現在、我が鎮守府はピンチに陥っている。
「牛缶切れた……」
「野菜ももう無いぴょん」
食料が無い。別に使いすぎた訳ではない。補給ルート上に空母棲鬼を中心とした大規模機動部隊が展開中であり、補給が来なくなったのだ。勿論ルートを一つ潰された程度で補給が途絶えた訳ではない。敵の通商破壊が活発化しているのだ。
「もうダメ……私は防空砲台になる」
「姉さん、諦めないでください」
「うーちゃんも一歩も動けないぴょん」
「だらしないぞ卯月」
倒れる雲龍、項垂れる卯月。士気はだだ下がりだ。特に提督は死にかけている。
「あぁ……雲龍さんのお肌の張りが……」
「提督、しっかりしてくれ」
どうもダメらしい。
「どうする赤城」
「まず、現状を整理しましょう。お米の調達は無理です。伊168と伊58、そして秋津洲の帰還を待ちましょう。それでも不十分ですが」
イムヤとゴーヤはもぐら輸送中である。秋津洲は二式大艇に食料を運ばせている。ただし彼女たちも多くの食料を運べるわけではない。
「私の後部甲板と格納庫に食料を満載するのはどうだ?」
「いま主力の日向さんに居なくなられては困ります」
そうか……なら仕方ない。
「次にビタミンの摂取についてですが、近隣の島に自生する果物を食べることになります」
「成る程。最後に肉類だが……」
「はい、魚はいくらでも取れます。問題は哺乳類の肉ですが……。鯨を捕まえるのがいいと思います」
鯨を獲る。つまり捕鯨である。前世?ではなんだかんだで問題が多かったが深海棲艦が制海権を握るこの世界では特に何も言われない。
「捕鯨か……よし、メンバーを決めよう。鯨を運ぶために私か空母が必須だが……」
「捕鯨に有効な海域はまだ行ったことのない海域です。日向さんが行ってみて安全そうなら空母で行きます」
「わかった。他のメンバーは……」
その時、食堂のドアが急に開く。入ってきたのは……
「日向さん!私に任せて!こういうこともあろうかと夕張特製の捕鯨マシーンを開発しておいたのよ!」
夕張だった。背中には艤装に加えてなにやら怪しげなパラボラアンテナのような機械が付いている。
「さあ、出撃よ!今夜は鯨パーティーね」
夕張は俺の腕を掴み、軽巡洋艦とは思えないパワーで俺を引きずった。
*
「ごめんなさい、早く新しい装備を試したかったんです」
作戦海域にて、俺と夕張の二人だ。戦艦クラスの敵に狙われると少し苦しいな。まあ瑞雲が有れば問題ない。
「とりあえずそれを使ってみてくれ」
「勿論!いくわよ!」
しおらしい態度から一転、張り切った表情で装置を起動する。反省の色は見えない。背中のパラボラアンテナがくるくると回った。
「この特殊電波で鯨をおびき寄せるのよ。早速手応えが有ったわ」
「いや夕張、あれは駆逐イ級じゃないか?」
こちらへ向かう三隻の艦影。あれは駆逐イ級と……潜水母艦大鯨!?
「夕張、艦娘が追われている。助けるぞ」
「え、?実は私これつけると戦闘が……」
なんでこう極端なんだこの娘は!
「わかった。行け!瑞雲」
後部甲板を反転させ瑞雲を緊急発艦。二隻のイ級は大鯨を追うのに集中して接近するまで瑞雲に気付かなかった。もう遅い!
「急降下爆撃!」
瑞雲の爆撃でイ級は轟沈!無印のイ級など瑞雲の敵ではないのだ。
さっさと本筋の詳細考えなきゃ