憑依日向と瑞雲鎮守府   作:8号機

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すいません。遅くなりました。
遅くなった理由は活動報告にでも載せときます。
興味ない人はザコ物書きが帰ってきたと思ってよろしくお願いします。



海原の鷹11―一航戦―

「天城?どうして外に居るんだ?」

 

空母寮の廊下に戻って来た俺たちは廊下に佇む天城に会った。

 

「それが……加賀さんに出ていけと言われて……」

 

加賀を天城達の部屋に入れるのは何かまずかったか?

 

「そうか、すまないな」

 

「いえ。あ、私は食堂に行ってきますね」

 

天城はそう告げるとその場を去っていく。俺はドアノブに手をかけた。赤城の時とは違い、鍵はあいていて簡単に開いた。

 

「加賀、少し話が……」

 

その瞬間、俺に向かって枕が飛んでくる。

 

「あなたには会いたくないっ!出ていって!」

 

さらに追加でぬいぐるみや目覚まし時計が飛んできて慌てて扉を閉めた。これでは会って話をすることも出来ない。

楯ではないが仕方なく後部甲板を構える。

 

「仕方ない、無理矢理通るぞ」

 

「待って」

 

コンコンと扉が内側から叩かれる。

 

「日向さん?天城は居る?」

 

扉の内側から加賀以外の声。これは……雲龍?

 

「天城は食堂に行ったぞ。雲龍か?」

 

「そう……。加賀さん、天城居ないって」

 

雲龍が扉を開けて出てくる。

 

「……入っても良いそうよ」

 

「雲龍、居たのか」

 

てっきり天城共々追い出されていたものだと。

 

「そもそもここは私と天城の部屋」

 

雲龍は首をかしげて答える。それはそうだが俺が聞きたいのはそこではない。

 

「……冗談。加賀は天城にだけ会いたくないって」

 

「真面目な話をしているのだが……」

 

「……場を和ませようと思って……」

 

それはともかくとして、天城だけが駄目とはどういうことだろうか。

 

「とにかく……入って」

 

雲龍が再び扉をあける。今度は枕による攻撃は来なかった。雲龍、天城の部屋は基本的に赤城、加賀の部屋と同じであるが、赤城、加賀の部屋よりも散らかっている。というより二つあるベッドの一つ……恐らく雲龍のベッドが散らかっているようだ。

加賀は部屋の隅で扉に背を向け、体育座りをしていた。

 

「加賀さん……」

 

赤城が加賀に話しかけるが返事がない。身動き一つしない。

 

「加賀、赤城の話を聞いてあげてくれないか?」

 

「ダメ……もう私に赤城さんと話す権利は無いわ」

 

どうもこちらも赤城並に厄介な状況のようだ。どうもここの一航戦はメンタルが弱いな。というか慢心したりするわりには変なところで自己評価が低い。

 

「加賀さん、ごめんなさい。私は自分と自分に都合のいいものしか見えていませんでした」

 

「……」

 

加賀は答えない。しかし赤城はそれを見て尚も表情を変えず、続けた。

 

「それでも私は加賀さんとこれからも共に戦いたいと思ってます」

 

「……」

 

「今なら分かります。加賀さんは私が、私の姉と同じ名前、天城の名前をもつ船と戦いたいと思ってる。そう考えているんですね」

 

天城。たしかにその名前が使われたのは雲龍型航空母艦の1回ではない。建造が中止された天城型巡洋戦艦の一番艦。つまり赤城の姉もその名前であったはずだ。

 

「赤城さ……」

 

「それは違うんです。私、姉の天城とは会ったことも無かったんですから」

 

顔をあげ、振り返って口を開いた加賀を遮って、赤城がさらに続ける。

 

「私のパートナーは加賀さんだけなんです。お願いします。もう一度私と一緒に戦ってください」

 

数秒間、静寂が流れる。俺も、赤城も、加賀も身じろぎ一つしない。赤城の表情は俺からは見えないし、加賀の顔から感情を推し量ることもできなかった。正直、沈黙が辛い。それでも結果が出るまでは俺が口を出すわけにはいかないだろう。

 

「本当に……?」

 

物音一つしない部屋に加賀の声が響く。

 

「本当に私でいいんですか?赤城さん」

 

「はい。あなたがいいんです。加賀さん」

 

赤城はゆっくりと加賀に歩み寄り、加賀に手を差し伸べた。しかし、加賀はその手を取ろうとしない。

 

「私は、今までずっと間違えてきました」

 

「はい、私もです。一緒に直していきましょう。欠点を直していくなんて、いかにも私たちらしいじゃないですか」

 

普段は堅物の赤城の出したからかうような声色に加賀は驚いたように目を見開いた。そして道着の袖で涙を拭うと力強く赤城の手をとった。

 

「わかりました。そこまで言うのなら、私も赤城さん相手でも容赦はしません」

 

そう言い切った加賀はいつもの無表情で、それでいてどこか楽しそうな、見たことのない顔をしていて……

 

「はい。望むところです」

 

それに答えた赤城の声は静かで、それでいて闘志に満ち溢れているように感じた。

もう二人は大丈夫だろう。雲龍に部屋を出るよう無言で合図を送り、俺も外へ向かって足を進めた。

 

「待ってください」

 

が、それを遮るように鋭い声が響いた。加賀がいつもの顔で俺を睨んでいる。

 

「日向さん。あなたには感謝しているわ。でも水上機ごときに負けたことは忘れていない」

 

別に水上機に負けた訳ではなかったと思うが、加賀の中ではそうなっているらしい。

 

「一週間ください。私と赤城さんの連携を完璧にして、それで演習をしましょう」

 

はぁ……。思わずため息が漏れた。元気を取り戻した瞬間にこんなことを言われるとは思わなかった。でもまあ、調子に乗っているぐらいが丁度いいかもしれない。それに……

 

「その挑戦、うけて立とう。瑞雲の真の力を見せてやる」

 

瑞雲をばかにされては黙ってはいられないからな。

 

 

 

 

さて、最後の仕上げだ。格納庫に残っていた瑞雲を闇夜に飛ばす。目指すは雲龍、天城の部屋の裏手。つまり赤城と加賀が仲直りをした部屋の外である。

 

「ふふふ、感動的でした。これはいい記事が書けそうですねぇ」

 

完全に予想通りである。満足そうな顔でカメラを抱えた青葉を発見した。そのまま瑞雲を青葉に近づけさせる。

 

「げっ……、瑞雲!」

 

瑞雲に気づいた青葉はいそいで逃げようとするが、逃がしはしない。カメラとボイスレコーダーは没収である。

 

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