「ゲットーで演習を兼ねた区画整理だと?」
「うん、クロヴィス殿下が本国にそう伝えたって」
「特派からか?」
「うん、ロイドが例の新型が使えるかもって喜んでた」
「新型…あのランスロットとか言うやつか…」
ブリタニアの皇族専用飛行機にて、ルルーシュはアーニャからエリア11の状況を聞かされていた。
(だが、区画整理だと? 本国に事前通達も無くこのタイミングで? クロヴィスは何を考えている…?)
「それで? 父上はなんと?」
「特に何も。好きなようにさせている見たい」
「そうか…まあ、気にしてもしょうがない。いずれにせよエリア11にはあと数時間は掛かるのだからな」
そう言うとルルーシュは仮眠を取るべくソファーに今まで以上に深く腰掛ける。
するとルルーシュの横に立っていたアーニャはちょんとルルーシュの隣に腰掛け、ルルーシュの膝の上に頭を乗せる。
「ん? どうした、アーニャ」
「ん、疲れたから……ちょっとだけ……ダメ?」
「…っ! …」
その頬を僅かに赤く染めた上目遣いにルルーシュは一瞬たじろくもすぐに余裕を取り戻しーーーー本人は取り戻しているつもりでいるが頬が僅かに赤いーーーーいつも通りの言葉をかける。
思わずアーニャの頭をルルーシュは撫でるがそれも少しの間であり、ルルーシュの意識は闇に呑まれていった。
しばらくして、ジェレミアが見回りからルルーシュ達の居る部屋に戻るとそこにはルルーシュの膝に頭を乗せて気持ちよさそうに寝息を立てるアーニャと、ソファーに深く体を預け、とても穏やかで優しい表情をして眠るルルーシュの姿があった。
ジェレミアはそんな二人の様子を見て、ふっと表情を崩すとそのまま部屋を後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
だが、同時刻。
トーキョーゲットー、G1ベースにて。
「なっ……お前は…死んだ筈だ!!」
銃を向けられたその青年。
クロヴィス・ラ・ブリタニアは驚愕に目を見開き今にもその人影に掴みかからんばかりだった。
だが、その人影の持つ銃の銃口はクロヴィスの頭を真っ直ぐに捉えており、椅子から腰を浮かそうとするもその度に銃をちらつかせる為に、クロヴィスはただただ口を動かす事しか出来なかった。
「そんな事はどうでもいいんです。
その人影の左の瞳には鳥のような紋様が浮かんでいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……クロヴィスが……死んだ?」
太陽が沈みかけ、夜の闇が辺りを支配し始めた時間。
エリア11に到着したルルーシュ達を迎えたのは腹違いの兄の歓迎ではなく、その兄が何者かに殺害されたというものだった。
「ロイド!!」
「はいは〜い?」
「何があった?」
「いやー、それがですね殿下」
「貴様! ルルーシュ様に対してなんたる口の聞き方か!」
「ジェレミア、いい加減にロイドの口調に慣れるべき」
ルルーシュは現場近くに居たであろう特派ーーーー特別派遣嚮導技術部ーーーーの主任たるロイドに問いただすが、彼の人を馬鹿にした様な喋り方に案の定、ジェレミアが突っかかる。
横ではロイドの部下であるセシルという女性がすみませんすみませんと頭を下げ続けている。
「ええい! ジェレミア! その話は後で良い! 話の腰を折るな!
それで、何があった?」
「えぇ、ですから誰も知らないんですよー。クロヴィス殿下は護衛とかも全部下げた見たいで」
「つまり、G1の中にはーー」
「クロヴィス殿下しか、いなかった。これはおかしい」
「はい。アールストレイム鄕の言うおりなんです。ですから私たちもーーーー」
「ぜーんぜん、分っかんないんですよ」
(ロイドとセシルの発言が事実ならば、一体クロヴィスはG1で誰と話していた……? いや、この際それはどうでも良い。クロヴィスが死んだということはーーーー)
「今現在は、ルルーシュ様が、総督。代行だけど」
そう、アーニャの言葉の通り、クロヴィスが死亡したとなれば総督代行は初めて来た訳では無いとはいえ、つい十数分前に来たばかりのルルーシュが務める事になる。
「……しょうがない。それが皇族の務めなのだからな」
ルルーシュは深くため息をつきながらそう呟く。
正直な話、ルルーシュは頭が痛かった。副総督としてクロヴィスの手伝いをし、なるべく顔を見せないようにしようと考えていたのだ。
その計画はエリア11に着いてからものの数十分で頓挫した。
(それにしても、クロヴィスの行動は不可解すぎる……。あいつはバカではあったが、己の力を過信するような愚か者ではなかった…)
アーニャがロイド達と新型機体について話し合い、ジェレミアがバトレーと連絡を取ろうとする傍らで、ルルーシュは無意識の内に左目を抑えていた。
感想、くれたらとても嬉しいです。