コードギアス 帝国のルルーシュ   作:MZMA

1 / 3
第1話

ーーーーお兄様!

 

ーーーールルーシュ!置いていくぞ!

 

ーーーー待て!ナナリーといい、スザクといい、本当に人間か!?

 

二人は草地の土が剥き出しの斜面を駆け上がる。

 

ーーーーふふっお兄様はもう少し運動をなされた方が良いと思います

 

ーーーーな、ナナリー!? いつからっ…痛っ!

 

ーーーーハッハッハ!ほら、言わんこっちゃない。もっとルルーシュは運動をすべきだ

 

ーーーースザァク!!!

 

ーーーー怒るなよルルーシュ。妹の前で転んで恥ずかしいのは分かるけどさ?

 

ーーーーお兄様ったら…ふふ

 

ーーーーくっ…屈辱だっ…!

 

とてもとても、楽しい時間。

妹と親友と、三人で遊んだ楽しい時間。

いつも二人には引っ張り回される。

全く、運動は得意では無いのを彼らは知っているだろうに。

斜面で転び、下に転がり落ちた俺にナナリーとスザクが手を差し伸べてくる。

スザク達の手を借りるのは癪だがこの際、贅沢は言っていられない。

やっとの事で小高い丘に足をかけ登る。

三人で顔を見合わせて思わず笑う。

 

ーーーーふふっ、お兄様。いつでも言って下さいね? いつでもお手伝い致しますよ?

 

ーーーーだってさ、ルルーシュ。よかったな? ナナリーの付きっきりだぞ?

 

ーーーーくっ、見ていろよ二人とも!絶対に手なんて借りてやるものか、

 

ーーーーそうかい?楽しみだ。

 

ーーーーその言葉、後悔する事になるぞ。スザク

 

その時、スザクの言葉をかき消す様にプロペラの音が辺り一帯に響き渡る。

富士山がある方向へと俺たちは弾かれた様に顔を向ける。

そしてそこに広がっていたのはーーーーーーーー

 

 

空一面を覆い尽す、大量のヘリコプター。

 

皇歴2010年8月10日

 

神聖ブリタニア帝国は日本に宣戦布告した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「………っ!!」

 

彼は起き上がる。

 

「夢……か」

 

ポツリと呟くとその大きなベットから身を起こす。

ゆっくりと起き上がり、シャーーッとカーテンを開くとそこにはとても良く整備された美しい庭が一望できる。

 

アリエスの離宮

 

そこが、彼、神聖ブリタニア帝国第11皇子。

ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの住居だった。

 

「ナナリー…スザク……」

 

ポツリと再び独り言を零すとパチン!と己の頬を両手で叩く。

すると、コンコンコンとノックの音が静かな部屋に響く。

 

「ルルーシュ様、起きてる?」

「アーニャか…起きているよ」

「入って、良い?」

「ああ、おいで」

 

ガチャリ

扉を開いて入って来たのは、アーニャ・アールストレイム。

ルルーシュの騎士たる、桃色の髪を後頭部で括った幾らかルルーシュよりも幼い少女だった。

 

「おはよう、アーニャ」

「ん、おはよう。ルルーシュ様」

「それで? こんな朝早くからどうした?」

「む、私はルルーシュ様の騎士。…今日からエリア11に赴任だよ?」

「分かっている」

「本当に学校には行かなくて良いの?」

「ああ、帝立大学の卒業できる程の学力は既にある。今更だろう。それともアーニャは学校に行きたいか?」

「ルルーシュ様と一緒なら」

「悪いが、入るのならば俺は高等部でアーニャは中等部だ。クラスどころか校舎が違う」

「……学校なんていらない」

「くくっ…いらない、か?」

「うん、いらない」

「そうか、着替えたらすぐに行く。外で待っていてくれ」

「わかった」

 

アーニャが踵を返し部屋から出ると、ルルーシュはクローゼットから自らの黒を基調とし、少しだけ金の刺繍をあしらった飾り気の少ない服を身に纏う。

本来ならば服を着のも次女等にやらせるのだろうが、ルルーシュはそれを嫌っていた。

自分の事は自分でする。それがあの国、日本ーーーー今となってはエリア11と呼ばれているがーーーーで学んだ事だった。

その為、暮らしている人間がほとんど居ないアリエスの離宮では、最低限の警備しかつけていない。

厨房のコックは2人の老夫婦。侍女はそのコックの娘1人。

警備兵といえば、ルルーシュの腹心たるジェレミア・ゴットバルトを隊長にした十数名。

そして、ルルーシュの騎士たるアーニャ。

このアリエスの離宮にはルルーシュを含めて20人もいない。

 

「さて、とりあえずは朝食だ」

 

ルルーシュは扉を開けると部屋の外で壁に背中を預けていたアーニャと目が合う。

ルルーシュが微笑むとアーニャもその無表情を僅かに崩して微笑み返す。

そうしてルルーシュはアーニャを伴うと食堂に降りて行く。

 

ーーーー必ず見つけ出してやる。…ナナリー、スザク…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「おはようございます! ルルーシュ様!」

「ジェレミアか、おはよう」

「ジェレミア、うるさい」

「まぁ、そう言ってやるなアーニャ」

「……ルルーシュ様が言うなら……おはよう、ジェレミア」

「ああ、おはよう。アーニャ」

「最初からその声量で良かった」

 

ルルーシュがアーニャを伴い食堂の扉をくぐると、先に食卓に座っていたジェレミアが立ち上がり、大声で挨拶をする。

ルルーシュは慣れたもので片手を挙げて挨拶を済ませるが、アーニャは慣れても嫌な様でいつも決まってジェレミアに文句を言うのだった。

そして、それを宥めるのもルルーシュの役目。

 

「おはようございます。ルルーシュ様」

「んーー!おはよー!ルル様ー♪」

「これ、セリナ!ルルーシュ様になんて事を!」

 

厨房の扉をくぐり、60代程の男性と20歳前後のまだ、幼さが少し残る少女。そして男性と同じ様な歳である女性が出てくる。

 

「良いんだ、ばぁや。セリナは何時もの事だしね。それに、俺たち家族みたいなものじゃないか」

「ああ、ルルーシュ様…なんとご立派な…」

「これ、ルルーシュ様が困っていらっしゃるぞ。ささ、ルルーシュ様。朝ご飯に致しましょう」

「あー!パパ!私が並べるよー?」

 

そしてわいわいがやがやと何時もの様子で朝が始まる。

ルルーシュ、アーニャ、ジェレミア、セリナ、じぃや、ばぁや

この6人で食卓を囲むのがこのヴィ家での日常だった。

 

「ほれほれ〜 アーたんはいっぱい食べないと大きく慣れないぞぉ〜?」

「うるさい、ちゃんとルルーシュ様のお役には立てている」

「ええっ? それって夜のご奉仕ででも?」

「これセリナ。朝から食卓でする話では無いだろう」

「ちぇーっ。ジェレミアさんは固すぎるんだよぉ〜」

「申し訳御座いませんルルーシュ様…うちの愚娘が…」

「気にするな、じぃや達にはいつもお世話になっているしな」

「有り難きお言葉…」

「ははっ、そう畏まらないでくれ」

 

ルルーシュが上座に着くとその隣にアーニャが座り、アーニャの正面にジェレミア。アーニャの逆隣にセリナ。そしてセリナの正面にじぃや、じぃやの隣ーーーージェレミアと逆方向ーーーーにばぁやという配置だ。

本来なら皇族のルルーシュと騎士のアーニャですら同席は出来ないのだが、この離宮ではあらゆるルールはルルーシュだった。

今朝の朝食はトーストとベーコンエッグ、サラダと庶民としては至って普通だが、皇族としては質素も良いところである。

 

「ルルーシュ様、今日からは?」

「ああ、そうだ。俺は明日からエリア11に副総督として就任するのは知っているだろう。それで、今からエリア11に向かう訳だが」

「ルルーシュ様と私、ジェレミアと親衛隊は今日。セリナとじぃやらばぁやは2日後に」

「そうだ、ありがとうアーニャ」

「……ん」

 

ルルーシュは隣に居るアーニャの頭を撫でる。

すると仔猫の様に気持ち良さそうに目を瞑りルルーシュの手に頭を擦り付ける。

 

「いーやー。アーたんにはいっつも癒されるわ〜 あーん!明日だけとはいえ、アーたんを愛でられないなんて〜!」

「セリナに愛でらている覚えは、無い」

「んもーっ! つれないなぁ…」

「これセリナ、食事中にあまり騒ぐものでは無い。ルルーシュ様の食事に埃が入ったらどうする?」

「だからジェレミアさんは固すぎるんだってばー! ねね?良いよね? ルル様?」

「アーニャに迷惑をかけない程度にな」

「だってさー! アーたん愛でさせて〜!」

「ヤダ、迷惑」

「……グスン」

 

 

 

そんな事でヴィ家の日常は過ぎていく。

このかけがえのない空間を大切にしたいと、ルルーシュは心からそう思うのだった。




ルルーシュはナナリーの事を思っていますが、原作程ナナリー愛に生きているわけではありません。
すみません
どちらかと今作のルルーシュはアーニャ愛に生きていたり家族(ジェレミアやじぃやばぁや)を大切にしている面が強いです

感想、お願い致します
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。