近所の瑞雲「おう、戦艦はどうだ?」
作者「戦艦は……そう、まあ、そうねぇ……」
「これで止めだ!」
主砲が相手の長門に直撃し、大破させる。同時に視界が暗転。
「ふう。演習終了」
バイザーを外して周りを見渡す。今回の演習参加者は俺、雲龍、天城、明石、秋津洲、大鯨だ。大鯨の着任から数日たち、もぐら輸送や、空輸等によって鎮守府は持ち直していた。
余裕ができてきたので最近の演習では実戦で経験を積むのが難しい艦の練度を上げている。この鎮守府は脱走者の集まり。敵だけでなく、いつ味方に攻撃されるかわからない。
「皆さん、お疲れさまです」
提督が工廠に入ってくる。
「提督、今回はなかなかいい経験が積めたと……」
提督は俺の報告をスルー。鼻息を荒くして雲龍へ近づく。
「雲龍さん、だいぶお肌の張りが戻ってきたようですが……」
「そう……?流星改をくれるなら色々してあげようかな?」
雲龍が怪しく笑う。
「うっひょー!日向さん、開発行きましょう」
提督はさっきは無視した俺の手を引っ張って開発室に走った。
*
「20/60/10/130で、四回頼みます」
先程までとは一転、真面目な雰囲気を見せる提督。動機は不純だが。
「わかった。いくぞ」
瑞雲
瑞雲
瑞雲
瑞雲
「まぁ、そうなるな」
「うがー!」
提督はガックリと項垂れる。しかし追加で開発を行うことはしない。引き際は弁えているようだ。
「ところで提督、先程の演習で大鯨のレベルが25になったのだが……」
提督は即座に復活して歩き始めた。
「なぜそれを先に言わないのですか日向さん。いきますよよ」
問答無用で連れてきただろうが。振り回されるこっちの身にもなってくれ。
俺の心の声も提督には届かず俺はあわてて提督を追いかけた。
*
「提督、何でしょうか?」
工廠には俺、提督、明石、そして大鯨が居る。
「ふっふっふ……じゃーん」
提督がファイルから取り出したのは茶色の紙束だった。
改装設計図。一定の戦果をあげた提督が注文できる改造用の設計図だ。ゲームだと使った勲章は消えてしまったがこの世界では戦果を挙げるごとに新しく申請が出来るようになる、ポイント制と言うようなものだ。
「改装設計図?」
「そうです。これで大鯨さんも空母に……」
「要りません」
「え?」
大鯨はキッパリと断ってしまった。提督も十秒くらい完全に停止していた。
「要らないの?」
「要りません」
「空母になりたくないの?」
「なりたくありません」
提督から敬語が剥がれている。よっぽど驚いているようだ。
「空母になったら艦載機で先制攻撃できるし、胸部装こ……」
「別に艦載機なんて要りません」
「何で?」
「それは……どうしてもです」
顔を赤くして否定を続ける大鯨に提督もついに勧めるのをやめた。しばらく沈黙が続いた。
「もう……いいですか?」
「あっはい」
提督が気の抜けた返事を返し、大鯨は工廠から走り去っていった。
「あの、提督?」
「まさか改造を拒む娘がいるなんて……そもそも大鯨が改造を拒んだ話は聞いたことが……でもこの島なら……」
提督はぶつぶつと呟いて明石の声も聞こえていないようだった。
「提督、どうする?」
俺は提督の肩を軽く叩いた。
「はっ……。日向さん、彼女を監視して原因を特定してください。最優先です」
「わかった。しかし、無理矢理改造するのか?」
提督は首を横に振る。
「いえ、しかし原因だけは突き止めてください。それまでは出撃を停止しても構いません」
提督の表情は先程の開発の時よりも険しい。提督は謎めいた呟きを続けながら工廠を出ていった。
作者の戦艦(数字はレベル)
日向改91 伊勢改56 霧島改56 山城改46 扶桑改40 リットリオ23 金剛 22 陸奥 13 比叡 3 榛名 1
近所の瑞雲「榛名レベル1!?」
作者「コスト高いから使いたくなくてさ……」