ソードアート・オンライン 十人の物語   作:蹴急

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第一層攻略会議

「ここにいるのも飽きてきたんだが・・っと」

 

茶髪の青い瞳の少年は大きな剣・両手剣をモンスターに切りつける

 

「しょうがねえだろまだボス部屋でさえ見つかってねえんだからよっ!!」

 

金髪で緑の瞳をした少年はランスと盾を手にモンスターと対峙する。

 

「スイッチだ、ワールン!」

「ああ、任せろ」

 

カマクが盾で敵の攻撃を弾き、それで出来た隙をワールンが両手剣のソードスキルでモンスターをポリゴンへと変える。

 

「ふぅ、今日はここまでにするか。」

「そうだな、僕も疲れた。この後武器の強化に行くがカマクはどうする?」

「あ・・、俺はパスだ。鼠と話をする約束をしてっからな」

「良い情報が手に入ったら僕にも教えてくれよな」

「別に構わんがその時は鼠に払った金をお前に全額請求するからな」

「なんでだよ!そこは普通割り勘とかじゃないのか、友達だよな僕たち?」

「ああそうかもな」

「何故そこで、曖昧にするんだ。不安になるじゃないか」

「そんなことはどうでもいいから早く帰るぞ」

「どうでもよくないよな、これって僕たちの今後に関わるような事だと思うんだが」

 

ワールンとカマクは迷宮区を後にして近くの町「トールバーナ」へと向かった。

 

 

「なあ、タクト、さっき聞いたんだが今日の夕方から第一層攻略会議があるそうだがお前もくるか?」

 

ガタリとタクトはトールバーナの表通りを歩いている。

今はマルカと別行動をとっているため彼女はここにはいない。

 

「そうだなぁ、一応最前線の状況も知ってはおきたいし」

「ならマルカにも伝えた方がよさそうだな、あいつも来るだろうし」

「そういえばあいつは何してるんだ?」

「何か女性限定のクエストがあったらしくてそれをやってるんだとさ」

「へぇ、どんな内容か聞いてるのか?」

「いや、聞いてはみたんだけど、まったく教えてくれなくてよ」

「何だそれ?そういうのされると余計気になるな」

「あんまり詮索しないほうが身のためだと思うぞ」

「い~や、あいつの弱みを握るチャンスかもしれないんだ動かずにいられるかよ」

「そうかよ、俺は少し鍛冶屋に行くから勝手にしてくれ」

「オーケーだ、俺はとりあえず鼠を探しにいくか・・」

 

二人は別れガタリは鍛冶屋のある裏通りに向かった。

少し歩くと小さなNPCの鍛冶屋があった。

先客がいるらしく何やら強化をしているみたいだ。

どんな武器を使っているのか気になったガタリは少し覗いてみる。

 

「へぇ、両手剣か・・しかも中々に良い物だ」

「武器を見ただけで判断できるなんてあんたベータテスターか?」

 

武器の強化をしていたワールンがガタリに話しかける。

 

「そうだけど?」

「ベータテスターには礼を言おうと思っていてな」

「何でだ?」

 

ワールンの発言に考えるガタリだが思い当たる節がない。

けれども次のワールンの言葉で納得する。

 

「ほら、道具屋で無料配布していたガイドブック。あれってベータテスター達がやってくれてたんだろ?」

「それの事か、その事なら別に礼なんていいのに俺達はあまりビギナーに何かしたわけでもないしな」

 

このガイドブックを配布したのは鼠のアルゴと呼ばれる元テスターの情報屋だ。

ガタリは鼠と会うことがあったため、少しばかり情報を渡したりしていたのだ。

 

「そうだとしても、この本があったから大分助かったんだ。だからありがとう」

「そういうことなら一応礼を受け取っとくよ」

「そうだ、名前を聞いてもいいか?僕はワールン、両手剣を使っている」

「ガタリだ、武器は盾なしの片手剣だ、よろしくな」

「こちらこそ、よろしく。これも何かの縁だフレンド登録しないか?」

「構わないぜ、ワールンは夕方にある会議に参加するのか?」

「会議って何のことだ?」

「この町の中央広場で四時から第一層攻略会議が行われるらしいんだ」

「そうなのか?勿論行くさ、伊達に迷宮区に潜ってないからな」

「ワールンと一緒に戦うのが楽しみになってきたぜ」

「僕もガタリの強さに期待しているからな」

 

二人は強化が終わるまでの間話し合っていた。

 

 

トールバーナの北門付近に大きな盾を持った金髪と頬にある髭のペイントが特徴の女性が会話をしていた。

 

「おう、アルゴ何か良い情報はねえのか?」

「勿論あるヨ。そうダナ、500コルでいいカナ」

 

鼠のアルゴと呼ばれる少女はカマクから500コル払われたのを確認してから「まいド」と言い口を開いた。

 

「今日の夕方四時から、この町の中央広場で『第一層攻略会議』が行われるヨ」

「攻略会議だ?」

「ソウ、多分最前線にいるプレイヤーがかなり集まると思ウ。マックも迷宮区に行っているのだから、行ってみるといいネ」

「確かに良い情報だ、助かるぜ。」

 

少しの間カマクとアルゴが雑談していると後ろから青紫色の髪の少年・タクトが走ってやってきた。

 

「あ!いた!おーいアルゴ!」

「ん?タっ君じゃないカ、何かようカイ?」

「ああ、そうだ・・」

 

タクトはアルゴと一緒にいるカマクの存在に気づき、誰?とアルゴに向けて首を傾けた。

 

「そうカ、タっ君とマックは面識が無いんだナ」

「ああ、じゃあ自己紹介しとくか、カマクだ。一応今は連れとコンビでやっている」

「俺はタクトだ、俺は・・・仲間とトリオでやってる。まあ基本的には自由行動だけどな」

「自己紹介もしたしいいカ、タッ君は何でオレっちを探してたんダ?」

「そうだった、マルカが女性限定クエストをやってるらしいんだが、内容を教えてくれなくてな、それを教えてもらおうと思ってよ」

「なるほどナ。ん~流石にオレっちも女だしあんまり教えたくはないんだけどナ」

「そこを何とか頼むぜアルゴ!」

 

手を合わせアルゴにウインクするタクト。

流石にアルゴも呆れるが、仕方なしに折れ金額を言い、引かすことにする。

 

「なら3000コルでどうダ。それならどんなクエストかだけ教えてあげてもいいヨ」

「よし、買った!」

 

即決だった。

それを言われアルゴは一瞬驚きで目を開くがすぐに呆れて笑い出した。

 

「ニャハハ、仕方ないナ。クエスト内容は接客ダ。あとは自分で探すんだナ」

「恩に着るぜアルゴ!これでマルカの弱みを握れるぜ!」

 

そう言って立ち去ろうとするタクトをアルゴが呼びかけ止める

 

「待テ。タッ君はもちろん会議に参加するんだナ?」

「ん?当たり前だろ?何のために最前線に行ってると思うんだよ」

「嫌、きっと会議は荒れると思うからきをつけロ、と言っておきたかっただけダ」

「そうか、わかったよ、一応覚えとくさじゃあな」

 

タクトはアルゴに手を振り路地に向かっていった。

カマクも宿に戻ろうとアルゴに挨拶する

 

「アルゴ!俺も戻るわ」

「そうカ、また何か聞きたくなったらメッセージを飛ばしてくレ」

「ああ、またな」

 

カマクがそう言うとアルゴは駆け足でどこかに行ってしまう。

カマクはそれを見てアルゴの速さに驚くがそれほど気にも留めずに自分の宿に戻った。

 

 

 

黄緑の髪の少女マルカはあるNPCのレストランでクエストを行っていた。

 

「ううぅ、このクエスト早く終わらないかしら」

 

彼女は文句を溢しながらも料理を運んだり、客から注文を聞いている。

彼女が文句を言う理由は簡単だ。

今の彼女の格好を知り合いにでも見られれば必ず笑われるであろうからだ。

 

「はぁ、あと三十分もあるじゃない」

 

時計をちらっと見て口にする。

現在の時刻は午後の三時だ。

マルカが現在行っているクエストは女性限定のクエストで内容はレストランで五日間、三時間接客を行うというとても簡単なクエストである。

だが服装がメイド服で猫耳などのオプションが追加されているのだ。

 

「このまま誰も来ないでよ・・、」

「すいませーん!」

「あっ、はいすぐに参ります」

 

客に呼ばれ笑顔をで対応するマルカ。

心の内では面倒だと思っているのだが、いざとなると何故か営業スマイルになり笑顔で客に対応してしまう。

 

「うぅぅ、もう完全に飲まれちゃってるわこれ・・・」

 

自分が笑顔で仕事をしていることに嫌悪してしまうが体が勝手に反応してしまうのだからどうしようもない。

そしてドアの開く音がする。

 

「いらっしゃいませ~」

 

もう完全に癖となった営業スマイルでマルカは対応し、振り向くと彼女の顔から笑顔は消え失せた。

 

「よっ!ようやく見つけることが出来たぜ!」

 

マルカの弱みを握れるかもしれないと思い、色々な場所を探し回っていたタクトがついにマルカのいるレストランを見つけたのだ。

 

「ちょっと!何であんたが来るのよ!」

「いや~お前が何か隠してるみたいだったからよ、気になって探してたんだ」

 

タクトが笑いながらここにきた理由をマルカに述べる。

 

「て言うか、面白い格好をしてるな」

「そんなにジロジロ見ないでよ!」

「成程な、確かにこの格好は人に出来るだけ見られたくないわな」

 

タクトはマルカの服装を見ながらニヤニヤする。

それもその筈、普段のマルカでは絶対にしない格好なのだから。

 

「くぅ~、記録結晶がないのが憎いぜ」

「今あったとしても絶対撮らせないわよ!」

「いや、これを写真にして売ったらいい金儲けになると思うんだけどな」

「やめてよね!って用がないなら帰ってよ私はまだクエストの途中なんだし」

「あ!そうだった、一応用はあるんだよ」

 

伝えるためにマルカを探していたのにいつの間にか目的がずれていたみたいだ。

 

「なら早く言いなさいよ」

「お前の事を探すのですっかり忘れてたぜ。ええっと、今日の午後四時からこの町の中央広場で攻略会議があるらしいからお前もくるよな?」

「そうなの?もちろん行くわ!要件はこれで終わりよね?早く出て行って」

 

見られるのが恥ずかしいのか早く帰るように促す。

 

「まあいっか、マルカの貴重な姿を見ることもできたしな」

 

タクトは特に何も言わずにそこを立ち去った。

 

 

四十四人のプレイヤー。

トールバーナーの噴水広場に集まった人の人数だ。

その中にガタリ、タクト、マルカの三人もいる。

マルカはフードを被り周囲から目立たないようにしている。

 

「ガタリの言うようにフードをしていて正解の様ね。」

「何でだ?」

 

マルカの発言にタクトが問う

 

「こんな男だらけのとこに女の子がいたら目立ちまくりで仕方ないでしょ」

「そうなのか?」

「そいうもんなんだよ」

 

答えるのが面倒なのか適当にガタリが返す。

 

「なら、あっちにいるフードも女の子って事かもな」

 

そう言われてマルカとガタリは奥の席にいるフードのプレイヤーを確認する。

 

「そうかもしれないわね、でも周りには言わない方がいいわよ」

「だな、隠したくてあんな恰好をするわけだしな」

「ふーん・・・」

 

三人がフードのプレイヤーから視線を話、周りをみると、後ろの方にアルゴがいることが確認できた。

彼女はボス戦には参加しないだろうが、情報が得られると思いやってきたのだろう。

他にもガタリの出会った、ワールンや、タクトが知り合ったカマクの姿もある。

少しして、パン、パンと手を叩く音とともに、良く通る叫び声が広場に流れる。

 

「はーい!五分遅れたけどそろそ始めさせてもらいます!みんなもうちょっと前に・・・そこあと三歩こっち来ようか!」

 

堂々としゃべる主は長身の片手(ソード)剣使い(マン)。

鮮やかな青色の髪をした男は爽やかな笑顔で言う。

 

「今日は、オレの呼びかけに応じてくれてありがとう!知っている人もいると思うけど、改めて自己紹介しとくな!俺はディアベル、職業は気持ち的にナイトやってます!」

 

ディアベルを見てタクトは憧れの眼差しを向ける。

 

「あの人めっちゃかっこよくねえか?」

「確かに何であんなイケメンがネットゲームなんてやってるんだろうな」

「そう?私はあんまり好きじゃないかな?なんか裏がありそうだし」

 

マルカの発言でガタリはディアベルがベータテスターではと考えるが今はどうでもいいとその考えを振り払う。

 

「さて、こうして最前線で活動している、言わばトッププレイヤーのみんなに集まってもらった理由は、言わずもがなだと思うけど・・・・今日、俺達のパーティーが、あの塔の最上階へ続く階段を発見した。つまり明日か、遅くとも明後日には遂にたどり着くってことだ。第一層の・・ボス部屋に!」

 

プレイヤー達がざわつく。

それにつられガタリ達も話し出す。

 

「凄いな、俺達はまだ19階の入り口に着いたばっかだってのに」

「私たちも早く追いつかないとね」

「ああ!負けられねえぜ!」

 

「一ヶ月。ここまで一ヶ月もかかったけど・・・それでもおれ達は示さなきゃならない。ボスを倒し、第二層に到達して、このデスゲームそのものもいつかクリア出来るんだってことを、始まりの街で待ってるみんなに伝えなきゃならない。それが今この場所にいる俺達トッププレイヤーの義務なんだ!そうだろ、みんな!」

 

ディアベルの言葉に拍手と喝采が起こる。

だが、そこに割って入る人物が現れる。

 

「ちょお待ってんか、ナイトはん」

 

その一声を言いながらサボテン頭の男がディアベルのいる壇上に向かう。

 

「わいはキバオウってもんや、こん中に、五人か十人ワビィ入れなあかん奴らがおるはずや」

「詫び?誰にだい?」

 

キバオウの発言にディアベルが問う。

その問いにキバオウは吐き捨てるように答える。

 

「はっ、決まっとるやろ。今までに死んでった二千人に、や。奴らが何もかんも独り占めしたから、一ヶ月で二千人も死んでしもうたんや!せやろが!」

「キバオウさん。君の言う奴らとはつまり・・・ベータテスターの人たちのこと、かな?」

 

腕組みをしたディアベルが、今までで最も厳しい表情を浮かべ確認した。

 

「決まっとるやろ」

 

少しの静寂が広場を包む。

タクトとマルカがガタリの顔を除くと苦い表情をしている。

ガタリはその発言に意を唱えようとしたいがそれが出来ない。

それをすると自分が糾弾され、非難を浴びると思ったからだ。

それを受け止めきれるほど彼の精神は育っていない。

彼はまだ中学生なのだ、出来るはずもない。

するとガタリ達の後ろから声が響いた。

 

「おい、おっさん!」

「なんや!」

「あなたはそのベータテスター達に何をしてもらおうというんですか?」

発言したのは両手剣を背負っている茶髪の少年ワールンだ。

 

「はぁ?決まっとるやろ、土下座さしてため込んだ金やアイテムをこん作戦のために吐き出してもらわな、パーティーメンバーとして命は預けれんし預かれんとわいは思ってる」

「そうですか・・・その後、装備も回復アイテムもろくなものが無いベータテスター達にはボス戦に参加させない、もしくはボス戦で死ねとあなたは言うんですね」

 

ワールンの青い瞳には怒りが籠っている。

それもその筈だろう、彼はベータテスター達に感謝しているのだ。

そんな人を貶され、あわや死ねと言われたのだ。

14歳の彼が感情的になるのも無理はない。

 

「そやけど、あいつらが見捨てへんかったら、死なずに済んだ二千人や!しかもただの二千ちゃうで、ほとんど全部が、他のMMOじゃトップ張ってたベテランやったんやぞ!アホテスター連中が、ちゃんと情報やらアイテムやら金やら分け合うとったら、今頃ここにはこの十倍の人数が・・・ちゃう、今頃は二層やら三層まで突破できとったに違いないんや!」

 

キバオウがワールンを中心に広場全体に向けて吐く。

ワールンは怒りで頭の中が整理できずに感情のままに喋ろうとする。

それを見かねたカマクがワールンの肩を叩く。

 

「落ち着けワールン。俺に任せとけ。」

「カマク・・・わかった」

 

ワールンは大人しくカマクに譲り一歩下がる。

カマクは簡易な本アイテムを取り出して発言する。

 

「俺はカマクだ。キバオウさん、このガイドブック・・・あんたももらっただろ?」

「ああ、もろたで」

「このガイドブック道具屋で無料配布されてただろ?」

「だからそれが何や」

「このガイドブックに載ってる情報だけどな・・これは元ベータテスター達が提供してるんだよ」

 

カマクの発言にプレイヤー達が一斉にざわつき出す。

ガタリ達はこのことを知っているので驚くこともない。

 

「なぜなら、このガイドは俺達が新しい村に着くたびに置いてあったんだ。あまりにも早すぎるだろ?」

 

キバオウがぐっと口を閉じる。

その背後でディアベルは成程と頷いている。

少しして閃いたと言わんばかりの顔でキバオウがカマクに反撃しだす。

 

「そんなこと言うあんさんが元ベータテスターとちゃうんか?」

「はあ?」

 

呆れたと言わんばかりのため息をするカマク。

どうするものかと考えるが一人の男が手を上げる。

 

「オレの名前はエギルだ。キバオウさん、彼が言った通り情報はあったんだ。なのに、たくさんのプレイヤーが死んだ。その理由は、彼らがベテランのMMOプレイヤーだったからだとオレは考えている。このSAOを他のタイトルと同じ物差しで計り、引くべきポイントを見誤った。だが今は、その責任を追及している場合じゃないだろ。オレたち自身がそうなるかどうか、それがこの会議で左右されると思ったんだがな」

 

エギルの巨漢に気圧されたのか、今度こそ黙り、キバオウは憎憎しげにエギルをねめつけるだけになった。

 

そのあとディアベルが場を治め、会議はそこで御開きとなった。

 

次の日、・・・・・・・・遂にボス部屋が見つかる・・・・・・

 




読んで頂きありがとうございます。

少し最後の方が雑になってしまいました。
反省です。

では次回。
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