今回もリクエスト回。
バカルテット+大妖精です。
「それで大ちゃん、最近はどう?」
「いつも通り、チルノちゃんと遊んだりして楽しい日々を過ごしているよ。そっちは?」
「こっちも充実した日々を過ごしているよ」
「うん、顔を見ればわかるよ。幸せそうな日々を送っていることぐらい」
「そう?」
「そうそう。チルノちゃんがいつもしている表情と一緒だもん」
「それを言うんだったら大ちゃんも同じだよ」
「本当?」
「うん、充実している日々をそっちも送っているみたいね」
「ありがとう。それにしても、今日はごめんね。いきなりみんなで押しかけて」
「いいよ。この時間はまだ客もいないし」
「だとしても鷲田さんには後でお礼をしなくちゃいけないね…」
二人が見る先には一人の男性と三人の少女。
自由奔放な少女たちに翻弄される男性の姿であった。
「だから今からお菓子作ってやるから、そこで座って待っていろ!特にリグル!お前が連れている蟲が厨房に入ってきたら最悪この店を止めなきゃいけないからな!チルノは冷やすの手伝うっていうなら入ってきていいぞ!そうじゃないならそこでリグルと一緒に座っていろ!ん?ルーミアどうした?なになに、腕を食わせろって?ここにはお前に食わせるための人肉は存在しないから、それは我慢しろって!今からそのかわりとしてのお菓子を作るから待ってろってさっき言ったよな!?」
チルノとリグルとルーミアが自分の要望をいうのを一つ一つ律儀に対応しながらなんとか三人を座らせた従業員は厨房に入る。
そんな様子を見た大妖精は店主に申し訳なさそうに頭を下げる。
「三人の子守りまで頼んで本当にごめんなさい」
「いいよ。進さんもなんだかんだ言って楽しそうだし」
「それならいいんだけど」
彼女らが会話していると従業員が何本かのボトルを持ち出してきた。
「進さん、それは何ですか?」
「ああ。どうせおやつを作るんだったら遊びながらで作ったほうがいいじゃん」
「遊びながら作る…?」
「あれ?ミスティアにはまだ見せてなかったっけ?なら一緒に遊ぶか?」
「私はいいですよ。見てるだけで結構です」
「そうか。大ちゃんはどうする?」
「私も見てるだけでいいですよ」
「了解。よーし、お前ら今からこいつで遊ぶぞー」
それから従業員はチルノたちと十分近く遊んだのであった。
「それで進さん、これで遊んでいったいどんなお菓子ができるんですか?」
遊んだ後に店主が投げかけたこの質問に真っ先に反応したのはチルノ。
「え?進、これお菓子なの?」
「ああ。さっき遊んでいたのは実はお菓子を作る作業のひと手間だったんだ」
「へえ。それでどんなお菓子が出来るの?」
「氷菓子の一種だな。この時期にはぴったりのお菓子だろ?」
「へぇ~早く食べたいな」
「そうせかすなって。ちょっと器を持ってくるから待ってろ」
店の奥の方に行った従業員をよそに五人はまだ見ぬ氷菓子に期待をはせる。
「みすちーはあの氷菓子が何か知ってるのか?」
「うーん、私もまだ見たことがない料理だね。少なくとも進さんはいままで遊びながら作る料理をしたことがないし」
「みすちーでも知らない料理とかあるんだ」
「それを言うなら進さんでも知らない料理ぐらいありますよ」
「たとえばどんな?」
「うーん、人肉料理とか?」
「人肉料理!?鷲田ってそれ作れるの?」
「ルーミアちゃん、話聞いてた?多分知らないであろう料理を挙げただけだよ」
「そうなのかー…食べられる人間を食べるチャンスだと思ったのになー」
「その他には何が作れないと思う?」
「蟲料理とかじゃない?蟲はさすがに食べないでしょ?」
「チルノちゃん、多分進さんは一部の蟲なら調理方法を知っているよ」
「へ?どんなの?」
「前に進さんが『幻想郷って蜂の子とかとる人いないんだなぁ』って言ってたし、多分蜂の子は調理できるんじゃないかしら?」
「よし、決めた。進と今度会うときは蜂の子を送ろう。そうしよう」
「リグルちゃん?送って何をさせるつもりなの?」
「一体どんな料理をするのか見てみたいだけだよ。蟲を食べるなんて珍しい話だし」
リグルの満面の笑みに引く四人であった。
「おーい、できたぞー」
従業員が持ってきた器に入っているのはバニラアイス。
勿論、アイス自体を知らない五人にとってのそれは今までの彼女らの氷菓子に対する常識からは考えられないものであった。
「これが氷菓子ですか?」
「ああ。バニラアイスという外ではポピュラーな氷菓子だぞ」
「ばにらあいす?これって氷が見えないけど本当に氷菓子?」
「氷菓子の一種だな。冷たいうちに食べないと溶けてしまうから早く食べた食べた」
従業員にせかされた五人はバニラアイスをおっかなびっくり口に含む。
「冷たい!」
「でも、かき氷みたいにキーンってならないんだな」
「あ、これってかすかに味付いてるんですね」
「これがあんな遊びでできるんだ」
初めての味に舌鼓を打つ少女たちに従業員は顔をほころばせた。
そして食べ終えた五人はもう一杯食べたいと従業員にねだり始める。
「おかわり!」
「あ、アタイも!」
「私もお願いします」
「みんな落ち着いて。そういうだろうと思ってもう一人前分用意してるから」
器を突き付けられた従業員は落ち着かせるように要望に応えるのであった。
後日、蜂の子をキロ単位で送りつけられた従業員が困惑しながら蜂の子料理を作り、それを見たミスティアが卒倒することになるのは別のお話。
従業員が作ったのは蜂の子を茹でただけの簡単な料理です。
美味しいが食べるうえでの最大の敵はあのつぶらな瞳だとは作者の友人談。