偽ゲッターロボ レプリカ   作:オンドゥル大使

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三匹が征く

 

 ベアー号内でムサシはその接近を感じ取っていた。ネフィリムオシリス型。今までのネフィリムとは一線を画すのは気配で分かる。ゲッター線の決着を全てつけるために送り込まれてきたのだ。ムサシはビジョンの中にあった巴武蔵と意識をリンクさせる。

 

 ――俺は、どうするべきなのだ?

 

「簡単な事だ。ゲッターのしたいようにさせろ。元より、お前らのネクストゲッター線と、偽人類の諍いはその惑星のものだ。決着をつけるのはお前達自身でなくてはならない。そうでなければゲッター戦役には加われない」

 

 ムサシはアームレイカーに両手を突っ込む。出撃態勢に入ったところでミチルの声が弾けた。

 

『ムサシさん。大丈夫なんで?』

 

「ああ、もう大丈夫です、ミチルさん。……もし、ゲッターロボが存在しなければ、この惑星の人間は不幸な滅びを迎えていたんでしょうか?」

 

 ゲッターによる反抗よりも、もしかするとネフィリムに早期に滅ぼされていたほうが幸福だったのではないか。浮かんだ考えに、『分かりません』とミチルは返す。

 

『でもリョウマさんは、諦めていませんよ。それに、ジン・ハヤトも』

 

「リョウマ……。ハヤト……」

 

 脳裏に浮かんだのはエンペラー合体時に木霊したリョウマの声だ。あの声の持ち主は確かにリョウマであったが、では自分達と共にいるリョウマは? 浮かんだ疑念を振り払うようにリョウマの声が通信網に割り込む。

 

『なに、辛気臭い考え方してんだ、ムサシ! てめぇの恨みはまだ晴らしてねぇだろ!』

 

「リョウマ……。しかし一個人の考え方なんて、ゲッターの意思の前では」

 

『ゲッターがどう考えているとか、んなもんは置いとけ! おれ達は、今を生きる。そのために友を憂いている場合じゃねぇんだ!』

 

 仲間の怨嗟の声も、ゲッターの意思の傲慢さも、全てを振り払った場所にリョウマはいるのだ。その考え方が眩しかった。

 

「……そうだな。戦おう。それが、俺達に出来る唯一の反抗だ」

 

『リョウマさん、ムサシさん。ジン・ハヤトが到着しました。これから向かっているそうです』

 

『遅れてすまないな』

 

 ハヤトの声にリョウマは言い返す。

 

『遅いぞ! ハヤト』

 

『なんだ、いやにやる気があるじゃないか、リョウマ』

 

 二人のやり取りを聞きながらムサシは感じ取る。ここで潰えるわけにはいかない。潰えてしまえば、繋ぐ人の思いがないのだと。

 

「リョウマ。ハヤト。いっちょ暴れるか」

 

 ムサシの声に二人とも呼応する。

 

『おうよ!』

 

『ゲッターロボの真価を見せてやろうぜ』

 

 ムサシはアームレイカーに入れた手に力を込め、スロットルを開いた。

 

「発進!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イーグル号、ジャガー号、ベアー号が研究所から飛び立ったの報を受け、サオトメは眼前の存在に目を向けていた。地獄の釜の底を守る役目を買って出た番人、プロトゲッター。思えば、これが全ての始まりであった。

 

「プロトゲッターがあり、あのゲッターロボがある。我々は選ばれた側ではなかった。ゲッターの意思は遥か昔、もう真の人類を選んでいた。被造物である我々はただ淘汰される運命しかなかったが、彼らの間違いは、我々に知能と、同等の繁殖力を与えた事だ。三百年かけて、偽人類は隆盛を築き上げた。これは罰なのか? 本来在ってはならない種が、運命を捩じ曲げてでも発達した罰が、降り注いでいるのか?」

 

 その罰の形がネフィリムであり、自分達は滅ぶのが筋なのかもしれない。サオトメは片手に白い布をかけたカプセルを抱えていた。これもまた原罪の一つ。

 

「ワシはどこまでも鬼になろうとした。全てを投げ打ってでも、ゲッター線を用い、生き残ろうと。それがレプリカントの意思ならば、ゲッターの意思を上回れないかと。ワシは悪魔にでもなった。それがこれだ」

 

 白い布を取り払う。脳髄がカプセルの中の培養液に浮いており、今も活動していた。

 

「ミチル。全ては、この時のために」

 

 サオトメはチューブをプロトゲッターの制御系へと繋ぐ。次の瞬間、プロトゲッターが面を上げ、黄色い双眸を輝かせた。

 

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