ダンガンロンパ -希望と絶望のバトルロワイアル- 作:roft
2日目 ⑤の島
AM11:00 草原
終里「食い物...オッサン...ドコなんだよォ...」
終里の空腹と不安は既に限界を超え、終里の人間らしい精神を徐々に奪っていった。
彼女の目は血走り、正に野獣の如く爛々と野性的な光っていた。
???「ガサッ」
木陰で小さな物音がしたのを、終里は聞き逃さなかった。
終里「クイモノ...オッサン...アァ...ア''ア''
ァァァァァッ‼︎」
終里はまるで獲物を見つけた狼の様に物音目掛けて飛び込んだ。その動きは四つん這いで最早人間のものではない。
終里「クイモノ....クイモノ...バリッバリッ」
終里は自分が一体何を食べているのかもわからず口の中一杯に頬張った。
その余りに硬く鋭利な破片は終里の口の中に幾つもの傷を作った。それでも終里はソレに齧り付いていた。
???「ピコンピコン‼︎ピコンピコン‼︎」
齧り付いているモノからブザー音がなり、終里は我に返った。
気がつくと周りは自分が齧り付いていたモノに囲まれていた。幾つもの黒いプロペラが終里の周りを旋回する。
終里「クッソウ!何だよこれ!クイモノ!クイモノーッ‼︎」
終里が暴れるもそれを巧みに交わすプロペラ達。
ー皆はドローンという機械をご存知だろうか。ラジコンのヘリコプターにもっと安定性を与え、実用性も兼ねさせた機械だ。
災害時の救援物資の搬送や監視カメラなど、様々な分野での活躍が期待されている最新技術の産物であるー
そんな最新型の機械が終里の頭上数mを旋回し続ける。血まみれの口で激昂する終里。
終里「グイ''モ''ノ''ォォォァアァア''ッ‼︎」
次の瞬間、何機ものドローンから霧のようなモヤが勢いよく散布された。
終里「グ、グウゥウウゥッ‼︎」
終里は自分の喉を掴むとその場に倒れこんだ。意識を無くす直前、終里はようやく気付く。
終里(これは、毒だ。毒の霧だ。こんなん浴びたらオレ、死んじまう...オッサン、助け)
そこで終里は意識を失った。
終里の倒れた所からそう離れていない場所で、何者かが独り言を呟いていた。
???「僕の毒散布機能付きドローンでも死なない人がいるなんて、やっぱり終里先輩は強いなぁ...常人なら致死量の毒をまさか気絶だけで終わらせるなんてね」
終里の躰の頑丈さに驚きつつも、その何者かは危機を感じはしなかった。
?⁇「けど、この毒は時間が経つに連れて体をドンドン蝕んでいくから。強い人に勝つのなんて初めてかも、エヘヘ」
???「僕の考えからして、次の禁止エリアになるのは今いる⑤の島。それなら今日のうちに⑦の島に移動しちゃお。⑦の島にもドローンは何機も仕掛けてあるだろうしね。」
⁇?「操作できるのは一機だけだけど、操作中の機体が撃墜されたらブザーが鳴って、その信号を頼りにその他の機体全部が自動で撃墜した相手を目標にして襲ってくれる。操作も電子生徒手帳のアプリで出来るし、まさに大当たりだよね!エヘヘ、強い人に勝てるって嬉しいなぁ」
その天使のような純朴な笑顔に、歪んだ悪魔が潜んでいる事など誰も知る由もなかった。
②の島
AM11:00廃工場前
左右田「とりあえず、寝てても暇だったからガトリングガンの整備済ませといたぞー」
弐大「ガッハッハッハ!かたじけない!一先ず、食材探しにでも出かけるかのゥ」
左右田「まぁ、実際食料も随分減ってきたしなぁ...よぉしっ!食材調達と行きますか!」
弐大「おう!今日からワシはお前さんのマネージャーじゃ!」
左右田「気色悪い事言うなよな...はぁ、どーせマネージャーならソニアさんが良かったぜ」
弐大と左右田は食料探しをしに廃工場の扉を開けた....
⁇?「動かないでッ‼︎」
突然目の前に突き付けられた『ショットガン』に左右田は絶叫した。
左右田「ギニャァァァァァァァァァアアアア‼︎」
弐大「な、何なんじゃ!お前さんは!」
戦場「戦場むくろ」
名乗り終えたと思うと、戦場は身を翻し弐大達から距離を取った。
弐大「左右田よ!お前さんは隠れておれ!」
左右田「け、けど弐大、お前は...」
弐大「ワシはええから、サッサと行かんかぁァァァァァァァ‼︎」
弐大はガトリングガンを戦場目掛けて乱射した。
弐大「ワシがマネージャーをしとる選手に手出しはさせんワァァァァァァァァァァ‼︎」
弐大の銃撃を巧みに避けて、着実に狙いを定めてくる戦場。
そして、弐大の脚を銃弾が打ち抜いた。
弐大「ぬ''お''ォォォォオ''ッ‼︎」
声にならぬ雄叫びを挙げながら姿勢を崩す弐大。そしてその体を戦場が押さえ込み、『サバイバルナイフ』を弐大の首元に押し付けたが、
弐大「かかったのぅ」
弐大は首に下げていた鎖で戦場の体を押さえ付けていた。
弐大「観念せんか!」
戦場「盾子ちゃん、どうしよう...」
その時、戦場が胸に付けていたトランシーバーから声がした。
???「残姉は本当にどうしようもなく残念だねぇ...けど、アタシが入れば、だいじょうV☆」
すると、何処からとも無く手榴弾が飛んでくる。戦場はスルリと弐大の緊縛を抜け、遠くへと走り去った。
弐大「⁉︎」
弐大が気づいた頃には、手榴弾は光と衝撃を放ってきた。
爆音が響き終わった後には、まだ弾の入ったガトリングガンと黒焦げになった弐大が横たわっていた。
左右田「弐大ィィィィィィィィィィィィ‼︎‼︎」
左右田は弐大だったモノに駆け寄り、大粒の涙を流した。
左右田「どうして、どうしてこうなんだよおおおおおおおおおお!」
電子生徒手帳「ピロリロリン♪ピロリロリン♪」
左右田が泣きじゃくっているのを他所に電子生徒手帳の通知音が流れた。
左右田「クッソウ!何なんだよ!こんな時に!」
悪態を吐きながら、電子生徒手帳を見ると
そこにはこう表示されていた。
『おめでとうございます!あなたには特殊スキル〈改造人間開発〉を手に入れました!』
左右田はその意味を知り、驚嘆した。
左右田(ソニアさん...こんな時俺、どんな顔したら良いんですか...)
2日目 AM11:45
男子11番 弐大猫丸 死亡
残り 29人
④の島
AM12:00 岩場
ソニア「十神さん!辞めてください!」
超高校級の王女、ソニア・ネヴァーマインドは涙ながらに訴えた。
艶やかな白金の髪が風に吹かれ、青い宝石の様な大きな目からは涙が溢れ、白磁の様な肌を伝っていった。
その美しさは彼女の国である「ノヴォセリック王国」でも群を抜いており、国民から絶大な支持を受けていた。
田中「その女から離れろ。貴様が十神の姿を借りた邪神だと事は周知の事実、貴様はここで終焉の時を迎えるのだ‼︎」
超高校級の飼育委員、田中眼蛇夢が吠えた。
紫の首巻きがはためき、青黒い肌と左右で違う色の目が十神を睨んでいる。
その目を自分では「邪眼」と呼んでおり、どんな生き物とでも会話をする事が出来ると言われている。また、彼は希少種の繁殖を度々成功させ、学会では注目の高校生だ。
十神「お前らが武器さえ置いていけば解放してやると言ってるだろう。御託はいいから早く武器を置け」
十神はせせら笑いながら2人を岸壁に追い詰める。
ソニア「し、仕方ありません。私はここに武器を捨てます!」
ソニアは観念した。
田中「ソニア!貴様の選択は!」
ソニア「田中さん、大丈夫です!」
ソニアはスクールバッグから中身を出すと、そっと十神の前に置いた。
十神「な...何だと⁉︎」
十神は困惑した。何故ならそこには『大阪名物大判はりせん』が転がっていたからだ。
十神「これが本当に、お前の武器なのか?」
ソニア「そうです。それ以上は武器なんてもっておりません!」
十神「フッ、そうか」
そう言って十神が背を向けた途端、
2つの銃声が鳴り響いた。
十神「そんな事だろうとは思っていたんだ、思い上がるな」
十神は地面に落ちている銃『コルトパイソン』を拾い上げた。
岸壁の下には脳天から溢れんばかりの血を流した、哀れな王女の末路が見えた。
十神は自分の武器である銃『ベレッタM92F』を今度は田中に向けた。
田中「き、貴様ァァァァァァァァァアアアア‼︎よくもソニアをォォォォォォ‼︎」
十神「お前もああなりたくなければ、サッサと武器を出せ。」
田中「フハハハハハハハハ‼︎良いだろう‼︎お望みとあらば、とくと御覧に入れよう‼︎」
高らかに笑うと田中は怒りに顔を紅潮させながらも、ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、地面に魔法陣を書き始めた。そしてその上に『魔犬のイヤリング』を翳し、詠唱した。
田中「ベキラズゴンベキラズゴン...タクマカランラ...アギト...ゾオマ...魔獣たちよ、今ここに解き放て‼︎」
すると田中の声に合わせ、森の中から何匹もの黒犬が十神目掛けて襲いかかってきた。
十神「これは一体どういう事だ!」
十神はベレッタで応戦するも数が多く、当然間に合わない。
十神「くっ、覚えていろ‼︎」
安っぽい悪役宜しく超高校級の御曹司、十神白夜はその場から立ち去った。
田中「フハハハハハハハハ‼︎正義はいつも、この俺様の中にある‼︎」
田中は高らかに宣言した。
この魔犬のイヤリングはコードを読み取って動物たちの脳に超音波で支持を出す機器になっており、そのコードに田中の書く魔法陣が登録されているのだ。
この武器を取り上げても、田中がいなければただのイヤリング。
まさに田中眼蛇夢だからこそ扱える、特別な武器なのだ。
田中はマントのように長い学ランを翻し、一言呟いた。
田中「守ってやれなかった、すまない。」
2日目 AM12:32
女子10番 ソニア・ネヴァーマインド 死亡
残り28名