東方魔郷談   作:Walther58

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遅くなりすみません(^_^;)
スマホからの投稿に苦戦中文章が消え私には無理でした(^_^;)
今回は少しグロ表現注意です
第二十一章どうぞ!


第二十一章 ~狂い始める心~

「~♪~~♪」

 

 ここは地霊殿。ピアとの出会いをきっかけに、こいしはよく姿を見せるようになっていた。そして今は、さとりとこいしは庭の花に水やりをしていた。

 

「こいし、そっちの花への水やりは終わったかしら?」

「うん!終わったよ、お姉ちゃん!私、ほかのところの水やりもするね!」

 

「そう、ありがとう。……それにしても、不思議ね。まさかこいしの方から積極的に会いに来てくれるなんてね」

「もう!お姉ちゃん!私だって家族は大切にするんだよ?」

 

「ふふっ……そうね。家族ってことは……ピアさんも家族かしら?」

「もちろん!私にとって大切なお兄ちゃんだもん!」

 

「お兄ちゃん……か。じゃあ、私が二番目で、こいしが末っ子ね」

「あぁ~!お姉ちゃんずるいっ!お兄ちゃんは私のお兄ちゃんなんだよ!お姉ちゃんは別なのっ!」

 

「冗談よ。こいし、先に戻ってお菓子の準備をするから、いつでも戻ってらっしゃい」

「はぁ~い!」

 

 さとりは地霊殿の中へと戻っていった。こいしは鼻歌を歌いながら水やりを続けた。こいしが楽しそうに水やりをしていると、突然スキマが現れた。

「……随分と楽しそうね」

 

「あら?あなたはスキマの妖怪さん?どうしたの、こんなところに来て?」

「いいえ。ただ……本当に楽しそうだと思っただけよ?」

 

「うん!楽しいよ!だって、私にはお兄ちゃんがいるもんっ!先週もお兄ちゃんが遊びに来てくれて、すっごく楽しかったの!」

「そう……楽しそうね」

 

「うん!本当に楽しいよ!」

「でも……その楽しみが奪われてしまったら……どうするの?」

 

「え?何を言ってるの?」

 こいしが不思議そうな顔をして紫を見た。紫はこいしと目を合わせずに続けた。

 

「古明地こいし……貴方の唯一の楽しみは、きっと誰かに奪われるでしょう……」

「ちょっと……なにを言ってるの?お兄ちゃんはそんなことしないよ!」

 

「違います。彼がするのではない……周りの者たちがそうするのです」

「周りの……人……?」

 

「貴方は無意識の中にいる……。日常において、あなたを見つけることが出来るのは……貴方の姉のさとりと、彼のみ……」

「それは……そうだけど……」

 

「ですが、さとりではあなたを見つけるのは骨が折れること……けれど、能力無効が使える彼ならば、それは造作もないこと……」

「だったら何?一体何が言いたいの!?」

 

「つまり……彼がいなくなれば、あなたを見てくれる人はいなくなる……」

「……!!」

 

 紫は冷徹に、そして確実に、開きかけていたこいしの心を抉った。こいしの唯一の心の支えを壊していった。

 

「彼の周りには多くの女性が……多くの綺麗な石がある。それは、あなたよりもずっと強く輝く石が」

「え……え……?」

 

「人の心なんてわかるものではない。彼だって全知全能ではないわ。あなたを見つけることが出来ても、あなたの心を知ることはできない……。あなたは、その光の強い石たちによって、存在が次第に薄れていく……」

「そんな……やめて……!」

 

「そして、次第に消えていく……。彼の記憶から忘れ去られていくのよ」

「!?!?!?!?」

 

 こいしは手に持っていたジョウロを落とした。酷く絶望した顔で、必死にそれを否定した。

「そんな……違うわ、だって……お兄ちゃんは私を見てくれて……」

 

「はたして本当にそうかしら?もしかしたら……あなたがおねだりをするから、相手をしてあげているだけかもしれないわ?」

「ち、違うよっ!お兄ちゃんはそんな人じゃ……!」

 

「いずれにせよ、あなたは消えていくでしょう。それが怖いのなら、方法が一つだけあるわ」

「ほ……方法……?」

 

 忘れられていく。そのことを恐れていたこいしは答えを求めた。そして、紫はその要望に応え、答えを託した。

 

「幻想郷で彼と接点がある者たち……全員を消してしまえばいいのよ」

「……そ、そんな……!」

 

「でもそれしかないでしょう?彼は優しすぎるから、あなたばかりを見てはくれないわ。それなら答えは、簡単よ……見てもらえるようにすればいいのよ。だぁいすきなお兄ちゃんに、自分だけを見てもらえるようにすればいいのよ。そうすれば、彼もあなたのことだけを見てくれるわ」

「あ……あぁ……」

 

「嫌われたくないでしょう?捨てられたくないでしょう?遊んでほしいんでしょう?愛してほしいんでしょう?一緒に生きたいんでしょう?」

「…………」

 

「もしかしたら……さとりが彼を奪うかもね……」

「!?」

 

「彼を愛しているのなら、あなたならできるはずでしょ?彼が遊びに来れなくてもいいのかしら?彼と会えなくなってもいいのかしら?」

「……!そんなの嫌!!」

 

「だったら、頑張ってね。……愛する愛するお兄ちゃんのために……」

 紫は再びスキマの中へと消えていった。こいしはその場に崩れ落ちるように座り込んだ。

 

「いや……お兄ちゃんと会えなくなるのはいや……絶対にいや……。でも……お兄ちゃんは私なんかよりほかの人を……。いやだぁ……そんなの嫌だぁ……捨てられたくないよぉ……。私……お兄ちゃんのことなんにも知らないのに……もう会えなくなるなんていやぁ……。もっとお兄ちゃんと一緒にいたい……もっとお兄ちゃんと遊びたい……もっとお兄ちゃんを好きでいたい……。ずっとずっとお兄ちゃんといたいのに……。……みんなが邪魔をするんだ……私とお兄ちゃんの時間を、みんなが奪っていくんだ……。誰も私を見てくれない……私を見てくれるのはお兄ちゃんだけ……。私を見つけてくれるのは……私に手を伸ばしてくれるのはお兄ちゃんだけ……。私にはお兄ちゃんしかいないのに……どうしてみんな、私からお兄ちゃんを奪うの……?酷い……酷いよ……。……許さない……。そんなの絶対に許さない……。殺してやる……みんなみんな殺してやるっ!!あはは……恋い焦がれるような殺戮……楽しみだなぁ……」

 

 こいしは壊された。フランだけでなく、こいしまで壊された。こいしはフラフラと何かを求めて、どこかへ歩いていった。

 

「…………」

 こいしを壊した後、紫はその様子を遠くで眺めていた。

 

「紫様……」

 紫の後ろから誰かが声をかけた。紫は振り返ることなく応答した。

 

「何かしら、藍?」

 そこにいたのは『八雲藍』。紫に仕える式にして、九尾の狐でもある。藍は紫に深々と頭を下げて話し始めた。

 

「紫様……これでよかったのでしょうか?」

「どういう意味かしら、藍?」

 

「……お言葉ですが紫さま。私は……幻想郷を危険にさらしているのは、紫様の方だと思います……」

「…………」

 

「紫様……もうおやめください……!これでは、幻想郷全体で大規模な戦闘が……!」

「口を慎みなさい、藍」

 

「紫様!!」

 藍はそれでも食い下がろうとしたが、紫は聞く耳を持たなかった。

 

「私は幻想郷を守る、最善の手段を取っているわ。これも幻想郷を守るため……多少の犠牲はつきものよ。今回は相手が違いすぎるわ」

「しかし!だからといってこんな……誰かを愛する思いを利用するなど……人間でも妖怪でも許されないことです!道理を逸脱しすぎています!!」

 

「これが私なのよ。従いなさい、藍。これまでのことも計算のうち……これからが本番なのよ……」

 

「では、霊夢が紫さまの脅しに屈しなかったことも!幽々子様が紫様を裏切ったことも!八坂神奈子が魔王に勝てなかったことも!八意永琳が紫様の情報を流したのも!すべてが計算のうちだというのですか!?」

「……藍!!」

 

「私は紫様の式です!ですが……主人が道を誤れば、それを正すのも従者の務め……。私は……今の紫様は間違っていると思います!!」

「…………」

 

「……申し訳ありません……。処罰は必ず受けます……ですから、これだけは言わせてください……」

 藍は顔をあげた。紫は藍を横目で見ていた。

 

「紫様といえど……現状を覆すことはできないと思います……。彼の影響力は強すぎます……幻想郷は……すでに彼を受け入れています……!」

「…………」

 

 紫は黙り込んだ。藍はそのまま頭を下げ、紫から下される処罰を覚悟した。

 

「……藍」

「はい……」

 

「貴方に……単独行動を命じるわ……」

「なっ……!」

 

「貴方にしか任せられないことよ。必要なら、橙もつれていきなさい」

「橙を……?」

 

 『橙』。それは藍に仕えている猫又の式。いわば、式の式ということになる。

「橙を……ですか?」

 

「そうよ。あなたは橙を連れて、自分の目で見て、自分の意思で判断なさい。私は何一つ文句は言わないわ」

「紫様……」

 

「私は……貴方の意思を尊重するつもりよ。……行きなさい、藍」

「……!ははっ!」

 

 藍は立ち上がると、すぐにその場から移動した。紫はスキマを開くと、その中へと入っていく。

 

「まったく……。私は……いったい何をしているのかしらね……」

 紫はスキマの中へ消えていくなかで、ひとり呟いた。

 

 

「(紫様は……私に単独行動を命じてくださった……。紫様は……自分の判断で行動しろとおっしゃってくださった……。私は……)」

「藍さま?」

 

 藍が難しい顔をしていたので、橙が心配そうに声をかけてきた。藍は笑顔で答えた。

 

「大丈夫だよ、橙。……さて、橙。博麗の巫女の使いに会いに行こうか」

「博麗の巫女の使いって……霊夢に仕えているっていう敵ですか?どうして敵に会いに行くんですか?」

 

「橙……私はね……彼は敵ではないような気がするんだよ」

「えっ!?どういうことですか!」

 

「落ち着いて聞くんだ、橙。博麗の巫女の使いは……能力こそは危険だが、彼自身は危険ではないような気がするんだ」

「危険じゃないんですか?紫様は幻想郷を滅ぼすって……」

 

「それは紫様の過大解釈だよ。私は違うと思う。人里での彼の噂を知っているからこそ、自分の目で確かめることにしたんだ。ついてきてくれるかい、橙?」

「はい!藍さま!」

 

 橙は素直に藍の言うことを聞いた。橙の返事を確認したところで、藍は博麗神社を目指して飛んだ。

 

 青娥との戦いを終えたピアは、紅魔館をあとにした。その途中で、霊夢と合流した。

 

「ピア!大丈夫!?」

「あ……あぁ……」

 

「本当に?けがはない?」

「あぁ、大丈夫だ」

 

「そう……よかった……」

「霊夢……?」

 

 ピアは足を止めて、霊夢の方へ振り返った。そして、霊夢の顔を見たピアは驚いた。霊夢は、涙を流していた。

 

「本当に……よかった……。ピアに何かあったら……私……怖くて……。でも……本当に、よかった……」

 

 霊夢は泣きじゃくりながらピアに抱き付いた。ピアは驚いたまま硬直し、何もできなかった。

「(霊夢が……泣いた……?俺の……ために?)」

 

 霊夢は泣いていた。ピアの胸の中で泣いていた。不安や恐怖を爆発させるように、すがりつくように泣き叫んだ。ピアはそっと霊夢の背中に手をまわした。

 

「ごめん……ごめんな、霊夢……。もう大丈夫だ。もう……大丈夫だから……」

「ピア……ピアあぁぁ……」

 

「大丈夫だ……霊夢……。俺はもう……大丈夫だから……」

「うん……うん……」

 

 ピアはとにかく声をかけた。これ以上不安にさせないために。これ以上怖がることがないように。ただ安心させたくて、思いついた言葉を霊夢にかけた。

 

「やれやれ……。あの霊夢を泣かすとは、よほど信頼されているんだな」

「……!!」

 

 ピアが後ろを振り返ると、そこには藍と橙がいた。ピアは警戒していたが、藍は警戒を解くように言った。

 

「私のことは知っているな?ピア・デケム」

「お前……宴会の後に紫と一緒に来た……」

 

「八雲藍だ。こちらは橙。私は紫様の式で、橙は私の式だ」

「紫の……!?くっ……!」

 

「落ち着け。私はお前の敵ではない」

「…………」

 

 ピアは泣いている霊夢を庇うように身構えた。しかし、藍と橙からは敵意を感じられなかったので、少しだけ警戒を解いた。

「……俺を殺そうとしているやつの式が、いったい何の用だ?」

「……まず一言だけ、謝らせてほしい。……すまなかった」

 

「ら、藍さま!?」

「…………」

 

 藍は深々と頭を下げた。橙も、慌てて藍にあわせて頭を下げた。

「許してもらえるとは思っていない……紫様はただ、この世界を守ろうとしているだけなんだ……。それが……このような事態になるとは、思わなかったのだ。本当に……申し訳ない……!!」

「…………」

 

「今の私には……これしかできることが見当たらない……。本当に……申し訳なかった!!」

「……それで許されると思ってんのかよ……」

「…………」

 

「世界を守るために……世界を巻き込むようなことをして……許されると思ってんのかよっ!!」

「紫さまを悪く言わないでください!」

 

 橙が会話に割って入った。

「お願いします!紫様を悪く言わないでください!」

「ち、橙!?」

「…………」

 

 ピアは黙って橙を睨み付けた。橙は今にも泣きだしそうな顔で、手も口も震えていた。

「ゆ、紫様は!幻想郷の誰よりも、この世界を愛しているんですっ!!紫様はこの世界が大好きなんです!!紫様は……ずっと幻想郷のことを考えてて……結界の管理も頑張ってて……それで、それで……!!」

「もう、いいよ」

 

 ピアは橙の言葉を遮った。ピアは橙に手を伸ばし、その涙を拭ってあげた。

「紫のこと……本当に好きなんだな……。その気持ちは……しっかり伝わったよ」

「ピアさん……」

 

 ピアは藍の方を見た。

「藍。紫は何をしようとしているんだ?なぜ俺を直接狙ってこないんだ?」

「それはおそらく……貴方を直接狙っても、あなたには能力無効の能力がある。紫様のスキマも、その能力の前では無力だろう……。そこで、紫様は内側から崩そうとしているのだ」

 

「内側から……?」

「急げ、ピア・デケム!このままでは、フランドール・スカーレットと古明地こいしが危ないのだ!!」

「何!?」

 

 藍はピアに、紫の計画を説明した。霊夢、幽々子、神奈子を利用したピア抹殺計画は、すべて失敗に終わった。そこで紫が提案した最終手段が、フランとこいしを暴走させることだった。ピアに絶対的な信頼を寄せているフランと、ピアに強い好意を寄せているこいし。二人の存在理由は、共通してピアだった。

 

「ピア……君に出会ったあの日から、二人は君という存在を心の支えにしていた。だが、紫様はそこに付け込み、二人の好意を利用した。私はたとえ紫様といえど、そのような道徳を外れた行為を認めるわけにはいかなかった」

「だから紫から離れて、俺に助言を……?」

 

「あぁ。ピア……私は君のことを誤解していた……。紫様の言葉を信じ、君という人間をまともに見ようとしていなかった……。すまなかった……」

「もう気にするな。だが……一つだけ、許せないことがある」

「……?」

 

 ピアは一度霊夢を見た。霊夢はまだ不安そうな表情をしていた。

「世界を巻き込み……霊夢を泣かせたことだ。それだけは……俺は絶対に許さない」

「……なるほど……。わかったよ、ピア。私たちも、君に協力しよう」

 

「いいのか?お前たちは……」

「私たちは、紫様から単独行動の許可を得ている。そのことによる責は一切問われない……大丈夫だ」

「そうか……」

 

「さて……急ごう、ピア。今頃は紅魔館も……」

「しまった……レミィ!!」

 

 ピアは紅魔館へ向かった。紅魔館は今は、戦力がダウンしている。そこへフランが現れれば、取り返しのつかないことになる。ピアは急いで飛んだ。

 

 

 

「……ふぅ、美鈴は負傷、レミィも意識不明とはね。咲夜もしばらく動けないみたいだし……私が何とかするしか……」

「パチェ……」

 

「あら、妹様?どうかしたのかしら?今はちょっと手を離せないんだけど……」

「パチェ……お願いがあるの……」

 

「ん、なにかしら?ごめんなさい、あとで聞くから……」

「死ンデクレナイ……?」

 

「えっ……?」

 ズバアァッ!!

 

「パチュリー様―!必要な材料を持って……。……!パチュリー様!?」

「あ、こぁだ」

 

「フ、フランお嬢様!?一体何を……」

「こぁ……お兄様はね……フランのモノナノ♪」

 

「……!?」

 ドカアァァンッ!!

 

「いたたたた……ふぅ、応急処置とはいえ、咲夜さんには感謝をしなければ……。……うん、腕も動く!ばっちりだ!」

「め~り~ん」

 

「あ、妹様」

「どうしたのぉ~?何かあったのぉ~?」

 

「えぇ、でも大丈夫です!妹様とピアさんのお時間を邪魔する輩は、この美鈴がやっつけておきました!」

「そっかぁ。でも……邪魔者はまだいるじゃない」

 

「え?一体どこに……」

「ほら……ココニ……」

 

「……!」

 グシャアァッ!!

 

「……命を捨てたら本末転倒……か……。まさか……二度も同じことを言われるとはね……」

「咲夜……」

 

「あら、フランお嬢様。いかがなさいましたか?」

「咲夜……お兄様は……?お姉さまはどこ……」

 

「ピア様はお帰りになられたようです。お嬢様はご自身の部屋で意識を……」

「お兄様……うそつき……」

 

「え?妹さ……!?」

「でも、それも咲夜やお姉さまが……ワルインダヨネ♪」

 ズバアァンッ!!

 

 

「……お姉さま……」

 フランはレミリアの部屋にいた。そこには意識を失い、眠っているレミリアがいた。

 

「お姉さま……」

 フランはレ―ヴァテインを振り上げた。得物を確実にしとめるため、力いっぱい振り上げた。

 

「お兄様は……フランのモノナンダカラアァァァッ!」

 ドカアァァンッ!!

 

 フランはレミリアもろとも、ベッドを木端微塵に吹き飛ばした。煙が晴れると、そこには何も残っていなかった。

「……あはっ。あは……あはは……あはははは!!」

 

 フランは歓喜に声を張り上げた。これでようやく手に入る。大好きなモノがやっと手に入る。そう思うと、笑いが止まらなかった。

「……何がそんなに嬉しいんだ……フラン……」

 

「……!!」

 フランは正面に視線を戻した。そこにはレミリアを抱きかかえたピアと、すぐ後ろに霊夢が立っていた。

 

「……!お兄様……!?」

「何をしているんだ……フラン……」

 

「ち……違うよ……!フランは……フランはね、お兄様を自由にしてあげたかったの!みんな、お兄様がやりたいことの邪魔ばっかりするから……だから!フランがお兄様を自由にしない奴らから、お兄様を助けたかったの!ねぇねぇ……フラン、えらい?」

 

 フランはいつもの笑顔をピアに向けた。純粋で無垢な少女の笑顔。しかし、ピアは何も言わなかった。

「……?お兄様……?」

 

「…………」

 ピアは霊夢に黙ってレミリアを預けると、フランの前まで歩いて

 パシンッ!

 

 その顔をはたいた。フランは何が起こったのかわからないといった顔をしていた。

「え……?そんな……どうして叩くの……?フランは……」

 

「フラン……お前は間違っている」

「え……?」

 

「間違っているといったんだよ。俺はそんなことを頼んだ覚えはない。こんなことをして……俺が喜ぶと思ったのか?……思い上がるな!!」

「!!」

 

「フランがやっていることは、俺の為にはならない。フランは間違っている。今すぐこんなバカなことをやめて、みんなに謝るんだ」

「……いや……」

 

 フランは後ずさりをした。大好きな兄にはたかれたうえに、兄のためと思ってやったことが、すべて否定されたのだ。

「いや……いや……お兄様……」

 

「……ごめんな、フラン……。俺は……フランとの約束を……」

「いや……お兄様……フランを嫌いにならないで……!お兄様がいなかったら……フランは……!」

 

「フラン?どうしたんだ……?」

「あ……そっか……。お姉さまたちに手を出したからダメだったんだね……。家族は大切にしなさいって……お兄様も言ってた……」

 

「フラン!何を言ってるんだ!?」

「お兄様……フラン……もっともっとガンバルから、いっぱいホメテね?」

 

「フ……フラン……」

 フランは翼を広げると、空高く飛び上がった。不幸にも、今は空が曇っている。

 

「あははははっ!お兄様を自由にしない奴らっ!!お兄様をこき使う奴らっ!!お兄様を嫌う奴らっ!!全部フランが殺してあげるんだからぁっ!!」

 

 フランは大声で叫びながら、守矢神社の方角へ飛んで行った。ピアは霊夢に目で合図を送ると、霊夢は頷いてピアとともに空へと飛んだ。そして、霊夢は博麗神社へ、ピアは守矢神社を目指して飛んだ。少しずつ狂い始める歯車、その暴走を止めるために、ピアは力を使うことを誓った。

 




文章表現が変でしたらすみません(*_ _)人ゴメンナサイ
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