突如不幸な出来事で死んでしまった主人公。
そんな彼は「白金の錬金術師」の姿をした天使によって転生させられる。
第二の人生を歩み始める彼は、特典という名のお守りという事で意外な人物と共に生活する事になる………
休まる事のないハプニングに彼はどう立ち向かうのか。
そして、彼の第二の人生は如何に―――


過去に連載した小説のリメイク版です。
一部設定を変更し新規にキャラも追加しました。
連載の場合はそれを前提として再度進めたいと思います。


1 / 1

以前書いていた「クロスホープズ」のリメイク版です。
と言っても、新規にキャラを追加し設定も大まかな変更を行うのでベースぐらいしか面影は残っていないかと思われます。
基本ストーリーはなのはですが、仮に連載となるとA.sの終わりごろからオリジナル路線に進み始めるかもしれません(汗
主人公キャラたちはホープズの四人プラス一人。
その一人が新規に参加するキャラクターです。

さて………連載するとしたら、どれだけ大変かなぁ(遠い目)

では、今回も誤字が多いかと思われますが、そこも出来ればご指摘お願いします。



魔道戦記リリカルなのは クロス・ファンタズム

 

 

 

「さて。皆さんお久しぶりです。旧名「鳳凰院恭真」改め「守夜恭真(かみやきょうま)」と申します」

 

『同じく、某可能性の獣改めデバイスの「ラプラス」です』

 

「………いや、何でお前だけ名前続投なの」

 

『作者曰く、「他に案がないし、ラプラスは気に入っている」との事から』

 

「なんで!?」

 

『何ででしょうね』

 

「…………仕方ない。改めて今回、なのはホープズからリメイクし、タイトルは「クロス・ファンタズム」と改名されました」

 

『なんか最初期に戻った感じ、しませんか?』

 

「しない。絶対にな」

 

『マスター。今、ボソッと多分と仰ったような……』

 

「気のせいだ。気にするな絶対に」

 

『………マスター。これ大丈夫なんですよね?』

 

「知らん。そこは作者に訊け」

 

B「私も知らん。どうなるかは」

 

『………先行き不安だらけですね。本当に大丈夫なのでしょうか』

 

「それをどうにかするのは俺たちだけじゃない。これを読んでくれるだろう皆さんのご意思も必要だ」

 

 

 

B「……と。完全に先行き不安だらけな本作ですが……もし心機一転して連載できるのなら、その時はよろしくお願いします。では、『クロス・ファンタズム』スタートです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

師走(十二月)に近づく霜月こと十一月。

肌寒さが本格的に強くなり、厚着の服装でも冷たい北風には堪えてしまう。

秋の面影はすっかりと消えて美しかった紅葉は殆ど散ってしまい、木々は枯れ木となっていた。

もう十二月か。と一年の早さを感じるその日は一段と寒く、朝日の照らす毛布の中は適度な暖かさを保っている。

 

 

《 ピピピピピピピピ… 》

 

 

毛布の外からけたたましくアラームが鳴り響き、安眠の時間に終わりを告げようと高い電子音が毛布の向こうから響き渡り頭痛のように頭の骨を振動させている。

毎日このアラームで起こされるせいで朝は頭が痛い。

 

「ううんっ………」

 

五月蝿いアラーム音に眉を寄せながら、寝起きの頭と目を動かし片腕を毛布の中から出すと、寒い部屋で鳴り続けていたデジタル時計にチョップを入れた。

骨が時計の角に当たったからか小指あたりが少し痛い。だが、それでも諸悪の根源たる物は音を止ませ、そのついでとばかりに前へと倒れる。

ざまぁみろ、とばかりに喜びを感じていたが傍から見れば少し仕様も無い事だ。

 

 

それでも無事に安眠を再開できるという事には変わりなく、毛布の中に包まっていた少年は無事に二度目の睡眠に入った

 

 

 

『マスター。二度寝している場合ではないですよ。もう六時です』

 

「………。」

 

が、直後に自分が眠っているベッドの上に置かれたドックタグが微量ながら光だし声を発した。機械的言葉ではなく人のように声の強弱やトーンがあり、さながら人が喋っているかのようだ。

 

『第一、今日は予定があるから早く起きると昨日言ってた筈です。このままでは寝坊してしまいます』

 

母親かなにかのように小言を良い続けるドックタグに毛布に包まっている少年は苛立ち、眉間にしわを寄せる。

 

「うるさいなぁ……昨日遅かったんだぞ……あと少し…………」

 

『いい訳をするのは結構ですが、予定が狂ってしまうのはマスター自身です。それでもいいのなら私はこれ以上は………』

 

「…………。」

 

五月蝿い。お前は母親か。と寝起きの頭の中で不機嫌な言葉を並べた少年は寝ぼけた苛立ちでドックタグでさえも殴ってしまいそうな気持ちではあったが、それを無意識に堪えて嫌々ながら毛布から顔を出す。

向こうが言っているのは正論だ。正直、自分は予定の建て直しを考えていない。

 

「っ………」

 

『眠いのは分かりますが明日は土曜です。今日一日は辛抱してください』

 

「……都合の良い餌をタレ下げたつもりか?」

 

『いえ。出来る限りの応援です』

 

「………人なら下心が丸見えだぞ、それ」

 

『ごもっともですがデバイスですので。裏心は殆どないとお思い下さい』

 

「………。」

 

殆どかよ、とツッコミを入れて重くなったような自身の身体を毛布の中から起こす。

温もりがあった毛布の中とは違い、外に出ると身体中に冷え切った冷気が襲い掛かる。

家の外に放り出されたかのような寒さだ。

 

「さむっ……」

 

『最高気温は五度。最低気温はマイナス一度です』

 

「北の大地かここは……」

 

『土地柄でしょうね。ここ等一帯、冬季は一段と寒く、夏季は涼しいと聞きます』

 

「そういえば夏は過ごし易かったな」

 

『頭はおきましたか?』

 

「………おかげさまでな」

 

まだ眠気が残ってたのか、だるく感じる身体を目一杯伸ばす。休息モードとなっていた身体の筋肉が起こされ、眠気はやがて気持ち良い気分に変わっていく。

だがまだ眠たい。

少年はぼさぼさの黒髪の頭を掻き、寝ぼけた頭の中を一旦整理して黙り込む。

 

「―――眠い」

 

『おはよう御座います、マスター。二度寝は禁物ですよ』

 

「―――。」

 

相棒であるデバイスに朝の挨拶をされて、いいよなデバイスは、とぽつりと呟いた少年、守夜恭真(かみや きょうま)は寝ぼけたを起こす。

昨日は本当に遅くまで何かをしていたようで、目の下には若干ながらクマが出来ている。しかしそろそろ起きなくては、と恭真は身体をふらつかせ寝巻き姿の服から着替え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恭真の自宅。海鳴町の端側にあるこの家には彼以外にも同居人が居ており、共同生活というのを送っている。

その住人の一人が、朝食を作っているのだろうか。制服に着替え終えた恭真の鼻に胃袋を刺激するほんのりとした香りが漂ってくる。

そういえば今日はアイツが当番か。と同居人たちで決めた交代制の当番の事を思い出し足音を立てて一階のリビングへと降りていった。

 

 

 

 

「あ、恭くんおはよー」

 

「ああ。おはよう、鈴羽」

 

「―――今日は遅刻はなさそうだな、恭真」

 

「そりゃ昨日あれだけ脅されたら仕方ないだろ……」

 

リビングのドアを開けば、その音に反応して二人の少女が彼へと挨拶をする。

栗色の髪を腰まで伸ばした明るい笑顔でお玉を握る少女は阿万音鈴羽。

そしてもう一人はテーブルとセットの椅子の上で大人さながらに朝刊を読んでいる青いロングヘアーの子は風鳴翼だ。

 

「別件があるっていうのに高町家地獄一丁目へとご案内………誰が好んで死地に行くか―――」

 

「恭くーん、もう一度。リピートアフタターミー?」

 

「………すまん、撤回する(地獄一丁目だけを)」

 

笑ってない笑みを浮かべて包丁を握り締めていた鈴羽に恭真は速攻で土下座と謝罪を行う。

尻にしかれているというより、彼の場合は支配されていると言った方が正しいのだろう。

ある意味、この家の家主は恭真ではなく鈴羽が握っているのだから。

 

「………ところで、あの二人(・・・・)は?」

 

「ああ。フェルトならさっき二階のトイレだったから、多分……」

 

 

『ハロッ!ハロッ!』

 

「あ、ハロ」

 

「降りて来たようだな」

 

 

 

「くああっ……」

 

「おはよう、フェルト」

 

「おはよう、お兄ちゃん……」

 

少女と共に二階の階段から降りてきたのは、オレンジ色のボール型ロボット。名前は『ハロ』と呼ばれている。コミカルな見た目ではあるがその実、中身は高性能な機能を備えたロボットで単語単位または一文でなら会話の返事も可能と愛くるしさも兼ね備えている。

そのハロを一人で開発したのが、一緒に降りて来た髪をピンクに染めた少女。フェルト・グレイスだ。

 

「………。」

 

「まだ眠いのか」

 

「―――。」

 

頬を赤らめ恥ずかしそうに頷くフェルトに恭真は心配するな、といい頭を撫でる。

俺だって眠たいと言いたいが、それでは情けないと思ったのか言葉を飲み込み、小さく笑って誤魔化していた。

 

「二人共、早く顔を洗って来い。出来るまでまだ少し余裕はある」

 

「そうさせてもらう。鈴羽。後で何か手伝う事は?」

 

「んー……味噌汁はもう出来るから、後は平気だよ。翼ちゃんが手伝ってくれるからねー?」

 

「………。」

 

そう言って翼に目を向ける鈴羽だが、その表情は先ほどと同じく笑っているような笑顔ではない。後ろからは黒いオーラが駄々漏れの状態で、口にしていないのに「やれ」と一言が纏めて言っているかのようだった。

それには翼でさえも硬直してしまい、数秒経つと反論は出来ないと判断したのか小さく溜息を吐いて声を絞り出した。

 

「ねー?」

 

「……ああ」

 

「……すまん、翼。後で手伝う」

 

申し訳ないと思ったのか、恭真は間髪入れずに翼に援軍の約束を取り付け、彼女の気が少しでも緩むようにとフォローする。

本人の表情はそこまで変わらなかったが、安堵の息を吐いていたのは明らかだ。

しかし、それは有難いがと言わんばかりに翼は別の話を持ちだし、恭真に告げた。

 

「助かる。だが、お前はあっち(・・・)の担当だ」

 

「アッチ……ねぇ?」

 

二人の言うアッチに異様な威圧感を放っていた鈴羽も気が変わったように何時も通りのトーンでその話に加わる。

彼らの言うアッチとは、この家に住むもう一人の同居人のことだ。

 

「そういえば、まだ降りてきてないね」

 

「アイツ昨日は夜遅くまで遊んでたようだからな。タダでさえ朝が弱いのに、何してんだか………」

 

「起こしに行くか?」

 

「そのうち味噌汁のニオイで起きるだろ。その間に俺たちは顔洗っとくから」

 

「ん。分かったよ」

 

 

 

 

 

 

朝の肌寒さを感じつつ、洗面台に注がれた水を手に集めて顔へとかける恭真。

その隣では寝ぼけていた頭が冷水で目覚めたのか、先ほどよりもしっかりとした動きで髪を解いているフェルトが居る。ちなみにハロは現在リビングで待機しているようだ。

 

「………予定って」

 

「―――ん?」

 

「もしかして、補習の事?」

 

ブラシを元の位置に戻し、フェルトが横から尋ねてくる。

予定が補習である事に「自分が補習?」と思っていた恭真だが、それが直ぐに先ほどの話の続きであるのに気づき、呆れた表情で答えた。

 

「ああ、さっきの話か?そうさ。アイツがポカしたりしてたから先生に補習手伝えってな」

 

「遅くなる?」

 

「まぁ……そこそこは。けど、どうしてだ?」

 

「ううん。聞きそびれただけ」

 

話に中々入れなかったから今ココで尋ねたのだろう。積極性が弱い彼女だ。訊こうと思った事を聞けずここまで引っ張ってしまったのようではあったが、それをやっと聞けたからか少し満足げな笑みを見せていた。

もう直ぐ鈴羽が朝食を作り終えるだろうと思い、恭真は小さく笑みをこぼして「行こうか」と声を掛けたのだった。

 

 

 

 

リビングでは恭真の予想通り、と言っては少し悪いのだが朝食の用意は既に終わっておりにこやかな笑みを浮かべている鈴羽と疲れ気味の翼がそれぞれ決められた自分たちの席に座っており、それを見るや恭真とフェルトは失笑した。

 

 

「………ゴメン、翼」

 

「いや、今回ばかりは阿万音が速かった………」

 

「朝ごはんは暖かいのが一番だからね?」

 

「……鈴羽お姉ちゃん、段々と速くなってる」

 

『流石に家事スキルAプラスと判定された事はありますね』

 

「いや、あれもうEXいってるだろ………」

 

 

 

「えへへっ……ぶい♪」

 

阿万音鈴羽。これは、恭真がつけたこの世界(・・・・)でのもう一つの名前だ。

彼女の本名。本当の名前は、高町なのは。

居る筈がない、もう一人の少女なのだ。

 

何故、彼女がこうして彼らと生活を共にしているのか。それはいずれ必ず語られる。

 

 

 

 

 

 

和食をメインとした朝食がテーブルの上に並び、辺りには味噌汁や鮭の塩焼きの香りが香る。その近くに、主食である白米と、歯ごたえのいいキュウリの漬物も置かれ、見ているだけでも食欲を注がれる。

この世界に来て、鈴羽が得意となった料理ジャンルなので味はかなり保障できる。

 

 

「ん~………」

 

「あ。降りて来た」

 

食欲をそそる香りが鼻を刺激したのだろうか、二階に通じる階段から一歩一歩ゆっくりと踏みしめ降りてくる音が聞こえてくる。小さく唸るような声はどうやら今し方起きたようだ。

 

「………メシ―――」

 

「朝食に釣られておきたか、雪音」

 

「………メシ?」

 

「朝、低血圧すぎるから単語だけしか言えないんだっけ……」

 

『ゾンビですか』

 

同居人最後の一人。銀色の髪を寝起きだからか四方八方に飛ばす彼女は、目を開けているのかどうか分からないほどに細く目を開き、ゾンビのようにゆらりくらりとテーブルのほうへと歩いていく。

 

「クリス。おはよう」

 

「………。」

 

恭真に声を掛けられた雪音クリスは小さく頷くだけで、そのまま一直線にテーブルへと向かって行った。何が違うのか、こと食に関しては誰にも負けない性格をしており、彼女の目覚めの方法は朝の食事らしい。

 

「相変わらずの食欲だな、雪音は……」

 

「アイツ、ああいう性格だったか?」

 

「いや……知る限りではまぁ……食べられればそれでよしというのか?」

 

「ゴハンでは特に気にしないって事?」

 

「……なのだろうな。美味ならそれでよし。駄目なら駄目。一般的味覚といえばいいのかな」

 

「…取りあえず食べよっか。クリスちゃん、今にも食べそうだから」

 

「そうだな。俺たちも食べ始めますか」

 

 

 

 

 

 

 

恭真たちの家での約束事として、基本全員が集まっているときは全員で三食を共にすることが上げられている。

コミュニケーションの一環としてであり、全員の様子を確認する為でもあるので自然と面々はこの決まりごと守っている。

その中で一人。朝食を無言で平らげているのが―――

 

「海苔くれ」

 

「あ、はい」

 

「ん―――」

 

 

『……雪音嬢は本当に食事が好きなようですね』

 

「食に関しては抑止がないからな」

 

「……うるへぇ」

 

頬を赤らめ、鈴羽から海苔のビンを受け取った彼女は、なれた手つきでフタを開けると中に入っている海苔の塊を箸ですくい上げ、白米の上に乗せる。

とろりと少し溶ける海苔は白米の上から香りを漂わせ、彼女の食欲を倍増させる。他の面々よりも大盛りのはずであった彼女の白米の茶碗はその海苔と共に喉の奥へと一斉にかき込まれていった。

 

「相変わらずの食いっぷりで……」

 

「あんまり一気に放り込むと喉に詰まっちゃうよ」

 

「んお………」

 

と、答えるクリスだが、食欲と箸のスピードは留まる事を知らず、遂には規定ラインである二杯目の白米を平らげるのだった。

 

「………ごっつぉさん」

 

「は、速い……」

 

『ハヤグイ!ハヤグイ!』

 

そう。その白米を最後に、クリスは誰よりも速く朝食全てを平らげてしまったのだ。

毎度のことながらと思う一同だが、朝から早々と食べるその姿と先ほどまでとの違いにはいつも驚かされるもので、言葉を失ってしまう。

 

「………クリス。お前、それで昼までもつ―――」

 

「ん?二時間目辺りに腹減るから、早昼してるぜ?」

 

「……聞くだけ無駄だったな」

 

「クリスお姉ちゃんよく食べるからね……」

 

「そのお陰でウチの食費はてーへんな事になってるんだよな、鈴羽」

 

「今月の食費だけでも大変だよぉ……」

 

と言って涙を流す鈴羽。

しかしそれでクリスの腹が満たされるわけでもないので、渋々ながらも経費を削り彼女の腹を多く満たす為に奮闘するのだ。

ちなみに、恭真もそれを知っている為どうにかできないかと思っているが、流石にタダの小学生(転生者)がどうにかできるものでもないので苦笑いをする他、無かったという。

 

 

「恭くんヘルプ……」

 

「小学生にバイトしろと?」

 

「いや、そこをトリニティさんに……」

 

「そういって前に「宝くじを当ててください~♪」って遠まわしに拒否されました」

 

「………。」

 

 

 

 

 

恭真を転生させた張本人。

神の使いである天使トリニティ。厳密にはとあるゲーム作品のキャラクターをまねて作り上げた姿らしいので恐らく名前でさえも偽名なのだろう。

しかしその性格はどうやら本物らしくおっとりとした、天然風な物腰。されど抜け目はないという彼女の性格にはいざという時、恭真たちの悩みの種となっていた。

 

だが、恭真たちも偏に彼女を嫌悪しているわけではない。寧ろ感謝してもしきれないというのが本心で、逆に嫌悪する理由すらもない。

自分たちの生活できるだけの必要最低限の用意をしてくれた。身を守る術を用意してくれた。これだけの事をしてくれて邪見する理由が他にあるのか。

それでもというのなら、彼らはそれを総じて傲慢と呼ぶだろう。

 

 

 

 

 

 

 

恭真たちが通う学校。聖祥小は海の近くに面した場所に位置する学校で、生徒人数も近隣の中ではかなり多い方で個性豊かな生徒や教師が多い。

恭真たちの他にも転生者が一人(現在入院中)。そして原作キャラと呼ばれている高町なのはたちが在学している。

そんな中、つい数日前にもう一人の原作の登場人物。フェイト・テスタロッサが転入し恭真たちの肩身は少しずつ狭まっている感覚が強まっていた。

何故彼らがそんな思いをしているのか。それは彼らが彼女達のバック(管理局)と敵対しているからだ。

更にフェイトの場合は恭真たちと面識があるのでバレた場合リークされる可能性が高い。

そんな最悪の事態にならないためにと、彼らは水面下で頑張りを見せていたのだ。

 

 

 

が。それも彼女達が自分たちから離れるまで。

彼女達が無事に下校すれば、学校には重荷を外された恭真たちだけが残るのだ。

 

 

 

「そ。で、これをこうして―――」

 

「………面倒くさいな」

 

「そう言ってめんどくさがるから補習になるんだろ?」

 

「いいじゃねぇかよ。別に勉強しなきゃいけねぇ訳じゃねぇし……」

 

「そう言って後々苦労するってのは目に見えてるぞ。第一、クリスはやれば出来る奴なんだ。今のウチにやっとけば後は楽なんだから、今のウチに苦労しとけ」

 

「………ちぇっ」

 

 

夕暮れ時の放課後。教室には恭真とクリスの二人だけが残り、彼女の補習に彼が付き合っていた。

机を挟み向かい合う二人は、その間に置かれている教科書とにらみ合い、そこに書かれている問題を恭真が教えクリスが答えるというのを繰り返している。

しかしクリス自身は勉強をしないだけで実際はやれば出来る子。基本恭真が口を挟むのは解き方を教える時か彼女が愚痴をこぼした時のみだ。

 

 

「あー!もうメンドくせぇったらありゃしねぇ!!やってられっか!」

 

『見事に放棄しましたね』

 

「分かってはいた事だけど、こうも二度三度って言われるとなぁ……」

 

手に持っていた鉛筆を机に投げ、椅子をゆりかごの様にもたれるクリスに恭真は苦笑して溜息を吐いた。

もう何度目か分からない補習放棄を何度立ち直らせた事だろうか。そして、何度同じ様に彼女が投げ出しただろうか。

数える気すらも起きない事に、恭真は二度目の深い溜息を吐いたのだった。

 

「クリス。頼むから、ノルマだけは終わらせてくれ。俺だって面倒なのは同じなんだ」

 

「じゃあやらなけりゃいいじゃねぇか」

 

「そんな事したら、ウチの関羽(担任)に空手チョップを喰らうのは俺だ。ついでにクリスもな」

 

「はぁ?!なんでアタシまでだよ!!?」

 

「ロクに補習もせずにサボってるからだろ。口を開くたびに言われるぞ「雪音は勉強しているのか」ってな」

 

「………。」

 

恭真たちのクラスは辛うじてなのはたちとは別クラスであり、そこの担任はクラスの生徒たちの間では『関羽』と呼ばれていた。

しかし別に担任がひげ長の男というわけではない。それとは真逆。担任は女性で、一言でいうなら大和撫子の容姿をしている。

ただ、ものを使った制裁が多いという事と教師としてはかなり厳しい部類であるからかその二つ名が呼ばれる所以となった。

 

「あんの暴力教師……」

 

「お前がちゃんとしないからだろ」

 

「だからって毎度毎度チョップだ出席簿だで殴るか普通!?」

 

「……まぁそれは確かにやり過ぎだけど」

 

「ちぇっ……センセーだからってやりたい放題しやがって。だから関羽だの呂布だのって――――」

 

 

 

 

 

 

「ほう。誰が関羽と呂布だ?」

 

「そりゃウチのセンセ――――――え?」

 

 

 

 

刹那。二人の頭に目掛け、約束された制裁の簿(出席簿)が振り落とされる。

叩かれる時の音はまるでコンクリートの壁に叩きつけられたかのような轟音で、それを直撃で受けた二人の意識は一瞬ながらトンで逝きそうで、恭真にいたっては走馬灯が見えかけた。

 

「―――――――ッ!!!!!!!」

 

「あ………三途の川が………トリニティさんが、手を振ってる………」

 

 

「ってええええ!!!誰だよ出席簿で叩いたの!!」

 

「誰だと聞かれれば……答えるのは一人だけだろ?雪音」

 

「えっ………げっ」

 

頭を押さえながら出席簿が落とされた場所に振り向いたクリスは、そこに立つ一人の女性の足下に見覚えがあり、思わず不味そうな声を漏らしてしまった。

そこには、彼らが話していた担任の姿があったのだ。

 

「お、おりむ……痛いです………」

 

「すまんな守夜。お前にはどうしても加減ができないようでな」

 

「態とでしょ先生、ソレ………」

 

黒く澄んだ髪を伸ばし、凛とした立たずまいの女性。

元は高校教師だったらしいが、向こうの理由で今は短期の特別教師らしい。

名前を言おうとした恭真だったが、出席簿のダメージのせいで舌にダメージを負ってしまい、最後まで名前を呼ぶことは出来なかった。

ちなみに、名前を挙げれば誰もが憧れの目で思い浮かべる人物らしく彼女個人の理由で子を転入させる親が後を絶たないという噂もある。

 

「ところで、補習の様子はどうか」

 

「………一応ある程度は進んでますけど、本人がこの様子ですので……」

 

ノートを見せると、今日の補習分を確認する教師は小さく「ふむ…」と呟く。

どうやら彼女の思っていたより補習は進んでいたらしく、それに感心していた様子で恭真に途中である面を開かせて返す。

 

「雪音。小中は義務教育がある。いやでも九年間は勉強しなければ駄目だ」

 

「………。」

 

「だが、もしそれでもお前が嫌だやりたくないというのなら………こちらでも相応のやり方で詰め込ませるが」

 

「八十年代もびっくりのやり方ですか」

 

「それよりも腰を抜かすやり方だがな」

 

「うげっ………」

 

不敵な笑みを見せる彼女にクリスは何かを勘付いたのか苦い顔を見せ、それは嫌だと表情で言い表した。

 

「それが嫌なら。そいつの言う事を素直に聞いて残りを片付けろ。十分とかからんハズだ」

 

「………。」

 

「クリス。あと少しで終わるから、な?」

 

「……わったよ、ったく………」

 

「よろしい。守夜、終わったらノートを提出しに職員室に来い。ノートは後日返す」

 

「分かりました。教室の鍵はどうするんですか?」

 

「こちらで閉める。お前等はノートを出したら帰っていい。もう遅いからな」

 

 

 

 

 

 

担任の教師がそういって教室を後にし、二人は再びノートと向き合うと深く溜息を吐く。

補習をやらなければいけないが、それ以上に彼女の制裁に痛み以上に疲れが溜まった事に対して日々ストレスを積もらせていた。

彼女の制裁ははっきり言えば過剰。加え暴論もありという事で受ける側とすればあまり気持ちの良い物ではない。

特にその被害が多いのが彼ら二人で、男女差別なく容赦のない攻撃は幼い身体の肩や腰を痛める悩みの種になっていた。

 

「ったく……あのセンセーは……横暴通り越して虐待だろ……」

 

「そうはいうが、俺たちだけが集中的にってわけじゃないだろ。一応、あの人なりの人との接し方なだけで、それがかなり過激なだけだ」

 

「かなりっていうよりも無茶苦茶だろ、アレ……」

 

「まぁな……」

 

『その事に対しての愚痴は後にして、二人とも。速く片付けねばまた叩かれますよ』

 

「だな。速く片付けてしまおう、クリス」

 

「………分かった。―――けどよ」

 

「……?」

 

唐突に頬を赤らめるクリスは恥ずかしがるようにそっぽを向いてしまう。

突然どうしたんだ、と尋ねるが、本人が答えたくないのか。はたまた答える気がないのか、沈黙したままだった。

 

「なにか、あるのか?」

 

「………そんなんじゃねぇ」

 

「……?言いたい事があるならはっきりと―――」

 

片目だけを向き直すと小さく手を出す。

ちょっと近づけ、という手招きをする彼女に、自分のことかと自身を指を斥す恭真は何かあるのかと思いつつもそれに従って顔を近づけた。

 

 

「クリス。一体どうし―――」

 

 

 

 

刹那。恭真に向かい、クリスも自身の顔を近づけて彼の視界を自分の影で覆う。

視界が暗くなった恭真は一体どうしたのかと動揺し混乱したが、その答えはすぐに現れる。

 

 

次の瞬間。彼の頬に柔肌が触れ合い、熱い何かが当たった。

生暖かい空気と共に触れ合ったそれは、神経を伝い震えを感じさせる。

そして、まるで何が起こったのか分からない彼の頭の中は一瞬で真っ白になってしまった。

 

 

「……………。」

 

 

「追加料金だ。さっさと終わらせるぞ……」

 

直ぐさま顔を離し、唇を裾で拭き取るクリスは先ほどよりも少し赤い顔でそう言うと椅子に腰掛け、何事もなかったかのように残りの補習に取り掛かる。

目の前では未だにフリーズしていた恭真が彼女の言葉に反応し、「ああ……」、とだけ答えた。

 

頬に触れられた暖かい何か。これがもし彼の予想通りなら、今触れたのは確実に彼女の唇だった。

彼女の唐突な行為に未だに呆気にとられていた恭真は、その後殆ど喋る事無く二人で補習を進めてた。まるでその間に起こった行為を忘れたくても忘れられない。そんな様子を二人とも顔を見せながら―――

 

 

 

 

「………子供のクセしてそこまでするか………」

 

そして、その光景を影から偶然目撃してしまった担任教師も頬を赤らめて小さく呟いた。

所詮子供だと思っていたが、まさかあそこまでの事をするとはと面食らったようで、彼女の脳裏には未だに先ほどの出来事がリプレイされていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんだろ。今、ものすごくムカつく何かを感じ取ったの」

 

『気のせいではないですか、マスター?』

 

「……奇遇だな。私もだ」

 

「………。」

 

『キョウマ、キケンッ!キョウマ、キケンッ!』

 

 

 

 

その後。帰宅した恭真に、得物を持った鈴羽と翼がO☆HA☆NA☆SHIしたというのは、かなり目に見えている事だという………

 

 





後書き。という名の後書き。

この「なのは」の基本路線はA.s編まではなのはたちと味方した中立だったりですが、終盤に完全に管理局敵対ルートに進んでStsに移行していく予定です。
そしてStsからは某せっさん主人公のアレの要素を入れたストーリーになっちゃうという話です………うん。妄想の域でとどめときゃよかったかな(泣)
ちなみにホープズの時点でクリスは入れる予定はなかったんですが、流石に「一人は」可愛そうだろと思って今回採用しました。
仮に参加するとしても何時なのかまでは決めてないんですがね(オイ

後、ネタや武器や機体やらは転生者という事で他作品から大量に入れるつもりでした。
元々恭真のイメージCVは顔がうるさい人ですから、某ガンダムだったりと色々と。


………仮に連載したら大変になるなぁ……ははははは(遠い目)

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