やはり俺の番外編はまちがっている。    作:T・A・P

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雪物語

 

 

 その日、比企谷八幡は文庫ではなく赤一色の書籍を読んでいた

 

 例によって、由比ヶ浜は用事があるため奉仕部にはいなかった

 比企谷八幡と雪ノ下雪乃は静かに読書をしていたが、雪ノ下雪乃はその赤一色の書籍が気になるらしくたまに比企谷八幡の方をチラチラと見ていた

 

「…………」

「……………」チラ

「……」

「…」チラッ

「………」

「…………………」チラチラ

「……雪ノ下、何か用か?」

「比企谷君、私があなたに用なんてあるはずがないでしょ」

「そうかい、そりゃ悪かったな」

「そうよ」

「…………」

「………………」チララ

「やっぱなんかあるだろ」

「なに、比企谷君。私があなたの方をチラチラ見ているわけがないでしょ」

「おい、まだ何も言ってねぇよ。お前、アレか、墓穴を掘るタイプか」

「…………」

「おい、その『あ、しまった!!』って顔やめろ。逆に俺の方が恥ずかしい」

「ところで、比企谷君。その本はなんなのかしら、見た事の無い本なのだけれども」

「流しやがったな。あ~これか、これは……これには呪文が書かれていてな、唱えると今俺の家にいる魔界の子供が呪文にそった技を……」

「比企谷君」

「はい、すみません。はい、ごめんなさい」

「真面目に答えてくれるかしら」

「言うより見せた方が早いだろ、ほれ」

 

 比企谷八幡は立ちあがり雪ノ下雪乃に近づいて、本を渡そうとした

 

「……おい、受け取れよ」

「あなたから受け取って大丈夫かしら」

「なんもねぇよ!」

「それは私が決める事よ」

「さっさと受け取れ」

 

 雪ノ下雪乃はようやく本を受け取り、本のタイトルを確認した

 

「化物語?」

「ああ、ちょっと前にアニメ化したから久しぶりに読みたくなったんだよ」

「比企谷君、こんなたくさんの文字を読めるの?」

「おい、驚くところそこかよ。ったく、まぁいい。一度読んでみろよ、かなりおもしろいぜ。なんなら貸すぞ」

「いえ、あなたから借りる物なんて何もないわ」

「お前は俺の事を罵倒しないで喋れないのかよ!ほんと、ガハラさんにそっくりだよ」

「が、がは……えっと、それは誰の事かしら?」

「ああ、それに出てくるヒロインの名前だ」

「それが私にそっくりなの?」

「それは読んでみりゃわかる。俺に借りないんならさっさと返せ、タイトルは分かったんだから書店に行けば簡単に見つかるぞ」

「……いえ、せっかくだから借りることにするわ」

「素直にそう言えよ」

「これが上巻って事は、下巻もしくは中巻あるのかしら」

「…スルーが一番ダメージでかいな。ああ、上下巻だ。ちょうど下巻も持ってきたから一緒に持って行け」

「そう、ありがたく借りる事にするわ。感謝しなさい」

「なんでだよ!!」

 

 

 

 

数日後、奉仕部にて

 

「比企谷君、コスプレをしなさい」

「……雪ノ下、何言ってんの?てか、押し付けんなよ。なんだこれ……この制服」

「由比ヶ浜さんもこれに着替えて」

「え、ちょ、ゆきのんどうしたの!」

「ほら二人とも渡した制服に着替えて」

 

 雪ノ下雪乃は大きな鞄の中から三着の制服を取り出して二着は奉仕部の二人に押し付け、残りの一着を持っていた

 

「比企谷君は廊下で着替えなさい。そして、良いと言うまで部室に入る事を禁ずるわ。もし、入ってきたら……」

「ひゃ、ひゃい。わかりました」

「よろしい。由比ヶ浜さんは小物が色々あるから私が手伝うわ」

「ゆ、ゆきのん。こわい、よ?」

「さぁ、比企谷君外に出ていってちょうだい。由比ヶ浜さんを脱がせられないわ」

「ぬ、脱がすって!」

「さぁ、由比ヶ浜さん。着替えましょうね」

「ひ、ヒッキー助け……」

「由比ヶ浜さん誰もあなたを助けないわ、あなたが勝手に一人で助かるだけなのよ」

「ゆ、ゆきのんが壊れたーーーー!!」

 

「こりゃ、ドハマりしやがったな」

 

 制服をよく見るとタグなどがなく既製品じゃなく、どうやら手作りのようだった。雪ノ下雪乃はこの数日で原作からアニメまですべて網羅した後、続巻まで読みこみこの制服を作っていたようだ

 

「どんだけハマったんだよ、雪ノ下は。まぁ、着替えるか」

 

 

 

「比企谷君、入ってきていいわよ」

「へいへい、待ちくたびれたぞ」

「比企谷君、似合っているわね。ちゃんと髪型もセットしているようだし」

「ひ、ヒッキー、どう?」

 

 比企谷八幡の目の前には、ホッチキスとカッターで武装している雪ノ下雪乃と三つ編みネコミミ眼鏡委員長の由比ヶ浜結衣が居た

 

「……おい、雪ノ下。こいつに羽川とか無理だろ、キャラ的に」

「ええ、さすがの私もそればかりはどうにもできないわ」

「お前はお前で違和感がないんだが。てか、そのホッチキスとカッターを俺に向けるな」

「阿良……比企谷君そこは俺ではなく、僕と言いなさい」

「俺の名前を間違えるな!」

「失礼、噛みました」

「違うわざとだ!」

「かみましね」

「わざとだ!」

「もう!ヒッキー!私のこの衣装、似合ってるかどうか聞いたんだけど!」

「いや、由比ヶ浜。それ、お前がやってる意味無いだろ。ほとんどウィッグと眼鏡でお前の要素隠れているし」

「………やっぱり?」

 

 由比ヶ浜はネコミミのついた黒髪三つ編みのウィッグをかぶりそれから眼鏡をかけていた。雪ノ下雪乃のように自然な物じゃなく、比企谷八幡が持っている自前のアホ毛的な物も無く、どこか着られているような感じだった

 

「ん~でも、こうやって今までやった事がない髪型も新鮮だよね」

 

 由比ヶ浜はあまりそう言う格好をしてこなかったのか、くるくる回ってスカートが広がるのを楽しんだりしていた

 

「…おい、雪ノ下。これでいいのか」

「……羽川さんはほうっておきましょう。それで、阿良々木くん」

「スルーかよ。てか、もう間違いとかじゃなく言い切りやがったな」

「ええ、阿良々木くん。私の事は戦場ヶ原様と呼びなさい」

「……え?その後の惨劇わかってて乗らなきゃいけないのか」

「私はあのセリフを言いたいのよ」

「……センジョーガハラサマー」

「片仮名の発言はいただけないわ。ちゃんと言いなさい」

「戦場ヶ原ちゃん」

 

 雪ノ下雪乃改め戦場ヶ原雪乃のチョキが、比企谷八幡改め阿良々木八幡の目をカスって後方に消えた

 

「マジで失明するだろうが!!」

「失言するからよ」

「どんな等価交換だ!?」

「銅四十グラム、亜鉛二十五グラム、ニッケル十五グラム、照れ隠し五グラムに悪意九十七キロで、私の暴言は練成されているわ」

「はぁ、これで満足しただろ」

「いいえ、まだよ」

「まだ何かあるのかよ」

「今晩、一緒に星を見に行きましょう」

「わーったよ……おい、雪ノ下それは何の冗談だ」

「今の私は雪ノ下じゃないわ。あなたの恋人の、戦場ヶ原よ」

「………あ~わかったわかった、今晩だな。んで、由比ヶ浜はどうすんだよ」

「…二人で行くから意味があるんじゃない」

 

 シャフ度でそう答えた

 

 

 

 今夜、星を見に行こう

 

 

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