偽ゲッターロボ レプリカ   作:オンドゥル大使

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第四話「鎧悪鬼 6」

 

「ゲッター1! シグナル消失!」

 

 オペレーターの声にサオトメは眼前のモニターを見据えていた。ネフィリムの想定外の攻撃に全員がうろたえている。

 

「博士! このままでは、ゲッターが!」

 

『ゲッター1のシグナル、ありません。パイロット三名の心拍、モニター不能!』

 

 ミチルの声にもサオトメは動じない。

 

「続けさせろ」

 

『しかし! 帰還させなければ! あの状態のゲッターは不完全ですよ?』

 

「ここで死ぬくらいならば死なせてやれ。地獄への片道切符を持った、三人、いいや三匹ならば、ここで死ぬような間抜けではあるまい」

 

 サオトメの言葉に全員が返答出来なかった。今のゲッターに巨大ビームを回避する術はない。直前にオープンゲットした形跡もない。

 

「やはり、ゲッターでは……」

 

 オペレーターの弱音を遮ったのは異音だった。ヘッドセットに耳を当ててオペレーターが声にする。

 

「これは、破砕音? でもどこから?」

 

 サオトメは笑みを刻んだ。

 

「何のためのゲッター2、ゲッター3だと思っている? これこそが、ゲッターの真骨頂だ」

 

 その言葉の直後、モニターに映し出されたのは地面を突き破ってネフィリムの直下に現れたゲッター2であった。ツインEドリルを展開し咄嗟に地面に潜ったのだ。

 

「でも、そんな状況判断……常人じゃ……」

 

 オペレーターの声にサオトメは応じる。

 

「そう。常人ではない。奴らは最早、悪魔を使役する存在よ」

 

 その言葉を裏付けるようにツインEドリルを発射させたゲッター2がネフィリムから距離を取る。あのビームが発射された瞬間、こちらでもモニター出来ぬ速度で分離変形が成されたのだ。研究所の人間は改めてゲッターの恐ろしさを思い知った。ゲッター2が戦場へと舞い戻りネフィリムを翻弄する。残像すら刻みながら機動するゲッター2へとネフィリムが幾何学のビームを放った。それぞれが偏向しゲッター2へと向かっていく。

 

「危ない!」

 

 張り上げられたオペレーターの声に被せられたのは雄々しき声だった。

 

『オープン、ゲット!』

 

 まさしく三位一体。完全にタイミングを把握していなければ出来ない芸当である。ビームを直前で回避し敵の目を眩ませている。

 

「いつの間に、これほどまでの技能を……」

 

 誰もが息を呑んでいた。ゲッターチームは月から帰ってきてまだ一日も経っていない。それなのにいつ、これほどまでのチームワークを習得した?

 

 その疑問に答えるようにサオトメが口を開いていた。

 

「奴らは本能的に分かっておるのだ。あるいは直感的に、あるいは理性的に、自分がどう動くべきなのか、どう判じるべきなのか。三つの心は自ずと一つになる。それこそ、ワシが道を示すまでもない。ゲッターは完成を見るのだ」

 

 その時こそ、とサオトメの呟きが続けられようとしたがその先を誰も聞き留められなかった。ゲッター2がEドリルを発振させネフィリムの背後に回ったからだ。あまりの高速度にモニターも追いつかない。それどころかゲッター線の閾値は今までの倍以上だ。

 

「何て速度……、それにゲッター線量も……」

 

 あり得ないほどにゲッターが昂っている。それがオペレーター達でも分かった。今までゲッターは数多くの人間の命を吸ってきた。まるでその命を発露させているかのようにゲッターの進化は止め処ない。

 

 ネフィリムが腕から小型ビームを照射しながら身体を折り曲げる。マッハを超える腕の振り回しにゲッター2でさえもなぶられた。

 

「さしものゲッターでも、この速度では……」

 

 ネフィリムオベリスク型はところどころがいちいち動くだけでも音速を超える。それほどの巨躯に対してゲッターは何と小さい事か。だが羽虫に等しいゲッターはオベリスク型の腕の薙ぎ払いを回避しその懐へと潜り込んだ。

 

 ゲッター2がEドリルを突き出して声を張り上げる。

 

『ドリルハリケーン!』

 

 Eドリルを先端としてゲッター2が螺旋を描いて回転し竜巻を形成する。ゲッター線による竜巻はすぐさま緑色の粒子を帯びて暴風の域に達した。荒れ狂う風がネフィリムの複合装甲を弾き飛ばしていく。

 

「これが……ゲッターの」

 

 言いよどんだ研究員の声をサオトメが引き継いだ。

 

「そうだ! これがゲッターの力だ!」

 

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