俺のラブコメは緩すぎる!?   作:まえだ有機

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4話 その3

 

「…で、なぜこんな夜遅くに男の部屋に入って、しかもその部屋にいる男の上に跨ってたんだ?」

誠司は椅子に座ると床に座ったままの優香を見下ろして不機嫌さを隠さずに言った。

「え、えぇと。それは、その…」

優香は変わらずその質問に対しては言葉を濁してばかりである。

誠司のこの尋問は開始されてからすでに30分は経過しようとしているのである。

「……全く。早く答えんか。嘘を考えるのならもう手遅れだぞ」

「うっ………」

優香は実際に何かしらの言い訳を考えていたようで、誠司のその一言に再び言葉を詰まらせる。

そして、優香は意を決したような表情を作り、口を開いた。

「……話をしたかったの」

優香は言った。軽い上目遣いで、その目を潤ませて、そして、許しを請うかのように。

思わず誠司もその表情に少しドキッとしてしまった。

「ほ、ほう。それで、話ってのはなんなんだ?」

「……それは」

再び言葉を詰まらせる。

やはり、これも演技か?誠司はもちろん、疑った。

「…………いえ、やっぱり今は話さない事にする」

そう言って優香は少しだけ寂しそうな雰囲気を出して誠司の部屋を出て行った。

「…何がしたかったんだ?」

誠司はそう疑問を呟いて再び布団の中に潜り込んだ。

 

 

* * *

ー目覚まし時計の音が部屋に響き渡る。

五感が少しずつ覚め始める。

すると、かすかにシャンプーの香りが誠司の鼻先を泳いだ。

「…ん?」

誠司は重い瞼を持ち上げる。

そこには、再び篠原優香がいた。

「すー…、すー…」

彼女はとても気持ちが良さそうに寝息を立てている。

が、すこしわざとらしくもある。

「ったく、またか。…おい、篠原。起きろ」

今度は全く動揺した様子は無かった。

むしろ、またか。と言うような若干の呆れのようなものがあった。

「…ん。あ、誠司君。おはよ」

「お、おう。いや、待て。なぜお前がまたここにいる?それに絶対寝たふりをしていただろ」

誠司はベッドから降りながら言った。

「あら、どうして私はここに?」

優香は可愛らしい欠伸をしながらそう言った。

「全く、とぼけるのも大概にしたらどうなんだ…」

そう言って頭を抱える誠司を尻目に優香はベッドを降りて誠司の部屋を出ようとした。

だがもちろん、ここで何も起きないはずがない。

優香がドアを開く前に部屋の外からドアを開ける者がいた。

言うまでもない。

千沙斗である。

「あぁぁぁぁぁああ!!篠原優香!!あんた、お兄ちゃんに変な事してないでしょうね!!?」

朝からテンションマックスでツッコミをいれる千沙斗。

「あら、別にこれといってやましい事はしていないけど?それにこの部屋に入ったのだって5時半を過ぎたあたりだし」

と、優香は言った。

「うぐっ……」

小物めいた呻きをあげ千沙斗は黙り込んだ。

なんか、篠原と会ってからこいつ、雑魚キャラ臭がすごいな。

と改めて誠司は思った。

「と、とにかく!朝ごはん出来てるから早く食べて!」

千沙斗が無理矢理話題を変える。

そして優香の背中を押して誠司部屋から出した。

 

 

それから数十分後、誠司は優香とともにバス停へと向かっていた。

因みに千沙斗は中学校へ自転車で通っているのでマンションから出る時に別れている。

「はあ…、朝からなぜこんなに疲れなければならんのだ」

誠司は肩を落とす。

「まあ、気にせず今日1日元気にいきましょう!」

一方の優香はむしろ、どこかスッキリした感じである。なんかこう、やりたかった事が出来た時みたいなあんな感じで。

「主な原因にお前もかなり関わっているんだがな」

誠司は皮肉を言ったつもりだったのだが、前を歩く優香に完全スルーされた。

「はあ……。本当、疲れた」

誠司は再び深いため息を吐いて、前にいる優香に追いつくために歩を速めた。

「全く、そんなにため息ばかり吐いて、そんなんじゃ将来うつになるわよ?」

バス停の看板の手前で止まった優香がクスクス笑いながらこちらをみてそう言った。

「なら、俺がそうならないように極力原因を作らないでくれ…」

「まあ、善処する、という事でいいかしら?」

優香はそう言って何かの曲を口ずさみ始めた。

それより、なぜこいつは今日はこんなにもテンションが高いんだ?

誠司はそんな疑問が浮かんだが、あえて聞かない事にした。

待つ事数分。誠司たちが待っていたバスが来た。

そしてそれに優香が乗り込み、続いて誠司も乗った。

「……君。…さか君っ」

「……ん」

「朱坂君!」

「はっ!!」

誠司は目を覚ました。

バスに乗ってから眠ってしまっていたらしい。

「ほら、降りるわよ」

優香はそう言って席をたつ。

それに誠司も続いた。

「…本当にいい寝顔だったわ」

優香が微笑む。

「まさか、何かしたんじゃないだろうな?顔に落書きしたとか」

「あら、そんなベタな事はさすがにしないわ。それに、そんな、顔に落書きされた人と歩くなんて、耐えられないし」

優香はふいっとそっぽを向いてしまった。

何か、機嫌を悪くさせるような事をしてしまったのだろうか…。

誠司は考えたが結局、学校に着くまで答えは見つからなかった。

それから、

「じゃあ、私はこれで。また放課後にね」

優香と教室の前で別れ、誠司は自分の教室に入った。

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