近所の瑞雲「それくらい自分でなんとかしろ」
五時五分。五分遅刻だ。ただし五分前行動であることを考えると十分遅刻したようなものだ。
「おはようございます日向さん」
「赤城か、すまない」
執務室には赤城と加賀がいた。手にしているのは本来俺がやるべき書類である。
「遅いです。やはりここの艦娘はたるんでいますね。勿論赤城さん以外ですが」
「う、次は気をつける」
赤城に席をかわってもらい、書類仕事を開始する。赤城らしい綺麗な字が途切れ、俺のなんか微妙な字が続く。
「行きましょう赤城さん。古鷹達に頼まれたことは終わりました」
「古鷹?」
唐突に出てきた名前に思わず聞き返す。
「日向さんが遅れて来るかもって頼んできたのは古鷹さんなんですよ。それでは後はお願いしますね」
赤城は仏頂面の加賀を連れて出ていった。赤城は空母棲姫の件以来、赤城は雰囲気が柔らかくなり、親しみやすくなったとよく言われた。
最初の内は。
同時に着任したボディーガードが赤城への接触を片っ端から潰していくので、実際は赤城と話す難易度は格段に上がってしまったのだ。
「どうしたものか……」
赤城と他の艦娘との距離が次第に離れつつある。他の艦娘との連携に支障が出ないうちに何とかしたい。
*
時刻は七時。とりあえず、早朝の作業は一旦中断である。食堂が混まない内に朝食を済ませたい。そしてこれ以上やっかい事が増えないうちに加賀と話をしなければ……
「日向さん、大変かも!」
執務室の扉が勢いよく開き、秋津洲が入ってくる。
「神通さんが駆逐艦と喧嘩してるかも!」
はい、やっかい事が増えました。
*
この鎮守府の水雷戦隊は三つの班に分かれて行動している。長良と阿武隈が交代で率いる第一班、神通と那珂ちゃんが交代で率いる第二班、夕張と天龍が交代で率いる第三班だ。
今回問題を起こしたのは第二班だ。だいたい問題を起こすのは第三班だが……
「おーい!こっちこっち!」
那珂ちゃんが手を振っている。
「どういう状況だ?」
那珂ちゃんのそばまで来て指さす方向を見る。起こっているのは取っ組み合いの大喧嘩だった。神通一人を相手に霰、霞、陽炎、不知火が飛びかかっている。人数は駆逐艦達が上だが戦況は互角だ。
「どうして早く止めないんだ、那珂ちゃん」
「えー、那珂ちゃんが止めたらみんな大破しちゃうよー」
しょうがない。ここは瑞雲の出番だ。後部甲板を装備してカタパルトを前方に向ける。爆弾は装備しない。
「行け、瑞雲!」
二機の瑞雲を射出する。瑞雲はあっという間に神通達の上空に上り、急降下を始める。
「敵機接近!」
神通が叫ぶと喧嘩が止まり、駆逐艦達は神通を中心に輪形陣を取った。
瑞雲はそのまま海に着水。俺は輪形陣の中まで入り込み、神通を取り押さえた。
「事情を説明してもらうぞ」
史実編成と紛らわしくないようにしようとした結果。
班になりました。
小中学生みたいで可愛いかなと……