は首へ。

もちろん彼女の首へではない。目の前の少年に向けて。手加減もせずに。

 

 

 

「……グェッゴボ、う、双葉ちゃ、じぬ、じんじゃう、だんで、じぬ……」

 

「死んじゃえよ!お前のせいでパパと別れて暮らすのよ!死んで償え!」

 

 

 

山田次郎は何とかしようと手をバタつかせる。しかし空を切るばかりだ。

二宮双葉はショートカットの小学生である。髪を掴むのも意外と難しい。

だが根性で彼は手を伸ばし、彼女の髪の毛に触れ、そして思い切り掴む。

 

しかし残念な事に、その根性には効果が無かった。髪の毛が落ちたのだ。

ショートカットの髪の下から、ボリュームのある長髪がその姿を見せた。

衝撃でアップに纏められた髪の毛が、ハラリと解けてその全容を現した。

 

綺麗な黒髪であり、頭頂部にピンク色のカチューシャをつけている少女。

 

 

 

「ヴギギ……キミ、だれだよ、双葉ちゃん、じゃ、ないの、か、よ……」

 

「私双葉よ次郎君?だから死んでちょうだい?双葉のお願い、聞いて?」

 

 

 

もちろん嘘であった。彼女の名前は一歳年上の姉である二宮一葉だった。

 

或る日突然に彼女が母親から告げられた内容は、非常に衝撃的であった。

離婚で別居、母と妹とで暮らす。父とは一生会えない約束になっている。

それを聞いても彼女は母を責めはしなかった。しかし父には詰め寄った。

 

 

 

「いやー、双葉ちゃんの彼氏に浮気現場を見られちゃってね!ごめん!」

 

 

 

父の明るく言い放った一言が、山田次郎に生命の危機を呼んだのである。

通常の神経の持ち主であれば、そんな事だけで他人を殺そうとはしない。

しかし、彼女には親にも知られていない非常に小さな『理想』があった。

 

それは団欒。皮肉な事に彼女の夢見る家族のあるべき姿は山田家のソレ。

父はともかく母がほぼ家にいない。それを何とかしようと彼女は動いた。

若葉は二科展に出品するほどの画才を持っていた。だから自分も目指す。

するとどうだろう?母は時間を見つけて自分を指導する為にと家に戻る。

あと少しで、母は家に、父も家に、姉妹と弟も家にいる団欒が手に入る。

 

しかしその夢は、理想は、山田次郎によって完膚なきまでに破壊された。

 

 

 

「許さない!許さないわよ!このクソガキ!あんたは死ぬしか無いわ!」

 

「……じぬ、もんか、おでは、じなない、ふた、ばじゃんを、まも……」

 

「笑わせんじゃないわよ雑草の分際で!あんたなんか踏み潰されてろ!」

 

 

 

やがて山田次郎の手から力が抜けて、首もだらりと背中に垂れ下がった。

だが彼女はまだその手の力を緩めなかった。数秒そのままの姿勢を保つ。

そして階段の下に向かって山田次郎を放り投げる。ごつごつと響く打音。

 

彼女はそのまま山田の落ちた先に歩き出し、そして最下段に到着をした。

大の字になり、うつ伏せに倒れる山田。彼女は彼を足先でひっくり返す。

そして動かない事を確認すると、そのまま山田の顔を跨いで歩き去った。

 

 

 

 

 

 

「いいか、田中双葉とオマエには因縁があるんだ!忘れるなよ山田!」

 

 

 

 

 

 

そこで急に現れた鈴木一浪のどアップ。このセリフは電話で聞いたもの。

山田の夢の終わり際に現れた彼が山田次郎の夢の崩壊を食い止めていた。

だが、夢とは失われるもの。そして夢が醒めてこそ、人は起き上がれる。

 

山田次郎は起き上がった。いつものベッドの上。そして枕元にはパンツ。

もちろん彼の穿いていたものではなく、田中双葉嬢からの寄贈品である。

ぼりぼりと頭を掻きながら、彼はそのパンツを握りしめ、そっと呟いた。

 

 

 

「小学生の田中双葉のパンツ覗く夢かよ。もしかして、あれが因縁か?」

 

 

 

残念な事だが起床した後の記憶には一番最後のシーンだけが残っていた。

 

自分の顔の上を大股で跨ぐピンク色のパンツ。たったそれだけであった。

山田はパンツを握って理解した。自分はきっと田中双葉に発情している。

鈴木はきっとその事を見抜いていたに違いない。だからこそ助言をした。

 

恐らく自分が強姦などしないように鈴木は心配して助言したに違いない。

そう考えれば全て辻褄が合うと山田は推理し、そして制服に着替えだす。

今日は勝負の日である。そして自分が欲情する田中双葉との勝負なのだ。

 

 

 

「お、今日も学校か次郎?……何かちょっとだけ勇ましい顔してるな。」

 

「ふふ、流石はマイファーザーでゴザルな。今日は勝負の日でゴザル。」

 

「どうせくだらん勝負だろうがな。ま、俺の子供だ、負けるなよ次郎。」

 

「当たり前でゴザル!映研部長は必勝不敗!山田次郎は必ず勝つナリ!」

 

 

 

山田家では毎朝家族揃って食事を取る。食べながら会話を交わす父と子。

息子は拳を水平に突き出し不敵に微笑む。拳を胸で受け微笑み返す父親。

そんな両者の顔の間に布に包まれた四角い容器が現れる。見慣れた弁当。

 

山田大二郎の細君にして山田次郎の母である、山田葛葉が作った弁当だ。

 

 

 

「勝負とかって母さんには判らないけど、お弁当を食べて頑張ってね?」

 

「大丈夫でゴザルよマイマザー!我輩のビクロリーロードは永遠ナリ!」

 

 

 

食事をかき込み飛び出していく山田次郎。呆れ顔で見送る父、笑顔の母。

息子が出て行った後、父親は器用に片膝だけあぐらをかき新聞を広げる。

母は流し台で洗い物をする。馴れたもので家事はあっという間に終わる。

 

旦那は新聞を見ながら茶を啜っている。奥さんは、そっと台所を抜ける。

 

 

 

「もしもし、ばあや?お父様は居る?若葉の娘の事でちょっと話が……」

 

 

 

受話器を手で隠しながら背を丸くし通話をしている山田母。しかし……

 

 

 

「……?もしもし?もしもし?」

 

「キミが言いだした筈だぞ母さん。もう実家には二度と連絡しないと。」

 

 

 

電話機に使用する導線を『モジュラー』と言う。取り外しが可能である。

そのモジュラーケーブルが抜けてしまっては電話機はただの飾りである。

そして今まさに飾りになっていた。ケーブルを持つ山田父の手によって。

 

 

 

「……判らないの?!勝負の相手は田中の家よ!次郎、殺されるかも!」

 

「安心しろ、次郎はもう子供じゃない。自分の身くらい自分で守れる。」

 

「本気で言っているの?!田中の家はキチガイの家よ!判るでしょう!」

 

 

 

乾いた音。右頬を押さえる母。手のひらを広げ腕を振り下ろしている父。

呆然とした表情からやがて怒りの形相になり、葛葉は大二郎を睨み返す。

しかし彼は少しも怯まない。そして、彼女の顔を両手で掴み、キスした。

 

葛葉の眉間の皺はやがてほぐれ、頬を染めてうっとりとした表情になる。

 

 

 

「相変わらず綺麗だぞ母さん、いや、葛葉。俺は葛葉の全てが好きだ。」

 

「……ずるいわあなた、いいえ、大二郎さん。私も貴方の全てが好き。」

 

「安心しろ、次郎の代わりなぞファックすればいくらでも作れるだろ。」

 

「あの時も貴方はそう言ってたわ。でも、結局一人も作らなかったわ。」

 

「それだけ次郎は強いってことさ。俺の子だ、奴は殺しても死なんさ。」

 

 

 

重なる二人の影。そして二人は無言のまま重なりあい、倒れこんでいく。

倒れた先に何が起きているのかは敢えて言及しない。タグの問題である。

 

 

 

 

 

そしてそんな我が家の状況など全く知らずに、代わりのきく少年は走る。

愛車はただのママチャリではあるが、彼の脳内では凛々しい愛馬である。

鞭を入れるようにペダルを漕ぎ、手綱を手繰るようにハンドルを握った。

 

 

 

「待っていろ田中双葉!欲情しきった青少年の実力、思い知るがいい!」

 

 

 

欲情しきった青少年を乗せた自転車は走る。彼の愛する母校に向かって。

そして彼が愛しているとやっと自覚できた少女との勝負の場に向かって。

そしていよいよ勝負は始まるのだが、その行方は残念ながら次の回に……

 

 

 

 

 

 

 

つづく。




まだ決闘しないのかよ!尺稼ぎにも程があるだろ!ドラゴンボールか!
そんな声をあげた貴方、いえいえ、そうではありません。違うのです。
本決闘も入れる予定だったんです。ですが、前段が思ったより長くてw

これから決闘も入れちゃうと、流石に長すぎて読みにくくなるのです。
平均文字数13000とか、とんでもない数になってる山田くんです。
次回はバトルパートがメインですので、皆様安心してお待ちください。

では、また次のお話でお会いいたしましょう。


ではではw
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