ダンガンロンパ -希望と絶望のバトルロワイアル-   作:roft

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2日目③

 

2日目 ⑤の島

PM3:00 薬品庫

 

罪木「ふゆぅ...こんなので一体、どうすればいいんですかぁ...」

超高校級の保健委員、罪木蜜柑は自分の与えられた武器に戸惑いを覚えていた。

高校生でありながら、その医学的知識は博士号を取れるほどであり学会に論文を提出し、世間を騒がせた女子高生だ。

希望ヶ峰学園でもその才能を認められ保健委員として活動している。ただ、その気弱な性格と病的なまでのマイナス思考が人の神経を逆撫でし、前の学校では壮絶なイジメにあっていたそうだ。彼女の散切りの前髪がその悲惨さを物語っていた。

罪木「お薬なんていくらあっても、武器にはなりませんよぉ...」

彼女のスクールバッグに入っていた武器。それは『薬品箱』と『薬品庫の鍵』だった。

薬品箱にはワクチンと薬が何種類か、それと注射器が入っている。

罪木は戸惑いながらも薬品庫の鍵を開け、中へ入った。そこは薄暗く埃にまみれており、酷く不気味だった。

罪木「い、嫌ですよぉ...こんなところ」

壁には薬の調合法が書いてある表が載っていたが、罪木は戦慄した。

薬の調合法の全てが、毒薬の作り方だったのだ。

罪木「こんな使い方...わ、私には絶対出来ませぇぇぇん!」

罪木が叫んだ直後に、電子生徒手帳に着信が届いた。

罪木「も、もしもし...?何方ですか...?」

⁇?「誰って...私だよ」

罪木「....!あ、あなたは....!」

罪木は悲鳴のような声を出した。だがその悲鳴は決して恐怖を感じて出た物ではなかった。

???「アンタ、アタシが入ったように出来ないの?アンタが武器持ってたってドジって死にそうだから校庭で交換してやったのに。マジナイわ〜」

罪木「ご、ごめんなさぁぁぁい!やります!やりますから!私を捨てないでくださぁい!」

罪木は泣きそうな叫び声を挙げた。

???「そんな叫び声上げて、アタシが見捨てる前に殺されちまうよ。まあ、精々頑張りな」

罪木「あ、ありがとうございます!期待に添えるかわかりませんが、頑張ります!」

⁇?「期待なんて最初っからしてないっつーの」

そこで通話は終わった。

罪木は何も言葉を発さず、ただひたすら毒薬を作り続けた。そして薬品箱イッパイに毒液の入った試験管を入れ、罪木は薬品庫を後にした。

罪木「待っててくださいね〜、みんな楽にしてあげますからね〜」

罪木は、笑みを浮かべながらそう言った。

 

 

①の島

PM5:00 崖

 

舞園「こ、来ないでください!」

超高校級のアイドル、舞園さやかは『ナタ』を振りかざし抵抗していた。

国民的アイドルグループのメインボーカルである彼女の名前を知らない人がいるのだろうか。その愛くるしい笑顔は、今は苦悶に満ちた表情に満ちている。

舞園「わ、私は帰らなくちゃいけないんです!仲間が、ファンのみんなが待ってるんです!こんなところで死ぬわけには」

?⁇「ダァーッてろ、クソビッチが」

声の主は舞園の言葉を遮った。

?⁇「学校ではあんだけ仲良くひっつきもっつきしてたオトコを、お前見捨てたんだろ?そんな奴に帰ってきてほしいなんて、誰も思っちゃいねーよ。そういうところを言ってんだよ、このど淫乱が」

舞園「わ、私だって!苗木くんを見殺しになんてしたくなかった!けどあんな状態で、どうすれば良かったのよ‼︎‼︎」

涙ながらに訴える日本一のアイドルの声は、声の主には届かない。

⁇?「じゃーそれ、天国でマコちんに聞いてみればー?どんな顔されるか知らないけど」

声の主は、服の中に隠していた何本ものハサミを舞園に向けた。

舞園は必死にナタで応戦するも、声の主は慣れた動きで交わしハサミを舞園の腹部と喉に突き立てた。

⁇?「アンタと違ってアタシは一途なのよ。ダーリンの為にも、生き残んないとなのよ。どっちつかずのクソアイドルなんかに負けてらんないわ」

冷たい風が吹く。

 

⁇?「フェックショッ‼︎」

声の主は大きなくしゃみをした。

腐川「な、なななななななぁ....‼︎‼︎何がどうなってんのよ‼︎私、知らないわよ!何も知らないわよ!」

腐川は目の前に転がるハサミが何本も滅多刺しにされ、針鼠のようになったアイドルの姿を見て絶叫した。

腐川「逃げないと...逃げないと...私も殺されるわッ‼︎‼︎」

腐川は青褪めた表情で近くにあった②の島へ続く橋❺を渡っていった。

 

舞園(苗木くん...ごめんなさい...苗木くん....)

薄れゆく意識の中、舞園は謝り続ける。

その声が苗木に届いたか否か、誰も知る術を持たなかった。

 

女子15番 舞園さやか 死亡

残り 27人

 

 

 

⑤の島

PM6:00 草原

 

終里は息をヒュウヒュウと漏らし、虫の息だった。

終里「に...弐大のオッサン...会わねーと...ッ!助け...助けて...」

すると向こうからゆらりと黒い影が迫って来た。

終里「だっ、誰だ...?弐大の.,.オッサンか

?」

終里は、毒が回って思い通りに動かない体で何とか人影の方に鎌首をもたげた。

罪木「あ、あの...終里さん⁈だっ、大丈夫ですか!」

終里「つ...罪木かぁ、頼む、助けてくれよ...訳のワカンネー機械に襲われて...毒で動かねーんダ...頼む」

罪木「わっわかりました!今すぐワクチンを」

すると、罪木の脳裏に電話の主の声が響く。

⁇?『私が見捨てる前にアンタ、死んでるよ』

罪木(あの人に、見捨てられる...捨てられる...)

罪木の頭の中を、声が占拠していく。

罪木の手は、知らぬ間にワクチンではなく毒薬を注射器に入れ、終里の血管に差し込んでいた。

終里「あ、ありがとよ...お前のおかげでオレも...ぐ、ぐブ...ブブォムブ...グブブブ...」

終里の顔は見る見るうちに青褪めた、赤い涙が流れ、口から溢れんばかりの泡と血を吐いたかと思うと動かなくなっていた。

罪木「1人、殺しちゃいました...ね。これで、あの人に見捨てられずに済む...良かった」

罪木は嬉しそうな笑みの浮かべ、終里のスクールバッグから『メリケンサック』と『スタンガン』を奪い、⑦の島へ向かう橋へと急いだ。

沈みゆく夕焼けが、罪木の微笑みと冷たくなった終里を真っ赤に染め上げた。

 

女子5番 終里赤音 死亡

残り 26人

 

 

①の島

PM9:00 荒屋

 

日向・豚神・七海はこの1日、荒屋から動かず今の状況を整理していた。

日向「とりあえず、まず俺たちはどの地点にいてどう行動したらいいのか、考えないとな」

日向の発言に、ノートパソコンを弄っていた七海が答える

七海「んー...今いるエリアは①の島の荒屋。ここからだと②の島へ続く橋❺が一番近いかもしれないね」

豚神「なるほど、それで中央にある⑦の島に行くにはどうしたらいいんだ?」

七海「その事なんだけど、元々この島には⑦の島に繋がる橋が無くて、⑦の島に行くには橋❺を使って②の島へ行って、⑦の島に繋がってる❶の橋を使って行くしかないみたい...だね」

日向「それなら、早いとこ⑦の島へ移った方が良いんじゃないか?ここもいつ禁止エリアになるのかわからないし」

七海「んー、けどそれは出来ないみたいだよ?」

日向「ど、どうしてだよ」

七海「だって、❶の橋は初日に爆破されちゃったんだよ?それで②の島に行っても、結局⑦の島には辿りつけない...と思うよ」

日向「それ本当かよ」

日向は愕然とした表情で俯いた。

豚神「島について調べるよう頼んでいたんだが、もう聞いてもいいか?何か脱出の糸口があるかもしれん」

七海「島について調べてみたんだけど、どうやら①〜⑥の島にはそれぞれ船着き場が一つあって、ボートが一艘だけ置いてあるみたいなんだよね」

日向「!それさえあれば脱出出来るじゃないか!」

七海「外への脱出はモノクマの監視があるから出来ないけど、⑦の島に移る事くらいなら出来そうだね」

豚神「その船は何人乗りだ?」

空かさず豚神は質問した。

七海「...3人乗り、みたいだね」

日向「ここにいる全員で脱出出来るじゃないか!」

日向はさっきまで落ち込んでいたのが嘘のように嬉しそうに声を上げた。

豚神「念の為聞いておきたいんだが、今この①の島に何人人がいるか。そのパソコンでわかるか?」

七海「ちょっと...やってみるね」

七海は即座にパソコンで調べ始めた。

日向「3人だけか?」

日向が質問する。

七海「わかったよ。私たちを含めて...①の島には今、5人いる」

日向「まだあと2人もいるのか...」

豚神「お前も人殺しの空気に慣れてきたのか?2人とも殺す気まんまんに見えるが」豚神が日向に悪態を吐く。

日向「そんなつもりは!けど、3人しか助からないって事か....」

場の空気が重く静まり返ったその時、アラームとともにあのダミ声が聞こえてきた。

 

モノクマ「ウププ...オマエら、2日目お疲れ様でした。それでは今日死んだ人をお知らせします。死んだ順です。男子 11番 弐大猫丸。女子 10番 ソニア・ネヴァーマインド。女子 15番 舞園さやか。女子 4番 終里赤音。以上4名」

 

モノクマ「今回は白熱したバトルが繰り広げられましたね。一触即発の死闘をした者、仲間を作り協力し敵を殺した者、死にかけの怪我人に容赦ない鉄槌を与えた者、自分に与えられた道具を駆使した者、殺した記憶さえない者。いろんな人がいましたねー、けど、まだまだ勝負はこれから!明日も張り切っていきましょう...ではではいい夢を、おやすみなさい」

 

②の島

PM0:00 廃工場前

 

廃工場で金属音が鳴り響く。

左右田は自分の手に入れたスキル<改造人間開発>を使い、最後の仕上げに入っていた。

そこへモノクマからの訃報が届く。

左右田「う....ウソだろ...?ソニアさんが?何で?何で死んでるんですか?」

突然の憧れの人の訃報に左右田は絶叫した。

左右田「嘘だ...嘘ダァァァァァァァァァァァァアア‼︎‼︎‼︎」

冷たい夜の廃工場の暗闇に、左右田の絶叫はいつまでも木霊していた。

 

2日目 終了

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