中秋の名月が近いので団子ネタを投下。
「さぁ皆さんお待たせしました!本収穫祭最大のイベント!『団子大食い大会』のお時間です!」
年に一度の人里の収穫祭。
その特設ステージ上にてマイク片手に手を振りあげる一人の人がいた。
その人の隣には『解説者席』と書かれた席に座り、団子を食べている人の姿も。
ステージ中央には四人の少女たちが目の前の団子を食べたさそうに見ている。
『実況者席』と書かれた席に座りマイクを振り回す少女は大会の進行を進めていた。
「実況は私、射命丸文がお送りいたします」
「解説の西行寺幽々子よぉ~」
「さて本大会ですが、夜雀亭と永遠亭そして秋穣子様の全面バックアップによって行います。それでは夜雀亭の鷲田さん、一言どうぞ」
「調理担当の鷲田です。四人が待つ時間を作らないように全身全霊をかけて調理しますのでよろしくお願いします」
「はい、次に永琳さん」
「救護担当の永琳よ。あの四人に限らず気分が悪くなったら救護班のところに来なさい」
「最後に穣子様、よろしくお願いします」
「豊穣の神、秋穣子です。ありったけの材料を用意しました!」
「はい、お三方の挨拶も終わったので選手紹介と行きましょう!」
会場が一斉に湧き上がる。
それが落ち着くのを待ってから文は紹介を始めた。
「まずはエントリーナンバー一番!探し物ならお手の物!毘沙門天の使い、ナズーリン!」
「私としてはあの虎ちゃんが来ると思っていたんだけどねぇ」
「そこら辺はどうなんですか、ナズーリン選手?」
「ご主人は僧侶だからな。こういうものに出るのはあまり好ましくないんだ」
「ん?ナズーリン選手も命蓮寺所属じゃないんですか?」
「何か勘違いされているな。私が信仰しているのは毘沙門天神だけだぞ」
「つまり仏教徒ではないと?」
「その通りだ」
「納得したところで次の人行きましょう!エントリーナンバー二番!関節曲げずとも飯は食える!主に忠実な死体、宮古芳香!」
「これまた意外な人選ねぇ。大食いなのはその体になってからかしらぁ?」
「前からだぞ」
「ていうかお札がついてないんですけど」
「今日だけはがしてもらったんだ。これがあると自分の意思で動けないからな」
「ま、何でもいいんですけどね。エントリーナンバー三番!そのシニョンの中にはいったい何が!?説教好きな仙人、茨華仙!」
「仙人の主食って霞のはずよねぇ」
「失礼な!霞以外にも食べますよ!」
「自分の大食いを正当化する恥知らずな仙人がここにいた!エントリーナンバー四番!噂では月から来たらしいニューフェイスの兎、鈴瑚!」
「兎にも大食いする子がいたのねぇ」
「どうやらこの鈴瑚選手、団子を食べるほど強くなるらしいですよ」
「それは便利なことね。私もそんな能力がほしかったわぁ」
「あんた現状でも十分チートじゃないですかーやだー」
「そんなことより団子食べたい」
「あ、そうですね。それではルールの説明!三十分という制限時間で団子を何個食べたかで勝者を競います。目の前にある付け合わせは自由に使えますが、いくら食べても団子を食べない限りはノーカウントですので注意してください」
「団子には米版と麦版があるから注意してほしいわね」
「それじゃあ選手が我慢の限界ですのでもう始めましょう!それではスタート!」
どこからともなく太鼓の音が鳴り響く中、四人の戦いが始まった。
「さて。始まったわけですが、幽々子さんはこの戦いをどう見ますか?」
「制限時間が短めだからいかに早く食べるかがカギになるわ」
「え、三十分もものを食べ続けるって十分に苦行な気がするんですけど」
「そんなことないわ。少なくとも私にとっては一時間でも短いほどよ」
「あぁ、なんか妖夢さんの苦労がしのばれます」
「ホメたってなにも出ないわよぉ」
「いや、ホメてませんし。さて速い人はもう三皿目に入ってます。これは速いんでしょうか?」
「ちょっと速いわねぇ。一皿十個でしょう?」
「一皿に乗っている団子は十個ですね。串換算だと二皿で七本弱ですか」
「そう言われるといける気がして来たわぁ」
「マジっすか、私だったらもうおなか一杯になってますよ」
「普通はそうよね。団子だからちょっとの量でおなかは満たされるものということもあるのかしら?」
「因みに団子どれぐらいでおなか一杯になりますか?」
「二百個ぐらいかしら?」
「ちょっと、ですよね?」
「ちょっと、よ」
「…戦いは十分を過ぎました。少しペースの落ちてきた選手もいるようです」
「速い子はどれぐらい食べているのかしら?」
「今一位が華仙選手の六皿ですね。ただ少しペースが落ちているようですけど、これは?」
「飽き、かしらね」
「飽き、とは?」
「確かにこの団子は美味しいものだわ。けどさすがに何十個も食べてくるとこのシンプルな味には飽きてくるのはしょうがないことよ」
「何の味もついてませんしね」
「それを補うための付け合わせでもあるわね。何があるのかしら?」
「えーっと、あんことみたらしときな粉です」
「あんこは粒あん?こしあん?」
「両方だそうで」
「それならもう少しはがんばれそうね」
「ここからが正念場、というところですかね」
「みんな頑張ってほしいわね。あ、私もお替り」
「この人もう百個の域に行きそうですよ」
「終了まであと少しというタイミングでナズーリン選手がリタイアした模様です」
「流石に体格的な問題があったのかしら」
「出場選手の中では一番小さいですから。で、現在は序盤に飛ばした華仙選手をコンスタンスにずーっと同じペースで食べていた芳香としり上がりに調子を上げてきた鈴瑚選手が追いかけているという状況です」
「意外と接戦ね」
「そういう幽々子さんはもう二百個以上食べています」
「付け合わせもおいしいからね。しょうがないわよぉ」
「トップが百六十個ですからこのペースがいかに異常かわかるでしょう」
「照れるわぁ」
「ホメてません」
「でももうそろそろ終わりねぇ」
「気付けばあと十秒!…3、2、1、0!はい、手を止めてください!それでは集計に入ります!」
一方そのころ。
厨房は死屍累々であった。
「あ、終わった…?」
「終わったようですね…疲れました」
「で、何個作ったっけ?」
「七百を超えて八百個強ぐらいですね」
「なんか、もう、団子はしばらくいいや」
「私もです」
「はい、結果発表です」
「皆大丈夫かしら?」
「「「……」」」
「あ、無理しないでくださいね。ダメだと思ったらすぐに救護のところに行くようにお願いしますよ。それじゃあもう一位を発表しましょう!一位はなんと…」
どこからともなく聞こえてくるドラムロールの音。
それが終わった後文はマイクに叫んだ。
「百六十五個食べた華仙選手です!」
「最初に飛ばしたのが利いたわねぇ」
「二位が百六十個の鈴瑚選手で、三位が百四十七個の芳香選手です」
「私は二百九個よ」
「あなたには聞いてません。さて一意の華仙選手には夜雀亭での食事券をプレゼントします!おめでとうございます!」
「あ、ありがとうね。頑張って食べたわ」
「それじゃあ大食い大会、これにて終了!」
盛大な歓声の下、大会は終了した。
ヤリタカッタダケー。
団子のトッピングは粒あん派。