第二十六章どうぞ!
朝。博麗神社に、いつもの夜明けが訪れる。外が明るくなるにつれ、ピアはゆっくりと目を覚ます。
「う……ううん……?」
ピアが右の方へ首を回すと、自分の手を握って眠っている霊夢がいた。
「霊夢……?」
ピアは昨日のことを思い出そうとして、すぐにやめた。ピアは体を起こすと、霊夢の頬にそっと左手を添えた。
「……かっこわるいとこ……見せちまったな。ごめんな、霊夢……」
ピアが頬をさすると、霊夢の右手がゆっくりとピアの左手に重なった。まるで伝わっているかのように、霊夢がほほ笑んだ。
「ピア……」
「……!!霊夢……」
ピアは霊夢を起こさないように、霊夢の左手を自分の手から離すと、布団から出た。
「さて……後半、行っとくか!」
自分に喝を入れると、霊夢が起きるまで境内の掃除を始めた。しばらく掃除をしていると、霊夢が神社から出てきた。
「おはよ……」
「おう、おはよう」
「……ピア、昨日……」
「ん?どうした?」
「いえ……何でもないわ」
霊夢はすばやく踵を返すと、神社の中へ戻っていった。
「(霊夢……やっぱり、昨日の俺のこと……いや、忘れよう……)」
ピアは掃除に集中することにした。やがて霊夢が作った朝食を食べると、マフラーを巻いて出発した。
「…………」
「昨日のピアのことが気になる?」
「萃香……。うん、そうなのよね。なんか……ピアっぽくなかった……」
「なら、信じてやることだね。霊夢がピアを信じなきゃ、今のピアは成り立たない。すぐにでも崩れるさ」
「萃香……」
「レミリアもフランに言ってたでしょ?“好きな人くらいちゃんと信じられるくらい、立派な女になりなさい”ってね。その通りだと思うよ」
「…………」
「たしかに、ピアの力は悪魔としては絶対だと思う。でも、ピアは人間としては一人じゃ何もできない弱い人間だ。だからこそ……支えが必要なのさ」
「支え……」
「そう。その支えに、霊夢がなるんだよ」
「私が……」
「うん。霊夢がピアの支えになるんだ。私に言わせれば、ピアの支えには霊夢以外に適任はいない」
「私が……ピアを……」
「守ってやるんだよ。どんなことがあっても、必ず……。霊夢にしかできないことさ。私はそう思っている」
「……うん」
「頑張ってね。私は霊夢を応援してるよ。二人には幸せになってほしいからね……」
「わかってる……私が……ピアを守るんだ……!」
ピアを守る。物理的では無理でも、精神的には守ってあげられる。それが自分にできる、最大限のこと。霊夢は自分の胸にそう誓った。
再び幻想巡りを始めたピアは、昨日の時点で行っていないところを目指した。
「白玉楼、守矢神社前、地霊殿、神霊廟……とりあえず、今日はこの四か所だな。よし、行くか!」
ピアはまず最初の地点、白玉楼を目指して飛んだ。
冥界の入り口を抜けて、ピアは白玉楼へと続く長い階段に差し掛かった。
「さて……飛ぶか」
そして当たり前のように空を飛んで、階段を越えた。
「よっと……さて、着いた」
「あ、お兄さん!」
白玉楼に着くなり、門の前で掃き掃除をしている妖夢と出会った。ピアは妖夢に軽くあいさつしすると、
「庭師の仕事、ご苦労さん。なんなら、手伝うぜ?」
「え、そんな!お兄さんに迷惑ですよ!?」
「そんなことなら気にすんな。俺も神社で掃除とかやってるから、慣れたもんだよ」
「そうですか?それじゃあ……お言葉に甘えてもいいですか?」
「任せとけ」
ピアは妖夢と一緒に庭の掃除をした。ところどころを妖夢に見てもらいながら、掃除を手伝った。
「まぁ、こんなもんかな」
「ありがとうございます!おかげでだいぶ早く終わりました!」
「よっしゃ!なら次は……剣の相手でもしようか」
「あ、はい!それでしたら、一度中へどうぞ。お茶も出しますから」
「了解だ」
ピアは妖夢とともに、屋敷の中へと入っていった。すると、入ってすぐに幽々子が現れた。
「ピ~ア~。はい、お出迎えのチュー……」
「いらん」
「もう、相変わらず冷たいんだから~。もうちょっとくらい優しくしてよぉ~」
「お前が暑苦しいんだよ。だから少しは冷たいものが必要だろ?」
「誰がうまいことを言えって言ったのよぉ~。ね?少しだけ!少しだけ抱きしめさせてぇ~!」
「い・や・だ!」
「幽々子様!お兄さんをあまり困らせては……」
「何よ、妖夢……。もしかして……嫉妬?」
「め、めめめ、滅相もございません!!そんな……幽々子様に嫉妬だなんて……あ、ありえません!!」
「ありえるのよねぇ~これが。主人にもちゃんと嫉妬できるくらいにならないと、女としていろいろと危ないわよ、妖夢?」
「え、えぇ!?そ……そうなんですか……?」
「いやいやいや!全然そんなことはないぞっ!!何も問題はないからなっ!!」
「え、あ……そうですか……」
「……おい、幽々子。今度妖夢に変なことを吹き込んだら、ただじゃ済まさねぇぞ?」
「キャッ♪私は一体何をされちゃうのかしら?きっとあんなことやこんなことをされちゃうのかしら……エr」
「やめろぉーっ!!それを言ったらいろいろと問題になるだろうが!!頼むからそれだけはやめてくれぇ!!」
「あら、冗談よ。もしかしてピア……本当にそういうことをするつもりだったの?」
「んなわけあるかぁーっ!!」
「あの……幽々子様?一体何の話を……」
「あぁーっ!妖夢はいい!妖夢は無理に知らなくても大丈夫だ!!」
「え?え?えぇーっ!?」
「ほらほら、二人とも。さっさと中へ入っちゃいなさい。ここで立ち話もなんだし」
「(お前のせいで立ち話してたんだろうが……)」
「あら?ピア……何か言いたそうね」
「いや、何でもない」
幽々子にせかられつつも、ピアは屋敷の中へと入った。そこで、一番広い庭に出ると、ピアと妖夢は剣の修業を始めた。
「さぁてと……いつでも来いよ、妖夢」
「はい!全力で行きます!!」
妖夢は楼観剣を、ピアはキャリバーを抜いて、お互いに構えた。しばらく睨みあいをしていたが、先に妖夢の方が動いた。
「てええぇぇぇいっ!」
「ふん!」
剣と剣がぶつかり、乾いた金属音が響いた。長いつばぜり合いをしたのちに、再び距離を取った。
「やあぁぁぁっ!!」
「そりゃっ!」
ピアと妖夢は激しい剣劇を繰り広げた。お互いに一歩も譲るまいと、相手が見せるわずかな隙を探って、ひたすら攻めた。
「前よりも!強くなったみたいだな……妖夢!」
「お兄さんに……一歩でも追いつくためなら!!」
妖夢は大きく後ろに飛び退いた。そして、スペルカードの発動し、構えを取った。
「行きます……餓王剣、『餓鬼十王の報い』!!」
妖夢はすばやく剣を振り、弾幕を放つと同時に突撃した。ピアは妖夢の狙いをすぐさま見抜いた。
「(妖夢はフェイント……弾幕を確実に当てるための時間稼ぎか……!ならば!!)」
ピアもスペルカードを使った。
「破符、『落砕牙』!」
ピアは足元に弾幕を撃ち、目くらましをした。
「うわっ!目くらましっ!?」
案の定、妖夢は煙の中に突っ込み、ピアを見失ってしまった。その間にピアは煙から飛び出し、もう一枚のスペルカードを使った。
「滅符、『滅閃光』!」
キャリバーからの極太レーザーの薙ぎ払いで、遅れて飛んでくる弾幕をすべて撃ち落とし、そのままレーザーを妖夢に向けた。
「くっ!断命剣、『冥想斬』!!」
妖夢は気を纏わせた斬撃を繰り出した。その斬撃は、レーザーを打ち負かすほどの威力はなかったものの、妖夢がその場から避難するだけの時間を稼いだ。妖夢が移動した直後、先ほどまでいた場所にレーザーが直撃した。
「おう、やるじゃねぇか。今のは上手かったな!さすがは妖夢だな!」
「は、はい!ありがとうございます!」
「よし、もう一本だけ勝負するか!」
「はい!お願いします!!」
ピアが妖夢の相手をしてる間に、幽々子がお菓子とお茶の用意をしていた。
「二人ともぉ~。お茶の用意が……」
「でえぇぇいっ!!」
「そりゃあぁぁっ!!」
二人は戦いに夢中で、幽々子の呼びかけに気付かなかった。
「あらあら……これじゃあまるで、本当の兄妹みたいね」
楽しそうに修行をしている二人を見て、幽々子は小さくほほ笑んだ。
修行を終えて、妖夢が汗を流しに行っている間に、ピアは縁側でお茶を飲んでいた。
「ふぅ~。いい汗かいたな……」
「ほんとね……ピアの汗のにおいが……くんくん……」
「においをかぐなぁっ!!」
ピアは血相を変えて距離を取った。幽々子がお菓子を取られた子供のような顔をして、ピアに抗議した。
「ぶ~っ。ちょっとだけなんだからいいでしょ~?ピアって、自分じゃわからないと思うけど、すごくいいにおいがするのよぉ~。主に汗とか汗とか汗とか」
「汗だけじゃねぇかよ!!もっと他に……他に!?ねぇよアホっ!!」
「あら?ほかのところのにおいも……嗅いでほしいの?」
「いらんいらんいらん!!……って、やめろ!そんな上目遣いでこっち見んなっ!!つーか来るな!来るんじゃなあぁい!!」
「あらあら……すっかり遠慮しちゃって♪大丈夫……優しい大人の羽交い絞めでギューってしてあげるから♪」
「嫌だぁーっ!妖夢ー!よーむー!!早く戻ってきてくれぇーっ!!」
「ふふふ……妖夢は今はお風呂よ。それまでは……二人で楽しみましょ♪」
「や、やめろっ!待て、幽々子!話せばわかる!話せば……ギャアアアァァァァァァァ!!」
ピアの悲鳴が、白玉楼全体に響き渡った。それは、お風呂に入っている妖夢にもはっきりと聞こえた。
「……!お兄さん!?」
妖夢はすばやく服を着ると、慌てて部屋へと走っていった。
「お、お兄さん!いったい何が……」
「あ……」
「あら、妖夢」
妖夢がふすまを開けると、ピアに馬乗りして服を脱ごうとしている幽々子と、何もできずに呆然としているピアの姿があった。妖夢は体を小さく震えさせながら尋ねた。
「幽々子様……これは……どういうことでしょうか……?」
「どうって……夜伽?」
「いらんことを言うな!あと、なんで疑問形なんだよ!?」
「あら、愛し合う男女のハジメテなのよ?妖夢にはまだ早いから、とりあえず疑問形♪」
「おま……いますぐおr」
「……てください……」
妖夢が何かをつぶやいた。二人が妖夢の方を見ると、妖夢は目に涙を浮かべながら叫んだ。
「お兄さんから降りてくださいーっ!!」
ただでさえ狭い部屋で、妖夢は楼観剣を振り回した。ピアと幽々子は慌てて回避した。
「おうわっ!?やめろ、妖夢!」
「よ、妖夢!冗談よ、冗談!!だから刀をしまってちょうだい!」
「…………」
妖夢は振り回すのをやめた。それでも目にはたくさんの涙が浮かんでいた。
「ほ……ほんとですか……?」
「あぁ、本当だ。冗談だっての!幽々子の悪ふざけなんだって!信じてくれ!!」
「……はい……」
妖夢は楼観剣を落として、ピアに抱き付いた。不安だったのだろう。いざ、ピアが幽々子と交わるとなると、不安で仕方がなかったのだろう。
「ふぅ。……幽々子~?」
「ギクッ……」
「従者を不安にさせるんじゃない!それと、二度とこんなことをするな!いいな!?」
「うぅ~。はぁ~い……」
幽々子は多少不満そうだったが、それでもピアは説得し、納得してもらった。ピアは二人に別れを告げ、白玉楼をあとにした。
「次は……守矢神社……ん?」
ピアが冥界から出ると、外は雨が降っていた。ピアはしばらく頭を掻いて考えたが、やがて雨の中を突っ切ることにした。
「くっ!すっげぇ雨だ……!雷も鳴ってやがる……!!」
外の天気は、あいにくの荒れ模様。雷もひどく、横殴りの雨がピアの顔を打ち付けた。
「くそっ……翼を使うしかないか……!」
ピアは背中に魔王の翼を生やした。その後、翼を折りたたみ、意識を集中させる。
「……重力を前方に集中……飛ぶっ!!」
ピアはものすごい速さで空を駆けた。ものの数秒で守矢神社が見えた。
「急ぐしかないか……!」
ピアが守矢神社の境内に着地すると、そこでは待っていたかのようにタオルを持った早苗がいた。
「ピアさん!こっちです!!」
「早苗……?助かった!」
ピアは神社の中に入り、早苗からタオルを受け取った。
「ふぅ……急に降ってきやがったよ……。しかし悪いな、早苗。一旦、俺は帰るわ」
「えっ……そんな……」
「俺がここにいたら、さすがに神奈子が……」
「いや、構わんぞ」
ピアが遠慮していると、奥から神奈子が出てきた。ピアと早苗は、神奈子の意外な言葉に驚きを隠せなかった。
「い、いいんですか?神奈子様!」
「……外は天気が荒れている。こんな状況で追い出すほど、私も馬鹿ではない。……今回だけ特別だぞ」
言うと神奈子はすばやく踵を返して奥へと戻っていった。早苗は何度も神奈子に頭を下げて、お礼を言った。
「ありがとうございます!神奈子様!」
「さて……お許しをいただいたし、お邪魔しようかな」
「はい!どうぞ!!」
早苗は嬉しそうにピアを招き入れた。中にはいったピアは、諏訪子にも歓迎された。
「よく来たねぇ~!ゆっくりして行きなよ、ピア!」
「まぁ……そうさせてもらうよ」
「風呂も用意できている……入りたければ勝手に入れ」
相変わらず神奈子は短く言い切ると、さっさとどこかへ行ってしまった。諏訪子はやれやれ、とため息をついた。
「神奈子はやっぱり素直じゃないねぇ……もういっそ認めちゃえばいいのに……」
「どういうことだ?」
「いやぁ、この間の異変……『魔王異変』の時にさ……神奈子がピアのことを認めようか認めまいかって、ずっと悩んでいるんだよね……」
「……?意味がわからん」
「わかるよ。神奈子には神としてのプライドと、早苗の保護者としての責任があるんだよね。早苗が惚れた人だから認めてやりたいけど、神として悪魔のことは認めることが出来ないって、毎日毎日ぶつくさ愚痴ってるんだよね……。はぁ、もうちょっと素直になれればさぁ……」
「いや、無理をさせるのはよくない。神奈子は神奈子なりに悩んでいるんだろう?俺だったら、決断できるまでずっと待ってやるさ」
「そう?まぁ、ピアがそう言うなら私も待つけどさ……」
「とりあえず……風呂に入っても、大丈夫だよな?」
「あぁ、問題ないよ。さぁ、入っちゃって入っちゃって!!」
「お……おう……」
諏訪子に背中を押され、ピアは風呂場に連れていかれた。その間、早苗は昼食の準備をしてた。
「それじゃあ、皆さん。手を合わせて……」
「「「いただきます」」」
ピアは守矢神社で昼食をごちそうになった。おかずの中には、穴子もあった。
「おっ!穴子!!ラッキー!!」
「ピアさんが穴子を好きだということを、噂で聞いたんですけど……よかったです!」
「うんうん……うまい!やっぱり穴子は最強の魚だな!!」
「……まるで子供のようにはしゃぎおって……」
「まぁいいじゃん。ピアはそれだけ穴子って魚が好きなんだからさ!大目に見てやんなよ」
「…………」
神奈子はピアの方を見た。ピアがご飯を食べていると、早苗が近寄ってきた。
「あ、ピアさん!ほっぺにご飯粒が付いてますよ。とってあげます」
「え?いや、いいよ。自分でできるし……」
「いいから、動かないでくださいね?」
早苗は器用に箸を使い、ピアの顔についているご飯粒を取った。
「あぁ、ありがとう早苗。……早苗?」
「…………」
早苗はしばらくご飯粒を見つめていると、なにを考えたのか、そのご飯粒を食べてしまった。
「あっ!!」
「なっ!?」
「あ……」
三人が何かを言おうとしたが、その前に早苗がご飯粒を飲み込んでしまった。三人が呆然と硬直していると、早苗は満面の笑みを浮かべて言った。
「えへへ……ピアさんの味がします♪とってもおいしいです♪」
「…………」
「…………」
ピアと神奈子が完全に絶句していると、諏訪子がなんとかフォローしようと試みた。
「あ~、えっと……早苗?それはさすがにマナーが……」
「愛さえあれば、大丈夫です!」
「いや、さすがに今のはまずいんじゃ……。ほら、神奈子からも何か言って……」
「早苗……もう好きにしなさい……」
「神奈子!諦めたの!?」
「……さすがにもう……私の手には負えんな……。認めよう、ピア・デケム。お前は早苗に相応しい男だと」
「いや待て待て!!お前さっき諦めたよな?絶対に諦めただけだよなこれ!?もうちょっと考えて発言しろって!!」
「やりました!私とピアさんの愛が、神奈子様に勝利したのです!!これからは……病めるときも、健やかなる時も、ずっとず~っと一緒ですね!!」
「おいこら待てその理屈はおかしい」
ピアは必死に抗議したが、諏訪子も神奈子も完全に諦めていた。早苗はピアに抱き付くと、嬉しそうにしながら言った。
「ピアさん……その……優しくしてくださいね?」
「まぁてぇっ!!見ろ!外はすっかり晴れ模様だ!!昼飯もごちそうになったし、俺はそろそろ次の場所に行くぜっ!!」
ピアは急いで立ち上がると、大慌てで飛んでいった。早苗が外を見ると、外は確かに晴れていた。
「あ、本当だ!……ピアさーんっ!また来てくださいねぇーっ!!」
「それにしても……本当に晴れたね。それもいきなり……」
「(因果律で、雨の存在を否定したか。やれやれ……純粋な愛ほど、手強いものはないということか……)」
「ん?どうしたの?神奈子?」
「いや、何でもない。さて、私たちも食事を済ませてしまうか」
「はい、神奈子様」
「……あぁ、なるほど。納得した。とっとと食べちゃおうか」
守矢神社を出たピアは、地霊殿へ行くために地底を飛んでいた。
「ふぅ……誰か早苗を何とかしてくれないかな……」
独り言をつぶやきながら飛んでいると、旧都が見えてきた。ピアは一度旧都に下りて、ここからは歩いていくことにした。
「さて……こうやって歩いていれば、そのうち勇儀が……」
「私がどうかしたのかい?」
ピアの独り言に反応するように、勇儀が屋根の上から返事をした。
「よう、勇儀。少し語り合わないか?」
「お、珍しいねぇ!あんたからの誘いなら、乗らないわけにはいかないねぇ!!」
勇儀は屋根から飛び降り、ピアの目の前で着地した。その後、勇儀の案内で、元は茶屋だったであろう家の前にある椅子に座った。
「ほら、ピア用の盃!あんたのために作ったんだよ。どうだ?気に入ったか?」
「おぉ、これはすごい!気に入ったよ!ありがとう、勇儀!!」
「あっはっは!気合を入れて作った甲斐があったよ!ほら、飲みな!!」
「おう」
勇儀に促され、ピアは盃に酒を注いだ。勇儀も自分の盃に酒を注ぎ、ピアの盃と乾杯した。
「……ぷはぁっ!くぅ~っ!やっぱりピアと飲む酒は格別だねぇ!!」
「大袈裟だなぁ。そんなに俺と飲むのが楽しいか?」
「楽しいなんてもんじゃないさ!これは……なんていうかなぁ~、こう……幸せっていうのかねぇ……」
「は?“幸せ”?」
「そう、幸せ。ピアと飲む酒はね、私にとっては特別なんだよ。至福の時っていうのかな?今のこの時間が、ずっと続いたらなぁ……ってさ」
「勇儀……?」
ピアは勇儀の顔を覗き込んだ。勇儀はいつも以上に真剣な顔をしてピアに言った。
「ピア……死ぬんじゃないよ。あんたは絶対に死んじゃダメだ。あんたに支えられている連中は、私以外にもたくさんいる」
「…………」
「ピアにその自覚はないかもね……。でも、それでもピアを信じ、ピアを愛し、ピアを守る者たちがいる……それを忘れるんじゃないよ」
「……わかった」
勇儀はピアの目を見た。ピアの目には迷いもなく、嘘もなかった。勇儀はニヤリと笑うと
「あっはっは!それでこそピアだ!そら、どんどん飲みなよ!!」
「お前が飲みすぎないか心配なんだがな」
「う……ほどほどにするよ」
「オッケィ。飲もうか」
勇儀とピアはしばらく飲みあった。やがてピアは勇儀と別れ、地霊殿を目指して再び歩き出した。
「さぁて……こいしは素直にしてるかな?」
ピアは地霊殿に着くと、古明地姉妹が花に水やりをしているところだった。
「おぉーい!さとり!こいし!」
「あ!お兄ちゃん!!」
「あら、ピアさん。こんにちは」
ピアを見るや否や、こいしはすぐにピアに抱き付いた。ピアはこいしの頭を撫でてあげながら、さとりに軽くあいさつをした。
「よう、さとり。俺の世界の妖怪の話、また聞かせに来たぜ」
「はい。人に創られし人工妖怪……彼らのその後……また教えてください」
「よし。とりあえず……こいし、どこうか?」
「ん~?ヤダ」
「動けないんですけど?」
「動かなくていいです」
「動かさせてください」
「だが、断る♪」
「むぅ……参ったな……」
ピアが本当に困っていると、さとりがこいしをグイッと引き離した。
「こら、こいし。ピアさんを困らせちゃダメでしょ?」
「えへへ~。ごめんなさ~い♪」
「……はぁ。それじゃあ、ピアさん。私の部屋まで……」
「あぁ、行こう」
ピアはさとり、こいしとともにさとりの部屋へ向かった。部屋に入った後も、こいしはピアのそばを離れず、陽気に鼻歌を歌っていた。
「ふふふ、ふん、ふん、ふん、ふふふふ~ん♪」
「こいし……それは何の歌だ?」
「え?『ハルトマンの妖怪少女』だよ」
「あ~……こいし。とりあえずその鼻歌やめようか……」
「え、なんで?」
「いえ、何でもないです……」
「……?変なお兄ちゃん……」
「こら、こいし。あまりピアさんに迷惑をかけては……」
「かけてないよぉ~!あと、お姉ちゃん最近“こら、こいし”が口癖になってない?」
「なってません」
「なってるよ」
「なってないってば!」
「なってるよ!」
「こら、こいし……」
「ほら!言った!!」
「うっ……」
さとりとこいしのやり取りをずっと見ていたピアは、小さくほほ笑んだ。
「……?お兄ちゃん?」
「あぁ、いや。ちょっとな……見ててやっぱり家族はいいもんだと思ってな。……家族を殺した俺が言うのもあれだが……」
「お兄ちゃんにも、家族がいたの?」
「昔……な。母親、父親、兄貴、姉貴。あと親戚が何人か。全部この手で殺したけどな」
「ピアさん……」
「気にすんな、さとり。俺はそのことを、特に悔んでいるわけじゃないからな。俺、悔いの無い生き方しかしてないから」
「そうですか……」
「もう、お姉ちゃん!ちょっと心配しすぎ!それだと逆に、お兄ちゃんに気を遣わせちゃうでしょ?」
「そ、そうだけど……」
「俺なら心配ない。さっき言ったろ?“悔いの無い生き方しかしてない”って。それは今もそうだし、これからもそうだ」
「これからも……?」
「これから先に何が起きようとも、俺は絶対に後悔はしない。それが俺の生き方だし、宿命みたいなもんだ」
「ピアさん……」
「さぁて、妖怪の話でもしてやるよ。確か一昨日は……あぁ、そうだ。風の声が聞こえるって妖怪の話だったな」
「……そうでしたね。ぜひ、お聞かせください」
「私も知りたーい!」
「よしよし。じゃあ、ちゃんと聞くんだぞ?そんでその妖怪なんだが、これがまたえらくお調子者でなぁ……」
ピアは自分の世界の妖怪の話をした。人に創られた人工妖怪。その妖怪が主な話の内容だった。さとりもこいしも興味深そうに話を聞いていた。
「……んで、そいつは自分の姿を風と同化させたり、風の声を聞いて相手の動きを読んだりと、やり方次第では反則級の技を使えるんだがな……肝心の使い手がとんでもねぇバカでさぁ……」
「えぇ~、バカなの?」
「そ。でも、逆に言えばそいつは、風から常に新しい情報を仕入れているんだよ。だから、世界情勢なんかも誰よりも知っている。ただ……世界に住む一人一人の個人情報も知っているってことになるけど……」
「えっ?個人情報……?」
「あぁ。風なんてどこにでも吹いているし、だからこそそいつはどこの風からも情報を聞き出せる。屋外であいつと鬼ごっこをしてみろ。開始数秒でアウトだ。すぐに捕まる」
「すっごーい!でも……バカなんだよね?」
「バカなんだよなぁ、これが。そいつの上司で、妖怪の神の十尾の狐もよく言ってたぜ。“もうちょっと賢かったら、俺よりも強いはず”ってよ」
「たしかにそうですね……。風は自然によって作られるもの。その自然を味方につけているのなら、たしかに相当な実力者のはずですが……」
「バカなんだよね?お兄ちゃん?」
「そう。バカなんだよ、そいつは。自分の能力を、周りがくだらないと思うことにしか使わない……。同じ風を操る能力でも、文とは大違いだ」
「文って……あの天狗の人?」
「そうだ。俺にとっちゃ、文の方が遥かにマシなんだけどな……。文も文で、もうちょっと能力を違うベクトルに活かせないものか……」
「ふふ……風というものは何者にも縛られない、自由なものですから……。それはそれで、いいんじゃないんですか?」
「う~ん……さとりの言うことにも一理ある……」
「さっすがお姉ちゃん!いいこと言うねっ!」
「こら、こい……また言いかけちゃった……」
「やっぱり口癖か?」
「みたいです……」
「ほら、やっぱり口癖になってる!お姉ちゃん、ちゃんと直さないと!」
「この口癖を直す必要はありません!」
「えぇ~!なんでよぉ~!!」
「こら、こいし!」
「わぁ~!逃げろ~!」
「待ちなさーい!」
さとりとこいしは、ピアの周りをぐるぐるとまわるように鬼ごっこを始めた。それを見たピアは特に二人を止めはせず、大笑いしていた。
妖怪の話を終えて、ピアは地霊殿から出ることにした。さとりとこいし、さらに仕事の合間を縫って、お空とお燐も見送りに来てくれた。
「うにゅ~……私もピアさんと話がしたかった……」
「悪かったよ、お空。今度はそっちに会いに行くからさ」
「うん!私、待ってるよ!」
「あたいも待ってるよ!お兄さん、また来てね!」
「おう、また来るよ」
「ピアさん、今日も妖怪のお話をありがとうございました。またお話を聞かせてくださいね」
「あぁ。わかってるよ」
「またね!お兄ちゃん!!」
「こいし……無意識についてきたって駄目だからな?」
「あぅ……やっぱり?」
「駄目だぞ?」
「はぁ~い……」
こいしは若干ふててしまったが、ピアがそっと抱きしめてあげると、嬉しそうにピアの背中に手をまわした。
「またいつでも来てやるからさ。な?それで勘弁してくれ」
「えへへ~♪ギュッてしてくれたから許してあげる~♪」
こいしから許しを得たので、ピアは地上に出るため空を飛んだ。やがて地上へ出ると、次に仙界にあると言われている神霊廟という道場を目指して飛んだ。
ピアは適当に空を飛んだあと、本当に適当な場所で着陸した。
「たしかここら辺で……待ち合せっと……」
「ごきげんよう、ピア様」
ピアが辺りをきょろきょろしていると、どこからともなく青娥が現れた。
「おっと、青娥か。本当にどこからでも行けるんだな……仙界って」
「えぇ、その通りですわ。さぁ、こちらへ……仙界の入り口は、すでに開けていますから」
「なぁ、その敬語は……何とかならない?」
「無理、です」
「はぁ……じゃあ、我慢します」
「うふふ……よろしくお願いしますわ」
「あいよ……」
さすがに青娥まではタメ口にできなかった。ピアはほんの少しだけ肩を落として、青娥の道案内に従った。やがて、ピアは何とも言えない不思議な空間に入り、その奥でひっそりと佇む道場を見つけた。
「あれが……神霊廟?」
「えぇ、そして……我々の拠点でもありますわ」
「なるほどね」
「さぁ、ご案内いたしましょう」
「任せた」
引き続き青娥に案内を任せ、ピアは神霊廟の前に着いた。青娥がゆっくりと門を開いていく。
「太子さま。お客様……ピア様をお連れいたしました」
「ご苦労でした、青娥。ありがとうございます」
「もったいなきお言葉……」
「よう、神子。来たぜ」
ピアが短くあいさつをすると、神子は座ったままピアに手を振った。
「えぇ、待っていましたよ。貴方が来ることを、心待ちにしていました」
「俺も似たようなもんかな。少しだけ、お前にもう一度会ってみたいと思っていた」
「それはそれは……光栄の極みですね。今や知る人ぞ知る博麗の巫女の使いである、貴方の方からそう思っていただけるとは……」
「そんな大袈裟な……って、前にも誰かにそう言った気が……」
「大袈裟ではありませんよ。貴方が慣れていないだけでしょう……この、盛大なる歓待に」
「慣れてない……か。まぁ、そうかもな。俺は自分の世界でも、どっちかって言ったらはみ出し者って感じだったしな」
「ふふ……ですが、この幻想郷においてはその心配はありません。さぁ、大いに語らいましょう。私は貴方のことを……もっと知りたいですから」
「……まぁ、了解」
ピアは神子の前に座り、お互いが知る限りのことを教え合うことにした。ピアは自分の世界のこと、神子は生前の自分のことを語り合った。
「へぇ。じゃあやっぱり神子は、世に言う聖徳太子ってやつなのか。正確には、聖徳王か」
「えぇ。ですが、貴方はもとはただの人間……それが悪魔に憑かれ、魔王に転生するほどに力を得た……と。ふむ……やはりピア君は、私の知らないことを知っている。話していて、見分がさらに広まりそうです」
「それを言うならこっちもさ。普通の人間は学校っていう施設に通って、そこで歴史とか数学とかを学ぶんだよ。だが、俺はその施設に通っていないから、本人から話を聞けるっていうのはいい勉強になるからな」
「そうですか。力になれて何よりですよ」
「いや、俺の方こそ……」
「ところでピア君。これより先は、布都と屠自古も同席させたいのですが、いいですか?」
「あぁ、構わんよ」
「それはよかった……布都、屠自古。あなたたちも入りなさい」
神子が横目でふすまを見ながらそう言うと、そこから布都と屠自古が入ってきた。
「ははっ!失礼いたします」
「ピア殿、我らの同席をお許しいただき、感謝いたしまする」
「そ……そうか……」
「これ、布都よ。それに屠自古も……少し態度が硬すぎますよ?ピア君が困っているじゃありませんか」
「おぉ、これは申し訳ない!ピア殿は堅苦しい態度がお嫌いか?」
「それは失礼しました。以後、気をつけましょう」
「あ……あはは……。まぁ、よろしく」
布都と屠自古を交え、四人の会話の内容はさらに深いものになった。特に、布都からの質問攻めにはさすがのピアも手を焼いた。
「なるほど……恩を返すために博麗の巫女に仕え、信仰とともに幻想郷からの信頼をも勝ち取るとは!さすがピア殿じゃ!我もいたく感心しましたぞ!!」
「そりゃどうも。まぁ、霊夢にはいろいろと感謝しているからな」
布都がピアの功績に感動していると、屠自古も布都と同じようにピアのことを評価し始めた。
「うむ。どうやらピア殿には、呪われているという力に反発するように、天性の幸運を持っているようだ。さらに人望まであるとくる。ふふ……ピア殿には、あまり喜ばしいことではないだろうが、天は二物を与えたということになりますな」
屠自古の意見に、神子はクスクスと笑いながら同意する意思を見せた。
「現実とは、かくも残酷なものですね。自分が望まぬものばかりを、世界は与えてくる……それも、己を傷つけるものだと、はっきりとわかるものばかりだ。なぜ、世界は自分の思うようにならないのか?なぜ、世界は自分が望まぬものばかりを与えてくるのか?それは……簡単なことです。それこそが、世界が望んだ……世界が求める貴方の運命……」
「俺の……?」
ピアが首をかしげていると、その通り、と神子は強く肯定した。
「世界が貴方に、“そうあってほしい”と望んでいるのです。しかし、貴方は何度も世界に対し反逆を繰り返した……それでも世界は、貴方が望まぬもの……つまり、世界が望んでいるものばかりを与えてくる……なぜでしょうか?」
「知らん。俺はぶっちゃけ、そういうのに興味はないからな」
ピアがそっけなく答えても、神子は態度を崩さなかった。むしろ、今以上に楽しそうな表情になった。
「それも簡単なことですよ。ピア君……貴方、よもや自分の世界の神に好かれているのでは?」
「!?!?!?!?」
ピアは驚きのあまり立ち上がってしまった。神子は確信を得たように、ピアにさらに追及する。
「どうやら図星のようですね。しかし、貴方はその神の好意を何度も無碍にしていますね?あ、これは別に能力が無くても単純にわかります。貴方が単純すぎるので、案外察しやすいものですよ」
「……そうかい」
「おや?不満にさせてしまったでしょうか?」
ピアの返事が冷たかったのか、神子は少し不安そうに尋ねた。しかし、ピアは清々とした顔で答えた。
「まさか!むしろ当然だよ。あんなクソ神……むしろこの手で……」
「ピア君……貴方の世界の場合、その神一人で世界が成り立っているも同然。神が貴方を見捨てない限り、貴方は誰にも見捨てられない。たとえ……貴方が世界を拒絶したとしても、ですよ」
「……そうか。それも……そうか……」
「しかし、ピア君。もしあなたが世界を……神を受け入れたのならば、あるいは……」
「それはないぜ」
ピアははっきりとそう言った。その目には何の迷いもなかった。
「あいつは……『アベル』は俺の敵だ。それは未来永劫……絶対に揺るがない」
「アベル……それが、貴方の世界の神……」
「奴さえ殺せば、俺は不死の呪いから解放される……それだけが、俺の生き甲斐だ」
「ですが、それもここまでです」
神子はそう言うと立ち上がり、ピアの前まで歩み出た。
「貴方はこの幻想郷で生きる……今はそれでいいじゃないですか」
「神子……?」
「今日はここまでにしましょう。ですが、忘れないでくださいね。今の貴方は幻想郷の住人であって、貴方の世界の魔王ではない……。つまり、今はその神も関係ないのですから、決して過去を悔やむようなことが無いように……いいですね?」
「お、おう……。わかったぜ……」
神子に見つめられながら言われたピアは、思わず視線を逸らしつつ了承した。神子はにっこりと笑うと、布都と屠自古にピアの見送りを命じた。二人は言われるままに、ピアを仙界の外まで案内した。
「ありがとう。ここまでで十分だ」
「む、そうか?わかった、見送りはここまでにしよう」
「ピア殿!またともに語らい合おうぞ!」
「あぁ、布都もまた今度な」
「ピア殿ぉー!ピア殿はいつまでも、幻想郷の住人!我らの永遠の友ですぞぉー!」
「わかったわかった!じゃあな!!」
布都はいつまでも何かを叫び続けていたが、全部聞いているとさすがにキリが無かったので、ピアは適当に切り上げて飛び去った。
「ふぅ……終わった。さて、帰るか」
目的を達成したピアは、博麗神社に帰ることにした。月夜に照らされながら、ピアはのんびりと空を飛ぶ。
「……ん?」
ピアは途中で妙な違和感を覚え、その場で止まった。
「……なんだ?今、月が……」
ピアは月を見上げ、ひとり呟いた。しかし、そこにあるのはいつもの月で、やはり変わらず満月のままだった。
「……気のせいか」
ピアは再び博麗神社を目指して飛んだ。
「よっと……」
ピアが博麗神社に着いたころには、中から美味しそうな香りが漂っていた。霊夢が夕飯を作って待っていたのだ。
「ただいま~」
「お帰り。ちょうどご飯が出来たところよ。さぁ、食べましょ?」
「おぉ、こりゃうまそうだ!早速いただき……」
「待ちなさいよ。慌てなくったって逃げたりしないわよ。ほら、ピアの大好きな穴子丼!」
霊夢が穴子丼を出すと、ピアは無邪気に喜んだ。今すぐにでもかぶりつきそうに、どんぶりを持ち上げた。
「うおぉ!?あるなら先に言えっての!早く食べようぜ!」
「ちょっとは落ち着きなさいよ。まるで子供みたい……」
「穴子!穴子!穴子!」
「もう!ピアの頭の中には穴子しかいないの?」
「んなわけないだろ?そんな頭の中は春みたいな……それはないっての。ほら、早く萃香を呼んで来いって!穴子!穴子!」
「ほら!やっぱり穴子しかないじゃない!ちょっと待ってなさいよ……先に食べたりしないでよね?」
「待ってるって!ほら、早く呼んで来いよ!」
「もう……しょうがないわね……」
そう言いつつも、霊夢は萃香を呼びに行った。やがて三人そろうと、いつものように夕食を食べた。
「うめええぇぇぇぇぇぇぇっ!!やっぱり穴子はさいきょーだ!!」
「ピア!興奮しすぎ!!」
「あっはっは!まるで子供だねぇ……」
萃香にも同じことを言われたピアだったが、穴子を食べているためか、全く気にしなかった。この時、ピアは何か大事なことを忘れているような気がした。報告しなければならないような大事なことだったが、穴子に夢中ですっかり忘れていた。やがて三人は就寝し、次第に夜も明けていった。
ここまで読んでくださり本当にありがとうございます<m(_ _)m>
ついに本当の異変が始まる…
やっと伏線回収が出来ました、本当に長かった…(^_^;)
ではまた次回…