憑依日向と瑞雲鎮守府   作:8号機

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作者「阿武隈改二かー。まあ60あれば十分だろ」
近所の瑞雲「もし設計図が必要だったら?」
作者「やらない」


海原の鷹5―咲き続ける華―

「勝者、第三班。評価S。これにて演習を修了する」

 

戦闘海域へ到達。素早く瑞雲を回収し、結果を伝える。

 

「さすが第二班。結構苦戦したわねー」

 

「中破したのあたしだけかー」

 

「望月ちゃんはサボりすぎよ。もっと訓練に参加しなきゃ」

 

第三班は談笑しながら差って行く。

 

「そ……んな……。こんな……こんな負けかた……」

 

パシャリと水音をたてて神通が崩れ落ちる。そして神通のもとへ不知火が歩いていく。

 

「不知火さん……私、私は……」

 

神通は涙を流しながら不知火を見上げる。そして不知火は。

 

「申し訳ありませんでした」

 

水面に膝をつくと神通に向かって頭を下げた。

 

「え……?」

 

「不知火の勝手な判断で戦力を分断してしまいました。睦月型を旧式と侮り、自らの性能を過信して慢心した不知火の落ち度です」

 

「え……?え……?」

 

神通は状況がのみこめていないようだが頭を下げた不知火には見えていない。

 

「不知火、神通困ってるわよ」

 

霞に言われて不知火はようやく頭を上げた。

 

「ですが、やはりあの訓練には納得できません。理由を教えてください」

 

不知火が真っ直ぐに神通を見つめる。神通は涙を拭うと霞、不知火、霰、陽炎を順番に見たあと答えた。

 

「最近、夢を見るんです。沈んだ時の夢を……何度も」

 

「夢……ですか」

 

「はい」

 

神通の最期は壮絶なものだったと有名である。旗艦自らが探照灯を照らして囮となり、その隙に駆逐艦の雷撃で敵巡洋艦を大破させ、輸送作戦を成功に導いた。その代償に二水戦幕僚と多くの乗務員を失ったという。後世の歴史家からは太平洋戦争中、最も激しく戦った日本軍艦と讃えられた。

 

「みんな私と共に沈んだんです……だから、生まれ変わった私が無様に沈むなんて……許されないんです。あの時を超えるように……もっと多くの敵を道連れにしないと……なのに、私はあんな……」

 

神通の目には再び涙が。

 

「あれでは、過去を越えられない……私は……」

 

「あんたねぇ、バカじゃないの!?」

 

「霞さん?」

 

唐突に叫んだ霞は大股で神通の前まで歩き、神通の胸ぐらを掴んだ。

 

「自分が格好よく沈んだからって調子に乗らないで!輸送中に沈んだ陽炎や救助中に沈んだ不知火をバカにしているの?」

 

「それは……」

 

「格好よく沈まなくたっていいじゃない。たとえ沈んだとしてもそれまでの働きは認められる。それで、もし生き残れたなら……」

 

「生き残れたら……?」

 

霞からさっきまでの威勢の良さが消える。

 

「か……」

 

霞が顔を赤くして目を逸らす。

 

「格好……良い……じゃない」

 

「霞さん……」

 

付け加えておくと

 

「まぁ、艦娘は簡単には沈まないからな。無茶しなければ大丈夫だ」

 

「日向さん……。わかりました。もう、無茶はやめます」

 

神通は第十八駆逐隊に向き直った。

 

「皆さん、ごめんさい。目が覚めました。これからは皆さんを沈めるような戦いかたはしません」

 

神通が頭を下げる。

 

「顔を上げてください」

 

「わかってくれて……嬉しい……」

 

「そう思うなら行動で示しなさい」

 

「そう言うことで、仲直りの握手をしましょう!」

 

陽炎の合図で第二班が五人で握手する。

これで一件落着だ。

 

 

*

 

 

『日向さん、緊急事態です。戦艦棲姫が鎮守府の担当海域に出現しました』

 

大淀からの通信が入る。

 

『至急、演習艦隊を連れて帰投してください』




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