夏も終わり、涼しい季節がやってきた。
春にはリリーホワイト、冬にはレティ・ホワイトロックがいるようにこの季節に力を得る者がこの幻想郷にはいる。
「鷲田さんにミスティアさーん!今年もおいしい季節がやってきましたよー!」
元気な声をあげて夜雀亭に入って来たのは秋に力を得る神様、秋姉妹が妹の秋穣子である。
彼女の後ろにはなぜここにいるのか疑問に思っているのを隠そうとしない姉の秋静葉がついてきていた。
二人が背負っているのは秋の味覚であふれかえっている
「毎年毎年、いつもいつもありがとうな。今日はどんなラインナップだ?」
「今日はイモとキノコと後ちょっとした果物です」
「イモって、何イモだ?」
「えーっと、サツマイモとサトイモとナガイモです」
「キノコはまいたけとしいたけ、そしてしめじよ。マツタケはまだなかったらしいわ」
「赤松自体が見つかりませんでしたもん!ですので今日はこれぐらいしかないです」
「いや、十分だよ。それに『香りマツタケ味しめじ』というしな」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
そう言って秋姉妹は背負っていたものを降ろし、中の食材をどこにおいたらいいか従業員と店主に尋ねた。
食材を整理し終えた四人は店の中でくつろいでいた。
秋姉妹が持ってきた食材の量はその種類の食材に限っては一週間は最低でも持つぐらいの量であった。
逆にいうと、二週間は持たない量ということではあるが。
だからこそ秋姉妹、特にその妹は毎週夜雀亭に食材を持ってくるのであった。
「お疲れさまです、お茶でもお飲みください」
食材をもってきて疲労困憊の二人を労うために店主がお茶を出した。
お茶請けとして持ってきた煎餅を食べながら静葉が話す。
「本当、疲れたよ。いきなり穣子が『姉さん!今から食材を探すよ!』っていうから」
「それっていつのことだ?」
「おとといの夜。昨日は一日中食材探し回ったよ」
「それは、なんか、すまんな」
「本当よ。『これで信仰が集まるから!』って穣子は言うけど、それで集まる信仰は穣子のものだし」
「…神棚かなんか作ってやろうか?」
「期待しないで待っておくわ」
淀んできた二人の空気を吹っ飛ばすかのごとく穣子が話しかける。
「鷲田さん!神棚を作ってくれるって本当ですか!?」
「二人の神棚をな。まぁ、期待しないで待ってくれ」
「わかりました!作るときは呼んでくださいね!」
「ふふ、随分と楽しみみたいですね」
「だって、自分の家ができるんですよ!それがたとえ居候でも根なし草よりかは百倍マシです!」
「期待しないでくれ、って言ってるんだけどなぁ」
「いつかは作ってあげましょう、いつもお世話になっていますし」
「そうだな。鬼に頼めば行けるか…?」
「人里の大工に頼む方が賢明でしょうね」
「やっぱりそういったものはそういったところに頼むのが一番か」
「博麗神社を修復している人が多分いますからその人に頼むべきですね」
「二人で何を話し合っているの?」
唐突に二人だけで話し始めた従業員と店主に割って入るように静葉が話しかける。
「これからのこの店の内装の相談」
「そう。なら大事な話しているところ悪いけど、もう一杯お茶頂けない?」
「あ、大丈夫ですよ。今から淹れてきますね」
「穣子はいるか?」
「いいんですか?ならお願いします」
「はいはーい。お茶二人前今から淹れてきますねー」
「俺の分は…いいや、自分で淹れるから大丈夫だ」
「だと思いましたよ」
そう小さく笑った後店主は店の奥に引っ込んだ。
残された従業員は思い出したかのように静葉に話しかける。
「そうだ、静葉。次食材を持ってくるときに一緒に紅葉した葉っぱが着いた木の枝も何本か持ってきてくれないか?」
「いいけど、そんなもの何に使うの?」
「店の中にも秋らしさを取り入れたくてな。それにはさっき言ったのがちょうどいいとミスティアと話していたところなんだ」
「そう。それなら私が選りすぐりの傑作を持っていけばいいんだよね」
「ああ。とびっきりの美しいものを頼む」
その従業員の言葉にふふふと静葉は笑った。
「姉さんのあんな笑顔、始めてみたよ…」
穣子のその言葉は誰にも聞かれることはなかった。
今回出てきた
リュックサックのような形状をしたものなのでよく山菜取りなどで使われるものとなっています。