「あ、そうそう!明日は1日空けるから、明後日はみんなアイデア出してね!!」
解散間際に英一朗がそんな事を言ってきた。
「あいよ」
「りょーかいっ!」
「わかったわ」
「…わかりました」
生徒会メンバーはそれぞれがそれぞれの返事をしてそれぞれに生徒会室を後にした。
「ふう、やっと終わった。ったく、本当に今日は疲れた」
誠司は廊下を歩きながら1人、愚痴をこぼす。
「そうね」
優香が相槌を打つ。
「うわっ!篠原!?なぜここに!??」
誠司はすぐ後ろを歩く篠原優香の方へ顔を向けた。
「最近、あなたってキャラが崩れてるんじゃない?」
優香が意地悪く微笑む。
「いや、それは関係ないだろ…。んで、なんの用だ?」
「全く、冷たいのね」
優香はそう言って何かを楽しむような笑みをこぼす。
「それは俺の性格だからあえてツッコまないとして。で、何か用があるんだろ?」
誠司は話題をそらさせない。
「はあ。貴方には用が無かったら話しかけちゃいけないの?そんなだからモテないんでしょ?」
「いやっ…!はあ、もういいや」
誠司はこれ以上追求することをやめた。
気がつけばもう既にバス停まで来ていた。
「そういえば篠原。お前っていつもどうやって学校に来てるんだ?」
誠司はふと、気になったので聞いてみた。
「そうね…。いつもはバスで来てるけど、それが何か?」
「いや、ふと思っただけだ。気にするな」
「そう」
・ ・ ・
まずい、すごく気まずい。
何か話さないと。
「な、なあ。篠原」
「あ、バス来た」
とまあ、お決まりのオチになるのであった。
2人はバスに乗り込んだ。
そして席に着いた時に、
「それで?朱坂君。さっき、何か言いたい事でもあったの?」
ああ、聞こえてたのか。
「いや、ただあの空気の居心地の悪さに耐えられなかっただけだ」
「そう」
再び沈黙する。
バスの中は正面に座っている他校の生徒のイヤホンから漏れる音楽とアナウンスの音声以外は静かであった。
しまいには優香がスマホで何やらゲームを始める始末。
「(俺ってこんなに駄目な甲斐性無しだったのか?)」
誠司はこの居心地の悪さをつい自分のせいにしてしまった。
そんな感じで結局、お互い何も喋る事無く誠司の降りるバス停まで来てしまった。
「篠原、俺はここで」
誠司はそう言って席を立った。
そして料金を払いバスを降りる。
それからバスは走り去って行った。
「さて、歩きますかね」
「そうね」
「…ってまたかーー!!」
後ろを振り返ると再び篠原優香の顔があった。
「?」
彼女は誠司の態度が何故かわからないようで首をかしげた。
「いや、なんでそんなにナチュラルに俺のあとをついてくる?」
「あぁ!なるほど。言ってなかったわ」
誠司の問いに優香はハッとしてそう言った。
「一体、何を言っていなかったんだ?」
誠司は当然の質問を返す。
「ええ、私もこっちの方向なの。だから必然的にこうなるわけ」
「そうか。そう言う事だったのか」
誠司はなるほど、とやっと納得がいった。という様子で前へ進み出した。
その隣を優香が歩く。
側から見ればそれはまさにカップルそのものだろう。
まさに美男美女のカップルできっと周囲に人がいれば彼らはきっとこう思うだろう。
「爆ぜろ!!!」
と、
それだけお似合いなのである。
しかし当の本人たちは事実上付き合っていないし会話したのも今日の昼なので付き合いの浅さは結構なものである。
「ナレーションが愚痴ってるな」
「そうね」
なんてメタな会話を交えつつ、彼らはお互いの住む場所へと歩いて行くのであった。
* * *
それから少し経って、場所は誠司の住むマンションの誠司の住む部屋の前。
「なあ、篠原よ。予想はしていたがこれはどういう事なんだ?」
「そうね」
「そこでその返事は違うだろっ!!」
そう、察しの通り今誠司の部屋の入り口の前にはその部屋の住人、誠司と彼と同じく生徒会メンバーである篠原優香が立っていた。
「そうね。実はさっき親からメールがあって今日は帰れないから友達の家に泊まるなりなんなりしてくれって」
「いつ、そのメールは来たんだ?」
「バスに乗ってる時に」
「ほう。それで、なんでお前はここにいる?」
「朱坂君の家に泊まるためよ」
「はあぁああ!?」
当然の反応である。
何せ、急に今日始めて会話した少女と家に帰るまで一緒に居たと思ったら自分の家までそれがついてきてしまいには今夜、泊めてくれと言い出すのだから。
すると、
「誰なの!人の部屋の前で騒ぐのは!!」
と勢いよく誠司の部屋のドアが開かれる。
言わなくてもいいだろうが一応。
誠司の妹、朱坂千沙斗である。
「あ、お兄ちゃん。おかえり」
千沙斗は兄の姿を確認すると正に天使のような笑みを浮かべた。
が、その瞬間に彼女は凍りついた。
「……んなっ!!?」
千沙斗は恐らく今日、一番驚いた。
なぜなら、自分の愛する兄が可愛い妹がいるにも関わらず他の女を連れてきているのだから。
するとその女(優香)は、
「こんばんは。あなたは、誠司君の妹さんかしら?」
と上品な雰囲気に上品な挨拶を加え、正に淑女と言った体で千沙斗に話しかけてきた。
「…は、はわ、わわ。お、お兄ちゃん!?」
「な、なんだ!?」
千沙斗は出来るだけ平静を装って声をかけたつもりだったが、動揺が大き過ぎたらしく語尾で声が裏返ってしまった。
「こ、こ、この女の人とは、どういった関係なのかな?」
千沙斗は完全に頭が回らなくなってきていた。
こんなんでも実は中学では学年トップなので、世も末である。
「篠原か?こいつはだな…」
「私は誠司君の彼女ですぅ」
誠司が答えようとした時に優香は一歩前に出て、そう言った。
「「はあぁぁぁぁぁ!?」」
誠司と千沙斗の声がシンクロした瞬間であった。
今日はこれで終了します
明日は4話を全部あげる予定です!
よろしくお願いします!