ソードアート・オンライン 十人の物語   作:蹴急

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出会い?食事会

第二十六層

2023年3月20日俺達がこの城に閉じ込められてから四か月が経った。

やっと四分の一までクリアした。

このままのペースならきっとあと二年足らずでこのデスゲームもクリアできるだろう。

と思っていたがこの間の第二十五層のボス、クォーターポイントであるボスが途轍もなかったため俺は少し攻略のスピードが落ちるだろうと思っている。

二十五層のボスはあまりにも強く、十層以来の死者が出た、数は二十九人。

しかもその半数以上がキバオウの率いる<アインクラッド解放隊>だ。

ALSは主力のプレイヤーをほとんど失い、今では壊滅状態である。

これによりALSは最前線から離れることになるだろう。

俺は攻略がいつ再開されてもいいように迷宮区でマッピングしつつレベリングをしている。

ボス戦ではタクト達とパーティーを組んでいるが基本的にはソロで行動している。

レベルは階層プラス、十になっているので最前線でも十分に安全マージンはとれているといえるだろう。

今日は夜にタクト達と飯の約束をしているのでその時間まで籠っているつもりだ。

何匹かモンスターを狩っていると俺の索敵にプレイヤーが二人、そしてそれを囲うようにモンスターが十体いる。

俺は敏捷値のでる限りのスピードで走った。

 

「はあ、はあ・・・」

 

着くとこんな前線なのに珍しい女の子プレイヤーが二人いた。

しかしそんなことを考えている暇などない。

 

「君たち無事か!?」

 

俺が叫ぶと棍棒を持った青色の少女が答えた。

 

「何とか無事です・・・でも」

「すぐに助ける!二人でお互いの背中を守るようにしてくれ!」

 

少女の声はとてもか細く弱弱しかった、この状況だ無理もない。

俺は自分の持てる最大の力でモンスターを倒していく。

彼女たちも最前線に来るだけの力はあるのか二体倒している。

 

「おおお・・・ッ!」

 

最後の一体を<バーチカル・スクエア>で斬り、ポリゴンへと還す。

剣を背中に納め、この戦闘で手に入った経験値やコルなどが表記されるのをさっと確認し消す。

 

「あ、あの助けてくれてありがとうございます」

 

青色の髪の子が頭を下げて礼を言う。

 

「その、本当に助かりました、わたしからも礼を言います」

 

青色の子とは別のナオキより薄い紫色の髪をしたショートヘアの子も一緒に頭を下げる。

何というか女の子からお礼を言われるのは嬉しいけど、こんなに頭を下げられると困る。

 

「い、いや別にそこまでしなくていいからさ、顔を上げて」

 

俺が顔を上げるよう促すと二人とも素直に頭を上げてくれた。

きっとさっきのとこだけを見られていたら物凄い誤解を受けていただろう、と内心で誰もいないことに安心する。

二人の顔を確認するとどちらもすごく可愛い、けれど今まで見たことないプレイヤーだ。

 

「えっと~、君たちはどうしてこんな最前線にいるの?攻略組とかじゃ見たことないけど・・・」

 

俺の疑問に答えたのは紫の子だ。

 

「実は次のボス戦から攻略組に加わろうと思ってて、それで少しでもレベルを上げようと迷宮区に来ていたらちょっとしたトラップにかかちゃって・・・」

「成程ね」

 

それで俺が偶々助けに来たってことか。

このまま俺がどっか行くのも気が引けるし、どうしたものかと考えていると青色の子から声がかかる。

 

「あの、さっきのお礼とかしたいのですけど・・・」

「お礼?あっ別にいいよそんなの、そういったのが目的で助けたわけじゃないし」

「でも、流石にそういうわけには」

 

どうしたものか、今までマルカ以外の女の子とろくに話したことが無いのでこういったときどうすればいいのかわからない。

カマクとかなら自然にこなせるんだろうけど。

 

「なら、この後友達と飯に行くからそこで俺の分だけ奢ってくれ、攻略に参加するなら知り合いは増やした方がいいと思うしさ」

「え?良いの?そんなことで?」

 

紫の子が拍子抜けだと言わんばかりの表情で言う。

これ以外に思いつかないんだよな、普段から人からのお礼や報酬は奢りにしてたから。

それに最前線にくるならみんなも紹介したいし、マルカも女の子の友達が増えて喜ぶと思うし。

 

「勿論、それしか思いつかないし。あっ俺の名前はガタリだ、よろしくな」

「ありがとうございます、私はチヒロと言います。よろしくお願いします」

 

青色髪を揺らしながらチヒロが棍棒を両手で持ちながら再び頭を下げる。

 

「私はワカナって呼んでください、ガタリ君これからよろしくね」

 

紫の髪の子、ワカナは笑顔で自己紹介をした。

ワカナの武器はみたところ短剣のようだ。

攻略組で短剣を使う人はいないので貴重な存在になるだろう。

俺は二人を連れ、みんながいるであろうレストランへと向かった。

 

 

二十六層主街区<クラージュ>

街の門を潜ると視界に【INNER AREA】の表示が現れる。

しばらく街を歩き集合場所であるレストランを目指す。

目的地に着くと扉を開け店に入る。

店内を見渡すと一つのテーブルに目が映る、タクト達だ。

マルカが俺のことに気が付いたのか立ち上がり手を振ってきた。

俺も軽く手を振りテーブルに向かった。

 

「やっほガタリ、もうみんな来てるわよ」

「悪い・・・ちょっと合ってな」

 

時間に遅れた訳ではないのだがみんなを待たせたことに違いはないので一応謝る。

 

「突っ立てないで座りなよ、それと後ろの可愛い子についても説明してもらえると助かるな」

 

ワールンがにやにやしながらからかってくる。

ちなみにここにいるメンツは俺と後ろのチヒロとワカナ、テーブルに座っているマルカ、タクト、ワールン、カマクのいつものメンツに珍しくキリトと血盟騎士団の副団長となったアスナがいる。

カヤも誘ってはいたのだが俺達と馴れ合う気は無いと言い、ここにはいない。

確かに突っ立ているのもあれなので座ることにする。

右横にチヒロが座り、さらにその横にワカナが座る。

俺の前にいるタクトが話を切り出す。

 

「これで全員だな、それじゃあ始める前にその二人の事教えてくれよ」

「ああ、今日迷宮区でレベリングをしていたら・・・・」

 

俺が二人との出会いを話、その後全員がそれぞれ自己紹介をする。

終わったころに丁度ご飯が来て食事を始める。

俺の左斜め横のキリトが横にいるアスナに話しかける。

 

「この層の攻略具合はどんな感じなんだ?」

「あまり良くはないかな・・・ALSが抜けたことも大きいけど、やっぱりみんな二十五層のボスでのことがかなり精神的に来ているんだと思う」

「確かに、迷宮区にいるプレイヤーをみる機会が減った気はする・・・そういう意味では君たち二人が最前線に来てくれるのはとても助かるな」

 

キリトが持ち前のカリスマ性というか天然女たらしというかさり気なくチヒロとワカナを会話に混ぜる。

急な話題の振りにチヒロが慌てて答える。

 

「い、いえ・・・むしろ私たちが行くことで攻略組の皆さんに迷惑なのではと・・・」

「そんなことないよ、攻略組が増えるのはいいことだし」

 

キリトが笑顔でチヒロとワカナに言うと二人は嬉しかったのか少し緊張が取れたような気がした。

二人は再び料理に手をつける。

俺は手元の肉をナイフで切り分けフォークを指して食べる、それを飲み込み喋る。

 

「二人はどうして攻略組に参加しようと思ったんだ?」

 

先に応えたのはワカナだった。

 

「私はこの世界の真実を知りたいんだ、ここに来るまでに色々なプレイヤーやNPC・・・モンスターそれらに触れ合うたび私が感じたものが何なのか知りたい」

 

彼女の黄色い瞳はとても真剣で吸い込まれそうになる。

それに対して反応したのはキリトだった。

 

「・・・俺もこの世界で過ごして感じたことがたくさんある。」

 

キリトは飲んでいたグラスを置き、語る。

 

「この世界にではNPCやモンスターはただの物やオブジェクトじゃない、彼女らも少なからず生きているんだ」

 

キリトの発言に思う節があるのかアスナの顔に寂しげな表情が浮いた。

 

「そうだよね、私もそれを茅場はどういった意味を持ってしたのか、ううん意味何てなくても私は自分の目で真実に辿り着きたいんだ、それにはもっと上に行くしか無いと思うから」

 

彼女の言葉に少しばかり沈黙が訪れるがワールンが笑顔で喋る。

 

「意思をしっかり持っているな、これならボス戦でも安心して任せられそうじゃないか?」

「ああ確かにワールンよりかは大分頼りになりそうだな」

「なっ・・僕は頼りにならないといっているのか!?」

「誰もそんなことは言ってないだろ、けどそう言うってことは自覚があるのか?」

「くっ・・・そうやって毎回僕の揚足ばかり取りやがって・・・」

 

カマクがいつものようにワールンをからかい始める。

 

「そういえばカマク?」

「あ?なんだ?」

 

ワールンは分が悪いと話題を変えだした。

 

「今日の事はあの子に言っているのか?」

「は?・・・・ああメユか、いや今日参加するのはいつものメンツだから・・・ッ!!」

 

何かに恐れるかのようにカマクの表情が変わる。

そして今の状況を確かめるかのように全員を見る。

そしてチヒロとワカナのことをみると何故かアバターの顔が青ざめた。

 

「・・・マズイ、今すぐ帰らないと・・・」

 

何故か帰ると言い出すカマクだが、俺はカマクの後ろにいる黒髪の少女に目が行く。

え・・いつからいたの?俺の索敵にも引っかかって無いんだけど。

 

「・・・カ~マ~ク♪」

「どわっ!!メ、メユ・・・これは誤解だ・・不可抗力だ」

「隠し事は浮気の始まりですよ、カマク♪」

 

メユという少女はカマクの後ろに現れるなり物凄いスピードでカマクの手足を縛り、SAOのプレイヤーには必要ではないトイレに連れ去った。

てか早すぎて思考が完全に置いてけぼりをくらっているんだけど・・・

 

「おいワールン今のは何だ!?」

 

タクトが驚きながらワールンに説明を求める。

 

「あー彼女はメユと言って端的に言うと僕の後輩でカマクの彼女だ」

「「「・・・・・・えええ~~~~~ッ!!!!!?」」」

 

少しの間の後、この場にいる全員の叫びが店内に響いた。

 

 

しばらくしてカマクがやつれて戻ってきた。

一体何をされるとああなるんだ・・・恐ろしい。

 

「えっと~、皆さん攻略組の方ですか?」

 

カマクを引きづり、椅子に座らせながら質問を始めるメユ。

正直、怖くて話とか出来ないんだが。

助け船に知り合いであるワールンが応える。

 

「メユ、ここにいるのは全員攻略組で、その会議で集まっただけだから、カマクの手足をほどいやってくれないか」

「そうなんですか?私としたことが早とちりしちゃいました。」

 

てへっという効果音が聞こえそうな仕草をしカマクの拘束具を外す。

 

「・・・ちょガタリ!あの子怖いんだけど」

「・・・いや、俺だって怖いよ、何であんな拘束具持ってんの?」

 

俺は横にいるマルカと後ろに振り向きこそこそ会話をする。

 

「というかメユ!」

「なんですか?」

 

どうやらカマクが正気に戻ったようだ。

 

「俺はお前にここにいるってこと教えてないよな?何でここが分かったんだ、お前確か索敵スキルなんかとってなかったし」

 

カマクが質問を投げかける。

普通プレイヤーの居場所を知るにはフレンド登録していても、どの街にいるかくらいしかわからない。

索敵スキルで上位派生の<追跡>を持っていればまた別の話だが・・・。

メユは屈託のない笑顔で俺達の斜め上の回答をした。

 

「しいて言うなら・・・匂い、ですかね?」

「「「(匂いでしたかーーーー!!)」」」

 

俺達は全員がきっと同じ事を思っただろう。

そんなこと関係ないとメユが笑顔で喋り始める。

 

「それよりみなさんこの層に温泉があることを知っていますか?」

「温泉ですって!?」

 

メユの発言に一番初めに食いついたのは攻略の鬼ことアスナだ。

その反応にキリトが何かを思い出したかのように顔を俯かせている。

続けて女の子たちも食いついて行く。

 

「温泉か~興味があるわね」

「私も行ってみたいな!」

「そうですよね、やっぱり皆さんも女の子ですから温泉好きですよね」

 

メユがうんうんと頷く。

男子組はこれといって反応はない、かくいう俺もだ。

 

「・・・・」

「・・・・」

 

けれどタクトとワールンがアイコンタクトで何やらやり取りをしている。

アイコンタクトで会話できるとかどこの軍隊だよ!

俺も今度教えてもらおうかな・・いや、ほら使えたら攻略で役に立ちそうだしさ・・・決してカッコいいとかそんな理由じゃない。

やり取りを終えたのか上機嫌でタクトとワールンが会話に混じる。

 

「ああ、そうだよな!いいよな温泉!」

「僕ほど温泉を愛している奴もいないはずさ、みんなで温泉にいこうぜ!」

「おいおい、攻略はどうするきだ?さっき攻略が遅れてるって話したばっかりだろ」

 

「「「う・・・・」」」

 

カマクの発言に全員が固まる。

君たちどんだけ温泉に行きたかったんだ・・・。

 

「え~いいじゃないですか、一日くらいカマクも付き合ってくださいよ!」

「だめだ、今は攻略が優先なんだ我慢してくれ」

「カマクのけちんぼ~」

「何と言われようが駄目だ、そんなのアスナが許可するわけないだろ」

「なら、アスナさんが良いって言ったら連れて行ってくれます?」

「ああ、攻略の鬼様がいいならな、無駄な努力になるだろうが」

 

カマクがおねだりをするメユをあしらう。

けど今のアスナなら温泉に行きかねないぞ。

何故か異様に目をきらきらさせている。

 

「アスナさん!一日くらいいいですよね?ほら、四分の一を突破した記念に一日だけ休暇というかご褒美的な感じでどうですか?」

 

少し迷うような仕草をするアスナ。

いや、もう行く気しかないだろ。

 

「確かに攻略をしないといけないですが、根を詰め過ぎてもいけないし効率も落ちると思うの」

 

アスナの言葉がやけに言い訳っぽく聞こえる。

こりゃ駄目だ。

 

「明日一日だけなら攻略組のご褒美もかねて休みにしましょう」

「やった♪そういうことですのでカマクも明日は温泉ですからね」

「おいアスナお前勝手に決めて・・・」

「いいんです」

「はい・・・」

 

アスナが異論は認めないとカマクを睨み付ける。

カマクも災難だな、今度なんか奢ってやろう。

 

「決まりですね、場所は南の山岳エリアにあるみたいなのでしっかり準備していきましょうね」

「わかった・・・それなら他にも誘わないか?」

 

カマクが自分の負担を減らそうっと必死に人員を増やしにかかる。

カマクがんばれ!

そこに空気を読んだのかマルカが言った。

 

「ならナオキ君とかユウマ君も誘おうよ!」

「そうだな、それと今日来てないカヤも誘うか・・」

「ああ、そうだよな、みんなで行こうぜ」

 

カマクがやたらとみんなを強調するが特に反対する人もいないので誘うことになった。

あらかた決まってきたので集合場所などの確認をする。

 

「なら明日の十一時に街の南門集合な。」

 

俺の発言に全員が頷く。

この話でみんな満足したのかこれで今日は御開きとなった。

 




読んで頂きありがとうございます。

一気に女の子キャラが増えました。

チヒロ、ワカナはこれからどうなるのか楽しみです。

メユはまああれですね。(笑)

ではまた次回。
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