俺のラブコメは緩すぎる!?   作:まえだ有機

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3話 その3

ー放課後の始まりを告げるチャイムが校舎内に鳴り響く。

誠司は午後の授業は全て上の空で終始何か思い詰めた様な表情で机に向かっていた。

もちろん、あの事である。

 

* * *

 

ー今日の昼休みの事である。

生徒会室から教室へ戻る際、誠司は篠原 優香に呼び出された。

「朱坂君。明日の放課後、空いてる?」

彼女は若干の緊張が入り混じった声で、こちらを恐る恐るというような、正に触れれば壊れてしまうのではと錯覚させる表情でこちらを見つめそう言った。

「えっ、あ、ああ。空いているが?」

誠司は目をそらし、正にヘタレ主人公とはこの事、と言わんばかりの情けない返答をした。

そして彼女は、

「そう、じゃあ、明日、よろしくね?」

彼女は嬉しそうに微笑みながらそう言って軽やかな足取りで自分の教室へと戻って行った。

 

 

* * *

 

そんな事があって、誠司(彼女募集中)は舞い上がってしまっていたのだ。

なぜなら、彼のその後の頭の中は、一緒に行くならどの街がいいか、とか、夕食はどのジャンルのどの店がいいか、とかだったからである。

もちろん、彼は英一朗に頼まれた事は完全に忘れ去っている。

そして、

「さて、帰るか。明日の放課後の為の準備をしなければならないからな」

と言って立ち上がった。

そして教室を出たその時、

「あ」

「あ」

ちょうど誠司は優香と出くわした。

自然と顔が火照ってくる。

「朱坂君、どこへ行こうとしているの?」

優香は問いかけてきた。

「え、そ、そりゃあもちろん家に帰ろうとしているのだが?」

上手くしゃべれない。完全に緊張してしまっている。

一瞬、優香は目を細めてから再びぱっちりと目を開き、

「はあ、やっぱり勘違いをしているようね」

今度は額に手をあて、やれやれと言った様子でため息を吐く。

「え?」

思わず間抜けな声が出てしまった。

そして彼女は今度はやっぱり、と言った様子で、

「あのお昼休みの事なんだけど。多分、あなたは私がデートのお誘いでもしたと思っているんでしょう」

もちろんその通りだ。

だが、誠司はそんな事は知らないし、完全に意識は明日なので怪訝な顔をするだけである。

「あれね、デートじゃなくて、生徒会の仕事を手伝ってもらいたかったの」

「あ、な、なるほどな……」

誠司はその一言で瞬間的に現実へと引き戻される。

そして、止めに、

「それと、私があなたに気があるなんて事は万に一つも無いから。そこ、分かっておいてね」

しかも笑顔で。

誠司の自信と希望は完全に砕け散った。

完全な脈ナシ宣言ををされた誠司はその場で棒立ちになり、魂の抜けた抜け殻のようになった。

「あと、もう一つ。多分忘れているだろうから言っておくけど、この後生徒会室で会議だからね。忘れないで来るように」

優香は釘をさす様に言った。

それから10分程、誠司はショックでその場に立ち尽くしていた。

そして誠司が立っていたのは教室の出入り口の前だったので教室を出ようとしたり、入ろうとした人にとって大いに邪魔になったのは言うまでもない。

 

その後、誠司は充分に絶望に浸った後、生徒会室へと向かった。

中へ入ると案の定、誠司を除いた全員が集まっていて完全に誠司待ちの状況だった。

「会長、すまない。少し色々あってな」

誠司はそれだけ言うと自分のいつもの席に座った。

補足すると、 生徒会室は学校の教室の中でも最も広く、しかも2つの部屋が用意されている。なので手入れはとても大変だが、その分便利なのは言うまでもない。

ちなみに現在、誠司たちが集合している部屋はいわゆる第一生徒会室と言って、生徒会のメンバーや委員会委員長、部活の部長などが会議をする為の部屋である。中央にはU字を描く様に長テーブルが置かれており、壁には学校の過去の資料や現在の資料が所狭しと並べられている。

そしてもう一つの部屋は第一生徒会室よりも少し狭く、こちらは通称第二生徒会室と呼ばれている。正式には応接室なのだが基本的に学校への来賓の方々は校長室へと招き入れられるので、こちらは生徒会へ生徒が相談する際に用いられる。

 

と、今するべきかわからないがとりあえず今しとかないと後で出来ない気がしたのでこの学校の生徒会室について説明させてもらった。

 

「 さて、全員揃ったし、会議を始めようか」

英一朗が立ち上がり、会議の開始を告げる。

「今回の議題だけど。昼に話した様に、今年の強歩大会に変わる新しい学校行事の考案だ。期限は来週末までなんだけど、早く決めておいて悪い事は無いからね」

と英一朗は言った。

そして、

「昼にも言ったけど、みんな!新行事の内容、考えてきてくれた?」

英一朗は明るく問いかける。

が、メンバーの反応は微妙で、どれくらいかというととにかく微妙で、これ以上の言葉が見つからないレベルである。

「あはは、やっぱり?まあ、予想はしてたんだけどね。実際にこうなると困るよね」

と口調だけでは本当に困っているのかこちらからはさっぱりわからない声で言った。

「はい!はいはい!私、考えてきた!!」

と、元気良く手を挙げ猛烈に自分をアピールする少女が1人。

生徒会書記、 山村 好織である。

「お!山村さん、考えてきてくれたんだね!!」

英一朗の顔が明るく輝く。

「さっそく、聞いてみようかな。どんなアイデアなんだい?」

「私が考えたのはですね……」

そこで一度言葉を止め、すうっと息を吸って、

「校内、美男美女コンテスト、です!!」

好織が言い切った瞬間、一瞬の沈黙、そして、

「山村さん、それは学校祭の時にでも企画して欲しい感じかな。だってそれってみんなで協力できないでしょう?」

英一朗がこれは想定外だった、と言いたげな表情で言った。

「え?でも、協力はできますよ?」

と、好織はキョトンとした表情で言った。

こいつ、あざとい、と誠司は思った。

「もしかして、と思ったんだけど、確認の為に聞くけど。それって組織票とかじゃないわよね?」

優香が好織に聞いた。

ちなみに組織票とは多数の人が協力して1箇所に集中させた票の事である。

すると好織は、

「はい!!もちろんそうですよ」

と笑顔で答えた。

笑顔は可愛いのに言ってることが恐ろしすぎるよ、この子。てか、組織票をする前提じゃねぇか。

誠司は好織も自分の敵に回したくない人間リストに加える事にした。

現在、それの登録者は好織を、含め2人である。もう1人はあえて言わない事にしよう。

「まさか、当たってしまうとわね。本当、末恐ろしい子みたいね」

と優香は額に手をあて、ため息を吐いた。

もちろん、好織の案はボツになった。

 

それからしばらくは誰からも案が出ず、会議は膠着状態になった。

いい加減、日も暮れて来たので、

「さて、これ以上ここでこうしててもあまり意味は無さそうだし、今日はこれで解散ね」

英一朗の一言が生徒会室の沈黙を破った。

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