東方魔郷談   作:Walther58

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Ex-3です 勘違い注意です
ではどうぞ!


後日談… Ex-3 ~吸血鬼は執事が愛しすぎて夜も眠れない~

 

「ん……んあぁ……!ダメ……ピア、そこはぁ……!」

「なんだ?レミィの方から誘ってきたんじゃないか。

言ってることと、反応が随分と違うな」

 

「そうじゃなくてぇ……。ちがくてぇ……あぁ!!」

「ふふ……弱点、みぃ~つけたぁ~ww」

 

「いやぁ!そこぉ……弱いのぉ……」

「なるほど。それはつまり……もっと苛めてほしいということで、おk?」

「よくな……あぁん!!」

 

「ったく、ほんっとにレミィは可愛いなぁ……可愛すぎて……壊したいくらいに……」

「ピ……ピア……」

 

「レミィ……俺が好きか?好きなら好きと、はっきりと言え。でないと……俺、フランの方を好きになろっかなぁ~?」

「い、嫌っ!それだけは……フランにだけは負けたくないのぉっ!」

 

「なら、好きと言え。今、すぐに」

「……す……好き……。ピア……好きぃ……」

 

「ふふ……いい子だ。俺も大好きだぞ、可愛い可愛い……俺だけのレミリア……」

「あ、ピア……!」

 

「レミィ……」

「ピア……ピアあぁぁ……」

 

「……うさま」

「ピアぁ……ダメぇ……。そんなとこぉ……」

 

「お嬢様、起きてください」

「んふぅ……ん?ふえぇ……?」

 

 紅魔館の主、レミリアは声をかけられて目を開けた。そこには天井と、すぐ隣で自分を起こす咲夜がいた。

「……夢オチって……そりゃないでしょぉ……」

 

「何を言ってるんですかお嬢様?寝言がたいへんいやらしいかったことは触れないでおきます。お嬢様にお客様が来ていますよ」

「客ぅ……?今はそれどころじゃないわよ……早く夢の続き……」

 

「二度寝しないでください。ふふ……そのお客様は、今お嬢様が一番お会いしたい方ですわ」

「私が会いたい……?」

 

「お客様は今、庭で美鈴とお話をなさっていますわ。ですが、随分と急いでいるようなので、早くしなければ帰られるかと……」

咲夜はそれだけを言うと、ベッドのすぐ下に新聞を置いて部屋を出ていった。

 

レミリアは布団から出ず、腕を伸ばして新聞を手に取った。再び布団の中にもぐって新聞を読んでいたが、とある一面を目にした直後、ものすごい勢いで飛び跳ねた。

「な……ななな、な!?ピアが……生きてる……。ピアが生きてて、紅魔館に客が来ている……。その客は……私が一番会いたい人……はっ!」

 

 レミリアは大急ぎで着替えを済ませると、廊下から門の様子を覗いた。そこにはたしかにいた。美鈴と話をしている、あの愛しき姿を。

 

「待っていたわ……ずっと待っていたわ……ピア……!」

 レミリアは嬉しそうに笑うと、再び駆けだした。もう一度、あの声を聴くために。もう一度、彼と触れ合うために。

 

 レミリアが外出準備をする一方、紅魔館の門番である美鈴は、ピアとの三年ぶりの再会を祝していた。

「……そうなんですかぁ!へぇ~……やっぱり時間の流れが違うと、感覚って鈍るものなんですかね?」

 

「意外と鈍るぞ?“時差ボケ”ってやつでな。それだけで生活リズムを一気に狂わされる人間だっているんだ」

「うわぁ!時差ボケって怖いですねぇ……。私も気をつけないと……」

 

「そうだな。美鈴の場合……しょっちゅう居眠りしているから、正直心配なんだよな。寝すぎるっていうのも、意外と問題だらけだぞ?」

「あ、あはは……気をつけます……」

 

「ピアっ!!」

 美鈴とピアが話していると、紅魔館のメンバーが全員集合していた。ピアはレミリアの声に答え、そばまで歩み寄った。

 

「よう、レミィ」

「……久しぶり……。パチェ以外の奴に、“レミィ”って呼ばれたの……三年ぶりね」

 

「いや、まったく……って、あれ?なんで俺が生きてたって……」

「これよ」

 

 咲夜は先程レミリアに渡した新聞を、ピアにも渡した。そこには見出しに大きく“幻想の英雄、奇跡の帰還!博麗神社で再会を果たす!!”と書かれていた。

「……文……。やってくれたなぁ……」

 

「ともかく……お帰りなさい。この私を三年も待たせるなんて……執事のくせに、生意気よ?」

「はは……その……いろいろとすまん」

 

「お兄様ぁっ!!」

 咲夜と手をつないでいたが、とうとう我慢が出来なくなったレミリアの妹、フラン(フランドール)がピアに駆け寄った。フランが日傘を差していないので、ピアは慌てて翼を使って日陰を作った。

 

「おっととと……久しぶりだな、フラン……」

「お兄様だ……本当に、本物のお兄様だぁ……」

 

「あぁ、本当だ。ちゃんと本物だぞ?」

「このいいにおい……このキュッてした感じ……お兄様ぁ……」

 

 フランはこれでもかというくらいにピアに甘えていた。ピアはフランとレミリアを一緒に抱きしめた。

「ピア……会いたかった……会いたかったわ……」

 

「お兄様……フラン……もうお兄様のお傍を離れない……」

「あぁ……俺も……お前たちに会いたかったぞ……」

 

 ピアは二人を抱きしめながら、咲夜とパチュリーを見た。レミリアの友人であるパチュリーは、咲夜とともに三年間もの間を毎日スカーレット姉妹の世話をしていたのだ。

 

「咲、パチェ……二人には迷惑をかけたな。こぁも美鈴も、本当にすまなかった」

「謝らないで。ピアが帰ってこれたのよ。もう……余計なこと言わないの」

 

「私も、ピアさんと再会できてうれしかったです!これ以上の幸せなんて、どこにもないですよ!」

「咲、美鈴……」

 

「レミィも妹様も……初めは手が付けられないほど暴走してたけどね。まぁ、ピアが帰ってきたことだし、万事解決じゃないかしら?」

「そうですね!ですから、先輩!謝らないでください!」

 

「パチェ、こぁ……。……ん?こぁ、先輩(・・)ってなんだ?」

「あぁ、それは気にしないで。こぁも使い魔と言えど、仮にも悪魔……一応、あなたの後輩にあたると思ってね」

 

「あぁ、なるほどね。そういうことなら……よろしくな、後輩」

「はい!先輩っ!」

 

 こぁはかなり嬉しそうだった。こぁに会うことでピアは、改めて自分が悪魔であることを再認識することが出来た。幻想入りして以来、たまに自分のことがわからなくなるから。レミリアとフランがピアに抱き付いているところで、咲夜が一度だけ咳ばらいをした。

 

「ところで……ピア、今日はどういう要件なの?」

「いや、どうというほどの要件はなくて……」

 

「えっ?それじゃあピアさんは、本当にただ会いに来ただけなんですか?」

「そういうことだ」

 

 ピアの目的を知るや否や、レミリアは間髪を入れずにピアに言った。

「それならピア!今日はうちに泊まっていきなさい!」

「言わずもがな。そのつもりだ」

 

「え……そのつもりって……。嘘……本当に……?」

「はぁ?なんでここで嘘をつく必要がある?俺は本当のことしか言わんぞ?」

 

「あ……そ、それもそうよね!……フラン、続きは館に入ってからにしましょう」

「はぁ~い!」

 

 レミリアとフランはピアと手をつなぐと、そのまま紅魔館の中へと入っていった。こぁも、レミリアとフランの日傘を二人に差しながら、三人の後に続いて館に戻っていった。その様子を見送った咲夜、パチュリー、美鈴の三人は、お互いの顔を見ながら笑った。

 

「いやぁ……お嬢様たち、ようやく笑顔になってくれましたね!咲夜さん!」

「本当にね……。ここまで来るのに三年か……ちょっとだけ長かったわね」

 

「えぇ……でも、もう大丈夫。私たちの大切な宝物は今、中身(しあわせ)を取り戻したのよ」

「はい!」

「はい……そうですね」

 

「さて、私たちも戻りましょうか」

 パチュリーの言葉を待っていたように、三人はともに歩き出した。

 

 ピアはその日、一日を紅魔館で過ごした。その後、魔理沙に伝言を頼み、ピアは紅魔館に一泊することとなった。

 

レミリアとフランは、ピアに話したいことを山ほど話した。ピアはその一つ一つをちゃんと聞き、たまに外の世界の話も混ぜてあげた。

 

レミリアもフランもよっぽどピアに会いたかったのか、話をしている間もピアから離れることはなかった。今回は特別に、咲夜が美鈴に休みを出したので、美鈴も会話に交じった。

 

その光景はどう見ても、幸せそうな家族のようだった。ピアにとってのもう一つの家族、と言っても過言ではなかった。博麗神社に紅魔館。ピアは一度に二か所も居場所を得ていた。

 

昼食を済ませた後も、会話が途切れることはなかった。調べ物を終えたパチュリーとこぁも合流し、話題はさらに広がった。ほんの小さな話でも、レミリア達は興味深そうに頷いてくれた。

 

そうしているうちに日が暮れ、やがて夜を迎えた。ピアは咲夜の洗い物の手伝いをしていた。

 

「わざわざごめんね。ピアに洗い物を手伝ってもらうつもりは……」

「いや、むしろ手伝わせてくれ。レミィとフランも、“それなら待つ”ってさ」

 

「そう……。ピアにはお二方の添い寝までお願いしてしまって……なんだか申し訳ないわね」

「大丈夫だ。この程度のことならもう慣れた。それに……今回はいきなりじゃないからな」

 

「あ……そういえばそうだったわね。あの時はナイフ……投げちゃってごめんなさい」

「いや、あの時のことはいいんだ……。それよりも、咲……」

 

 ピアは咲夜に対しすこしムッとなって言った。咲夜は心当たりがないのか、ピアの表情に少し不思議そうな顔をした。

「……どうしたの?」

「どうしたもこうしたもないよ……。お前、フランに俺がネコ好きだってこと、教えただろ?」

「えぇ、その通りよ」

 

「……なんで教えたんだよぉ~……。あれは外部には秘密だって言ったじゃんか……」

「あら。外部には秘密だけれど、妹様は内部の者(うちがわ)でしたから……ですから、教えたまでよ?」

 

「うぐっ……!そうか……理屈上、そういうことになるのか……」

「えぇ、言ったわよ。今回はピアの凡ミスってことね」

 

「チクショー!なんてこったい……こんなことなら、いっそ“誰にも言うな”の方がよかったか……」

「ふふ……もう手遅れだけどね」

「ははっ……いやはや、まったくだ」

 

 二人はクスクスと笑い始めた。やがて洗い物を終えると、ピアは二人が待つ部屋へ向かうべく、台所を出た。

「ピア」

 

 途中、咲夜に声をかけられ、ピアは振り返った。

「私としては……貴方がいる今のこの時間を止めたいくらいに、今がとても楽しいわ。お嬢様も、妹様も……きっと同じことを考えているに違いない……」

「……そうかもな」

 

「ピア……もし、もしも貴方が、流浪の身になるようなことがあったら、その時は……」

「あぁ、言わんでもわかってる。その時は……ここに世話になるつもりさ」

 

 ピアがはっきりとそう言ったので、咲夜は安堵の息をつくと、もう一度笑顔になった。

「ありがとう、ピア。貴方とともにお嬢様にお仕えする日を……楽しみにしているわ」

 

「そうかい。まぁ……当分来ることはないだろうけどよ」

「……ふふっ……そうかもね。でも……いつかは、きっと……」

「ん?どうした、咲?」

 

「いえ、何でもないわ。お休みなさい……ピア」

「ん?あぁ、お休み」

 

 ピアは咲夜に別れを告げ、部屋へ向かって言った。

「貴方ならきっと……お嬢様を守り続けることが出来る……。私が生きることが出来ない……その先の時代でも……」

 

 咲夜はピアの後ろ姿を見ながらひとり呟き、自分の部屋へと戻っていった。

 

「ふぅ……さて」

 ピアは部屋の前で一度深呼吸をし、それから部屋をノックした。

 

「レミィ、俺だ。手伝い終わったから、入るぞ?」

「えぇ、どうぞ」

 

 レミリアから許可が下り、ピアは部屋へと入った。そこには、すでに寝巻き姿のレミリアとフランがピアを待っていた。

「待ってたわ。さぁ、早く寝ましょう」

「お兄様!はやくはやくぅ~!」

 

「わかったわかった。ちょっと待てって」

 二人に急かされ、ピアはベッドの真ん中に寝転がった。そしてフランがピアの右側、レミリアが左側にそれぞれ寝転がった。

 

「えへへ~!前にもこうやって、三人で寝てたね~!」

「いや、あれはどちらかっていうと、お前たちが勝手に入ってきてたんじゃないか」

 

「あら?意外と覚えていたのね」

「……いやでも忘れられん光景だったからな……」

 

「あの時はね!お兄様にギュってしたら、すっごく温かくて……すっごく幸せな気持ちになれたんだぁ……。フラン、すっごく気持ちよかったよ」

「あ、あぁ……そうか……」

 

「ピアの人としての温もり……悪魔がどうとかなんて、もう関係ないくらいに優しかったわ。それは……今でも私の、この胸の中に残ってる……」

「レミィ……」

 

「ピア……貴方は人間よ。私が言うんだもの。間違いはないわ……」

「ふわぁ……お兄様ぁ~」

 

 フランはピアの右手からどんどんのぼり、最終的にはピアの顔を抱きしめた。

「お、ちょ、フラン?」

 

「お兄様の髪……すっごいサラサラぁ~……。おまけに、いいにおい……私、このにおい……好きぃ……」

「そ……そうか……」

 

「お兄様ぁ……。私……お兄様のこと……もっと知りたいなぁ……。ねぇ、お兄様……?お兄様のこと……もっとフランに……おしぇて……?」

「わ、わかった。わかったから頭からはなr」

 

「あら、フランばかりに抜け駆けはさせないわよ?」

 フランが頭に抱き付いていると、今度はレミリアも頭に抱き付いてきた。

 

「こ、こら!二人してやめろっ!俺が身動きを取れんだろう!」

「別にいいじゃない。寝るときは身動きを取らないのよ?せいぜい寝返りを打つくらいかしらね」

「そういう意味じゃない」

 

「あ……そうだ、お兄様」

 フランが何かを思い出したように言った。過去にそれでいろいろと苦心したことがあるので、ピアは少し警戒した。

 

「うぇ?な、なんだ?」

「や……優しくしてね?」

「……どこで習った?」

「咲夜が……」

「あのメイドぉ……」

 

「あら?それなら三人でするということかしら?」

「ならねぇよ……!なんでそうなるんだよ……!」

 

「そうね……フラン、既成事実を作るわよ」

「はぁーい!」

 

「はいじゃない!普通に寝ろよ!」

「ふふっ……冗談よ。幽々子だったら本気だろうけど、私にとってピアはあくまで執事……さすがに肉体関係は……」

 

「え?お姉様、冗談だったの?」

「…………」

 

 フランはどうやら本気だったらしい。気が付いたら配置が横から上に変わっていた。

「……レミィ、フランの前で冗談とか嘘とかはやめとけ」

「えぇ……気を付けるわ」

 

「ふ~ん……冗談だったんだ……。あ、でも!フランは冗談でも、お兄様と“そーゆーこと”はしてみたいなぁ……。でも……フランはそういうことわかんないし……。ねぇ、お兄様?フランにいっぱい……大人のこと……おしぇてほしいな……」

「あと三千年後にな」

 

「フフフ……ピア、楽しいわね」

「お前……本気で言ってんのか?」

 

「私は楽しいわ。ピアは……楽しいかしら?」

「……そう、だな……。うん、楽しい。すっげぇ楽しいな」

「そう……それはよかったわ」

 

 レミリアはにっこりと笑った。フランは気づかないうちに寝息を立てていた。そのうちレミリアも眠りについたが、二人はピアの顔を離さないまま眠っていた。

 

ピアは何度も声をかけたが、そのうち諦めた。二人の幸せそうな寝顔を見せられては、さすがのピアも何も言わずに眠りについた。

 





後悔はしていません^^;平常運転です(^_^;)
ではまた次回
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