瑞雲への道のり
現在の状況を一言で表すと……
『風呂で溺れている』
いつも通りに学校から帰って、遠征出して、演習やって、メシ食って、それで風呂に入ろうとしたんだが……
石鹸で滑って湯船にダイブ。
「ぷはぁ……しぬところだった……」
慌てて体勢を直して水面に顔を出す。
提督がお風呂で轟沈なんて洒落にならない。
「日向、入渠ぐらい静かに済ませなさいよ」
「あ、あぁ。すまない」
隣のドックで入渠中の叢雲に怒られてしまった。
修理用ドックは公共の場。話すぐらいならともかく暴れるのは良くない。
「え…あれ?」
叢雲?ドック?何を言っているのだ俺は?
「落ち着きが無いわね。どうかしたの?」
「あ、いや、問題ない」
まさかこれは艦これのトリップというか憑依しちゃったアレ?
「やった、やったぞ!」
俺はドックから立ち上がって叫んだ。
「ちょ……日向。アンタ大丈夫?」
「いや……なんでもない。騒いですまない」
叢雲が怪訝な顔で見ている。
さすがに今のは怪しすぎだ。反省。
「修復材使ったほうがいいんじゃないの?書類は書いておくから。日向のアタマがおかしくなったって」
叢雲は一度ドックから出ると高速修復材が入ったバケツを持ってくると俺にぶっかけた。
「ほら、さっさと部屋帰って寝てなさい。アンタ明日も出撃だから」
「あ、ありがとう?」
俺は脱衣場に入ると無意識にあるかごの前まで歩いていった。
「伊勢型の服?そういえば叢雲は日向って言ってたか」
日向と言えば俺の持っていた艦娘のなかで一番の練度を誇る艦娘だ。
まぁ、まだ70台だったけど。
いつ改二が来てもいいように80までは上げておきたかったのだが……
「まぁいっか。もしかしたらこの日向が、改二である可能性もなきにしもあらずだし」
そうでなくとも生瑞雲を見るチャンスだ。
夢だかなんだか知らないがそのチャンスを逃すわけにはいかないだろう。
俺はよく日向、伊勢、最上、三隈、鈴谷、熊野で艦隊を組んでいたものだ。最大スロットに瑞雲を積めば搭載数の合計は50を越える。
軽空母以上!(なお烈風には負ける模様)
さらに弾薬の消費も少ない!(ボーキサイトは減る)
なにはともあれとにかく瑞雲だ。
俺は日向の部屋に向かうことにした。
*
「無い」
脱衣場を出た俺は(服は半自動的に着た)日向の部屋を見ている。
「瑞雲が無い」
そう。部屋には瑞雲の影も形も無かった。
「瑞雲のずの字もないじゃないか」
いや、まだワンチャン。日向は自室に趣味のものを置かないだけかもしれない。
艤装を展開すれば中に瑞雲があるはず。
「出ろっ!艤装!」
出た。
六基十二門の主砲が……
(六基目がどこにあるかとか突っ込んではいけない)
なんといえことだ。この日向は航空戦艦になっていないのだった!
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