俺のラブコメは緩すぎる!?   作:まえだ有機

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5話 その2

 

 

「まあ、そんなに大した話では無いんだけど…」

優香はそう前置きを言って話始めるかと思われたが、

「やっぱり朱坂君、場所を変えましょう」

「え、なんで…。いや、まあいい。わかった」

そして優香と誠司は英介と隼汰と別れ、教室を出た。

「で、どうしたんだ?場所なんか変えて」

誠司は聞いた。

なぜ大した事では無いのに場所を変える必要がある?いや、そもそも本当に大した事なのか…?と考えたからだ。

「ええ。それはまず第一に伊藤?君が苦手なタイプだからね。しかもその彼があなたが来る前からこっちをチラ見してるのは気付いていたし」

おい、伊藤のやつ本格的にヤバいぞ。これは単なる女好きの域を超えてる気がする。

「はあ、全く、伊藤やつは…。それであの場で話をしてたら伊藤が放課後に自分の手伝いに来るかもしれないと思ったんだな?」

「ええ、ご明察。まあ、手伝いに来るのはいいとして、彼が来ると効率が悪くなりそうなの」

隼汰は本格的に優香に嫌われているようだ。

「伊藤の事、本当に苦手なんだな。まあ、女子であいつの事が苦手なやつは沢山知ってるからあまり驚きはしないが」

苦笑する誠司に優香が「そうなの?」と聞いてくる。

誠司はそれに「ああ」とだけ短く答え、

「それで?今日の放課後、俺は何をすればいいんだ?」

「あ、そうね。早くそれを言わないといけないわね」

優香はすっかり忘れていた、と言うような表情をする。

「おい、それが本題なんだろうが……」

「あは…、まあ細かい事は気にしない!じゃないと、禿げるわよ?」

「いいから、早く話せ。時間が無くなってしまうだろう。それにあまり長引くとまた面倒になる」

誠司は優香を急かす。

もちろん、誠司自身ももう少し話したい、と言う気持ちも無きにしも非ずである。

が、何にせよ誠司のクラスの生徒が今日のこの誠司と優香の関係についてひどく興味を持っているため、長引かせることはできないのである。

「そうね、なら手短に行きましょう」

優香は誠司のその後を察したようで意外とすんなり同意した。

「結論から言うと私の生徒会の財務の仕事を手伝って欲しいの」

「ほう。でも何故俺なんだ?むしろそう言うのは会長の方が適任ではないのか?」

「いえ、宮原君にも一度頼んではいるんだけど今日は用事があるらしくて……」

なるほど、だから俺なのか。

誠司は納得のいった様子で頷いた。

「そういう事なら了解した。それで、どこでやるんだ、それは?」

「第一生徒会室でやろうと思うんだけど。いいかしら?」

「いいぞ。第一生徒会室だな」

誠司は同意した。

「さて、あまり長居するのもあれだ。さっさと戻ろう」

誠司はそう言い、優香を連れて自分の教室へと戻った。

 

教室へ戻るとやはり注目を浴びる。

が、今日だけでも何度もそうされたのですっかり慣れてしまった。

「本当に飽きんな。うちのクラスは…」

「まあ、面白いからいいでしょ?」 「いや、面倒な事は嫌なんだが…」

誠司たちの方を見ながらクラスの生徒たちは声を潜めて囁き合う。

例えば、ある女子のグループだと、「あの2人なんか結構合ってない?」「え〜。そう?」とか、

また別の、男子のグループだと、

「爆ぜろ、朱坂!!」「爆ーぜーろ!!」とか、

様々な声が誠司たちの耳に入ってくる。

そして先ほどの、英介と隼汰のいる席へと向かい、手近な椅子に座る。

「やあ、遅かったね。2人とも」

英介が笑いを堪えるかのように言った。

そこから察するにクラスでは誠司たちの話題で色々と論争になっていたようだ。

「そこまで長くはなかったはずだが」

「いや、こっちからすると結構長かったりするんだぜ」

隼汰が答える。

しかし、実際には10分経ったかどうかくらいだ。

「まあいい。とにかく用は済んだんだ。それでいいだろ」

そう言って誠司は優香の方をちらりと見る。

「ええ、そうね」

と優香が答える。

「じゃ、用も済んだ事だし、お暇させてもらうわね」

そして優香は席を立ち、教室を出て行った。

「さて、やっとひと息つけるな」

と誠司は呟く。

「いや、まだひと息吐くには早いぜ」

と言う隼汰の一言からクラスの生徒たちからの本日何度目かの質問責めが始まった。

「ちょっ、待てって。おい!!あ〜もう!!わかった、わかったから1人ずつにしろ!!!」

 

* * *

午後の授業の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響く。

誠司は荷物をまとめ教室を後にした。

生徒会室へ向かう途中、好織と出くわした。

「あ、朱坂先輩!!」

「おう、山村か」

「先輩、今どこ向かってるんです?」

「ん、生徒会室だ」

「え?生徒会室に用があるんですか?」

「ああ、多分大丈夫だ」

「多分?会長に呼ばれたんですか?」

誠司の曖昧な返事にすかさず疑問をとばす好織。

「まあ、そんな感じだな」

そう言って誠司は再び生徒会室へと向かう。

好織もそれに続く。

 

ー生徒会室に入るとそこでは優香が何やら書類を整理していた。

優香は誠司たちに気づき顔を上げた。

「あら、やっと来たわね。…って山村さんまで?」

優香は意外ね、と少しだけ驚いた様な素振りを見せる。

「別に構わないだろ?それに1人でも多い方が捗るだろうし」

「そうね。じゃあ山村さん。お願いするわね」

優香は好織に軽く微笑みかける。

「任せて下さい!!」

好織はそれに答える様に小さな胸をポンと軽く叩いた。

「ってか、それより私は何をすれば良いんですか?」

そう言えば好織に説明するのを忘れていた気がする。

「あら、朱坂君から聞いてないのね。少し財務の仕事を手伝って欲しいの」

と優香は言った。

「なるほどぉ。りょーかいしました!」

パンっと好織は手を合わせた。

好織の行動の一つ一つの意識が心なしか誠司に向いていると誠司が思ったのは多分、勘違いである。

「さて、話してても終わらないからさっさと済ませてしまいましょう」

優香はそう言って書類を3つに分けた。

そしてそのうちの1つを誠司に、もう1つを好織に渡し、最後の1つを優香が取った。

若干、誠司に渡された書類が多い気がするのは多分、誠司の気のせいである。

 

それからは3人ともが黙々と書類をさばいた。

仕事をしている最中、ずっと好織が誠司に話しかけようとしていたのは多分気のせいではない。

時計の針が6時半を指した時、

「終わったぁぁぁぁ…」

と好織が声を上げ、プシューー、と音が鳴りそうな感じで座っていた椅子に身を委ねる。

「山村さん。今日はありがとう。帰ってもらっていいわよ」

と優香が言うと、

「本当ですか!?じゃあ、朱坂先輩!帰りましょう!!」

好織は途端に元気になり勢い良く椅子から立ち上がったかと思うと誠司に飛びつこうとする。

「あ、朱坂君にはまだやって欲しい事があるからまだ帰らないで」

と言う優香の言葉とほぼ同時に好織が転ぶ。

「そうか。わかった」

「えぇ〜。それは無いですよぅ篠原先輩ぃ…」

立ち上がりながら好織が抗議の目を向ける。

「あら、手伝ってもらったのにこういう事を言うのはアレだけど。私が実際に頼んだのは朱坂君だけなのよね」

要するに、用済みだから早く帰れ、である。

「はいはい、わかりましたよぉ」

と少しふて腐れた様な表情を浮かべ好織は生徒会室を後にした。

「さて、残りをさっさと済ませましょうか」

そう言って優香は誠司の方へと歩み寄る。

 

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