楽しんで頂けたら嬉しいです。
ビィィィィン
部屋の中にバリカンの音が鳴り響き、
バサバサ…
俺の肩まで伸びた髪が床に落ちていく、
あれから4年…
その間、俺は髪を切ったのは数回だけ、最後に切ったのは1年前…
ジョリ…ジョリ…
髭も最後に剃ったのは1年前…
ザァァァァァァ…
最後にシャワーを浴びたのは1週間前だ。
久しぶりにサッパリしたこの爽快感を噛み締めながらも、頭の中では此処に来るまでのことを思い出し…
やっと…此処に来た…………
アイツらを壊せる…………
此処が始まりなんだ…
俺から全てを奪ったアイツの姿を思い出して、両腕に手を回して少しづつ力が入る。
ギチギチ…
両腕を掴む指は少しづつ爪が立ち自分自身の腕を少しづつ抉っていき…
ポタ…ポタ…
抉っていくのと同時に腕に血が流れ、シャワーが血を流していく…
ゴン…
壁に自分の頭をあてて部屋に鈍い音が響く、
「まだだ…これが…始まりなんだ……………落ち着けよ…俺…!」
俺自身を抑えるために自身に言い聞かせる。
少しでも気を抜けば全てが爆発し俺は俺でなくなる…
俺に残された数少ない理性が、俺を止めなければあそこに戻ってモルモットになって死ぬだけだ。
そう伝えている。
「どうかしましたか?」
浴室の外からシフォンが俺に声をかけてきた。
頭をあてた音が外まで聞こえたんだろう。
俺は冷静になり、
「大丈夫だ。なんもねえよ」
シフォンに言い、抉って血が出ているところを手でゆっくりと撫で下ろした。
…ス
抉られたところは血が止まり傷口は直ぐに消えた。
「人間じゃ…無理だよな…」
俺は消えた傷口を見ながらそう零し、最後に付いていた血を流してシャワーを止めた。
浴室から出て体を拭き、渡された制服に着替えて制服姿の自分を鏡で確認する。
「あの服以外の服を着るのは4年振りか…さてと…」
いつも着ていていた囚人服を思い出しながら腕を捲り上げて部屋から出た。
ガチャ
「終わった…………」
「…………」
シャワー室から出てきたアマノの姿は初めて見た時とは違い、シャワー室に入るまで長いこと洗われておらず、ボサボサで肩まで掛かっていた髪は殆ど無くなり、頭頂部に向かって短いながらも少し長くなっている坊主になっていて、髭は綺麗に剃られていた。
服も囚人服から変わっているが、やはり髪と顔の違いが一番目立ち、私達はアマノをじっと見てしまっていた。
シャワー室から出るとこちらを見ながら、
「終わった…………」
言おうとしたが、俺の姿を見て止まった。
昔の髪型にしたのが変だったか?
俺はそう思いながら、部屋にいるシフォンの方を見てみると、
「…………」
シフォンも止まっていた。
変だったか?でも…やっちまった以上戻せねえし…
2人を見ながら剃ったことを少し後悔しようとしたが、
「「誰?」」
2人は驚きの表情になりながら同時に俺に聞いてきた。
「は?アマノ・ギンジだけど?」
「いや⁉︎あまりにも違いすぎるだろ⁉︎さっきまでの長い髪はどこにいった⁉︎」
俺が普通に答えるとクレオは俺に迫るように聞いてきた。どうやら、先程までの違いに驚いているのだろう。
今まで俺の周りは研究対象としてか見ておらず、俺の変化に興味はなくいつもと変わらないように過ごしていたが、俺の変わりように驚く表情を見せるクレオを見て、俺は久しぶりに見た他人の表情の変化に少し懐かしさを思い出し、
「クッ!髪は全部切って昔の髪にしたんだよ。似合わねえか?」
少し笑いながらも、髪型を2人に聞くと、
「いや⁉︎…………似合っているぞ…」
クレオは俺に目を背けて小さく答えた。
だが…クレオの表情は少しだけ見えていて、クレオの顔は少し紅くなっているのが見えていた。
一方、シフォンは、
「余りの変わりように驚きましたが…似合ってますよ♪」
笑顔を見せながら答えた。
「どうもありがとう♪」
俺は2人に礼を言い、坊主になった頭を触りながら、
「悪いんだけど一服して良いか?」
何時間も我慢していたタバコを懐から出して2人に聞くと、
「はぁ〜良いですよ。その代わり窓際で吸ってください。匂いが残ったり着くのが嫌ですから」
シフォンは溜息を吐きながら言い、クレオは紅くなった顔を戻して俺から少し離れた。
クレオもタバコの匂いが嫌なのだろう、俺はそう思いながら頭を軽く下げて窓際に移動してタバコを取り出して火を付けた。
「フ〜」
何時間振りの一服。
俺はゆっくりと肺に煙を入れてゆっくりと吐き出し、窓から見える生徒達を見た。
ここから見える生徒達は話をしたり笑ったりしていて、まるでここがノヴァとの戦闘を教えている場所ではなく普通の学校のように見えた。
ここはノヴァとの戦いを覚える場所。
下手をこいたら訓練でも死ぬ可能性があるかもしれない…
そして、卒業すれば最前線に出される…
言うなればいつでも死ぬ可能性があるこの場所をこの先の未来を甘く見て過ごしているのが気にくわなかった。
俺はここに来るまで4年間、命がけで
出来なければ死ぬか実験台の2つの道しかなかった俺には死に物狂いの毎日。
「…………どいつもこいつも命の危機ってのが分かってねえのか?」
余りにも緊張感の無さに俺は呆れ顔になりながら小声で言った。
「何か言いったか?」
クレオには聞こえていたのか俺に聞いてきたが、
「いや…何も言ってねえよ…フ〜」
俺は嘘をついて再びゆっくりとタバコを吸い最後に携帯灰皿に入れてタバコを消した。
「さてと…これからこの学園の案内してくれんだろ?」
俺は携帯灰皿を懐に入れて窓際から離れがら2人に言うと、
「ええ。それでは付いてきてください」
シフォンは俺に答えて部屋の扉を開いた。
「よろしく頼むぜ」
俺は2人に答えて廊下に出ると、いつでも俺の行動に対応できるようにシフォンが俺の前、クレオが俺の背後に付いて案内が始まった。
案内されて思ったこと…………
ここ広すぎだ‼︎
俺がここに着いたのは昼頃。
んで、昼を食べずに校長との話で多分1時間ぐらい、その後、俺の用意で1時間弱。
今まで掛かった時間を考えて案内が始まったのは2時半から3時ぐらいだが…
シフォンが案内してから2時間ぐらい経ち、もう…日は傾いており夕方になっていた。
途中、バカでかい食堂の紹介があったが、
「腹減ってるから寄っていいか?」
「ダメです♪次に行きますよ」
俺の空腹の訴えはシフォンの笑顔でスルーされ、空腹感と戦いながら俺は案内を聞いていて、今はやっと終わり中庭の方に向かって歩いていた。
「これで案内は終わりなんだよな?朝から何も食ってないから飯食いに行きたいだけど?」
「案内は終わりました。これから貴方はこの学園の生徒して過ごしてもらい、今日案内した施設を自由に使ってもらって構いませんが、呉々も…」
「分かってる…タバコは見えないところで、他の生徒には迷惑をかけないだろ?」
俺はシフォンが言い終わる前に頭を掻きながらめんどくさく答えた。
「分かっているならば良いです。それではこれからよろしくお願いしますね…アマノさん」
シフォンは俺に作り笑いを見せながら言い、クレオは何も言わないが俺を睨んでいる。
「はぁ…まだ信頼してないのね…」
俺はシフォンに苗字を呼ばた事と、クレオの目を見て溜息を吐きながら言い、
「ま…これから頼むわ2人と…」
2人に頭を下げながら言おうとしたが、
ドン‼︎
大きい音が聞こえて俺の言葉は止まった。
独自設定。
1.主人公アマノ・ギンジは18歳ですが(1話目でカズヤに3つ下と言っています)シフォン達より誕生日が早い設定でやっていますので、シフォン達3年生と歳は同じ設定です。