偽ゲッターロボ レプリカ   作:オンドゥル大使

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あとがき

あとがき

 

 拙作『偽ゲッターロボ レプリカ』を読んでくださりありがとうございます。

「仮面ライダーやエウレカセブンと来て何でゲッター?」と思っている方も「ポケモン二次やっているのに何でロボ物?」と思っている方もいらっしゃると思いますが、今回のあとがきはとりあえずどうしてゲッターロボという原作に着手したのか、から紐解いていきます。

 そもそも自分、前からロボット物を二次創作でやってみたいなと思っていました。ですがガンダムは先行作品が多いのと、変に独自解釈を入れられないほどの情報量と設定なので無理だと判断。ならばスーパーロボットものでと考えたもののマジンガーは公式がもうなんか二次創作っぽいしやりたいことはやってもらっているので必要ないだろうと。

 ならばと自分の好きなロボットとしてゲッターが出てきました。

 しかしゲッターロボの二次創作、果ては公式の派生作品に関しても存在する一種の「呪い」はご存知でしょうか? 俗に言う「ゲッターは完結しない」です。

 これに関しては色んな解釈があると思います。

 そもそも石川賢先生の描いた世界観が膨大過ぎてすくい切れない、という解釈。

 あとは公式のゲッターに関する描写がお粗末というか毎回監督が変わったり演出が変わったり、回によってばらつきがあったりと安定しません。そのせいでゲッターロボにはこれ、という決まった答えがないのです。

 ある意味では二次創作がやりやすく、またある意味ではとてつもなく難しい作品でありました。

 まずゲットマシンの三機合体。これをどこまで書き込むか。それだけでも人によって異なるでしょう。私は実際に三機を立体化し(ケネックスというおもちゃを使いました)それぞれ空想上での合体ではなく実際にこれがこうなって、こうこうで合体するのだ、というロジックを頭の中と実際の手で覚えさせました。そのお陰か合体描写で特に困った事はなく、次に困った描写に立ち止まる事になります。

 ゲッターにおける困った描写の一つ、敵。

 公式では恐竜帝国だとか百鬼帝国だとか虫の種族だとかバグだとかインベーダーだとか鬼だとかメタルビーストだとかもう色々出過ぎてその時点で安定していません。

 しかもインベーダーと鬼に関してはよく分からないまま終わる始末……。

 いわゆる、これ! という答えがないのです。サーガの最後であるアークにしてもバグとの最終決戦の場面で終わってしまうのであの先どうなったのかも分かりませんしそもそも考えていたのかも分かりません。

 というか言い出すとゲッター線って何? だとか真ゲッターってどれくらい強いの? だとか疑問が尽きないのです。

 後付設定とだれかれ構わず取り出せてしまう手軽さのせいでスパロボでは壊れ性能になったり、とにかくゲッターだ、真ゲッターだ、ストナーサンシャインだと出してしまうせいでキャラもぶれぶれ。もうよく分かりません。

 一応『チェンジ真ゲッター』の三人を踏襲しているものの、武蔵が出てきたり出てこなかったり、そもそも元のゲッターが出てこなかったりいきなりブラックゲッターだったりやり放題です。この界隈はとてもではないですが無法地帯というほかありませんでした。

 そこで一度見直すに当たって最初のゲッターの設定を踏襲した『新ゲッターロボ』に近い設定で始めようと思いました。ただ龍馬がそのまま出てくるとまんまなのでベータのパイロットにしたり、ハヤトはほぼそのまんまでしたがちょっとだけ変えたり、ムサシは月面人にしたりとこちらなりに解釈を変えて新しいゲッターを目指しました。

 三話までは本当にぱぱっと書けてしまいました。私は一日に一万文字平均で書くのですが今回のゲッターの場合、時には一万五千の大台を突破する時もありました。

 そう、私もゲッター線に取り憑かれたようにオーバーヒートを起こしたのです。

 そして同時に理解しました。

 どうして今までゲッターの派生作品や漫画は完結しなかったのか。

出来ないのです。

 ちょっとやそっとの力技ではこのゲッターという作品は制御出来ません。制御しようとする人間の精神を壊してしまう作品です。恐らくは『飛燕』も『偽書』も、こうして終わらなかったんだろうなぁと思いながら書きました。

 無理が生じてくるのです。

 ゲッターという物語の持つ底知れなさがこちらを取り込んで離さない。一万五千文字と先に言いましたがそれを二時間ほどで書き上げていたのだから恐らく常軌を逸していたのでしょう。ぱぱっと書けたと言いましたが違うのです。

 私はぱぱっと書かされていたのです。ゲッターの意思に。

 このままでは身体が持たない、と早期に判断し、ゲッターを書くのを一時中断しました。

 そうしてからプロットを見直し、最後まで書く判断をしました。

 恐ろしくこれは無理のあるプロットかもしれません。

 ネフィリムもゲッターの一部であり、亜種のゲッター線の持ち主。赤いゲッターの守護神であるゲッターノエルを擁するレプリカントと純正ゲッター線を守護する人類との生存戦争。

 実はレプリカントはこちらであり相手側が真の人類であった、という仕掛けは最初から考えていました。自分にしては計画性のあるプロットでしたがそうでもしないとこのゲッターは根本から捻じ曲がりやはり「完結しない」呪いにかかっていた事でしょう。

 そもそもこの作品、お気づきだったでしょうか?

・「太陽系」という言葉を一切用いない。

・「地球」という言葉を一切用いない。

 この二点に気付いて最初からこの惑星が地球ではないと分かっていた方がいるとすればさすがです。拍手と賛美を送るしかありません。

 知らず知らずの内にこの惑星が未来の「地球」だと騙されていた方は計画通りです。

 月という言葉は広義に惑星に伴う衛星に適応されるのでこの場合「地球である」という判断材料にはならないのです。

 ルナリアンですが六分の一G殺法という強力な武術を使う人々の住まうところを考えた結果月面に辿り着きました。六倍の出力の馬鹿力を使える人間と考えるとそりゃすごい、ゲッターに乗せるしかないな、となるわけです。

 またルナリアンが実のところ真の人類に近い存在であり後半でムサシが遠く離れたゲッター戦役に唯一精神で辿り着けるのはそういう理由があったからです。あとはまぁ都市伝説めいて繰り返されている「ゲッター3のパイロットは死亡フラグ」にもちょっと触れた形となりましたね。

『チェンジ』と『新』と『真対ネオ』からそれぞれ引用した部分もたくさんあります。気づかれた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか? それぞれの主題歌から表現を出したところもありました。

「ヨロイのゲッター」ことゲッターノエルには強大な敵として立ちはだかってもらいました。黒いゲッターというとブラックゲッターが定番ですが今回はちょっと定番から外した感じで。ヨロイのゲッターという仮称は『真対ネオ』の最終局面で出てくる神ゲッターの別称から。またその黒い姿に赤い血潮のゲッター線というのはこれはブラックゲッターをより真ゲッターっぽくしたら、というアイデアだったのですが『偽書』に「漆黒のゲッター」なるものがあるのを後から知りました。やっぱり出てくるようなアイデアはやり尽くされているものなのだなぁと感じました。

 ノエルは福音。後半に出てくるゲッターエンブリオという存在を祝福するための守護者として役割付けたのは我ながら正解だと思います。エンブリオの存在によって地下はどうしてゲッター線が多いのか? 地獄の釜とは? という問いにもケリをつけられました。

 また今回のプロトゲッターは純粋な意味での試作のゲッターロボではなく真ゲッターの退化した純粋ゲッター線の守護者でありゲッターノエルとは相克の存在というのも結構跡付けです。それもこれも必要だったのは主役ゲッターロボが「偽物」であるため……。

「偽」ゲッターロボ「レプリカ」というタイトル。これは単純です。

「大事な事なので二回言いました」という事です。

 最初から主役ゲッターロボは偽物であり、内蔵ゲッター線に限りがある点から考えてみるとアークやネオゲッターに近いものだと思ってもらっていいのかもしれません。

 真と偽の逆転。最後の最後に「ネフィリムが本物であり、今まで主人公達の乗ってきたゲッターは偽物」というのはトップをねらえ2!の仕掛けに近いですね。

 どうして登場人物の名前は全員カタカナなのか、というのも「偽物感」に拍車をかけるためでした。真の存在が必ずしも物語の主人公とは限らない、というのも入れたかったメッセージではあります。

 最後に、予定になかった事。

・ミチルが受肉し、人間になる。

 これ、結構重要な要素の癖に最後の最後に決まった事でした。システムAIとして今回登場していただいたミチルはノエルに貫かれて死ぬ予定でしたがかわいそうなので受肉させ、今回のゲッターの戦争でも救われた部類に入る人間にしました。基本いい人でしたからね……。

・ハヤトはゲッターの探求者としてエンブリオの謎に触れる。

 そもそもエンブリオの存在は最初から決まっていたのにどうやって出そうか四苦八苦しました。惑星そのものを卵殻として存在するゲッターロボなんて今までなかった(と思います)のでどうやろうか分からなかったのもあります。そもそも今回、スケール感デタラメ(ゲッター戦役やネフィリムの巨大さ)ゲッターなので「あっ、こいつの大きさどうしよう……」みたいなのにはよくぶち当たりました。

・ムサシがゲッターの使者として旅立つ。

 これは当然の帰結だったのですが最後の旅立つ段階でどういう風にゲッターに乗せるかにちょっと変更点がありました。真ゲッターに乗せるか違うゲッターに乗せるか程度の違いですが、ちょっと迷いました。

・サオトメの処遇。

 これも悩んだ末で「こいつは死んでもおいしいし生き残ってもおいしいな」と思いながら廃人にしました。非道だったですがこの人物がいなければ全ては始まらなかったので漫画版に近い措置ですかね。

・ナガレ・リョウマについて。

 最後の最後、ゲッター戦役で「待っていたぞ」に関しては実はプロットにありませんでした。リョウマはあのままゲッターエンブリオと運命を共にして終わってもよかったのですが救済が欲しいな、と思った結果、ゲッター戦役で戦う「偽ゲッターロボレプリカに乗るナガレ・リョウマ」が完成したわけです。

 ちなみにこの「偽ゲッターロボレプリカ」という名前。最後の最後まで考えていませんでした。

 ノエルとゲッターが合体するんだからそれに相応しい名前がいいな……。でもそれっぽい名前は全部公式が持っていっているし……と思ったらあるじゃないですか、いい名前が。タイトルに。

 というわけでタイトル回収。「偽ゲッター」と「ゲッターノエル」の合体形態「偽ゲッターロボレプリカ」が完成したわけです。

 ただゲッター二次創作を書いている時、この界隈が切望されていながら何故公式でも書き手がいないのかを理解しました。

 感じたのはゲッターという創作物そのものに「吸われている」感覚です。

 気のせいだろ、と言われたらそこまでですが書いている時何度か「吸われている」感覚に陥りました。ゲッターという大きな何かに自分は抗って書いているのであって、これは通常の二次創作の比ではない。それこそ石川賢先生の持つ倫理観やイメージ、強烈なビジュアルなどを全て放り投げてぶん投げて自分流にアレンジするのは骨が折れました。

 とてつもない情報量と、それに付随する人間達のドラマ。

 描こうとした時ゲッターという作品の底知れなさを窺い知りました。

「吸われている」時、私は常に抗おうと頑張ってきましたが、結局ゲッターの大きな意思には勝てなかったんだと思います。

 そもそも勝ったか負けたかをジャッジするのは私の判断ではないので(読者の判断なので)あとがきでも無理に勝ったか負けたかを突き詰めるのはよしておきます。

 ゲッターの二次はこれが最初で最後です。

 やりようはあるのですがやってしまうと終わりがありません。

 なのできりのいいところでしっかりと終わらせておきます。

 ともかく無茶な二次創作だった! 

 終わった後に感じたのはそれだけです。

 ですがこういう形でも一応はゲッターの物語にピリオドが打てたのは嬉しいです。

 偽物の物語はこうして終わりました。

 

2015年 10月23日 オンドゥル大使より

 

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