偽ゲッターロボ レプリカ   作:オンドゥル大使

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第二話「出撃指令! ゲッターロボ 2」

 

 空を飛ぶベータの編隊を視界に入れる。ハヤトは夢見るように呟いた。

 

「空を飛ぶってのはいい」

 

 だがその下には足蹴にされたスポンサーの部下がいる。顔の原型が分からぬほどに痛めつけられ出血していない箇所のほうが少なかった。

 

「ゆ、許して……」

 

「おっと、まだ喉を潰していなかったか。喉ってのはなァ。くるっとしていてなァ」

 

 靴先が男の喉を弄ぶように向けられる。慄いた男の喉をつんと突いてやった。それだけで男は失禁する。

 

「漏らしやがった」

 

 部下達が一斉に笑う。ハヤトも笑っていたが引きつったような笑い方だった。一瞬、真顔になって空を舞うベータをもう一度目線で追う。

 

「綺麗だよなァ」

 

 そう呟いた瞬間、男の喉を踏み潰した。声にならない悲鳴が上がる。部下達が囃し立てるように盛り上がったがハヤトはそれを一睨みに制した。途端に押し黙る。

 

「オレは、ただ銀色の殻が空を覆っているのが許せないだけなんだよ」

 

 部下達は何も答えない。ハヤトは、「おい返事」と急かす。

 

「そ、そうですね」

 

 答えたのは先ほど成金からカードを受け取った部下だ。金汚い部下の世事にハヤトは、「銀色の殻で覆われた空ってのは醜い」と歌うように告げる。

 

「そ、そうですね……」

 

「だがそれより醜いのは!」

 

 突然に張り上げられた声に部下達がびくつく。ハヤトはため息を漏らした。

 

「金で醜く肥やされた生き様って奴だ、なァ! お前!」

 

 ハヤトは部下の首筋を掴んで顔を引き寄せる。醜く歪んだ顔で部下が呻いた。

 

「く、苦しいです……」

 

「苦しい? 苦しいってのは何だか分かるか? 泥水をすする事? それとも市民登録されない事? この社会で孤立する事? 全てがノンだ!」

 

 ハヤトの指が鋭く突きを放つ。部下の目が抉られて眼窩からはみ出していた。

 

「目だ」

 

 もう片方の目も抉り取る。目から血を垂らした部下へと追い討ちをかけた。

 

「耳だ、鼻!」

 

 両手を鎌のように使い耳を削ぎ落とし、最後に鼻をもぎ取った。ほとんど顔のパーツが取れてしまった部下の首を絞める。

 

 ボキリ、と鈍い音が響く。部下は首の骨が折られたのか既に死んでいた。

 

「またおもちゃを探さないとなァ」

 

 ハヤトの声に部下の一人が、「あの」と声にする。ハヤトは懐から煙草を取り出した。すかさずその部下が火を点ける。

 

「何だ、言ってみろ」

 

「その、本当にサオトメ研究所に仕掛けるんで?」

 

「オレが、今まで冗談を言った事があるか?」

 

 ハヤトの声に、「滅相もない」と部下は震えた。

 

「ただ、あの研究所も相当ヤバイって噂でさぁ。裏で人体実験や機械工学に手を出しているって。プラネットシェルだけの研究所じゃないのは暗黙の了解って奴で……」

 

「んな事は最初から分かってんだよ」

 

 ハヤトの声が拍子抜けだったのか部下は、「へっ?」と声にする。ハヤトは紫煙をくゆらせて空を仰いだ。

 

「プラネットシェルだけの研究所じゃねぇ。絶対に裏がある」

 

「ハヤト様は、それを暴こうって言うんですね?」

 

 逸った部下の声にハヤトは煙草を口から離してピンと弾く。その煙草が地面に落ちる前に放たれた蹴りが部下の顔にめり込んだ。鼻血を噴き出しながら部下が仰け反って倒れる。

 

 それと煙草が地面に落ちたのがようやく同時だった。

 

「違う。理由が知りたいか?」

 

 ハヤトは今しがた蹴りを放った部下に歩み寄りその顔に一発、拳を打ち込んだ。部下が呻く。

 

「おもちゃが欲しいんだよ。そのためさ。他に何がある?」

 

 ハヤトの言葉に部下達が竦み上がった。本当にそれだけなのだ、とこの瞬間、部下達は理解する。

 

「新しいおもちゃ、それも一撃じゃ壊れないようなタフな奴さ。そいつが欲しい。お前らみたいな人間じゃ飽きちまう。女も一度抱いたら壊れちまうようなやわなのばっかりだ。へし折っても、ぶち込んでも、何にも感じられねぇ、イケねぇ連中ばっかりだって言っているんだよ」

 

 ハヤトの言葉に部下達は、「了解しました」と告げる。

 

「ハヤト様がそう仰るのなら」

 

「分かっているじゃねぇか」

 

 ハヤトは新しく煙草を吸おうとして箱の底を叩いたがもうなかった。

 

「お前の煙草を貸せ」

 

 指された部下が震えながらハヤトへと歩み寄る。そっと煙草を差し出すとハヤトは手に取りながら尋ねる。

 

「お前、名前なんてんだ?」

 

 突然の質問にその部下は自分が見初められたと思ったのだろう。馬鹿正直に答えようとしてその舌をハヤトが掴んだ。一瞬である。口を開いたその一瞬のうちにハヤトは部下の舌を指で摘んだ。

 

「今夜はお前で遊んでやろう。来い! お前ら! 遊んでいる間は」

 

 隊に染み渡った不文律に彼らは一様に口にする。

 

「邪魔はしない、ですね」

 

「分かってんじゃねぇか」

 

 ハヤトは舌を摘んだ部下を布で仕切られた部屋の向こう側へと連れて行く。部下達はそこから直立不動で動けなかった。自分の仲間が切り裂かれ、無残に殺されて翌日には河川を転がるであろう事はしかし容易に想像出来た。

 

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